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2024.03.25ジパング俱楽部細密描写が魂を揺さぶる! 吉村芳生の大回顧展が長崎県美術館で開催中|JR九州エリアおでかけニュース

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今月、編集部が注目したJR九州エリアのニュースは、長崎県美術館 企画展「超絶技巧の鉛筆画 吉村芳生展」です!


“驚異の鉛筆画”で知られる画家・吉村芳生の作品約500点がお目見え

長崎県長崎市

日常のありふれた風景をモチーフに版画や鉛筆画を制作し、国内外の美術展で入選を重ねた吉村芳生(よしむらよしお)。2013年に惜しまれつつ63歳で亡くなりましたが、写真と見まがうほどの細密な鉛筆画は現代アート界に衝撃を与え、近年再評価が高まっています。

そんな吉村芳生の画業の全貌を伝えようと、「長崎県美術館」で企画展「超絶技巧の鉛筆画 吉村芳生展」が2024年5月12日まで開催されています。
初期のモノクロ作品から晩年の鮮やかな作品まで約500点を展示。初期の作品は版画と、鉛筆でのドローイングが中心になっています。


『無数の輝く生命に捧ぐ』(部分)2011-13年 色鉛筆、紙 『無数の輝く生命に捧ぐ』(部分)2011-13年 色鉛筆、紙

画家の執念と時間の集積を感じる作品の数々


『ジーンズ』1984年 インク、フィルム 『ジーンズ』1984年 インク、フィルム

『ジーンズ 下絵(数字)』(部分)1984年 鉛筆、紙 『ジーンズ 下絵(数字)』(部分)1984年 鉛筆、紙

デニムの質感がみごとに再現された『ジーンズ』では、マス目にひたすら斜線を引く技法を使用。約2.5ミリ四方のマス目に濃淡を0から9の数字で記入し、「4は斜線5本」などのルールを作って機械的に描いています。


『新聞と自画像 2008.10.8 毎日新聞』2008年 鉛筆・色鉛筆・水性ペン・墨・水彩、紙 『新聞と自画像 2008.10.8 毎日新聞』2008年 鉛筆・色鉛筆・水性ペン・墨・水彩、紙

活字1文字1文字から写真まで、新聞の1面をすべて手描きで完璧に写しとり、その上に自画像を重ねた『新聞と自画像』も見る者に凄みを感じさせる作品です。

自画像はその紙面を見た際の吉村の実際の表情が描かれています。


『未知なる世界からの視点』2010年 色鉛筆、紙 ©Yamamoto Tadasu 『未知なる世界からの視点』2010年 色鉛筆、紙 ©Yamamoto Tadasu

後期の作品はスケールが大きくなり、鮮やかに。色鉛筆で描いた約10メートルもの大作『未知なる世界からの視点』は、実際の風景とは天地を逆にして描写。上下を逆にすることで、虚構と現実、日常と非日常が入れ替わることを表現しています。

展示だけでなくモダンな建物にも注目

日本を代表する建築家・隈研吾氏がデザインを手がけた「長崎県美術館」は、運河をまたいで「美術館棟」と「ギャラリー棟」が建てられた世界でも珍しい美術館建築です。


長崎水辺の森公園の一角にある長崎県美術館 長崎水辺の森公園の一角にある長崎県美術館


カフェでは運河を眺めながら食事ができます カフェでは運河を眺めながら食事ができます

エントランスロビーは外光に満ち開放的な雰囲気で、屋上庭園からは長崎港が一望できます。

2つの棟を結ぶ橋の空中回廊には見晴らしのよいカフェが併設されているので、鑑賞後は感動の余韻に浸りながらひと息ついてみてはいかがでしょうか。

長崎県美術館 企画展「超絶技巧の鉛筆画 吉村芳生展」

開催期間 2024年5月12日まで
時間 10時~19時30分
定休日 4月8日、4月22日
料金 1200円(土・日曜・祝日は1300円)※展示室、カフェ、ショップ以外の利用は無料
交通アクセス 西九州新幹線長崎駅から徒歩約15分
問い合わせ先 095-833-2110
公式サイト http://www.nagasaki-museum.jp/exhibition/archives/2394

文/ハセガワアヤ