2026.05.07ジパング俱楽部お木曳の幕開け/2033遷宮への道⑤|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報
このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーターが、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。
ここでは1300年以上にわたって続く、伊勢神宮の第63回神宮式年遷宮について、地元三重在住で、文筆家・皇學館大学非常勤講師の千種清美(ちくさきよみ)さんが、その関連行事と、最新の様子をお知らせします。
- ※メイン画像は、「御木曳初式」で御手洗場から御用材を曳く様子
伊勢がもっとも盛り上がる「お木曳」
伊勢神宮の社殿を建て替える式年遷宮。造営にちなむ33におよぶ諸祭のなかでも、伊勢がもっとも盛り上がるのが、「お木曳(おきひき)」という行事です。
御木とは、造営に用いるヒノキ材(御用材)のこと。これを地元の伊勢市民たち(旧神領民)が内宮・外宮に曳き込むのです。4月12・13日はその幕開けとなる「御木曳初式(おきひきぞめしき)」が気持ちのよいお天気のもと、執り行なわれました。
「御木曳初式」は、垂木材(屋根に用いられる材)などの代表的な御用材を、伊勢神宮とゆかりの深い奉曵団(ほうえいだん)が曳く特別なもので、「役木曳(やくぎびき)」とも呼ばれます。内宮へは、木のそりに御用材を載せて五十鈴川(いずずがわ)の川中を曳く「川曳(かわびき)」が、外宮では特別な二輪の車(奉曵車)に御用材を載せ、町中を曳く「陸曳(おかびき)」が行なわれました。
五十鈴川で御用材を運ぶ「川曳」
別宮の風日祈宮へは、肩持ちで風祈祈宮橋を渡ります
4月12日、日曜日の内宮前とあって、午前10時前でも駐車場は車で埋まっています。五十鈴川にはすでに法被(はっぴ)姿の人々が集まり、木のそりに載せた御木を曳く団、川岸でこれから曳くのを待つ団、川中も川岸も大勢の人々が詰めかけています。この日に曳く御用材は、内宮3本、別宮7本となります。「役木曳」は、川から曳上げる場所が宇治橋のたもとではなく、普段は手を清める御手洗場からというのが特別です。
「宇治橋の下を通った時、体がぞわっとしてふるえました」と一番車を曳いた宇治奉曵団の女性は興奮気味に話してくれました。三番車を曳いた楠部奉曵団の60代女性は90代の母親の手をつないで参加。川曳こそ曳きませんでしたが、神域に御用材を上げた後、参道を一緒に曳きました。「危ないからと止めたのですが、母親が曳きたい」と綱を持ったといいます。川曳は、五十鈴川流域の町で結成された奉曵団が奉仕。老若男女問わず、皆で力を合わせて大切な御用材を神域へ曳いていきます。
そして、別宮へ運ぶことも特別。五十鈴川から神域に曳き上げた後、木のそりから下ろした御用材に縄をかけて人々が担ぐ「肩持ち」が行なわれます。御用材は長さが5、6メートル、直径40センチほど。これは力のある男性が担います。大切な御用材、慎重に別宮の御敷地に納められました。
内宮宇治橋の下をくぐり、五十鈴川をさかのぼる「川曳」
普段は参拝者でにぎわう御手洗場から御用材を曳き上げます
「わん鳴り」「木遣り」が町をにぎわす「陸曳」
宮川の河川敷
翌13日は、外宮への陸曳。スタート地点はかつて御用材の貯木池があった、宮川河川敷です。そこから「どんでん場」と呼ばれる宮川堤を越え、県道伊勢南島線を2キロほど曳き、外宮北御門口を目指します。
陸曳は、奉曵車の車輪の摩擦によって大きな音を出す「わん鳴り」が特徴です。道中では「木遣り」が声高らかに披露されたり、伊勢音頭の踊りがあったり、奉曵車の飾りつけも各団それぞれで、見ごたえがあります。
そして、神域に運ばれるとこちらも別宮へは「肩持ち」で運ばれました。その際には無言で作業を行なうことが習わし。肩持ちの終了後、知り合いに声をかけたら「しっ」と口に指をあてて、制されました。その徹底ぶりに旧神領民の行事に対する真摯な姿勢が伝わってきました。伊勢の人々が伊勢神宮を近くに感じる特別な時でもあります。
「陸曳」では道中の木遣りも見どころです
外宮の一番車は小川町勢勇団が務めるのが習わし
伊勢神宮のお膝元、旧神領民の心意気を伝えるお木曳はまだこれから
5月からは、伊勢市内に結成された72の奉曵団によるお木曳が始まります。まず5、6月は外宮への陸曳、7、8月は内宮への川曳です。日程やルートは、伊勢御遷宮委員会ホームページに掲載されています。遷宮諸祭のなかでも、その様子を誰でも沿道から見ることができる貴重な機会です。
