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2025.07.31ジパング俱楽部朝ドラ『あんぱん』で注目!「銀座木村家」暖簾分けの全国ご当地パン店|編集部のおすすめ

あんぱんの木村屋は、全国にあった!

2025年4月から放送されている朝ドラ『あんぱん』。

やなせたかしモデルの嵩(たかし)が幼い頃に食べていたあんぱんを売る銀座の美村屋は、「銀座木村家」がモデルになっているといわれています。また、主人公ののぶや嵩にあんぱんを焼くヤムおじさんは、美村屋で働いていた過去も……? 

この記事では、そんなあんぱんの老舗「銀座木村家」をルーツに持つ日本各地の木村屋と、各地で個性的に進化したパンや菓子を紹介。長年地元で愛されている、個性さまざまなパンの旅はいかが?

【東京】銀座木村家

すべての酒種あんぱんのルーツ、ここにあり


木村英三郎が最初に作った酒種あんぱんに近い「小倉」240円 (左)と「桜」240円 木村英三郎が最初に作った酒種あんぱんに近い「小倉」240円 (左)と「桜」240円


銀座4丁目交差点近くに140年以上店舗を構える本店 銀座4丁目交差点近くに140年以上店舗を構える本店

木村安兵衛とその次男・英三郎が、「銀座木村家」の前身である「文英堂」を創業したのは1869(明治2)年。西洋のパンが、あんこを詰めることで日本人にとって身近な食べ物になり、庶民に広まりました。1874(明治7)年には、英三郎が酒まんじゅうを参考に酒種あんぱんを発明。当時主流だったホップを使う発酵方法だと、パンが固くなってしまいますが、酒種酵母を使えばしっとりふっくらした生地になり、喜ばれたそうです。

1875(明治8)年には、明治天皇に献上するため、奈良の吉野山から取り寄せた八重桜の花びらを塩漬けにし、パンに埋め込んだ桜あんぱんを考案。現在、旬の果実を使ったものなどフィリングの種類が増え、どれにしようか迷うのも楽しいひとときです。


銀座木村家

問い合わせ先 03-3561-0091
時間 10~20時
定休日 年末年始
交通アクセス 山手線有楽町駅から徒歩約7分
URL http://www.ginzakimuraya.jp/

【東京】田村町木村屋

店内のカフェでは洋菓子やデリも楽しめる


「バナナケーキ」345円。濃いコーヒーに合います 「バナナケーキ」345円。濃いコーヒーに合います


「銀座木村家」のパンも販売しています 「銀座木村家」のパンも販売しています

1900(明治33)年に暖簾分けされたヴィエノワズリー(菓子パン)と洋菓子の店で、ショーケースには見目麗しいケーキがずらり。サンドイッチやケーキセットを提供するカフェスペースもあり、店内はいつもにぎわっています。

昭和30年代後半に喫茶ブームが起こり、その頃からケーキが充実していったとか。看板商品の「バナナケーキ」は、もちっとした食感のクレープ生地ともっちりしたカスタードクリーム、甘みのあるバナナが一体感のある味わいを生んでいます。元々はスポンジと生クリームで構成されていましたが、時間が経つと崩れてしまうため現在の形に改良されたそう。新橋や日比谷のオフィス街が近く、手みやげにするため10個以上まとめ買いする人も少なくありません。


田村町木村屋 田村町本店

問い合わせ先 03-3591-1701
時間 9時〜19時30分
定休日 土・日曜・祝日
交通アクセス 山手線新橋駅から徒歩約3分
URL http://www.kimuraya1900.co.jp/

【山形】つるおか菓子処 木村屋

和洋折衷の精神を受け継ぎ、幅広く展開


酒種の甘さが漂(ただよ)う「酒種あんぱん」5個入り519円 酒種の甘さが漂(ただよ)う「酒種あんぱん」5個入り519円

初代・吉野民吉(たみきち)は修業を終えると、1887(明治20)年に山形県鶴岡市で暖簾分け開業。「銀座木村家」に加え、横浜のホテルでは洋菓子作りの経験も積んでいたので、店頭には「酒種あんぱん」はもちろん、キャラメル、チョコレートなど洋菓子も並んでいました。

