トレたび JRグループ協力

2023.09.14ジパング俱楽部失敗しない「宿」と「食」選び、旅のプロがコツを伝授!

ひとり旅からグループ旅行まで「確実な情報」を集めるには?

旅行に出かける際、多くのホームページをよく見て慎重に宿やホテル、レストランを選んでも、「今回はイマイチだったかも」と感じることはありませんか。

編集部には、
「インターネットで調べても情報が多すぎて、どうやって選べばいいか分かりません」
「旅行先の現地情報を調べるいい方法はありませんか?」

といった相談が寄せられています。

そこで今回は、旅の楽しみを大きく左右する「宿」と「食」を選ぶコツを紹介します。


宿選びのポイントについては、地域活性、宿泊業支援や現地の取材調査を行なう専門家・山田祐子さんに、「食」情報の収集法については、郷土に根差すグルメ情報専門家・小林しのぶさんに教えてもらいました。

~ 失敗しない宿の選び方 ~


教えてくれた人 株式会社ツーリズムワイズラボ代表 山田 祐子(やまだ ゆうこ)さん

「地域観光資源」と「商圏ニーズ」を結びつけ、「新しい需要」を生むための「仕組みづくり」や「人づくり」を手がける。日本の観光業を促進する「ひと・宿・まち」の応援団。旅雑誌の連載や寄稿の執筆多数。

全国の地域や宿の支援、取材調査を行なう専門家であり、旅館ガイドとしてAll About旅館サイトの運営も行なっています。

株式会社ツーリズムワイズラボ公式ホームページ
AllAbout(オールアバウト)旅館ガイド

1.ホームページでいい宿を見分ける!チェックすべき三つのポイント

宿選びの“かなめ”は宿の公式ホームページ。いい宿に出合うためのチェックポイントを三つご紹介します。

1・間取り図はあるか?

客室の間取り図があるか、または図面はなくても「〇平米」「〇畳〇間」という数字を掲載しているかどうかです。

雰囲気が出ている写真だけで判断するのは危険です。実際に泊まった時の満足度を左右するのは「広さ」。「ありのままを伝えているか?」これがいい宿を見分ける原点なのです。

2・料理人が顔を出しているか?

おいしい料理を期待したいのならば、料理人について書かれているかを確認しましょう。

顔写真やプロフィールがあればベストです。料理や食材に対する自信の表れです。どんな料理人がどのような思いで料理を提供しているのかをチェックしておきます。

3・スタッフの姿を想像できるか?


施設や料理が素晴らしくても、サービスがよくなければ台無しです。

スタッフがよいサービスをするには、働く環境がよくなければなりません。そこで、スタッフが書くブログやSNSでスタッフが働く姿を情報発信できている宿は、経営者がサービスの質を高めるための努力をしているといえます。

その結果、よいサービスを受けられることが多いです。

2.家族や友達みんなが快適に過ごせる宿の探し方

家族旅行や友達との小グループ旅行では、ジパング世代が疲れないためのポイントを押さえておくとよいでしょう。

1・駅に近い!空港に近い!が鉄則

無理がないように、短い移動時間で行ける宿を選びましょう。


香川県の琴平駅から徒歩圏内で無料送迎バスもある、アクセス良好な「琴平花壇」 香川県の琴平駅から徒歩圏内で無料送迎バスもある、アクセス良好な「琴平花壇」

▶新幹線の駅から乗り換えがあるのか?

▶最寄りの駅から歩けるか?

▶送迎車で何分かかるか?

などを確認します。空港から近い温泉地もありますよ。

観光地や温泉地によっては、都心から直行バスを運行している場合もありますのでチェックしてみるのもよいでしょう。

2・シニアにやさしい温泉宿

体の自由が利かなかったとして、同行する家族になるべく負担はかけたくないもの。その点、大きめの旅館やホテルの場合、シニアにやさしい設備機能が充実しているという点が安心です。

バリアフリーの客室や車いすで入れる浴場や食事処などがある、旅館・ホテルが増えています。


3・大きめの旅館ホテルが吉

三世代で旅行する時は、目的のほとんどが「お祝い」ではないでしょうか。大きな宿のほうが「記念日のノウハウ」を経験値として持ち合わせていると言えます。

また、同宿者との距離を一定に保てるので、こどもたちの騒がしさも含めて周囲に気兼ねなく過ごせるのも利点です。

3.「ひとり旅」「ひとり泊」で失敗しない宿選び

「ひとり客歓迎!」と銘打っている宿は、残念ながら多くありません。ひとり旅でも失敗しない宿を選んで、賢く旅を楽しみましょう。

1・20室前後の宿をねらって

客室数が多い宿は、団体やグループ客を受ける必要があるため、食事は大人数が一緒にとれるバイキングになり、大浴場やエレベーターがにぎやかになりがちです。静かに過ごしたいひとり客にはつらいところ。その点、小規模の宿であれば、部屋食を希望できたり、食事処でもプライバシーが保たれたりと穏やかに過ごすことができます。

