トレたび JRグループ協力

2024.10.16ジパング俱楽部芸術の秋に行きたい!自分に合った美術館を見つけよう|解決! 60代からのお悩みごと

あなたはどんな美術館が好き?

だんだんと暑さが落ち着き、秋らしい日が増えてきた今日この頃。芸術の秋にふさわしい、美術館に出かけてみませんか?

ひと口に美術館といえど、全国には星の数ほどさまざまな美術館があります。自分の興味に合った美術館を見つけるのは難しい.......。そうお悩みではありませんか?
今回は簡単な質問に答えて進むチャート形式で、あなた好みの美術館をガイドします。

さあ、美術館の旅へ出かけてみましょう!


教えてくれた人

フリーライター
藤井麻未さん

元海外旅行添乗員。

旅行関連メディアのほか、東洋経済オンライン、朝日新聞社などのメディアで解説や執筆を行なう。

旅行のほか、文化、芸術、ものづくりに関する記事を得意とし、デザイナー、アーティスト、経営者などへのインタビュー、対談取材も手がける。カルチャー誌『Pen』、女性誌『Harper’s BAZAAR』などでは美術、芸術関連の記事多数。
 

あなたにぴったりの美術館を診断!

簡単な質問に答えて、あなたにおすすめの美術館を診断します。選ぶのは直感でOK!
判定したタイプがちょっと違うな、と思った場合は、ほかのタイプも見てみてくださいね。


A.世界の名画や有名作家の人気作品が見られる美術館

これまでアートに触れてこなかった方にもおすすめなのが、教科書やテレビなど、どこかで見たことのあるような世界的名画や、人気の作品から入ってみること。
既視感があるので、その先の興味につながりやすく、ガイドツアーやオーディオガイドなどを利用して背景を知れば、さらにおもしろくなってきます。また、世界中の名画を辿ることで、同時に海外を旅している感覚になれることも。

大塚国際美術館(徳島県)

礼拝堂壁画『最後の晩餐』、フェルメールまで!海外旅行気分を楽しもう


スクロヴェーニ礼拝堂 スクロヴェーニ礼拝堂


フェルメール『真珠の耳飾りの少女』 フェルメール『真珠の耳飾りの少女』

徳島県鳴門市にある世界に類を見ない陶板名画美術館。
ピカソ、フェルメール、レオナルド・ダ・ヴィンチなど誰もが知る名画から、システィーナ礼拝堂の天井画やポンペイ遺跡の「秘儀の間」など、有名な礼拝堂や遺跡を彩る壁画まで多数の作品が展示されています。その作品点数は世界26カ国から1,000点以上。色彩や大きさ、質感までも原画に忠実に再現しており、現地でしか見ることのできないはずの作品を、日本にいながらにして一挙に鑑賞できるのが大きな魅力です。

また、礼拝堂や遺跡を再現した展示室、画家の自宅を再現した小部屋、屋外空間の大型展示など、展示方法の工夫により圧巻の臨場感を味わえます。世界の名画をほぼ網羅した作品群と臨場感溢れる展示により、初心者でも、まるで世界中を旅した気分になれるのも魅力です。

  • 写真は「大塚国際美術館」の展示作品を撮影したものです

大塚国際美術館 公式HP

大原美術館(岡山県)

歴史ある美術館で西洋画を堪能

日本初の西洋美術を中心とした私立美術館。エル・グレコ、モネ、ピカソなど、厳選された有名な西洋画を鑑賞するのにおすすめ。

フレンドリートークやワークショップなど、アートに詳しくない方でも興味を持てるイベントが豊富なのも魅力です。伝統的な町並みが美しい倉敷美観地区とあわせて観光できるのもうれしいポイント。


大原美術館 公式HP

地中美術館(香川県)

モネの名画を自然光で鑑賞

美しい瀬戸内の景観を失わないよう、建物の地中に埋まった姿が独創的な美術館。

クロード・モネ室ではモネ最晩年の「睡蓮シリーズ」5作品を自然光のみで展示。「地中の庭」にはモネが好んで描いた植物が植えられており、世界的名画の世界観を存分に味わえます。


地中美術館 公式HP

B.日本の美と心を感じる美術館

アートというと、西洋の絵画や海外の作家が浮かんでくるかもしれません。しかし、じつは日本の美術工芸にも、世界に誇る素晴らしい作品が目白押しです。まずは、日本の伝統美や精神性、身近なところに宿る器や民藝の美しさに触れて、和の心を味わってみてはいかがでしょう。

佐賀県立九州陶磁文化館(佐賀県)