「酒種あんぱん」のあんこは小豆の粒選びから、季節や気温、小豆の状態に合わせた炊き方にまでこだわり、上品な甘さと口溶けのよさが特徴。あんこ作りのノウハウは、饅頭や餅菓子などの和菓子作りにも応用でき、現在ではパン、洋菓子、和菓子、季節の生菓子から焼き菓子、郷土菓子に至るまで、多彩なラインナップで訪れる人の目を楽しませています。


特製あんに求肥を入れた「古鏡(こきょう)」3個入り648円〜 特製あんに求肥を入れた「古鏡(こきょう)」3個入り648円〜

創業店は山形県で初めてのパン店だったそう 創業店は山形県で初めてのパン店だったそう


つるおか菓子処 木村屋 本店(鶴岡木村屋)

問い合わせ先 0235-22-4530
時間 9~18時
定休日 不定休
交通アクセス 羽越本線鶴岡駅から徒歩約16分
URL https://kimuraya.co.jp/

【山形】酒田 木村屋

種類豊富な手作りコッペパンサンドが名物


「サラダ」346円。コッペパンサンドは10種類以上 「サラダ」346円。コッペパンサンドは10種類以上


「サラダ」の中身はポテトサラダ 「サラダ」の中身はポテトサラダ

職人による手作り。「マロニエ」10枚入り2203円〜 職人による手作り。「マロニエ」10枚入り2203円〜

中町にある「酒田 木村屋」の本店 中町にある「酒田 木村屋」の本店

弟子だけでなく孫弟子がいるというのも「銀座木村家」の歴史の長さを物語るエピソードのひとつ。山形県酒田市のこちらは「つるおか菓子処 木村屋」から暖簾分けされ、1902(明治35年)年に開業しました。現在、酒田市内に「中町 木村屋」「瑞穂野 木村屋」「ブーランジェリーキムラヤ」の3店舗を構え、あんぱんだけでなくコッペパンも製造し、バターやハムなどをサンドして販売。徐々にフィリングのバリエーションが増え、今ではポテトサラダをサンドした「サラダ」が一番人気となっています。

昭和初期になると和菓子も手がけるようになり、昭和20年代には洋菓子の製造も開始。1977(昭和52)年に誕生した「マロニエ」は手のひら大とサイズが大きく、それでいてサクッとした軽い歯触りが心地いいので、つい2枚目にも手が伸びてしまいます。


中町 木村屋

問い合わせ先 0120-361515
時間 9時〜17時45分
定休日 水曜
交通アクセス 羽越本線酒田駅から徒歩約20分
URL https://www.sakata-kimuraya.com/

ヨーロッパンキムラヤ

【福井】パリに住む友人の好物を包んだ温かいストーリー


ブリオッシュ生地で包んだ「大福あんぱん」280円 ブリオッシュ生地で包んだ「大福あんぱん」280円

初代の古谷伍一は、鯖江に初めてあんぱんを紹介した人物。東京で修業していた際に関東大震災に遭い、兄を頼って鯖江に移り、1927(昭和2)年にこの地で開業しました。名物の「大福あんぱん」を考案したのは二代目で、元々はパリに住む友人に好物の大福もちを柔らかい状態で届けるため、考え出した方法だったそう。米どころでもある北陸のもち米と北海道産小豆で作った日本の和菓子である大福もちを、フランスのパン生地であるブリオッシュ生地でまるごと包み、焼き上げた和洋折衷のあんぱんです。

また、第二次世界大戦中には地元の陸軍歩兵第三十六連隊に「堅麺麭(堅パン)」を納入。終戦と時を同じくして製造は途絶えてしまいましたが、二代目が「軍隊堅麺麭(軍隊堅パン)」として復元。今では日本一堅いパンとしてメディアなどで紹介されています。


