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2025.07.15ジパング俱楽部東京・三鷹で星空めぐり!入場無料の国立天文台三鷹&星と森と絵本の家|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報

このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーターが、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。

今回紹介するのは、東京都三鷹市にある「国立天文台三鷹」と「星と森と絵本の家」についてです。

森の中に現われる天体観測施設&絵本で楽しむ星空と宇宙の世界

東京都三鷹市

東京・三鷹に天文台があるのを知っていますか?

日本の天文学研究の中核であり、国内外に最新鋭の観測施設を持つ国立天文台の本部は三鷹にあり、じつは一般にも公開されていて無料で見学することができるんです。

緑に包まれたキャンパス内には、国立天文台の協力のもと三鷹市が運営する「星と森と絵本の家」もあり、こどもから大人まで楽しめるエリアとなっています。さまざまなイベントも開催する “天文の森” で、星空や宇宙を身近に感じてみませんか?

1. 東京なのに異世界体験!? 森の中にある「国立天文台」で宇宙散歩

三鷹の国立天文台は、広く一般にも開かれた研究施設。

予約も入場料も必要なく、当日正門入って右側にある守衛所で受付すれば、誰でも見学することができます。

1924(大正13)年に東京・麻布台から移転した天文台キャンパス内には、日本の天文学史上、貴重な建物や観測装置、資料等が目白押し。歴史を感じる正門を入ると、鬱蒼とした森の中に道が延び、まるで異世界に足を踏み入れたかのようです。


緑の木々が生い茂る敷地内は、東京にいることを忘れてしまう静けさ 緑の木々が生い茂る敷地内は、東京にいることを忘れてしまう静けさ

約26万平方メートルもの広大なキャンパスは、守衛所でもらえる見学ガイドを見ながら歩くのがおすすめ。

見学コース以外は立ち入ることができないので、見学ガイドや敷地内の表示を確認しながら進みましょう。

見どころ①「第一赤道儀室」&「太陽系ウォーク」


「第一赤道儀室」。建物は国の登録有形文化財 「第一赤道儀室」。建物は国の登録有形文化財

正面ロータリーから南へ進むと、まず最初の見どころ「第一赤道儀室」が現れます。

1921(大正10)年築の三鷹キャンパスではもっとも古い観測用建物です。

赤道儀とは天体の動きにあわせて望遠鏡が動くように取り付ける台のことで、ここの望遠鏡は1938(昭和13)年から61年間、太陽黒点のスケッチ観測に活躍したもの。

今でも見学者向けの太陽観察会で実演が行なわれています(6~9月は熱中症予防のため休止)。

  • 「太陽観察会」については以下を参照ください。

https://www.nao.ac.jp/about-naoj/organization/facilities/mitaka/visit-facilities/20cm-telescope-dome.html


太陽系の距離を140億分の1にして表わした「太陽系ウォーク」も。太陽から土星までの距離を歩いて体感してみよう! 太陽系の距離を140億分の1にして表わした「太陽系ウォーク」も。太陽から土星までの距離を歩いて体感してみよう!

見どころ②「天文台歴史館」

「太陽系ウォーク」の先にある「天文台歴史館(大赤道儀室)」のドーム天井は、木の板を組み合わせた珍しい建築。1926(大正15)年当時、造船技師の力を借りて造られたものだそうです。

館内の観測床は、望遠鏡の鏡筒の傾きにあわせてエレベータ式に上下する構造で(現在は固定)、観測者は望遠鏡がどんな向きになっても楽な姿勢でのぞくことができました。


「天文台歴史館」 「天文台歴史館」

ドーム内に入ると、口径65センチメートル、長さ11メートルの日本最大の屈折望遠鏡がそびえ立ち、天体観測について紹介するパネルとともにその歴史を伝えてくれています。

珍しい構造の建物は国の登録有形文化財です。


ドイツ製の「屈折望遠鏡」は、筒の長い望遠鏡が得意とする星の位置の特定に使用されていました ドイツ製の「屈折望遠鏡」は、筒の長い望遠鏡が得意とする星の位置の特定に使用されていました

