2023.11.15ジパング俱楽部これからの時間を楽しむために! 前向き片づけのススメ|解決! 60代からのお悩みごと
ジパング世代におすすめしたい片づけの方法
おうち時間が増えたここ数年、「家の中を快適にしたい」「これを機に大掃除をした」という方も多いのではないでしょうか。
ただ、少し時間が経って周りを見てみると、「何だか元どおりに散らかってきた……」「ものが増えている!」ということも。
ジパング倶楽部の会員のみなさまなら、旅行に出かけた後も、旅先でもらったパンフレットや買ってきたおみやげ、たくさん撮った写真など、とくに楽しい思い出がこもったものは、なかなか手放せないのではないでしょうか。
これからの時間をより楽しむために、ただものを捨てるだけじゃない、身の回りをスッキリさせて気持ちも軽くなる「前向き片づけ」の方法を、「住まい方アドバイザー」の近藤典子さんにうかがいました。
教えてくれた人
1.片づけられない原因は? 3つの原因
私も、みなさんと同じジパング世代ですので、長い人生を生きてきて、多くの方が「ものが捨てられない」「片づけが苦手」と言われる気持ち、よーく分かります。
私たちは、「ものは大切にしなさい」と言われてきた世代。簡単に捨てたりせず、「いつか、もしかして、たぶん」使うんじゃないかと取っておくんです。ものを大切に使ってきた世代なんですね。
片づかない原因は大きく分けて3つあります。
- ものを死蔵させている
- 使っていると思いこんでいる
- 情報や流行に振り回されている
まず、「ものを死蔵させている」について。
みなさんのクローゼットを見てください。同じようなデザイン、同じような色の洋服はありませんか?
キッチンを見てみれば、食べものでもラップでも同じものがいくつもありませんか? 人には買い方の癖があるので、使っていないものがおうちにたくさん眠っていると思いますよ。
2番目の「使っていると思いこんでいる」ですが、毎日使っているもの、たとえばみなさんの家に菜箸は何組ありますか?
長さが揃っていなかったり、焼け焦げていたりしませんか? 試しにすべて持ってみると、易者さんの筮竹(ぜいちく)のように菜箸が広がりませんか?
同じ場所に同じ種類のものが置いてあると、すべて毎日使っていると思いこんでしまうんです。でも実際使っているのは2~3組でしょう。焼け焦げたり1本欠けたりしたものは、もうお役御免です。家事効率を上げるためにも、使いやすいものだけを取っておいてください。
3番目の「情報や流行に振り回されている」について。
テレビや雑誌を見ていると、素敵なもの、便利なものが紹介されますよね。とっさに買ってしまったことはありませんか?
購入前に、本当に必要なものか、どのくらい便利になるか、コストに見合ってるか? など、きちんと考えてみましょう。自分の生活が豊かになると思ったものは、買ってもいいんです。すぐに購入せず、選ぶ目を養いましょう。
2.片づけの基本的な手順を教えて! 整理・収納・整頓とは?
思いこみをうまく捨てられたら、「片づけの基本的な手順」を確認しましょう。
片づけの順番は、「1.整理 → 2.収納 → 3.整頓」の順です。
- 1.「整理」=いるものといらないものを分けること
- 2.「収納」=いるものを使う場所に収めること
- 3.「整頓」=使ったものを元に戻し整えること
「2.収納」「3.整頓」はもちろん大切ですが、もともとものが多すぎて置く場所がなかったら、収納・整頓はできませんよね。
まず大切なのは、「整理」することなんです。
みなさん家の中のもので不要なものはひとつもないと思っています。でも、まずは集めて分けてみましょう。
絶対必要なものは○
ときどき必要なものは△
あまり使っていないものは□
残りのアメーバのようなものがいらないものですね。 こうして分けてみると、自分の持っているものの内容と量が視覚的に分かりますよね。○、△、□で優先順位が目に見えて、本当にこの先必要あるかどうかが分かってきます。
このように「整理」とは分ける作業で、分ける=分かることにつながります。
分ける作業をすると、たとえばキッチンに切干大根ばかり、ラップばかりあるなど、自分の持ち癖、使い癖、買い癖が分かり、ものを買う時も気をつけるようになります。
3.「整理」=捨てる、じゃない! 不要なものを手放す3ステップ
整理ができると、本当に必要なものが何か分かります。「整理」=捨てること、じゃないんです。最初から捨てなきゃと思うとモチベーションも下がりますよね。捨てるのは最後の最後でいい。使っているもの、使ってないものを分けることです。そうすると結果的に、今まで捨てられなかったものも100パーセント自分で捨てられるようになります。
整理をうまくするためのコツは、1.「売る」、2.「あげる」、3.「捨てる」の3ステップ順に考えて進めることです。
1.「売る」
ジパング世代は、世界に通じる日本の精神「もったいない」という感覚が分かる世代。
これは立派な美点なので、胸を張って、捨てる代わりに売ってみましょう。今の世の中、ものはいろいろな方法で売れます。
ネットで売ったり、近所のリサイクルショップに足を運んだり。そうすると、ごみにならず、人の喜びになります。自分も使い切った、世の中の役に立てたという気持ちを味わえます。
2.「あげる」
売れない場合は、あげましょう。
その場合、「あの人にあげたら喜ばれるだろう」と勝手に思うのはNG。あげるなら、「捨てようと思ったけど、もし役に立つなら使って。ほかの人にあげてもいいので」と伝えましょう。知人でなくても、ボランティア団体や自治体に問い合わせて、普段からあげられる対象を調べておくといいですね。
3.「捨てる」
最後に捨てる、です。粗大ごみなどでいっぺんに捨てると有料になってしまうものも、少しずつ分けるなり解体するなりして、燃えるごみ、不燃ごみ
などとして自分で捨てれば無料で済むこともあります。
近藤典子さんからひと言
4.必要なものと、不要なものを分ける上手な方法は?
