2024.05.30ジパング俱楽部今年で公開55周年!『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』北海道小樽市|名作の舞台へ
いつか、あの作品の舞台へ行ってみたい――。
小説、映画、ドラマ、音楽……名作にはそんな、人を引きつける力があります。ずっと心に残る、名作の舞台を紹介します。
- ※会員誌「ジパング倶楽部」2020年6月号で掲載した記事を、再編集してお届けします。
『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』
北海道小樽市
作品情報
北海道有数の港町として発展してきた 小樽。石造りの倉庫群が立ち並ぶ小樽運河(写真)、日本銀行旧小樽支店といった歴史的建造物、風情ある坂の数々がレトロな町並みに広がります。
数ある作品のなかでも人気が高いのが、第15作『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』。
作品の主な舞台は北海道、とくに印象的なのが小樽です。旅の道連れとなった会社員・兵頭(船越英二)と寅さん(渥美清)は、函館のラーメン屋で歌手・リリー(浅丘ルリ子)とバッタリ。三人は函館本線に乗って旅します。やがて小樽に着くと兵頭は、「初恋の人を探しに来た」と告白。映画公開当時の小樽運河は、古びた倉庫が並びポンポン船が行き交うのどかな風景でした。
三人は初恋の人を探して、水天宮へと向かう急な石段へ。そして小樽港で寅さんとリリーは“女の幸せ“について口論し喧嘩(けんか)別れ。取り残された寅次郎の背中には侘(わび)しさが漂います。移り変わる北海道の風景の中に、束の間の逃避行を楽しむ高揚感、現実に向かい合う悲しみと、主人公たちの心情が表されているのも見どころです。
現在の小樽は散策路が整備された運河を中心に、洒落(しゃれ)たレストランやショップが並ぶ人気の観光地に。寅さんたちが息を切らして上った水天宮への石段脇からは、当時と変わらず小樽聖公会の愛らしい姿が垣間見えます。石段の先に広がる水天宮の境内からは小樽港や町並みが一望の下。寅さんいわく「古くせえ町」だった港町は、レトロな雰囲気を残しつつモダンな国際港へと生まれ変わっています。
小樽運河
問い合わせ先 | 小樽観光協会 0134・33・2510 |
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交通アクセス | 函館本線小樽駅下車。徒歩約10分 |
文/綿谷朗子