- ※当ホームページでは三重県伊勢市を中心に予定されている遷宮行事の数々を、順次紹介していく予定です。お楽しみに。
第63回神宮式年遷宮の主なお祭り一覧
~御神木のお祭り~
令和8年(2026)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 御木曳初式 (おきひきぞめしき) |
御杣山より伐り出された御用材を、内宮と外宮の両宮に曳き入れる伝統行事です。揃いの衣装を着た伊勢の住民(旧神領民)が、木遣歌も勇ましく奉仕します。両正宮や別宮の棟持柱(むなもちばしら)にあてられる「役木(やくぎ)」という代表的な御用材を神域に曳き込むため、「役木曳(やくぎびき)」とも呼ばれます。 | ◎ |
| 4月 | 木造始祭 (こづくりはじめさい) |
御造営の作業を始めるに際し、作業の安全を祈るお祭りです。御木曳初式(おきひきぞめしき)で奉曳された御木に小工(こだくみ)が忌斧(いみおの)を打ち入れる所作を行ないます。 | 〇 参道 |
| 5~7月 | 御木曳行事(第一次) (おきひきぎょうじ) |
伊勢の住民(旧神領民)と全国の崇敬者により、御用材を古式のままに両宮域内へ曳き入れる盛大な行事です。内宮は五十鈴川を川曳(かわびき)し、外宮は御木曳車で陸曳(おかびき)します。遷宮諸祭・行事の中でもっともにぎやかな行事です。 | ◎ |
| 5月 | 仮御樋代木伐採式 (かりみひしろぎばっさいしき) |
「遷御(せんぎょ)」の際に御神体を納める「仮御樋代(かりみひしろ)」の御用材を伐採するにあたり、木の本に坐す神をお祀りし、忌斧を入れる式です。 | × |
令和9年(2027)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 5~7月 | 御木曳行事(第二次) (おきひきぎょうじ) |
御木曳行事は地元の旧神領民の誇りとして奉仕されます。御遷宮に奉仕できる数少ない行事として旧神領民に加えて全国からも多くの特別神領民が御用材を奉曳し、伊勢の町は活気に満ち溢れます。 | ◎ |
~社殿建築のお祭り~
令和10年(2028)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 鎮地祭 (ちんちさい) |
新宮を建てる新御敷地で行なわれる最初のお祭りです。造営作業の安全を祈り大宮処(おおみやどころ)に坐す神を祀ります。このお祭りを節目に遷宮諸祭は山作(やまづくり)から庭作(にわづくり)へと進められていきます。 | 〇 参道 |
令和11年(2029)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 11月 | 宇治橋渡始式 (うじばしわたりはじめしき) |
内宮の入口に架かる宇治橋は、遷宮の度に架け替えが行なわれ、古式ゆかしく渡り始めが行なわれます。「渡女(わたりめ)」を先頭に全国から選ばれた三世代そろった夫婦に続いて、関係者や市民などが新橋を渡ってお祝いします。 | ◎ |
令和12年(2030)
令和13年(2031)
令和14年(2032)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 3月 | 立柱祭 (りっちゅうさい) |
御正殿の建築はじめに際し、御柱(みはしら)を建てるお祭りです。建物の守り神として崇められる屋船大神(やふねのおおかみ)に平安を祈り、束柱(つかばしら)を貫き支える足堅(あしがため)と四間樌(よまぬき)の木口(きぐち)を小工(こだくみ)が木槌(きづち)で打ち固めます。 | 〇 参道 |
| 3月 | 御形祭 (ごぎょうさい) |
御正殿の東西の妻の束柱に円形の図様(ずよう)を穿(うが)つお祭りです。『皇太神宮儀式帳(こうたいじんぐうぎしきちょう)』には御正殿竣功後に奉仕する秘儀と記されています。 | × |
| 3月 | 上棟祭 (じょうとうさい) |
御正殿に棟木(むなぎ)を上げるお祭りです。古儀のとおりに測量をした後、神職と造営庁職員が棟木から伸ばされた綱を曳いて棟木をあげます。造営に関わる遷宮諸祭のなかでもひと際華やかなお祭りです。 | 〇 参道 |
| 5月 | 檐付祭 (のきつけさい) |
御正殿の御屋根の萱(かや)を葺(ふ)き始めるお祭りで、屋船大神(やふねのおおかみ)に祈りが捧げられます。 | 〇 参道 |
| 7月 | 甍祭 (いらかさい) |
御正殿の萱も葺きおわり、金物を打つお祭りです。代表的な金物が御正殿前に奉安され、小工が金槌で打つ所作をします。 | 〇 参道 |
