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2025.09.25ジパング俱楽部ジパング倶楽部会員が選んだ、行ってよかった城ランキング|東北エリア

東北エリアの「行ってよかった城」ランキング

会員誌2025年5-6月号で質問した「今までに行ってよかったと感じた日本の城はどこですか?」のアンケート結果を北海道から九州までエリア別に発表! 
 
城郭ライター・萩原さちこさんに、ジパング倶楽部会員様が選んだ東北エリアのベスト3の城の見どころと登城ポイントを解説してもらいます。 




解説は城郭ライター 萩原さちこさん

城郭ライター、編集者。小学2年生の時、城に魅了される。これまでに訪れた城は2000以上。 執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演、講座など幅広く活躍中。

著書に『江戸城の全貌』(さくら舎)、『城の科学〜個性豊かな天守の「超」技術〜』(講談社ブルーバックス)、 『日本の城語辞典』(誠文堂新光社)、『日本100名城と続日本100名城めぐりの旅』(ワン・パブリッシング)など。 ほか、新聞や雑誌、WEBでの連載、監修多数。

(株)城旅デザインラボ 代表、(公財)日本城郭協会 理事

萩原さちこさんの公式サイトはこちら

東北エリアランキング


第1位 鶴ヶ城

赤瓦が美しい東北随一の名城

福島県会津若松市


国内唯一の赤瓦が輝く天守閣 国内唯一の赤瓦が輝く天守閣

1590(天正18)年、豊臣秀吉の奥州仕置(おうしゅうしおき)により入った蒲生氏郷(がもううじさと)が、それまでの黒川城を大改修して城下町を整備。東北初の高石垣と天守を擁(よう)する、豊臣政権の東北における支配拠点といえる城を誕生させました。

江戸時代初期に加藤明成が大改修し、天守も建て替えられています。幕末には戊辰戦争の激戦地となって、約1カ月の籠城戦の末に降伏。連日の激しい砲撃を受けボロボロになりながらも持ち堪えた天守は、解体前に撮影された古写真などをもとに復元されています。

天守や鉄門、干飯(ほしい)櫓などの屋根瓦が赤いのは、釉薬(ゆうやく)に鉄分が入っているため。豪雪地ならではの寒冷対策で、2011年に幕末と同じ色の赤瓦に葺き直されました。


茶人の想いが宿る茶室「麒閣(りんかく)」も見どころ  茶人の想いが宿る茶室「麒閣(りんかく)」も見どころ 

冬は白壁と赤瓦のコントラストがより映える 冬は白壁と赤瓦のコントラストがより映える


萩原さちこさんが教える 登城ガイド

本丸東側のみごとな高石垣をはじめ、城内の石垣の多くは加藤時代に積まれたものです。表面が平らに加工された切込接(きりこみは)ぎの石垣です。天守台は築城時の蒲生時代の石垣と考えられ、石材をあまり加工せず積み上げた野面(のづら)積みです。隅角部の算木(さんぎ)積みの完成度も異なるので、見比べてみてください。追手門から北出丸に入り、太鼓門を抜けて本丸へ。天守の西側をまわり天守台を見ながら表門(鉄門)を抜けるのがおすすめです。本丸東側の廊下橋を渡れば二の丸です。北出丸と西出丸、さらに二の丸・伏兵郭(くるわ)を馬出しのように配置した設計も見ごたえあり。新政府軍が攻めあぐねた堅牢な造りもぜひどうぞ。

 

会員様の声
 
  • 随分前に会津に旅した時、天守閣や石垣のみごとさに見とれた記憶がよみがえりました。戊辰戦争の籠城戦を感じさせました。(埼玉県 80代)
  • 赤みがかった瓦が、きれいで、雪景色にマッチしていた。(香川県 70代)
  • 雪の舞う頃も、桜の頃もよし。常に時代に翻弄された会津の風情を味わうことができる。(福島県 60代)
  • 瓦の色を黒から赤に変えたことで、昔の本当の鶴ヶ城が復活したように思える。さらに桜の満開時期には、赤瓦の鶴ヶ城をより一層映えさせて見える。(福島県 60代)
  • 鶴ヶ城は戊辰戦争の舞台となった名城であり、白壁がきれいで建物のダイナミックさが心に残りました。(秋田県 70代)

鶴ヶ城(会津若松城)

問い合わせ先 0242-27-4005(会津若松観光ビューロー)
時間 8時30分~16時30分
定休日 なし
交通アクセス 磐越西線会津若松駅から会津バス「まちなか周遊バス ハイカラさん」約20分の鶴ヶ城入口下車、徒歩約5分
値段 410円(茶室麟閣共通券520円)
URL https://www.tsurugajo.com/tsurugajo/

第2位 弘前城

東北で唯一の現存天守

青森県弘前市


東北唯一の希少な現存天守 東北唯一の希少な現存天守

津軽統一を果たした津軽為信(ためのぶ)が築城を計画し、二代・津軽信枚(のぶひら)が1611(慶長16)年に完成させた城です。築城時の天守は1627(寛永4)年に落雷で焼失し、現在の天守は1810(文化7)年に再建されました。

