2024.10.30ジパング俱楽部『点と線』 福岡県福岡市|名作の舞台へ
いつか、あの作品の舞台へ行ってみたい――。
小説、映画、ドラマ、音楽……名作にはそんな、人を引きつける力があります。ずっと心に残る、名作の舞台を紹介します。
- ※会員誌「ジパング倶楽部」2021年1月号で掲載した記事を、再編集してお届けします。
『点と線』
福岡県福岡市
『点と線』
昭和を代表する国民的人気作家、松本清張。日本各地がその作品の舞台となり、旅好きな方にもファンが多いのではないでしょうか。
1909(明治42)年に生まれ、福岡県の小倉で少年時代を過ごした清張は、15歳で就職。作家デビューは遅く、応募小説『西郷札(さいごうさつ)』が入選した41歳の時でした。
3年後に『或(あ)る「小倉日記」伝』で芥川賞を受賞。1958(昭和33)年のベストセラー『点と線』により、社会派推理小説ブームを牽引(けんいん)することとなります。
『点と線』は、福岡市の香椎(かしい)海岸で男女の情死体が発見されたことから話が始まります。
有名な鉄道トリックは未読の方のために伏せておきますが、二人が乗った特急「あさかぜ」は1956年、戦後初の夜行特急列車として東京〜博多間に登場。
旅行雑誌『旅』に連載された小説は、旅や時刻表好きだった清張が新しい鉄道時代の象徴をいち早く取り入れて生み出したものでした。
香椎海岸周辺は大伴旅人(おおとものたびと)らが詠んだ『万葉集』の歌碑が立ち、金印(きんいん)発見の志賀島(しかのしま)も近い古代史が色濃く残る場所。
推理小説作家のイメージが強い清張ですが、邪馬台国論『古代史疑』やノンフィクション『昭和史発掘』など、歴史の真実に迫る著作も残しています。
松本清張記念館
問い合わせ先 | 093・582・2761 |
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時間 | 9時30分~17時30分。企画展「松本清張と井上靖 新進作家と目標の星」開催中(2024年12月1日まで) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始・館内整理日 |
交通アクセス | 鹿児島本線西小倉駅から徒歩約5分 |
値段 | 600円 |
URL | https://www.seicho-mm.jp/ |
文/綿谷朗子