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2021.05.17ジパング俱楽部QRコード®開発者に聞く! 正しい読み取り方と開発エピソード

QRコードの基本と開発エピソード

雑誌やチラシ、町中のポスターなど、今や日常で目にする機会の多いQRコード。
「QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です」
こんな表記を目にした方も多いと思います。
意外と知らないQRコードのこと、今回はたっぷりご説明します。


「ジパング倶楽部」ホームページトップに飛ぶQRコードです。会員誌「ジパング倶楽部5月号」に掲載しています。

QRコードの読み取り方

QRコードとは、Quick Response(クイック・レスポンス)の頭文字を取った言葉で、「素早く読み取る、反応する」という意味があります。

スマートフォンのカメラをかざすだけで情報が読み取れる二次元コードで、WEBページが表示されて詳細情報を確認できたり、電子チケットや電子決済などに利用されてペーパーレスやキャッシュレスでサービスが利用できたりします。

「ところで、QRコードの読み取りって、どうやってやるの?」


今さら聞けない、こんなお悩みはありませんか?

まずは読み取り方の基本をご説明します。
今回は、スマートフォンのカメラを使った読み取り方です。

動画でスマートフォンのカメラを使った読み取り方を見る



1.まずは、お持ちのスマートフォンのカメラを起動します。


2.誌面などに印刷されたQRコードの上に、カメラをかざします。 この時、紙に光が反射するようであれば、手をかざして光を遮ります。


3.スマートフォンの画面の上部にWEBページへの案内が出てきたら、そちらをタップします。※ジパング倶楽部ホームページは“toretabi.jp”というリンク先で表示されます。


4.WEBページが表示され、詳細情報にアクセスできます。

いかがでしたでしょうか。
読み取りが難しい場合は、カメラを動かさずに止めるように意識すると、うまくいくことがあります。

お持ちの製品によって仕様が異なる場合があるので、読み取り方の操作を確認してくださいね。

QRコード開発者 デンソーウェーブ原昌宏さんに聞く開発秘話

1992年、日本経済のバブルがはじけた後。
時代は大量生産から多品種少量生産に移りつつありました。

当時、バーコードリーダと光学文字認識装置(OCR)の開発を担当していたデンソーウェーブ(当時は株式会社デンソーの一事業部)の原昌宏さん。
自動車部品の製造現場で、部品ごとにバーコードを付けて作業をしている様子を見つけました。

当時のバーコードは、20桁程度の英数字しか記録できませんでした。
そのため現場では、バーコードを10個並べて読み取るなど、非常に時間がかかっていたそう。
現場の作業員にも負担がかかっていました。

「どうやったら作業を効率化できるだろう?」
原さんは、日々考えていました。

休憩中の「あること」がヒントに

そんな時、思わぬヒントが日常に潜んでいました。
原さんが職場の先輩と趣味の囲碁を打っていたところ、格子状に白黒並んだ碁石を見て、気が付きました。

「囲碁は、多少ずれて碁石を打っても、その周りの交点の位置から情報が分かる。
囲碁と同じような構成のコードを作れば、多くの情報を取り込むことができるのでは?」


趣味の囲碁から、ひらめきが生まれた

これをきっかけに、次世代へつなぐ新たなコードが誕生しました。

これからのQRコード。ますます便利な未来の可能性

今や自動車業界の枠を超え、さまざまなシーンで活用されているQRコード。
新幹線の乗車券や飛行機の搭乗券など、旅のひとコマにも登場しています。

今後の展望を、原さんに聞いてみました。


デンソーウェーブ原様 QRコードの構造を説明する原さん(zoom取材)

「医療の現場で活用されることを期待しています。
たとえば、持病を持っている方が町中で急に倒れた時、
処方箋代わりにQRコードが使えたらどうでしょう。

QRコードに、暗号化できる機能を付けた『SQRC®』(エス キュー アール シー)というものがあります。
ひとつのコードに『公開』と『非公開』の 2種類のデータを格納し、
専用の読み取り機でないと情報を拾えません。
これによって、個人情報が守られ、安心してデータを保管できます」


SQRCの説明画像

SQRCなら
暗号キーにより、コード情報に公開・非公開の設定ができ、
機械の種類によって読み取れる情報を制限できるため、
特定の人だけが必要な情報を得ることが可能です。
また、データの暗号化や複合化の必要もありません。

⇒特定の人、特定の機器でのみ非公開部分表示可能
⇒特別なデータの暗号化・複合化ソフト不要
⇒非公開情報の存在も分からない

「すでに、劇場やコンサートチケット等に『SQRC®』が使われています。
見た目は普通のQRコードと一緒ですが、白黒の並びが違うのです。
スマートフォンでは読み取れず、専用のスキャナで読み取ります」

日常の変化に伴い、新たなニーズにその都度対応しているデンソーウェーブの技術
徹底的なユーザー視点と、
実際に使っている現場をよく観察してきたからこそ生まれた発明です。

気軽に旅に行けない日々が続いていますが、
こんな時期だからこそ、いざ行ける日のために情報収集してみてはいかがでしょう。

休みの日に行きたい温泉のこと、現地で味わいたいグルメのこと、穴場の絶景スポットなど、
あなたの好奇心に、スマートフォンを使ったQRコードの情報収集が力になってくれるはず!


教えてくれた人

今月の専門家は、QRコードの開発者「株式会社デンソーウェーブ」の原昌宏さんでした。

1994年にQRコードを開発し、2002年「全国発明表彰発明賞」「R&D 100 Awards(米国)」、2004年「モバイルプロジェクトアワード最優秀賞」、2014年「欧州発明家賞」「日本クリエイション大賞2019大賞」など、多数の受賞歴を誇ります。

現在は、「AUTO-ID事業部 主席技師」。

機能を追加した新しいQRコードの開発など、技術者として社会の利便性向上に貢献できるよう、今なお開発を続けています。

QRコードについてもっと知りたい方は、デンソーウェーブの運営するサイト『QRコードドットコム』へ
https://www.qrcode.com/



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