トレたび JRグループ協力

2024.09.05ジパング俱楽部ちゃんちゃん焼き【北海道】|知る・作る郷土料理

その土地の産物をうまく活用し、作られてきた “郷土料理”。
知って作って食べれば、彼の地へ行ってみたくなりそうです。

  • 会員誌「ジパング倶楽部」2019年11月号で掲載した記事を、再編集してお届けします。

ちゃんちゃん焼き

漁師気分で“秋味”を味わう 鮭で栄えた町の名物料理

北海道


北海道遺産の石狩川。開拓時代は交通・物資輸送の道でした 北海道遺産の石狩川。開拓時代は交通・物資輸送の道でした

「曲がりくねって流れる川」「神様がつくった美しい川」を意味するアイヌ語「イシカラペツ」からその名がついたといわれる石狩川(いしかりがわ)では、秋になると鮭の遡上が始まります。

石狩は鮭で栄えた町。昔は棒を立てても倒れないほど鮭が獲れたといいます。

北海道などでは秋鮭のことを❝秋味❞と呼びます。港に秋味が揚がったら、いよいよ鮭料理シーズン到来。地元ではさまざまな調理法で食されますが、石狩の二大鮭料理といえば「ちゃんちゃん焼き」と「石狩鍋」です。

石狩鍋は、鮭と野菜を味噌で煮込んだあったか鍋。

対してちゃんちゃん焼きは、鮭と野菜を鉄板で焼いた料理です。昔は、漁師のまかない料理として食べられていたそうで、手早く「チャッチャ」と作ること、鉄板の上で焼く時に「チャンチャン」と音がすることなどからこの名がついたのだとか。

鮭と野菜を豪快に混ぜ、旨み ❝どっさり❞ を召し上がれ


「ちゃんちゃん焼き」。かつて鮭漁船の船着き場だった石狩川の川べりにて 「ちゃんちゃん焼き」。かつて鮭漁船の船着き場だった石狩川の川べりにて

今回は居酒屋「酒庵 升屋(しゅあんますや)」の主人・桝谷(ますや)英雄さんにちゃんちゃん焼きを作っていただきました。

切って、のせて、後は焼くだけ。調理は簡単ですが、ふつふつたぎる味噌だれから漂う芳香に期待が膨らみます。

味わうと、淡白な鮭を、野菜の甘みとピリ辛の味噌だれが包みこみ、箸が止まりません。「ごはんのおかずにするのもいいけど、ビールにも合うよ」と桝谷さんはにんまり。

どちらも試したくなる石狩の味です。

材料と作り方 【作りやすい量・2~3人分】

材料

  • 鮭…… 400~500g
  • キャベツ…… 1/4 玉
  • タマネギ…… 1 玉
  • シイタケ ……2~3 個
  • ナス …… 1 本
  • ピーマン…… 1 個
  • 油……少々
  • ほか家庭にある野菜なんでも代用可

A

  • 味噌 …… 1カップ
  • 酒 …… 大さじ2
  • 昆布だし…… 大さじ2
  • 一味唐辛子 …… ひとつまみ

作り方


  • 1.昆布だしを作っておく。
  • 昆布を水に入れて一晩置いたものを火にかける。
  • 沸騰する直前に火を止め、冷ます。

  • 2. 具材を切る。
  • 鮭は3枚におろし、半身を食べやすい大きさに切る(切り身を使っても可)。
  • 野菜も食べやすい大きさに切る。

  • 3.Aを調合し、味噌だれを作る。
  • 味噌に酒と昆布だしを入れて混ぜ合わせ、最後に一味唐辛子をひとつまみ入れる。

  • 4. ホットプレートや鉄板に油を少々ひき、熱する。
  • まず真ん中に鮭をのせ、周囲にキャベツ以外の野菜をのせる。
  • 鮭の上に味噌だれの半量をのせる。

  • 5.さらにキャベツをかぶせ、残りの味噌だれをのせる。

  • 6.アルミホイルで覆い、具材に火が通るまで蒸し焼きにする。
  • 火が通ったら、鮭をほぐし、全体を混ぜ合わせて完成。

本場の味を求めて……「酒庵 升屋」|石狩市

地産地消にこだわる居酒屋


桝谷さんご夫妻 桝谷さんご夫妻

「石狩鍋」には、山椒をたっぷりかけて 「石狩鍋」には、山椒をたっぷりかけて

石狩市三大秋祭りのひとつ、「石狩さけまつり」で「千人鍋」を作る石狩鍋の名人・桝谷さんご夫妻がきりもり。

漁師・農家からの直接仕入れにこだわり、春はアスパラ、夏はホッキ貝、秋は鮭……と石狩の旬の美味が揃います。

「ちゃんちゃん焼き」は提供期間10月まで。「石狩鍋」は12月まで。いずれも2〜3人前で1800円、前日までに要予約。


酒庵 升屋

問い合わせ先 0133・75・1188
時間 17〜22時
定休日 日・月曜・祝日・年末年始
交通アクセス 札沼(さっしょう)線新琴似駅下車、徒歩約4分の新琴似駅通バス停から花畔(ばんなぐろ)行きほか北海道中央バス約30分の石狩庁舎前下車、徒歩約2分


2019 年9月2日取材 文/吉野りり花 撮影/鈴木康史 イラスト/渡辺トモコ