2024.05.15ジパング俱楽部100歳まで自分の足で歩くために“続けられる”ウォーキング習慣|解決! 60代からのお悩みごと
歩く習慣、作れていますか?
いつまでも自分の足で長い距離を歩いたり、旅行に出かけたりしたい――これは、ジパング世代のみなさんの共通の願いだと思います。 ウォーキングを習慣的に取り入れても、なかなか持続できていないという方も多いのではないでしょうか。
「そもそも自分は普段どのくらい歩いているの?」「目標とする歩数は何歩?」「継続するコツを知りたい!」などなど、ウォーキング習慣にまつわるあれこれの疑問を、健康ウオーキング指導士の勅使川原郁恵さんにうかがいました。
教えてくれた人
1.毎日、何歩くらい歩いてる?
みなさん、毎日何歩くらい歩いてますか? 10分歩いたら何歩になるか分かりますか?
じつは多くの人が、自分が毎日何歩くらい歩いているのか分かっていないことが多いんです。
はじめに、自分がどのくらいの時間で何歩歩けるのかな、と意識してみましょう。たとえば1万歩歩くには約1時間半必要で、毎日の生活に取り入れるのは大変ですよね。よほどやる気満々の人でないと達成できません。
ジパング世代の方は、10分で1000歩くらいと考えるとよいと思います。
普段多くの方は、1日に合計30分ほど歩いて3000~4000歩くらいではないでしょうか。
試しに歩数計で計ってみてください。今はスマートフォンにアプリなどでも入れられるので便利です。
買い物や散歩で外に出れば数千歩になると思いますが、家から出ないと驚くほど歩数が少なくなります。「そういえば今週は家にいる日が多いな」という方は、1日1回でも外に出ることで歩数が伸びていきますよ。
今日は買い物、明日は犬の散歩など、なるべく毎日出かけるような生活のリズムをつけるのがおすすめです。
2.目標にする歩数は何歩?
毎日何歩くらい歩いたらいいのでしょうか。もちろん人によって目標となる数字は違うと思いますが、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者に対して「1日6000歩」を目安としています。
たとえば、40分で4000歩ウォーキングし、2000歩は家事などの生活活動で動けば合計6000歩に。毎日の生活でそれくらい歩いていれば、健康的な体づくりができます。ウォーキングは脂肪燃焼の効果だけでなく、血液循環がよくなって生活習慣病の予防が期待されたり、また歩くことが爽快感につながってメンタルにもとてもよい効果があります。
歩くスピードは、目的がダイエットのためなら大股で速く歩くのもよいですが、健康のためであればゆったりと自分のペースで歩くのがおすすめです。
自分のペースで歩こう
ですが、毎日歩くのは結構大変ですよね。まずはじめの目標は週3回など、自分ができる範囲で設定してください。
また、1日6000歩などの目標を立てても、連続した1時間で取り組まなくても大丈夫。1日の中で、10分歩いて休んでまた10分など、トータルで達成できればいいんです。
常に「1時間続けて歩かなきゃ」と思うとプレッシャーです。以前は「脂肪燃焼は20分経ってから始まる」などとされていましたが、今は10分で脂肪が燃え始め、中断しても燃え続けることが分かってきたので、時間をおいて運動してもよいとされています。1日のうちトータルで考えればOKです。
はじめは週2、3回などハードルを低くしても、体が慣れてくると「もうちょっと歩いてみようか」「歩数を多くしようかな」と徐々に増やしていくことができます。最初のやる気をアップしたまま、負担にならない程度で続けるのが一番です。それが習慣につながって、「体を動かしていないとかえって疲れる」という状態に。そうなったら、しめたものですよね。
3. 効果的なウォーキング方法を教えて!
みなさん、ウォーキングは特別な習慣、と思われているかもしれません。でも、日常生活でごく自然に歩いているんですよ。朝のゴミ出し、犬の散歩、買い物……。でも、この「歩く」という行為を「効果的なウォーキング」にするには、ちょっとしたコツがあります。
それは、正しい姿勢で歩くこと。これを意識すれば、ウォーキングは効果的なエクササイズになるんです。友達との約束で駅まで行く時にどんな歩き方をするか。正しい姿勢で歩くと、ただの移動が「ウォーキングの時間」になります。とくに「ウォーキングに出かけよう」と思わなくても、一日を通してウォーキングしているという感覚になります。これなら、時間がなくても気軽にできる気がしませんか?