2・まずは電話をしてみて


気に入った小さな宿が見つかっても、ひとり用の宿泊プランがない、予約システムから予約ができないといったこともあります。

そのような時は、思い切って宿へ電話をしてみましょう。空室があれば、ひとり客でも泊まれることもあります。

電話をする時間は、10~15時がベスト。宿で宿泊客が不在の時間帯なのでいろいろと答えてくれますよ。

3・宿までのアクセスをチェック

交通手段と送迎の有無を確認しておきましょう。相方を頼りにできないひとり旅は安心安全が大前提。

送迎がない宿の場合は、ひとりで夜道を歩くことになりかねません。最寄り駅やバス停から、安全に歩いていける範囲かどうかをチェックしましょう。


~ 失敗しない食の選び方 ~


教えてくれた人 フードジャーナリスト 小林しのぶさん

フードジャーナリスト 旅行ジャーナリスト 日本フードアナリスト協会評議委員。

「食」「郷土」にまつわる風俗・民俗・文化を中心に取材活動を続ける。毎年ホテル・旅館あわせて約150泊の生活。駅弁の食べ歩きは30年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから“駅弁の女王”と呼ばれる。

各地で講演のほか、新聞、雑誌、インターネットサイト等に連載を持ち、テレビ・ラジオ出演でも活躍。著書に『日本が誇る 絶品の食遺産』など多数。
 

旅先で本当においしいお店に出合うための、信頼できる情報の集め方

1・信頼できる!公共ホームページが発信するグルメ情報

「○○温泉 おいしい店」と検索すると情報が多すぎてなかなか決まりませんよね。まずは行き先の市町村や観光協会のホームページを開き、観光・食の情報を入手しましょう。

たとえば、大分県別府市のホームページから「観光情報」、そして「食べる」を選ぶと、さまざまな食事処や地元の人しか知らない穴場的レストランなどが見られます。公共の場から発信されたうまいもん情報は、間違いありません。

また、観光協会では「B級グルメ店一覧」のような小冊子を作っていることが多いです。手に取ってじっくり読みたい場合は、旅に出る前に自宅に送ってもらいましょう。有料の場合がありますが、無料で送ってくれる観光協会がほとんどです。

2・宿で店を紹介してもらい、電話で予約もしてもらいましょう

旅館やホテルは、地元のうまい店の情報をたくさん持っています。
宿泊予定の旅館の主人やホテルのコンシェルジュにオススメの店を教えてもらい、さらに予約もお願いしましょう。紹介者があると、初めての店でも安心して行けますよね。

宿には、希望する店の雰囲気、料理、音楽(BGM)、それに料金帯などを遠慮せず明確に伝え、最後に「電話で予約を入れていただけると行きやすいのですが」とひと言添えます。

地元で評判のよい店、旅館主人とっておきの店や行きつけの店を教えてくれるはずです。店側も確かな紹介者があるということで、観光客や一見客とは違ったもてなしをしてくれますよ。

3・市場の食堂は間違いなし

私はビジネスホテルに泊まると、市場で朝食をとることがほとんどです。


名古屋市中央卸売市場の定食 名古屋市中央卸売市場の定食

多くの町には卸売市場があります。たとえば名古屋は熱田区に「名古屋市中央卸売市場」が、名古屋駅前に「柳橋中央市場」があります。

市場内には早朝からボリュームある食事を出す店があり、本マグロ丼やブリ塩焼き定食など、新鮮かつ季節の味の魚介を満喫できます。ゲートがある市場では、一瞬入場をためらいますが、「食堂を利用したい」と言えばたいてい入れてくれます。

市場には、町の名店・隠れ家的料理店の主人や調理人が出入りします。市場の魚や野菜を眺めるついでに、おすすめのうまい店を尋ねてみると気さくに教えてもらえることもありますよ。

4・それでも迷ったら寿司店のカウンターにGO!

いろいろ情報を見たけれどやはり迷う。そんな時は迷わず寿司店を探しましょう。


寿司店のカウンターにて板長おすすめの海鮮丼をいただきます 寿司店のカウンターにて板長おすすめの海鮮丼をいただきます

ひとりの場合は、空いていれば100パーセントカウンターに通されるので、すーっと自然に座って店の雰囲気に溶け込めます。「冷酒を一杯」「コハダをください」「次はツブね」と一ネタごとに板前に注文し、会話をしながら自然と世間話にも花が咲きます。

板前が何人もいるときは、権威のありそうな大将を素早く見定め、その前のカウンターに陣取るのもおすすめです。

板長に頼るようにネタを「おまかせ」すると、「この魚知ってるか?食べてみて」とプラスアルファのサービスを受けられることが多いでしょう。そして大将におすすめの店を聞けば、やさしく教えてくれて、次に行く店も決まります。

  • 文/市川弘美