2025.01.07ジパング俱楽部ザンギ【北海道】|知る・作る郷土料理
その土地の産物をうまく活用し、作られてきた “郷土料理”。
知って作って食べれば、彼の地へ行ってみたくなりそうです。
- ※会員誌「ジパング倶楽部」2020年12月号で掲載した記事を、再編集してお届けします。
ザンギ
軽快な歯ざわりと溢れる肉汁はビールと最高のコンビ!
北海道釧路市ほか
北海道では、唐揚げを一般的に「ザンギ」と呼び、そのふるさとは道東の港町・釧路といわれます。
今回は、釧路湿原などへの玄関口であり、“霧の街”“夕日の街”としても有名な釧路を訪ね、発祥店とされる「鳥松」の二代目店主・高倉悟(さとる)さんに話を聞きました。
鶏一羽まるごと使った骨付きが原型
ザンギが誕生したのは1960(昭和35)年頃のこと。当時は焼鳥店だった鳥松に、ブロイラーの売り込みがあったことがきっかけです。
どうやって料理しようかと思案した初代店主の桑原清さんが、一羽まるごとブツ切りにし、骨付きのまま揚げて店で出したところ、瞬く間に人気になりました。
「ザンギ」というユニークな名前も桑原さんの命名です。中国語で唐揚げを意味する「炸鶏(ザージー)」に、幸運の「運」の「ン」を入れたのだとか。 こうして誕生したザンギはいつしか北海道全域に広がり、道民のソウルフードとして定着しました。
美味なる骨の周りを味わうのが通!
ザンギには前日から調味料に漬け込んだ味の濃いものが多いそうですが、元祖の味はちょっと違います。
「うちはニンニクも入れないし、漬け込みもしないんだよ。鶏肉そのものの味を味わってほしいからね」(高倉さん)
わくわくしながらカウンターで待つと、カラッと揚がったザンギが運ばれてきました。「骨の周りがうまいよ」と聞き、骨付きザンギからガブリ。意外にもあっさり薄味で、衣はサクサク、お肉はジューシー。
骨付きは部位ごとに味が違うので、一つつまむごとに個性が楽しめるのも新鮮です。ご主人自慢の特製ソースをからめれば、旨みがさらに引き立ちます。
唐揚げひとつとっても、スタイルは全国にさまざま。釧路流に骨の周りを味わいながら、全国の唐揚げにまで思いをめぐらせました。
材料と作り方
材料 【作りやすい量・2人分】
- 鶏モモ肉 …… 300g
A
- 酒 …… 大さじ2
- 皮つきショウガのすりおろし …… 1片分
- 塩 …… ひとつまみ
- コショウ …… 少々
- 醤油 …… 大さじ1
- デンプン(片栗粉やコーンスターチ)…… 少々
- サラダ油 …… 適量
- ソース …… 適量
作り方
- 1.鶏モモ肉をひと口大に切る。Aを合わせ、鶏モモ肉に揉み込む。
- 2.手順1にデンプンをまぶす。
- 3.170℃に熱した油に手順2を入れ3~4分揚げる。いったん油から上げ、5分ほどおく。
- 4.180℃に熱した油に手順3を入れ、1分半~2分半揚げる。最後は油温を180~190℃ に上げ、キツネ色に色づいたら引き上げる。皿に盛り付け、あっさり味のソースを添える。
本場の味を求めて…… 鳥松|釧路市
60年以上も変わらぬ味を守るザンギ専門店
繁華街の一角に立つザンギ専門店。
ザンギは北海道産の鶏肉を冷凍せずに生から揚げ、チキンソースにスパイスを漬け込んだ、酸味のある特製ソースをからめて食べるスタイル。
ザンギ、骨なしザンギは店内で食べられるほか、持ち帰り(事前に電話連絡が必要)もできます。
鳥松
問い合わせ先 | 0154・22・9761 |
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時間 | 17~23時 |
定休日 | 日曜 |
交通アクセス | 根室本線釧路駅から徒歩約15分 |
2020 年6月4日取材 文/吉野りり花 撮影/鈴木康史 イラスト/渡辺トモコ