では、実際に整理をするにはどうしたらいいでしょうか?
以前、片づけの方法として、「押し入れのものをいっぺんに全部出して整理する」という方法が流行しましたが、それはプロのやり方。一般の方が日常生活の中でやっていくにはハードルが高すぎます。
私がよく言うのは、「散らかっている家は逃げないので、慌てないで!」ということ。まずは1種類のものから始めてみましょう。
分け方の3ステップ
ステップ1.「なにか1種類、ものを集める」
傘、靴、食べものなど何でもOK。傘だったら家じゅうにある傘、靴だったら靴箱にある靴をすべて出してみる。夫、妻、こどものものなど。ここにしかないと思っていても、意外と家のいろんな所にあるので、1カ所に集めます。
ステップ2.「使用する人別にまとめる」
夫、妻、こどもなど、人別にします。家族全員に聞いて、それぞれの許可が取れたら、捨てられるものは処分します。
ステップ3.「小分類する」
傘なら、折りたたみ、晴雨兼用など。最後に使用シーンごとなど、小分類に分けます。このように分けると、折りたたみ傘は2つはいらないなど目に見えるので、不要なものは処分できます。自分が本当に必要なものだけを残しましょう。
整理の作業は、洗濯、料理など家事をしながらの日常生活の中で、いっぺんにはできません。片づけはあくまでも生活の脇役。主役にするとリバウンドしてしまいます。
自分や家族が“納得”しながら整理していくと、買う行動も変わってきます。この方法をお話しした方から、「余計なものを買わなくなりました」という声もありますよ。
必要のないものを買わなかった分、新たな旅行に行ってください! 生きているうちに楽しまなくちゃ!
5.思い出の品との向き合い方
思い出があって手放せないもの、あると思います。でも、思い出はタイムカプセルのようにしまいこんでおくものじゃないんです。
思い出という字を書いてみてください。「思いを出す」――見て、心で反芻して、思い出すのが思い出。しまいこんだアルバムのように、思い出せないものは思い出じゃないんです。
本当に必要な思い出は、いつでも見られるようにしておく、見られる場所に置いておくのがいいですね。私の知り合いで箸袋が思い出という人がいますが、不要か必要かは自分で決めること。大切なものは捨てなくていいし、捨てるのは最後です。
思い出のものを整理するには、1軍、2軍、3軍に分けてみましょう。
- 1軍:本当に大切なもの
- 2軍:迷っているもの
- 3軍:捨てるもの
分ける作業をすると、自分が大切にしたいもの、必要なものが分かってきます。
たとえば写真は同じようなカットが何枚あってもしょうがないので、後で見る人に「きれい!」「かっこいい!」と思われる写真だけ残すといいでしょう。目が半開き、かっこよく見えないもの、残しておくメリットはありますか? 捨てていいものではありませんか? 素敵な思い出は、自分の心の中に残っているのですから。
迷ってしまったものは、いったん保留に。たいていはいらないものなんですが(笑)、たとえば1年後に見て「もういらないな」と思ったら、その時に処分しましょう。
近藤典子さんからひと言
まとめ
いかがでしたか。
片づけが苦手な方、思い出の品に手が出せない方、近藤さんの考え方でなら少しずつ、リバウンドせず片づけることができそうではないでしょうか?
部屋が片づけば、旅行の準備もスムーズに、また、旅行前にぐちゃぐちゃな部屋を片づけなくても、いつもすっきりとした状態でスマートに旅行に行けますよね。
「部屋は逃げない」ので、自分の納得のいく形で、無理なく片づけをやってみてくださいね。
文/綿谷朗子