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2025.09.16ジパング俱楽部「第77回 正倉院展」の見どころは?“初出陳”の6作品を紹介|JR西日本エリアおでかけニュース

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今回、編集部が注目したJR西日本エリアのニュースは、2025年10月25日~11月10日に開催される「第77回 正倉院展」です。


1300年の時を超えて、天平の華やぎの世界へと誘(いざな)う

奈良県奈良市

校倉造(あぜくらづくり)で知られる正倉院正倉に約1300年の時を超え、勅封(天皇の命により封印されること)という厳重な管理体制のもと、守り伝えられてきた宝物群。聖武天皇の遺愛品や東大寺に関する宝物など、平城京を舞台に花開いた天平(てんぴょう)文化の粋(すい)を伝える貴重な品々で構成されており、その数は約9000件にものぼります。

「正倉院展」は毎年秋に正倉院宝庫の勅封が解かれ、宝物の点検を行なうタイミングにあわせて一般に公開するもので、今年も約9000件の宝物の中から、初出陳6件を含む選りすぐりの宝物67件が会場を彩ります。


会場は、正倉院の校倉造の高床式正倉をイメージして建てられた「奈良国立博物館」の東西新館 会場は、正倉院の校倉造の高床式正倉をイメージして建てられた「奈良国立博物館」の東西新館

勅封により守られた世界的にも希有な正倉院の宝物群

「正倉院はシルクロードの終点」
この言葉が表すように、正倉院には遥か西方よりシルクロードを経由して伝わった宝物や、それに影響を受けた異国情緒溢れる宝物が数多く収蔵されているのが特徴。今回の正倉院展でもこの世界を垣間見ることができます。


背面に南海産のヤコウガイの貝片を用いた螺鈿で華やかな文様が表された「平螺鈿背円鏡」 背面に南海産のヤコウガイの貝片を用いた螺鈿で華やかな文様が表された「平螺鈿背円鏡 附 題箋」

シルクロードを経て東アジアにもたらされたガラス器に、アジア圏で台脚が付け加えられた「瑠璃坏 附 受座」 シルクロードを経て東アジアにもたらされたガラス器に、アジア圏で台脚が付け加えられた「瑠璃坏 附 受座」

「平螺鈿背円鏡 附 題箋(へいらでんはいのえんきょう つけたり だいせん)」は聖武天皇ゆかりの鏡20面のうちの1面で、鏡の背面はシルクロードの各地で産出された素材を使い中国で製作されています。「瑠璃坏 附 受座(るりのつき つけたり うけざ)」はペルシヤで製作されたガラス器で、アジア圏で銀製の台脚を付けた逸品です。東大寺の法要で使われていた円形の胴を持つ四絃の楽器「桑木阮咸(くわのきのげんかん)」は、中国で成立したと考えられています。胴部中央の皮製の捍撥(かんばち/撥受け)には、八弁の大きな赤い花を背景に、松や竹の下で高士が囲碁を楽しむ情景が描かれています。


「桑木阮咸」(左)と、胴部中央の皮製の捍撥(撥受け) 「桑木阮咸」(左)と、胴部中央の皮製の捍撥(撥受け)

織田信長も魅せられた「蘭奢待(らんじゃたい)」も出陳

また、「蘭奢待」で知られる「黄熟香(おうじゅくこう)」も出陳。〝天下の名香(めいこう)〟と言われ、足利義政(あしかがよしまさ)や織田信長が天皇の許しを得て一部を切り取った跡が残されています。近年の調査で香気成分は残存しており、現在も香りを留めているそうです。分析の結果、ベトナムからラオスにかけての山岳地帯で産出されたものと成分が近いとされています。


ジンチョウゲ科の樹木に樹脂が沈着してできた香木「黄熟香」 ジンチョウゲ科の樹木に樹脂が沈着してできた香木「黄熟香」

そのほか、聖武天皇が愛用した双六盤「木画紫檀双六局(もくがしたんのすごろくきょく)」や、6扇揃っての出陳は1968(昭和43)年以来となる「鳥毛篆書屏風(とりげてんしょのびょうぶ)」など、華やかな宮廷生活をしのばせる高貴な素材と技が駆使された宝物も必見です。


木画という寄木の技法で装飾した「木画紫檀双六局」 木画という寄木の技法で装飾した「木画紫檀双六局」

象牙、鹿角、竹といった多彩な素材を用いた木画紫檀双六局の細部 象牙、鹿角、竹といった多彩な素材を用いた木画紫檀双六局の細部


花鳥などの地文様の上に、八文字の篆書と同字の楷書を交互に表す「鳥毛篆書屏風」(第1扇~第6扇) 花鳥などの地文様の上に、八文字の篆書と同字の楷書を交互に表す「鳥毛篆書屏風」(第1扇~第6扇)

第77回 正倉院展

会場 奈良国立博物館 東西新館
開催期間 2025年10月25日~11月10日
開館時間 8~17時(金・土・日曜・祝日は~19時)
休み 会期中無休
交通アクセス 奈良線奈良駅から奈良交通バス市内循環・外回り約9分の氷室神社・国立博物館下車すぐ
入場料 2000円
※事前予約制です。日時指定券の購入が必要です。
※当日各時間枠開始時刻まで販売いたします。
※予定販売枚数に達し次第、販売を終了いたします。
ウェブサイト 奈良国立博物館ウェブサイト
正倉院展ホームページ

文/加藤有子

  • 写真はすべてイメージです。
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