天守は西日本で生まれ発展したため東日本にはあまり建てられず、存在そのものが希少です。本丸辰巳櫓の改築という名目で幕府の許可を取得した三重櫓を天守代用としたため、装飾が城外側の二面にしかありません。
天守のほか、城門5棟(追手門、東門、東内門、南内門、北門〈亀甲門 かめのこもん〉)と櫓3棟(辰巳櫓、未申〈ひつじさる〉櫓、丑寅〈うしとら〉櫓)が現存しているのも魅力。雪国らしい工夫が見られ、城門はいずれも柱が太く、屋根の軒が直線的です。


自然と引きつけられる外濠の桜の海  自然と引きつけられる外濠の桜の海 

展望台から津軽平野にそびえる岩木山を眺望 展望台から津軽平野にそびえる岩木山を眺望


萩原さちこさんが教える 登城ガイド

現地で配布されている城内マップを手がかりに、現存する天守、5つの城門、3つの櫓をめぐりましょう。正面玄関にあたる追手門から、道なりに三の丸、二の丸と進めば本丸の天守に着きます。(※)途中、未申櫓と辰巳櫓を見学できます。本丸を一周したら北の郭(くるわ)、丑寅櫓、四の丸と進み北門(亀甲門)へ。一度戻って三の丸へ入り、東門、東内門と辿れば再び下乗橋(げじょうばし)の前に戻れます。所要時間の目安は約1時間30分〜2時間。

  • 2026年1月まで杉の大橋の工事のため、弘前城植物園のう回路を通って本丸へ向かいます。

 

会員様の声
 

  • 桜の季節だったので、桜とお城のコントラストが何十年たっても忘れられません。(秋田県 60代)
  • 日本一の桜満開の中の天守閣がみごと、そして遠くには岩木山が美しく眺望できる素晴らしい城です。(岩手県 70代)
  • 4月下旬に岩木山登頂後に行ったが、弘前城の濠と満開の桜、北にそびえる残雪の岩木山の美しさがよかった。(東京都 80代)
  • 弘前城は、現存する12天守のひとつであり、東北地方では唯一の現存天守を持つ城であり、春には約200万人が訪れる日本有数の桜の名所としても知られています。歴史と風情を感じられる美しい城です。(福岡県 70代)
  • 本州でもっとも遅い桜の開花、満開の時期に訪れました。一昨年の晩秋にも紅葉を観てきました。どの城も立派で甲乙つけ難いのですが、本州最北の城ということで、もっとも気に入っています。(東京都 70代)

弘前城

問い合わせ先 0172-33-8733(弘前市みどりの協会)
時間 9~17時(弘前さくらまつり期間は~21時)
定休日 11月24日~3月31日(天守のみ)
交通アクセス 奥羽本線弘前駅から土手町循環バス約16分の市役所前下車、徒歩約4分
値段 320円
URL https://www.hirosakipark.jp/

第3位 仙台城(青葉城)

仙台平野を見下ろす伊達政宗の居城

宮城県仙台市


築城主である政宗が今日も仙台の町を見守る 築城主である政宗が今日も仙台の町を見守る

関ヶ原の戦いの後、伊達政宗が1601(慶長6)年から築城。標高約130メートルの青葉山の丘陵と広瀬川の河岸段丘にあり、本丸の東側は広瀬川に面した約64メートルの断崖、西側は御裏林(おうらばやし)という山林、南側は竜ノ口渓谷で囲まれています。伊達政宗騎馬像がある場所が、本丸跡。仙台平野から太平洋まで見わたせる絶景がみごとです。

広瀬川を見下ろす断崖に立っていたのが、仙台城最大の特徴だった眺瀛閣(ちょうえいかく)。清水の舞台さながらに断崖絶壁に張り出す懸(がけ)造でした。


定礎が残る大広間跡には、当時立派な御殿が 定礎が残る大広間跡には、当時立派な御殿が

市内を一望できる景色のよさも魅力のひとつ 市内を一望できる景色のよさも魅力のひとつ


萩原さちこさんが教える 登城ガイド

大手隅櫓が復元されている交差点が、大手門跡。1945(昭和20)年の空襲で焼失した大手門は、政宗が朝鮮出兵の際に滞在した名護屋城大手門の移築とされます。大手門の奥が政庁だった二の丸、仙台市博物館がある場所が三の丸の跡。本丸まで車で上がらず仙台市立博物館から坂道を登れば、巽(たつみ)門、清水門、沢門を通る政宗時代の登城道を通って本丸に向かえます。帰りは中門、大手門を通るルートで坂道を下るとひととおりまわれます。

 

会員様の声
 

  • 城はないが古色蒼然と佇(たたず)む石垣が昔の栄華を感じさせる。(宮城県 70代)
  • 仙台駅から少し離れた所に位置し、伊達政宗騎馬像を拝見しつつその静寂の中で杜(もり)の都を感じる。(栃木県 60代)
  • 変わりゆく故郷である仙台市内が展望できる。(神奈川県 70代)
  • 震災から復興した城。眺めもよく、おいしいものもたくさん!(宮城県 60代)

仙台城跡

問い合わせ先 022-268-9568(仙台観光国際協会)
時間 入園自由
定休日 なし
交通アクセス 東北新幹線仙台駅から仙台市観光バス「るーぷる仙台」約23分の仙台城跡下車すぐ
値段 770円(青葉城資料展示館)
URL https://www.sentabi.jp/guidebook/attractions/78/

紹介スポット一覧マップ

文/萩原さちこ  写真/福島県観光物産交流協会(鶴ヶ城)、(公財)仙台観光国際協会(仙台城)

  • 記事中の情報は2025年9月時点のものです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。