2024.11.05ジパング俱楽部『しれとこ旅情』 北海道目梨郡羅臼町|名作の舞台へ
いつか、あの作品の舞台へ行ってみたい――。
小説、映画、ドラマ、音楽……名作にはそんな、人を引きつける力があります。ずっと心に残る、名作の舞台を紹介します。
- ※会員誌「ジパング倶楽部」2021年2月号で掲載した記事を、再編集してお届けします。
『しれとこ旅情』
北海道目梨郡羅臼町
「森繁久彌 全曲集 しれとこ旅情」
1960(昭和35)年、森繁久彌は映画『地の涯(はて)に生きるもの』の撮影のために、知床の地に立っていました。
戸川幸夫の小説『オホーツク老人』が原作のこの作品は、漁師が去った冬の知床半島にたった一人残り、厳しい自然の中に生きる番屋の老人の姿を描いたもの。
この映画の主なロケ地となったのが、『しれとこ旅情』の誕生地でもある羅臼村(らうすむら/現・羅臼町)でした。
当時、初めての映画ロケを迎えた羅臼は、村民約200人がエキストラに参加するなど、村を挙げて協力。
森繁はロケが終わり村を発つ日、羅臼の人々に感謝の気持ちをこめて、みずから作詞・作曲した歌を披露しました。その歌声に村民、ロケ隊が加わり、最後は大合唱となったそうです。
当初は『さらばラウスよ』というタイトルだった歌は『しれとこ旅情』に、その後1970年に加藤登紀子が『知床旅情』として歌い大ヒット。知床観光ブームが巻き起こり、それまで知る人ぞ知る存在だった秘境の地が、一気に全国に知られるようになりました。
「知床旅情記念碑」と「オホーツク老人の像」が立つ、羅臼港近くのしおかぜ公園。国後島(くなしりとう)を間近に望むこの地に佇(たたず)めば、自然と歌が口をついて出てきそうです。
町にはほかにも、映画ロケの様子や森繁が歌う姿を紹介した「羅臼町郷土資料館」、国後島を一望する「羅臼国後展望塔」があり、冬は流氷、春〜秋はクジラが見られる観光船も運航。
歌をよすがに、知床の大自然のメロディを体感してください。
羅臼国後展望塔
問い合わせ先 | 0153・87・2126( 羅臼町産業創生課) |
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交通アクセス | 根室本線釧路駅から羅臼営業所行き阿寒バス約3時間32分の羅臼本町下車、車で約5分 |
URL | https://www.rausu-town.jp/pages/view/186 |
オホーツク老人の像
問い合わせ先 | 0153・87・2126( 羅臼町産業創生課) |
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交通アクセス | 根室本線釧路駅から羅臼営業所行き阿寒バス約3時間40分の終点下車、徒歩約15分 |
URL | https://kanko.rausu-town.jp/spots/view/21 |
文/綿谷朗子