トレたび JRグループ協力

2024.06.05ジパング俱楽部いも団子(いももち)【北海道】|知る・作る郷土料理

その土地の産物をうまく活用し、作られてきた “郷土料理”。
知って作って食べれば、彼の地へ行ってみたくなりそうです。

  • 会員誌「ジパング倶楽部」2019年6月号で掲載した記事を、再編集してお届けします。

「いも団子(いももち)」

開拓時代に人々を支えたジャガイモで作る素朴なおやつ

北海道


日高山脈を背景に、手作りのいも団子を 日高山脈を背景に、手作りのいも団子を

いも団子の材料となるメークインは6月下旬~7月上旬に淡紫色の可憐な花を咲かせます いも団子の材料となるメークインは6月下旬~7月上旬に淡紫色の可憐な花を咲かせます

出身地の数だけ個性がある北海道の大地の味

肥沃(ひよく)な大地が広がる北海道・十勝平野。今や日本有数の畑作地帯となったこの地ですが、明治時代に開拓が始まった当初は、寒冷な気候のために稲がなかなか育たず、食糧不足に苦しんだ歴史があります。この頃、米の代わりに主食として人々を支えたのが、寒さに強く保存性の高いジャガイモでした。


家庭の味を再現してくださった、JA帯広大正女性部のみなさん 家庭の味を再現してくださった、JA帯広大正女性部のみなさん

今回は、ブランドジャガイモ「大正(たいしょう)メークイン」の産地である帯広市大正地区を訪ね、生産者のみなさんに「いも団子」を作っていただきました。「ナガイモやカボチャでも作りますが、やっぱりジャガイモで作るのが一番おいしいですよ。モッチリ感が違いますから」と、JA帯広大正女性部のみなさん。

家庭料理だけに、味付けは家によってもさまざまなようです。砂糖醤油やみりん醤油のタレをからめる、焼いて砂糖醤油をかける、バターで焼く、チーズをのせるほか、味噌汁や醤油風味のすまし汁、おしるこに餅の代わりに入れることもあるとか。

帯広は静岡、東北、北陸など各地から人々が移ってきた土地なので、出身地の数だけ、味にもバリエーションが生まれたのでしょう。

焼きたては蒲鉾(かまぼこ)のようにモチモチツルンとした食感で、本当にジャガイモだけでこの弾力? と驚いてしまいます。「もちろん正真正銘ジャガイモ100パーセンですよ」とみなさんの笑顔が弾けました。

材料と作り方 【作りやすい量・4人分】

材料

  • ジャガイモ…… 大(230~250g)× 3 個
  • 片栗粉【馬鈴薯(ばれいしょ)でんぷん】 …… イモの総量の1/3の量
  • A[てんさい糖(砂糖) ……適量、 醤油……適量]
  • 油 適量

作り方


  • 1.ジャガイモを2~3㎝角に切る。早くゆでたい場合は小さめに切るとよい。ジャガイモの種類はなんでもよいが、煮崩れしにくいメークインで作るとモチモチした食感に、男爵やキタアカリで作るとホクホクした食感になる。

  • 2.大鍋でジャガイモを水からゆでる。竹串がスッと通るくらいになったら、ざるにあけ、湯を切る。

  • 3.熱いうちにマッシャーでつぶす(マッシャーがない場合は、すりこぎや麺棒を使ってもよい)。なるべく粒が残らないようによくつぶし、手で触れる程度になるまで粗熱をとる。

  • 4.片栗粉を入れ、手でこねる。こねればこねるほどモッチリとした食感になるので、根気よくこね続けるのがポイント。

  • 5.焼く面が両面平らになるように円形に成形する。大きさ、厚さは好みで加減する。

  • 6.フライパンに多めの油を熱し、いも団子を並べ両面に焼き色がついたら、ふたをして弱火でじっくりと焼き上げる。いも団子に火が通ったらいったん皿にとり、Aを煮詰めてタレを作る。好みの甘さに味を整え、いも団子をフライパンに戻し、タレをからめて完成。

本場の味を求めて……「メークイン産業」

帯広市大正地区特産のメークインを直売


JA帯広大正で生産された農産物の直売店。「大正メークイン」の販売は、 収穫の始まる9月から3月まで。毎年9月に近くの「大正ふれあい広場」で 開催される「帯広大正メークインまつり」では、いも団子が販売されるほ か、大正メークインの袋詰め放題なども行なわれる予定です。


メークイン産業|帯広市

問い合わせ先 0155・64・4593
時間 9~17時(土曜は12時まで)
定休日 日曜・祝日・年末年始、1~3月の第2・第4土曜休。(繁忙期は変更あり)
交通アクセス 根室本線帯広駅前の帯広駅 バスターミナルから十勝バス広尾線約42分の大正17号下車すぐ
URL https://ja-taisho.shop/

2019 年4 月4 日取材 文/吉野りり花 撮影/鈴木康史 イラスト/渡辺トモコ