最新技術で有田焼の美の世界に触れる


皿形の大型スクリーン。江戸時代の有田焼や鍋島焼のデザインが次々に現れては変化する映像が楽しめます 皿形の大型スクリーン。江戸時代の有田焼や鍋島焼のデザインが次々に現れては変化する映像が楽しめます


外観 外観

「焼き物王国」ともいわれるほど陶磁器の窯元が多い九州。有田焼で有名な佐賀県有田町にある佐賀県立九州陶磁文化館は、そんな九州を代表する、国内最大級の陶磁器専門美術館です。
とくに、2022年にリニューアルされた常設展示室は、有田焼をキーワードに、その歴史や文化、デザインに迫る多角的な展示が魅力。プロジェクションマッピングなどの最新技術を駆使し、有田焼のデザインや彩色の技法をさまざまな角度からひもとく展示には感性が刺激されます。
また、海外に輸出され逆輸入された、華やかな古伊万里の蒲原(かんばら)コレクションは必見。日本の有田焼が海外にどれほど影響を与えたかを知ることができます。

  • 写真/佐賀県観光連盟

佐賀県立九州陶磁文化館 公式HP

清水三年坂美術館(京都府)

みごとな日本の超絶技巧に驚きを隠せない!

幕末・明治時代に頂点を極めた日本の七宝・金工・蒔絵などを常設展示する、国内初の美術館。日本の超絶技巧と呼ばれるにふさわしい、みごとな手業で作り上げられた作品の数々には思わず驚嘆せざるを得ません。日本の美都・京都清水の三年坂という立地も素敵です。


清水三年坂美術館 公式HP

足立美術館(島根県)

世界に誇る日本庭園の美に癒やされて

約5万坪におよぶ、四季折々の表情をみせる日本庭園はまるで絵画のよう。米誌ランキングで日本一に選出されている日本庭園の美を堪能できます。館内には名だたる日本画家の作品、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)の陶芸などが展示されています。とくに、横山大観の作品は国内有数の120点を所蔵。


足立美術館 公式HP

神勝寺 禅と庭のミュージアム(広島県)

禅に触れる体験で心を清らかに

臨済宗建仁寺派の禅寺、神勝寺。境内全体に禅の世界に触れられる施設が点在し、荘厳堂ギャラリーには墨蹟のコレクションを随時展示。心落ち着く茶室やアートパビリオン《洸庭》などでは建築美を堪能できます。日帰り禅体験などもあり、禅の教えを体感しながら、心と身体を整え、自分に向き合う時間を過ごせるミュージアム。


神勝寺 禅と庭のミュージアム 公式HP

C.新しい作品が見られる、アートを肌で感じる美術館

歴史的背景や作風などの難しい解釈ではなく、感性で作品を観るというのもアート鑑賞のひとつの形です。そんな時には、現代アートもおすすめ。近現代の新しい感覚、不思議で斬新なデザインなどを単純に見て楽しみたい方にぴったりです。現代アートの中には、実際に触れることができたり作品の一部になったり、肌で感じて楽しめるものもあるので、自由な感覚でアートを味わってみるとよいでしょう。

札幌芸術の森(北海道)

豊かな自然の中でアートを満喫


美術館外観 美術館外観


野外美術館 福田繁雄《椅子になって休もう》 野外美術館 福田繁雄《椅子になって休もう》

豊かな森の中に、野外展示美術館、屋内展示美術館、工房などアートを総合的に楽しめる施設が並びます。なかでも「札幌芸術の森野外美術館」は、北海道らしいのびのびとした展示が魅力。

7.5ヘクタールという広大な森に彫刻作品が並び、四季折々に表情を変える自然のなかを、作品を観ながら散策することができます。

クラフト工房では、陶芸、テキスタイル、七宝などの講習会や簡単なものづくりなど、さまざまな体験も可能。アートをただ鑑賞するだけでなく、体感することで、新たな感性を呼び覚ますことができるでしょう。屋内展示の「札幌芸術の森美術館」では話題の企画展なども開催されています。


札幌芸術の森 公式HP

金沢21世紀美術館(石川県)

自分自身も作品になったような新感覚体験を

さまざまな感性を刺激する現代アートを展示する美術館。とくに、建築や風景、人と調和した作品群が魅力。
見て、触れて、世界観に没入することで、受け身ではなく、まるで自分も作品の一部になったかのような感覚を味わえます。レアンドロ・エルリッヒの≪スイミング・プール≫は必見。


金沢21世紀美術館 公式HP

十和田市現代美術館(青森県)

まち全体に現代アートが見え隠れ

まち全体を美術館と見立て、通りや広場に現代アートが点在する「開かれた美術館」。
まちに作品が溶け込んでいる感覚が味わえます。建物の中からも外からも見られる展示や、暗闇に包まれた展示、また屋内外から双方の風景を感じられるというインタラクティブな動線の使い方がおもしろい。


十和田市現代美術館 公式HP

鹿児島霧島アートの森(鹿児島県)

楽しみ方は自分しだい!

