トレたび JRグループ協力

2025.02.17ジパング俱楽部『旅の手帖』編集長が教えます。準備不足でも大丈夫!“積極的準備不足”で楽しい旅を|解決! 60代からのお悩みごと

スケジュールを立てないから旅は楽しい

目的地と宿泊場所だけは決まっているけれど、細かい旅程を立てたり、周辺観光地を調べたりする時間がなくて、準備不足のまま、旅立っている人はいませんか?

せっかく旅に出たのだから、あれも見たい、これも見たいと思うのは人の常です。しかし、準備ができないからこそ楽しめる旅もあります。そんな準備不足が楽しい旅行のコツを、旅行専門誌・月刊『旅の手帖』の編集長・山口昌彦さんにお聞きしました。


教えてくれた人

月刊『旅の手帖』編集長 山口昌彦さん

東京都出身。1995年に弘済出版社(現・交通新聞社)に入社。 首都圏散策マガジン・月刊『散歩の達人』の編集部に配属され、編集長を経て、旅行雑誌『旅の手帖』編集長に。取材を通して得た町歩きのコツや、犬を連れた旅を楽しむアクティブな旅人。


『旅の手帖』は1977年創刊の50年近い歴史をもつ旅行雑誌と、2024年4月にスタートした「旅の手帖WEB」で全国の楽しい旅情報を発信しています。
【旅の手帖WEB】https://san-tatsu.jp/tabite/

Q.旅立ち前に現地情報を集められなかったけれど、大丈夫?

A.大丈夫です!むしろ準備はしないで、現地での情報収集を楽しみましょう。

宿泊旅行で、1日目に行きたい場所だけを決めて、2日目以降の予定を立てていないという旅行者は意外に多くいらっしゃいます。しかし、むしろ事前に情報がないからこそ旅が楽しくなることもあるんです。私もそんなひとりで、“積極的準備不足”の旅を実践しています。
それでもこれだけは決めておきたいということがあります。

  • メインで行きたい場所は決めておきましょう。
  • 宿泊先の予約と、列車の時間は調べておきましょう。

これだけで十分です。

できるだけ予定は入れない、これが準備不足の旅を楽しむコツです。
あとは現地に行ってから自分で見つけたり、人に聞いたりすれば、帰ってきた時には楽しい旅の思い出がいっぱいになります。

今回はちょっとディープな情報の仕入れ方を、3つ紹介します。

1.徒歩は最大の情報源!

一本奥の道を歩きましょう


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せっかく旅先で歩くのであれば、移動するだけではもったいないですよね。歩きながら楽しんでしまいましょう。

ひと言で言ってしまうと、路地があったら、入ってみましょう。ですが、なかなか知らない町で「路地」、といわれてもハードルが高いと思います。そこで「一本奥の道」を歩きましょう。

たとえば、漁師町を歩く時などは、ついつい景色のいい海沿いの道を選んでしまいがちです。しかしその「一本奥」、一本陸地側の道を選んでみてください。自家用に干物を作っていたり、漁具の修理をしていたり、普段の自分の生活とは違う生活が見えてきて、おもしろいですよ。

小さな祠や生活感のある古い民家があったり、ときには地元の人だけが行くような小さなお店があったりと、そんなものを見つけて歩くのも楽しい旅になります。

それが素のままのその町の顔だったり、地元の人も気づいていない名物だったりします。
もし往復できるなら、行きは景色のいい道、帰りは一本奥の道を歩いてみてください。
私が行ったなかでは、マグロで知られる神奈川県の三浦半島にある三崎などは、まさにそういう場所でした。町の規模も大きくなく、安心して迷えるいい町です。

2.スーパーマーケットの活用法

旅のヒントは地元の生活の中に!


旅の手帖webでも公開中 ゴーゴー!ご当地スーパー|旅の手帖Web 旅の手帖webでも公開中

『旅の手帖』でも連載しているのですが、ご当地スーパーは地元の名物を知ることができる情報源のひとつです。

なかなかご当地スーパーが見つけられないという場合でも、どこでもよく見かける生協などに入ってみましょう。

道の駅に行く気分の延長で行ってみると、思わぬ名物が見つかることがあります。



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私が白馬に行った時は、新鮮な魚介をたくさん売っていました。 聞いてみると、白馬は日本海に近く、今は新鮮でおいしい魚介がたくさん入ってくるそうです。山の中で魚介?と思われるかもしれませんが、話を聞けば納得で、これもその地域の特徴ですよね。

あと楽しみにしているのはあちこちで売っているジャムです。地元の素材を使ったものが多くあるので、チェックしてみてください。

ほかにも、いつも使っているスーパーでは見かけないものが見つけられれば、それは大発見です!

3.旅情報の宝庫・観光案内所!

現地情報を探すために、やはりみなさん、観光案内所を活用しますよね。
そこにもちょっとしたコツがあります。

まずは会話をしてみましょう


ただ交通手段や観光地情報を聞くだけではなく、短い時間のなかですが、会話のキャッチボールを意識してみてください。たとえば「名物が食べられる、おいしいお店を教えてください」よりも、「普段どんなお店に、みなさんでごはんを食べに行っているんですか?」と聞いてみたら、地元の人が満足できるおいしいお店がきっと出てきます。

もちろん旅行者相手なので、名物も食べられるようなところを教えてくれますし、おすすめの食べ物を聞いてみるのもアリです。

観光パンフレットにも注目

後は案内所内に置いてある、ちょっとしたパンフレットにも目を通してみましょう。その時期だけの特別公開やイベント、季節によっては今見頃の花の情報なども手に入れることができます。
案内所のパンフレットコーナーは、地域の一押しが一覧できる場所です。そこから自分が気になった情報を、効率よくピックアップすればいいのです。

観光案内所も観光スポット


滋賀県近江八幡市の観光案内所が入っている白雲館 写真/(公社)びわこビジターズビューロー

観光案内所そのものが、古民家や歴史的な建築物を活用しているところもあるので、案内所そのものを観光地として楽しめます。

たとえば滋賀県近江八幡の風情ある八幡堀の近くに白雲館という1877(明治10)年に建てられた小学校の校舎を利用した観光案内所があります。

外観を見ているだけでも、旅気分が盛り上がってきます。

まとめ

旅の準備不足は、楽しい旅の第一歩。焦ったり悩むのではなく、知らないものに出合えるかもしれないという、期待と喜びを胸に旅立ちましょう。

多くの情報は、じつは誰でも見られるところにあるのです。目的地だけを決めて、予約も「これは!」というものだけにして、時間に余裕をもちましょう。そして、現地で見つける自分だけの旅を楽しんでくださいね。