2024.07.08ジパング俱楽部かんぴょうの卵とじ【栃木県】|知る・作る郷土料理
その土地の産物をうまく活用し、作られてきた “郷土料理”。
知って作って食べれば、彼の地へ行ってみたくなりそうです。
- ※会員誌「ジパング倶楽部」2019年7月号で掲載した記事を、再編集してお届けします。
「かんぴょうの卵とじ」
栄養豊富で応用自在!栃木の夏を彩るかんぴょう料理
栃木県
夏の夕に、可憐(かれん)な白い花を咲かせるユウガオ。その実がかんぴょうの原料になることはあまり知られていません。
短い日数で干しあげるために、夜明け前から皮をむき、天日干しする「かんぴょう干し」は、栃木の夏の風物詩。できあがったかんぴょうには、食物繊維やカルシウム、鉄、カリウムといった栄養素が豊富です。
一説によると、栃木でのかんぴょう作りは、江戸時代に下野(しもつけのくに)壬生(みぶ)藩主・鳥居忠英(とりいただてる)が近江(おうみ)からユウガオの種子を取り寄せたことから始まったそうで、今では全国生産量の約98パーセントが栃木県です。
今回は県内一の産地・下野市で農村生活研究グループ協議会のみなさんに「かんぴょうの卵とじ」を作っていただきました。
「昔は家庭でも手むきしたものを庭の竹竿に干し、自家製かんぴょうを作ったものです。おいしく料理するポイントは、製造過程で使う二酸化硫黄(いおう)のにおいをしっかり取ること。洗う時に塩もみすることで、においを抜きます。きちんと戻したかんぴょうは無味無臭で食感がよく、どんな料理にも合います。海苔(のり)巻きや炊きこみごはんもおいしいですが、簡単なのは卵とじ。パパッと作れますよ」
お椀によそうとフワッと花が咲いたよう。飾らないけれど、どこか上品なその味は、ユウガオの花を思わせます。
材料と作り方 【作りやすい量・4人分】
材料
- かんぴょう…… 20g
- 卵…… 1~2個
- だし汁……2~3カップ
- 醤油 …… 小さじ1 と1/2
- 塩(下ごしらえ用) …… ひとつまみ
- 塩、みりん、味噌(調味用)…… 適宜
作り方
- 1.軽く水洗いしたかんぴょうをボウルに入れ、塩をもみこみ、よく洗う。 洗濯物を洗うような要領で、かんぴょうに傷をつけるようにゴシゴ洗うのがコツ。
- 2.かんぴょうを2~3㎝大に切る。
- 3.切ったかんぴょうを20分ほどゆで、やわらかく戻す。
- 4.ゆでたかんぴょうを水洗いする。 この後に入れる卵が熱で固まらないように、ここで温度を下げておく。
- 5.水洗いしたかんぴょうをボウルに入れ、卵を割り入れてときほぐし、全体にからめる(A)。
- 6.だし汁を煮立て、醤油で味付けする(醤油ではなく味噌で味付けしてもよい)。 味が薄い場合は塩で味を調える。甘みを足したい場合はみりんを少々加える。味付けしただし汁を再び煮立て、Aを入れ、弱火で30秒~1分ほど加熱して、卵がふんわり固まったら椀に盛る。お好みでミツバやワケギをちらす。
本場の味を求めて……「しもつけかんぴょうまつり」(栃木県下野市)
主役はかんぴょう! 知って食べて楽しむ祭り
「かんぴょう生産量日本一」の町らしい、かんぴょうづくしのイベント。
かんぴょうむき体験、かんぴょうつかみ取り、ふくべ細工体験など趣向を凝(こ)らしたプログラムが目白押し。 試食会では「かんぴょうの卵とじ」もふるまわれます。
基本情報
名称 | 第11回しもつけかんぴょうまつり |
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開催期間 | 2024年7月20日の9~13時(予定) |
開催場所 | グリムの森・グリムの館(下野市下古山747) |
問い合わせ先 | 0285・32・8906(下野市農政課) |
URL | https://www.shimotsuke-ta.com/ |
古民家シェアスペース「夜明け前」(栃木県下野市)
2019 年4 月23 日取材 文/吉野りり花 撮影/鈴木康史 イラスト/渡辺トモコ