霧島の自然とアートとの融合した野外美術館。草間彌生の作品など、国内外の著名なアーティストの作品を、実際に手で触れながら鑑賞できます。
堅苦しい芸術鑑賞ではなく、遊具として遊んだり、撮影を楽しんだり、自由な発想で楽しめるのが魅力です。


鹿児島霧島アートの森 公式HP

話題の新しい作品が見たい!番外編

SNSやテレビ番組などで話題の展覧会ならこちら。世界観に没入したり、好きなものを極めたり、美術品の鑑賞とは一味違った体験ができるはず。
今しかないこの機会、訪れてみてはいかがでしょうか。


「光る君へ 宇治 大河ドラマ展 〜都のたつみ 道長が築いたまち〜」(京都府)

現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」の世界を体感できる展覧会が、源氏物語のクライマックスとなる宇治の地で開催中。ドラマに登場する小物や衣装を展示する大河ドラマ展示ゾーンと、平安時代の歴史や文化を展示する宇治歴史ゾーンで、源氏物語の世界に没入してみては。

期間:〜2025年1月13日(月・祝)
場所:お茶と宇治のまち歴史公園交流館「茶づな」
公式サイト:https://uji-dramaten.jp/
主催:宇治市


T2 Collection「Collecting? Connecting?」展・ 奥中章人「Synesthesia ーアートで交わる五感ー」展(東京都)

「倉庫を開放、普段見られないアートを覗き見する」という独自のコンセプトを持つ、寺田倉庫株式会社が手掛ける「WHAT MUSEUM」。起業家・高橋隆史氏が集めた現代アートのプライベートコレクション「T2 Collection」、美術家・奥中章人氏の「空気、水、光」をテーマにした、巨大なバルーンの体感型インスタレーションは、いずれも作品着想のプロセスが興味深い。

期間:~2025年3月16日(日)
場所:WHAT MUSEUM
公式サイト:https://what.warehouseofart.org/


「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」(東京都)

2023年に71歳で逝去した、世界的音楽家、坂本龍一。2024年12月から開催される展覧会では、これまでの代表作とあわせて、坂本自身が構想した新作が公開される予定。音楽の域を越えた、アートとしての多彩な表現に期待が高まります。

期間:2024年12月21日(土)~2025年3月30日(日)
場所:東京都現代美術館 企画展示室1F/B2F
公式サイト:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

D.ミュージアムの雰囲気や建築、ロケーションを味わう美術館

作品はもちろんアート鑑賞の目的ではあるけれど、それを展示するミュージアム自体も、見どころのひとつ。ロケーションを工夫し、趣向を凝(こ)らした建築や、独特の雰囲気を演出しているところがたくさんあります。アート鑑賞への入口として、訪れること自体も目的となるような素敵なミュージアムを探してみるのも気分が上がります。

MIHO MUSEUM(ミホミュージアム・滋賀県)

まるで「桃源郷」を訪れたような感覚に



滋賀県甲賀市の山中に緑に埋もれるようにして立つMIHO MUSEUMは、「ルーヴル美術館」のガラスのピラミッドを手掛けたI.M.ペイ氏により「桃源郷」をイメージして造られました。
桜に囲まれた遊歩道とトンネルをくぐると、その先に続く橋、そして美術館の空間。まるで、現実世界から一歩一歩離れていくような感覚に陥ります。
その独創的な発想、景色と調和した建築は一見の価値あり。また、日本をはじめ、西アジア、南アジア、エジプトやギリシアなど、東洋と西洋のミックスされたエキゾチックな古代美術の数々も必見です。


MIHO MUSEUM 公式HP

富山市ガラス美術館(富山県)

多彩なガラスアートと建築の世界を味わって

隈研吾が設計を手がけた、ガラスと木材を多用した美しい建築が特徴的な美術館。ガラスと木材の組み合わせは、近未来的でもあり、同時に温かみもある不思議な空間を演出しています。ガラスに関する人材育成や芸術振興が盛んなガラスの街、富山ならではの展示では、じつに多彩な表情を見せるグラスアートの魅力に驚くこと間違いなし。