見どころ③「太陽塔望遠鏡」

天文台のキャンパスは木々が生い茂って、ちょっとした迷路のよう。枝分かれした道の先にポツンと見どころが隠れていることもあるので、お見逃しなく。


「太陽塔望遠鏡」。当時流行していた外壁のスクラッチタイルや入口・バルコニーの曲線が美しい 「太陽塔望遠鏡」。当時流行していた外壁のスクラッチタイルや入口・バルコニーの曲線が美しい

そのひとつ、緑の合間に茶色いレトロな外壁がすっくと立つ「太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)」。

外観のみ見学可能で、塔全体が望遠鏡の筒の役割を果たした高さ約20メートルの建物は、「塔望遠鏡」とも呼ばれています。1930(昭和5)年に完成しました。

アインシュタインの理論を確認するために造られた国内唯一の貴重な建物で、1998年に国の登録有形文化財に指定されました。

見どころ④「子午儀資料館」


「子午儀資料館(レプソルド子午儀)」 「子午儀資料館(レプソルド子午儀)」

1880年ドイツ製の「レプソルド子午儀」は、震災や戦禍を乗り越え、日本の天文学史上大変貴重な観測装置として国の重要文化財に指定されました。

子午儀とは、天体が子午線を通過する時刻を観測するための望遠鏡の一種。それによって天体の位置や時刻を測定し、観測地の経度や時刻が決められます。


「レプソルド子午儀」 写真/国立天文台 「レプソルド子午儀」 写真/国立天文台

見どころ⑤「ゴーチェ子午環室」

美しい建物が点在する国立天文台のなかでも、半円形のドームに台形の入口屋根を持った「ゴーチェ子午環室」はユニークな外見が見どころ。


モダンさも感じる外観の「ゴーチェ子午環室」は国の登録有形文化財 モダンさも感じる外観の「ゴーチェ子午環室」は国の登録有形文化財

子午環とは、子午儀に精密な目盛りが刻まれたリングを取り付け、天体が子午線を通過する際の時刻だけではなく、地平線からの高さも精密に測ることができる観測装置。1903(明治36)年のフランス製であるゴーチェ子午環は、当時の価格約2万円で購入されたそう。

1983年まで月・惑星・恒星の位置観測を、1992年からの10年ほどは微光天体(※肉眼では見えないほど暗い天体のこと)の位置観測を行なう役割を担っていました。

見どころ⑥「天文機器資料館」

続いては、キャンパス内西部の広々とした空間に立つ「天文機器資料館」。もとは天体の精密位置観測に使われた観測施設で、現在はさまざまな天文機器に関する資料が展示されています。


「天文機器資料館」 「天文機器資料館」

資料館そばにある「6m(メートル)ミリ波電波望遠鏡」は、日本天文遺産にも認定された国内初のミリ波電波望遠鏡。

その研究成果は、長野県・野辺山の45メートル電波望遠鏡、南米チリのアルマ望遠鏡の観測研究に引き継がれ、現在の天文学の飛躍的な発展につながっています。

星間ガスや分子などを観測対象とするミリ波電波望遠鏡は、星の誕生や銀河の進化など宇宙の謎を解き明かすことを目的としています。


「6mミリ波電波望遠鏡」 「6mミリ波電波望遠鏡」

現地やオンラインの観望会で天体観測してみよう

国立天文台では、ほぼ1カ月に1回、定例観望会を開催しています。

現地開催とオンライン開催があり、現地開催はデジタル開催(ディスプレイに天体を写し解説を聞きながら観望)と眼視観望(実際に50センチ公開望遠鏡をのぞいて観望)の2種類。現地開催はWEBフォームからの申し込み制なので、詳細は下記ホームページを参照してください。


オンライン観望はYouTubeの「国立天文台三鷹 定例観望会」のチャンネルにアップされ、誰でも自由に視聴が可能。配信後1年はアーカイブで見ることもできるので、チェックしてみては。



国立天文台三鷹

問い合わせ先 0422-34-3600(代表)
時間 10時~16時30分
定休日 12月28日~1月4日 ※2025年は11月8日のほか、工事等のため見学中止となる日があります。
交通アクセス 中央本線武蔵境駅から狛江駅北口行きほか小田急バス約14分の天文台前下車すぐ
値段 入場無料 
URL https://www.nao.ac.jp/about-naoj/organization/facilities/mitaka/