正しい姿勢には3つのポイントを意識してください。
足裏全体を使う
1つ目は、足裏全体を使うということ。かかとから着地し、前に体重移動をして、最後は親指でしっかりと蹴る。この指先を使ってない方が多いんです。指先で蹴りだすと、歩幅が広くなり、骨盤が動いてきます。ここが一番のポイントです。骨盤が動くと自然に腕もついてきて、肩甲骨がしっかり動くようになります。
腕は後ろに引くことを意識する
2つ目のポイントは、腕を前に振らずに少しだけ後ろに引くことを意識してください。無理に前に振ろうと思わなくても、振り子の原理で自然に腕が前にも行きます。すると背中が伸びて、きれいな姿勢になるんです。
目線は10メートル先
最後のポイントは、目線を下に向け過ぎないこと。下を向くと猫背になるので、10メートルくらい先を見てください。
この3つを意識することで、体全体を使って歩くことができるようになります。ウォーキングは全身運動なので、正しい姿勢で歩くことによって肩こりが治った、という方も。歩き方が大事、ぜひ効果的な歩き方をしてください。私のYouTubeチャンネル「おとなこども運動」でも、正しいウォーキングの姿勢を動画で紹介しているので、見てみてくださいね。
勅使川原さんのYouTubeチャンネル「おとなこども運動」
4.ウォーキングを日常生活に取り入れるコツ&モチベーションを保つには?
「楽しみ」と絡ませる
一番いいのは「朝起きて歯磨きしたら体を動かす」など、習慣化することです。といっても、なかなか難しいですよね。
私がよくやっているのが「花を見に行く」ということ。外に歩きに行けば、季節ごとに咲く花、春なら桜や藤、秋ならコスモスや紅葉などが楽しめますよね。植物は日々成長しているので、一日ごとに変化が目に見えます。そうすると、「もうあの花咲いたかな」「ちょっと先にある木の様子を見に行こう」と、歩くモチベーションが高まります。
花を愛でながら散歩をすれば毎日の楽しみに
歩く先々で写真を撮るのも楽しいですよね。今はスマートフォンで簡単に撮れますから、写真を趣味にしてしまえばウォーキングの効果と合わせて一石二鳥!
「季節の写真を撮りたいからウォーキングしよう」ともなります。花でなくても、鳥でも空でも、お孫さんの写真でもいいんです。
また、一緒に歩く仲間をつくったり、友達と約束したりするのもおすすめ。「ちょっと今日は面倒だな」と思っても、約束したから……と出かけるきっかけとなります。家族でももちろんOK! 楽しみを共有できる仲間がいるといいですね。
雨の日は自宅でプチエクササイズ
でも、雨が降ったら外に行くのが億劫になりますよね。コンディションが悪くて外出するのが難しい時は、おうちでできるエクササイズがおすすめ。片足立ちを1分とか、ほんのちょっとしたプチエクササイズでいいんです。
キッチンに立ったり歯磨きをしながらの「ながら運動」もやってみてください。いつもより足踏みを多くしてみようとか、雨だからとずっと座っていないで、動く習慣をつけることが大事です。
私が効果的だと思うエクササイズは、立ってモモを上げる「ニーアップ・ウォーキング」。モモが床と平行になるようにヒザを上げ1~2秒キープし、その場でゆっくり足踏みします。左右20回ずつを1セットで、2~3セットが目標。
これにひねりを加えた「X字ウォーキング」はよりレベルアップした動き。ヒジを反対のヒザにタッチさせるように足を上げて足踏みします。左右5回ずつを1セットで、1~3セットが目標です。
スマートフォンアプリを使う
モチベーションを保つのに、スマートフォンアプリを使うのもひとつの方法です。私は自分の歩数は身についているのであまり使いませんが、歩いた距離でポイントがたまる「トリマ」というアプリはときどき使います。たまったポイントがコーヒー1杯などに使えたりするので、やる気につながりますよ。
また、心と体はつながっているので、ウォーキングがメンタル面に与える影響はすごく大きいです。悩みや憂鬱なことがあっても、きれいな景色を見ることで気持ちが晴れる。ウォーキングでしっかり血流がめぐって脳が活性化すると、心にもとてもよい効果があります。
外を歩くことで太陽の光を浴びると、幸せホルモンといわれるセロトニンという物質が出るといわれています。ウォーキングをした後は、とても爽快な気分になりますよね。「今日は歩いた!」という満足感が次のウォーキングのモチベーションにもなって、いいこと尽くめなんです。
ぜひ、ウォーキングを日々の生活に取り入れてみてください!
文/綿谷朗子
編集部からひと言
いかがでしたか。
みなさんは毎日何歩歩けていましたか?
まずは現状把握をして、目標の歩数を目指して少しずつ取り組んでみましょう。
普段から歩くことを意識していれば、足も体も健康になり、旅先での行動範囲も、楽しみも広がります。
「筑波山にハイキングに行きたい」「中山道を踏破したい」など旅行に向けた目標設定もいいかもしれませんね。