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2022.01.17ジパング俱楽部実家が空き家になったら⁉「実家の片づけ」について知りたい!

実家の片づけ、どうなる?「費用」と「空き家」

ジパング世代の中には、実家の片づけでお悩みの方も多いのではないでしょうか。

編集部には、
「実家の片づけ費用の節約のしかたを知りたい」
「空き家になった実家の取り壊しを考えています」
といった相談が寄せられています。

そこで今回は、今まで多くの実家の片づけのアドバイスに関する講演・講座をして悩みを聞いてこられた、「一般社団法人実家片づけ整理協会」代表理事の渡部亜矢さんに、その「費用」と「空き家」問題について教えていただきました。

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1.実家の片づけで多いお悩みは?

核家族で少子化の現代、実家の片づけで多くの方がお悩みです。
その理由は、自分の家の片づけとはまったく別物だからです。実家にある物は、単なるモノにとどまりません。
親が住んでいれば捨てる・捨てないでもめますし、故人の残したものは、整理のたびに思い出が増幅し、捨てられなくなってしまいます。

たとえば、こんなお悩みが寄せられます。
・モノが多すぎる
・何が大事で何を捨てればいいか分からない
・大切な物がどこにしまってあるか見当たらない
・費用はどのくらいかかる?

何から手を付けていいか分からない。だからといって、このまま放っておくわけにはいきません。


ビフォー(片づけ前の書斎) ビフォー(片づけ前の書斎)

アフター(片づけ後の書斎) アフター(片づけ後の書斎)

2.片づけのポイントを教えてください


実家の片づけには、大きく分けて「生前整理」と「遺品整理」の二つのパターンがあります。

「生前整理」は、親が自分の意思で片づけるものです。自分が暮らしやすくするためと、いなくなった後に家族が困らないためです。物だけでなく、財産や重要品の情報を整理しておきます。片づけで悩まないためには、これをしておくことが効果的です。

「遺品整理」では、本人が亡くなった後、家族が残された物を整理します。身内を亡くした悲しみの中、何が大事で何を残してほしかったのか、分からなくて困ることが多いです。本人の意思を生前に確かめておけば、捨てる・残すの判断がつきやすく、片づけはスムーズです。

3.費用はなるべく節約したいです


片づけの方法を費用が低い順番に紹介していきます。
・自分で調べて自力で片づける
・片づけについて、専門家から学び(書籍、講座受講、個別相談など)、効率よく自分で進める
・一部を自分で片づけ、残りは片づけサービスを利用する
・ほぼ全面的に代行サービスを利用する

費用については、片づける親族を中心に、誰がどのくらい負担するのかを決めておきましょう。
曖昧にすると、後でもめる元になります。レシートや領収証を必ず取っておき、リストを作成します。
ゴミ袋やダンボールなどの片づけ道具、有料ゴミ回収費、片づけのために帰省する交通費も頭に入れておきましょう。

4.自治体の補助制度はありますか?

自治体によっては、空き家・空き地と借りたい人のマッチング、仲介手数料や登記費用の補助制度、取り壊し相談や取り壊し費用の補助制度があります。
実家があるところの市区町村役場に問い合わせしてみてください。

5.実家が「空き家」に。何からすべきですか?

空き家になったら、できるだけ早く片づけに着手しましょう。
「住む」「貸す」「売る」、いずれも片づけを早く済ませておくと、話が進みやすくなります。
片づけながら、「住む」「貸す」「売る」それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、家の将来を考えていくといいでしょう。

「住む」は、自分や家族など、住みたい人が住む場合です。
もちろんタダで住めるわけではありません。各種税金、維持管理・修繕費、自治会費などもあります。庭の手入れ、町内会の当番も引き受けなくてはいけません。

「貸す」場合は、まず借主がつくかどうかです。家の立地条件はどうか、畳や壁紙、水回りを新しくする費用、維持管理費、仲介手数料も考えておきましょう。

「売る」場合は、早く売ったほうがいいという一つの考え方があります。
税金や維持管理費がかからない、日本の人口が減るため空き家率は上がるという理由からです。古くなると売れにくく、解体するにも費用は200万円以上すぐにかかるといわれています。
家の解体後は更地になり、更地は固定資産税の負担が増えます。

ほかにもこまごまと気を付けなければいけないことがあります。後で分かっても、手遅れになったり、さらに費用と手間がかかったりします。不動産屋さんや税理士さんなど、専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。


講演中の渡部亜矢さん 講演中の渡部亜矢さん

6.片づけを前向きに考えるためには?

実家の片づけで困っている方が増えているのは、核家族化、少子化、高齢化、そして実家を離れて暮らす世代の増加といった社会的背景がかかわっています。
ひとりっ子同士の結婚で、祖父母や叔父叔母の家まで片づけ、あるいは「家じまい」をしなくてはいけない方も増えているようです。

戦中戦後の物が少なかった時代を生きてきたために、物を捨てる意識の少ない親の世代と、シンプルライフを好む世代の間には、物を持つ意識に大きなギャップがあります。

物はその人の過去や人生の一部です。実家の片づけは、自分の人生の一部として、親のことを知るいい機会だと捉えてみてください。
葛藤あり、涙あり笑いありの片づけになると思います。失敗のない実家の片づけを私は見たことがありません。
みなさん、失敗と試行錯誤を繰り返し、そして最後には「やってよかった!」と言われます。実家の片づけをしなかったほうが大きな後悔になります。あきらめないで、片づけの道を進んでほしいと思います。

  • 文/市川弘美

教えてくれた人

一般社団法人実家片づけ整理協会 代表理事 渡部亜矢さん。
銀行、出版社勤務を経て、実家片づけアドバザー(R)に。片づけのきっかけは、実家の母親の暮らしぶりを見て「歳をとったな」と感じる場面が増えたこと。冷蔵庫に賞味期限切れの食品が山のように入っていたことを目の当たりにし、片づけることを決意。仕事を持ちながら年に数回程度の帰省で、リバウンドを防ぐ片づけ手法を伝えている。
テレビ・ラジオ出演、多くの雑誌掲載で活躍。著書に『モノ・部屋・人間関係・時間 全部スッキリ!片づけの基本(特装版)』『カツオが磯野家を片づける日 後悔しない「親の家」片づけ入門』『実家の片づけ 親が元気なうちにしておくこと』など多数。

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