朝ドラ『あんぱん』にも登場した「軍隊堅麺麭(軍隊堅パン)」1箱540円 朝ドラ『あんぱん』にも登場した「軍隊堅麺麭(軍隊堅パン)」1箱540円

カンパーニュ、バゲットなど欧州パンも豊富 カンパーニュ、バゲットなど欧州パンも豊富

西洋風の趣がある店舗 西洋風の趣がある店舗


ヨーロッパンキムラヤ

問い合わせ先 0778-51-0502
時間 9時30分〜18時
定休日 日・月曜
交通アクセス 北陸新幹線敦賀駅からハピラインふくい快速約30分の鯖江駅下車、徒歩約6分
URL http://www.e-kimuraya.com/

Kimuraya

【兵庫】初代のあんぱんと三代目のアイデアが融合


小豆の風味を感じられる「あんぱん」各220円 小豆の風味を感じられる「あんぱん」各220円

祖父が「銀座木村家」で習得し、昭和初期に開業した時にも取り入れた製法を今も続けているのが、三代目となる現店主。門前町で営まれているベーカリーで、幼稚園児を連れた近所の親子や年配客など、老若男女が訪れます。より多くの人に喜んでもらえるようにあんぱんの作り方でひとつ変えたのは、口溶けをよくするために生地をオーバーナイトさせること。食べ進めるごとに、小豆の食感や風味が感じられるあんことパンが、口の中で一体化していきます。

ちなみに、三代目は店を継ぐ前、ハード系も扱う神戸の老舗で修業していたこともあり、バゲットなども得意。人気のカレーパンは表面がカリッ、サクッとした歯触りになるように揚げ、辛すぎず甘すぎず、どの年代でも食べやすいように仕上げています。


小腹を満たしてくれる「カレーパン」300円 小腹を満たしてくれる「カレーパン」300円

地元に密着した親しみやすいベーカリー 地元に密着した親しみやすいベーカリー


Kimuraya

問い合わせ先 078-731-1956
時間 9時〜18時30分
定休日 日・月曜
交通アクセス 山陽本線須磨駅から徒歩約12分
URL https://www.instagram.com/kimura_ya_/

【岡山】岡山木村屋

創業100年。よりたくさんの幸せを地域に還元


「酒種桜あんぱん」178円。麹の香りにうっとり 「酒種桜あんぱん」178円。麹の香りにうっとり


甘さに癒やされる「バナナクリームロール」156円 甘さに癒やされる「バナナクリームロール」156円

創業当時の岡山木村屋 創業当時の岡山木村屋

直営店だけでも県内に30店舗以上 直営店だけでも県内に30店舗以上

創業者の梶谷忠二が修業先の東京・銀座木村家から故郷の岡山市に戻り、暖簾を掲げたのは1919(大正8)年。酒種酵母が織り成す深い味わいと、開業以来磨き続けてきたパン作りの技、その根底にある想いを次の世代へつなげようと、2025年4月、「百年パンシリーズ」がスタートしました。リニューアルされた「酒種桜あんぱん」を頬張ると、生地がよりしっとりして、酒種の麹の香りがふわり。

一方で、人気の「バナナクリームロール」は、バナナがまだ高級品だった1955(昭和30)年に「手軽に食べてもらいたい」と考えたのが誕生のきっかけ。試行錯誤の末に開発された自家製のバナナクリームは、店舗だとクリームのみでも購入することもでき、冷蔵庫に常備する地元客も多いです。


岡山木村屋 倉敷工場売店・キムラヤのパン&サンドイッチハウス

問い合わせ先 086-462-6122
時間 工場売店6~22時、サンドイッチハウス6~16時
定休日 年始
交通アクセス 山陽本線中庄駅から徒歩約14分
URL https://www.okayama-kimuraya.co.jp/

MAP

文/信藤舞子 写真/交通新聞クリエイト(商品)


  • 記事中の情報は2025年7月30日時点のものです。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日(原則として大型連休、お盆、年末年始などは省略)、最終受付時間・ラストオーダーを記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。