令和15年(2033)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 7~8月 | 御白石持行事 (おしらいしもちぎょうじ) |
伊勢の住民(旧神領民)が新宮に御白石を奉献する行事です。全国から特別神領民も伊勢に集い、五十鈴川と伊勢街道には、木遣歌と「エンヤ―!」の掛け声がひびきます。 | ◎ |
| 9月 | 御戸祭 (みとさい) |
御正殿の御扉を立てるお祭りで、扉に鑰穴(かぎあな)を穿ちます。御扉が付くことは造営工事の完了を意味します。 | 〇 参道 |
| 9月 | 御船代奉納式 (みふなしろほうのうしき) |
御神体のお鎮まりになる「御船代」を刻み、御正殿に奉納します。 | 〇 参道 |
| 9月 | 洗清 (あらいきよめ) |
新殿の竣功にあたり殿内と殿外を洗い清める儀式です。 | 〇 参道 |
| 9月 | 心御柱奉建 (しんのみはしらほうけん) |
心御柱は正殿の御床下に建てられる特別な御柱で、忌柱(いみばしら)、天ノ御量柱(あめのみはかりのはしら)とも呼ばれます。心御柱の奉建は、遷宮諸祭のなかでもひと際重んじられる秘儀です。 | × |
| 9月 | 杵築祭 (こつきさい) |
新殿の竣功を祝し、大宮処(おおみやどころ)を撞(つ)き固めるお祭りです。祭儀に先立ち五丈殿で饗膳(きょうぜん)の儀を行ない、神職は白杖(びゃくじょう)を持ち新殿の周りをめぐり、古歌を歌いながら柱の根本を撞き固めます。 | 〇 参道 |
| 10月 | 後鎮祭 (ごちんさい) |
新宮の竣功に際し、御正殿の床下に天平瓮(あめのひらか)を奉居するお祭りです。大宮処の平安を祈った鎮地祭の対になるお祭りです。 | 〇 参道 |
~神遷しのお祭り~
令和15年(2033)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 10月 | 御装束神宝読合 (おんしょうぞくしんぽうとくごう) |
天皇陛下より大御神に献ぜられる御装束神宝を、新宮の四丈殿において、式目(しきもく)に照らし読み合わせる儀式です。 | 〇 参道 |
| 10月 | 川原大祓 (かわらおおはらい) |
遷御の前日、仮御樋代(かりみひしろ)・仮御船代(かりみふなしろ)や御装束神宝を始め、遷御に奉仕するすべての奉仕員を「川原祓所(かわらはらいしょ)」で祓い清める儀式です。 | 〇 参道 |
| 10月 | 御飾 (おかざり) |
遷御当日、新調された御装束で殿内を装飾し、大御神にお遷りいただく準備をする儀式です。 | × |
| 10月 | 遷御 (せんぎょ) |
大御神が本殿から新殿へとお遷りになる式年遷宮の中核をなすお祭りです。100名をこえる奉仕員は御装束神宝(おんしょうぞくしんぽう)を手に整列し、天皇陛下がお定めになられた時刻に大御神は本殿から出御(しゅつぎょ)され、新殿に入御(じゅぎょ)されます。 | × |
| 10月 | 大御饌 (おおみけ) |
遷御の翌日の早朝、新殿において初めて大御神に神饌(しんせん)を奉るお祭りです。 | 〇 参道 |
| 10月 | 奉幣 (ほうへい) |
古くは「一社奉幣(いっしゃほうへい)」と称され、遷御とともに一際重んじられてきたお祭りです。天皇陛下より奉られる幣帛(へいはく)を奉納し、その後五丈殿で饗膳の儀が行なわれます。 | 〇 参道 |
| 10月 | 古物渡 (こもつわたし) |
古殿内の神宝類を新宮の西宝殿に移す儀式です。大御神がお遷りになった後の古殿は昨日までと違った雰囲気が漂っています。 | 〇 参道 |
| 10月 | 御神楽御饌 (みかぐらみけ) |
御神楽を執り行なうに先立ち、大御神に神饌を奉るお祭りです。 | × |
| 10月 | 御神楽 (みかぐら) |
新宮の四丈殿において、天皇陛下がお遣わしになった宮内庁楽師(がくし)が御神楽を奉納します。遷宮諸祭の最後を飾るお祭りです。 | × |
令和16年(2034)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 順次 | 別宮の遷宮 | 内宮、外宮、荒祭宮(あらまつりのみや)、多賀宮(たかのみや)に続き、残りの12所の別宮でも遷宮が執り行なわれます。 | 〇 参道 |
- ※伊勢神宮「遷宮予定年表」より
この記事を書いた人
- ※記事中の情報は2026年4月時点のものです。
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