2024.09.26ジパング俱楽部まんばのけんちゃん【香川県】|知る・作る郷土料理
その土地の産物をうまく活用し、作られてきた “郷土料理”。
知って作って食べれば、彼の地へ行ってみたくなりそうです。
- ※会員誌「ジパング倶楽部」2020年1月号で掲載した記事を、再編集してお届けします。
まんばのけんちゃん
噛み心地楽しく豊かな風味。ああ、毎日食べたい
香川県
まんばのけんちゃん――。ユニークな名前からは、つい男の子の顔を連想してしまいますが、一体どんな料理なのでしょう?
高松を拠点に料理研究家として活躍する「ジュヌヴィエーヴ料理教室」の山中仁(ひとし)先生、美妃子(みきこ)先生にその名の由来や作り方を教わりました。
まんばとは、香川県全域で栽培される伝統野菜・高菜の一種。取っても取っても葉が出てくることから「万葉」、地域によっては「百貫(ひゃっか)(花)」「千葉(せんば)」と呼ばれ、緑の野菜が少なくなる冬の貴重なビタミン源として重宝されました。
東讃(とうさん)地方では「まんばのけんちゃん」と呼ばれる料理が、西讃地方だと豆腐を雪に見立てて「ひゃっかの雪花(せっか)」と呼ばれるそう。けんちゃんとは卓袱(しっぽく)料理の「けんちん」がなまったものです。
野菜不足になりがちな冬の救世主。ビタミンたっぷりの常備菜
「冬はどこの家でも食卓にのぼる常備菜なので、家庭によって味付けもさまざまです」(仁先生)
「私の母によると、昭和10~20年代頃までは田んぼの畔(あぜ)に植えられていて、改良された現在のものよりアクも強く、井戸水でひと晩さらしてから使ったそうですよ」(美妃子先生)
味わうと、独特のほろ苦さを、ほろほろの豆腐が包み込み、茎の食感がよいアクセントに。やわらかな甘みと、ホッとする味付けで、いくら食べても飽きません。香川の冬の味覚は、飾らない普段着の味でした。
材料と作り方 【作りやすい量・2~3人分】
材料
- まんば(なければ小松菜などで代用可)…… 6~8枚
- 豆腐(水切りしておくとよい)…… 200g
- 油揚げ(細切りにする)…… 1 枚
- ごま油 …… 大さじ1
- 煮干し(頭とワタを取る) …… 4尾
- だし汁…… 1カップ
- だし醤油(または醤油)…… 大さじ2.5
- みりん …… 大さじ1
作り方
- 1.大きな鍋に湯を沸かし、まんばを5~6分茹でる。
- 塩は入れず、まんばが破れないように菜箸の持ち手のほうで鍋に押し込むのがポイント
- 2. まんばを水にさらす。葉がしっかりと冷たくなるまで、2~3回水を替える。
- 3.まんばの水気を絞る。
- 4. まんばを切る。茎の部分は縦半分に切れ目を入れ、1.5cm幅に切っていく。
- 葉の部分はもう少し細めの1cm幅に切る。
- 5.フライパンや鍋にごま油を熱し、煮干しを入れ、1分ほど炒めて香りを出す。
- 香りがたったら、まんばを入れ、豆腐を手でちぎり入れる。
- 6.豆腐を木じゃくしで崩しながら1分ほど炒める。
- 油揚げ、だし汁を加え、中火で5~6分煮る。だし醤油、みりんを加えて調味し、煮汁が少し残る程度で火を止め、器に盛る。
本場の味を求めて……「かあさん茶屋」|さぬき市
手作りと地産地消にこだわりあり
地元産の米や野菜、大豆から手作りした豆腐や味噌を使った体に優しいお弁当を販売。
買ったお弁当を店内で食べることもできます。おかずセット550円、ごはん(単品120円、おかずセットとのセット価格100円)、お味噌汁(単品150円、おかずセットとのセット価格100円)。
冬季はおかずセットの中にまんばのけんちゃんが入ります。とれたて野菜を販売する産直コーナーも併設。
かあさん茶屋
問い合わせ先 | 0879・43・1211 |
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時間 | 9~15時(お弁当販売11時~売り切れしだい終了) |
定休日 | 月曜・年末年始休。 |
交通アクセス | 高徳線神前(かんざき)駅からタクシー(呼出)約5分。または予讃(よさん)線高松駅から引田方面行き大川バス約45分のさぬき市民病院前下車、徒歩約10分。 |
URL | https://www.my-kagawa.jp/point/186/ |
2019 年11 月5・6 日取材 文/吉野りり花 撮影/鈴木康史 イラスト/渡辺トモコ