富山市ガラス美術館 公式HP

豊島美術館(香川県)

自然と美術館が融合した独創的な空間

瀬戸内海を一望できる小高い丘に造られた美術館。水滴を連想させる建物は不思議と自然に融合し、自然と建物が呼応する有機的な空間。美術館の中にいながらにして自然の息吹を感じられます。


豊島美術館 公式HP

日本民藝館(東京都)

有形文化財の建物内で工芸品を愛(め)でる

陶磁・染織・木漆工・金工など、思想家・柳宗悦(やなぎむねよし)の審美眼により選ばれた日本を中心とした世界の工芸品を展示。旧館の建物自体は柳が設計を手がけ、都の指定有形文化財となっています。身近な暮らしに根づく「用の美」を、美術品のような建物の中で鑑賞するひとときは特別なものとなるでしょう。


日本民藝館 公式HP

E.ミュージアムカフェやショップも楽しめる美術館

アート鑑賞の際のお楽しみといえば、ミュージアムごとにさまざまな特徴のあるカフェやショップ探訪。そこでしか味わえない特別メニューや、ミュージアムという特別感を利用した非日常空間でのひとときは、休憩時間でさえも感性を刺激されます。ショップでは、気になった作品をモチーフにしたグッズや、アートのエッセンスを日常に持ち込めるセンスのよい小物などを探すのも楽しいでしょう。

MOA(エムオーエー)美術館(静岡県)

特別感のある絶景カフェとショップは必見


「La Pâtisserie du musée par Toshi Yoroizuka」で鎧塚俊彦プロデュースのケーキを味わえます 「La Pâtisserie du musée par Toshi Yoroizuka」で鎧塚俊彦プロデュースのケーキを味わえます


ムアスクエアの眺望 ムアスクエアの眺望

主に日本の古美術を展示する「MOA美術館」は、相模灘の絶景を眺められる最高の立地にあります。
そして、特別感のあるカフェやレストランも美術館の魅力のひとつ。眺望が素晴らしい「the café」、 美術館を訪れた人だけが入れる「La Pâtisserie du musée par Toshi Yoroizuka(ラ パティスリー デュ ミュゼー パール トシ・ヨロイヅカ)」ではスペシャルティーコーヒーや限定スイーツも味わえます。日本庭園にある「茶の庭」では抹茶と和菓子を。自然農法で育てた食材を使った和食もおすすめです。
また、人間国宝の作品をリーズナブルに購入できるミュージアムショップは必見です。鑑賞でインスピレーションを得た後は、自宅で使える掘り出し物を探してみては。


MOA美術館 公式HP

岡田美術館(神奈川県)

温泉地ならではの足湯カフェでくつろいで

日本や東洋の絵画、金工、焼き物など美術工芸品を展示する「岡田美術館」。温泉地、箱根の小涌谷にあり、鑑賞後には風神・雷神の大壁画を目の前にした100パーセント源泉かけ流しの足湯カフェでひと息つくのがおすすめ。また、ショップでは美術品のエッセンスを日常で楽しめるさまざまなグッズを購入できます。


岡田美術館 公式HP

平山郁夫美術館(広島県)

瀬戸田名物レモンのスイーツ類がイチオシ

瀬戸田町(現・尾道市)出身の日本画家・平山郁夫の作品を展示。木の温(ぬく)もり溢れるカフェには平山郁夫の作品が飾られ、瀬戸内海の風景を表現した庭園が眺められます。瀬戸田特産のレモンを使ったメニューがおいしい。また、味わい深い切妻の大屋根の建物は、両国国技館を設計した今里隆によるもの。


平山郁夫美術館 公式HP

東京都庭園美術館(東京都)

緑に囲まれた庭園カフェやレストランで鑑賞後のひとときを

さまざまなテーマで企画展が催される、アール・デコ様式の瀟洒な洋館。
異なる趣向の3つの庭園は見どころのひとつ。庭園を眺められる開放的なカフェや、緑に囲まれたお洒落なレストランもクオリティーが高くおすすめ。企画展にちなんだランチコースも満足度が高く、鑑賞後のひとときをゆったりと過ごすことができます。


東京都庭園美術館 公式HP

文/藤井麻未

美術館MAP

まとめ

いかがでしたか。

今まで美術館に行く機会が少なかった方、昔はよく出かけたけど、最近足が遠のいていた、という方も、自分の好みに合った美術館へ足を運んでみてはいかがでしょう。
芸術の秋にふさわしい、刺激的な出合いが待っているはずです。