2. 国立天文台内の「星と森と絵本の家」でゆったり時間

「星と森と絵本の家」へは、国立天文台の敷地内の道を通って行くことができます。

絵本ということはこども向け?と思われるかもしれませんが、大人にも魅力的な、大人だからこそ楽しめる施設なんです。


温かい木づくりの看板 温かい木づくりの看板

入館するときは、木のチップをフックにかけます 入館するときは、木のチップをフックにかけます

メインとなる建物は、国立天文台の職員家族が住んでいた旧1号官舎を保存活用したもの。

1915(大正4)年に建てられた木造平屋で、中玄関で靴を脱いで足を踏み入れると、畳敷きの和室、細長い廊下が続き、懐かしい気持ちでいっぱいになります。


昭和時代の面影の残る日本家屋 昭和時代の面影の残る日本家屋

建物内には、1955(昭和30)年以前に使われていた足踏みミシンや電話機が。市民の方から寄付されたものだそう 建物内には、1955(昭和30)年以前に使われていた足踏みミシンや電話機が。市民の方から寄付されたものだそう

「読書室」には約3500冊の絵本が並び、貸し出しはできませんが、旧1号官舎内で自由に読むことができます。

一人掛けのソファ、ちゃぶ台のある和室などあちこちで絵本を開けば、いつの間にかにたっぷりと豊かな時間が流れていきます。


読書室には、星や地球、自然、人と暮らしに関する絵本などが並びます 読書室には、星や地球、自然、人と暮らしに関する絵本などが並びます

季節ごとの展示やイベントも開催

また、館内では3つの展示が行なわれ、1年ごとにテーマが変わる「絵本展示室」、公募の絵本原画を展示する「回廊ギャラリ-」、旧1号官舎の建築を紹介する「建築展示室」があります。

絵本展示室では7月7日から、新テーマ展示「見る・知る・感じる絵本展『星と光』」がスタートしました。


宇宙の謎を解く手がかりとなる星の光をテーマにした新展示 宇宙の謎を解く手がかりとなる星の光をテーマにした新展示

回廊ギャラリーでは『星のかおりにつつまれて』(作:セキユキナ)を開催中(~2025年9月29日) 回廊ギャラリーでは『星のかおりにつつまれて』(作:セキユキナ)を開催中(~2025年9月29日)

L字形の建物の内側には中庭があり、夏は涼しげな簾(すだれ)がかかるなど季節を感じるしつらいも。館内や中庭では、星のソムリエによる「星のおはなし」をはじめ、クラフト体験、むかしあそびなど、イベントも定期的に開かれています。

去る7月7日、17年目の開館記念日には、市長の挨拶や国立天文台台長によるおはなし、七夕飾りのワークショップなどが行なわれ、多くの人でにぎわいました。


広々とした中庭にはいろいろな虫や鳥が遊びに来ることも 広々とした中庭にはいろいろな虫や鳥が遊びに来ることも


夏の時期は簾がかかります 夏の時期は簾がかかります


三鷹市 星と森と絵本の家

問い合わせ先 0422-39-3401
時間 10~17時
定休日 12月28日~1月4日 ※ほかにメンテナンス休館あり
交通アクセス 中央本線武蔵境駅から狛江駅北口行きほか小田急バス約13分の天文台裏下車、徒歩約2分
値段 入場無料
URL https://www.city.mitaka.lg.jp/ehon/index.html
  • 国立天文台三鷹の構内を見学する方は、天文台正門の守衛所で受付が必要です。

3. さいごに

東京の中に静かな異世界が広がる「国立天文台三鷹」、ゆっくりとした時間が流れる「星と森と絵本の家」。

日常の喧噪を離れて、のんびりと過ごしたい休日に訪れてみてはいかがでしょうか。


この記事を書いた人

綿谷朗子(わたやあきこ)

美術館と食べものを愛するフリーライター。
縁あって4年間暮らしたフランスでも、ほぼ食べものと美術館に時間を費やす。
旅のスケジュールを立てるのが大好きで、ついつい予定を盛り込み過ぎるが、列車に乗って車窓を眺めるのが息抜きの時間。

写真/国立天文台三鷹(レプソルド子午儀)

  • 記事中の情報は2025年7月時点のものです。
  • 写真はすべてイメージです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。