2024.07.31ジパング俱楽部かぎられたスペースを活用!手作り雑貨がおしゃれなガーデニング|定年後が楽しくなる新しい趣味
定年後が楽しくなる新しい趣味を紹介する新連載。第1回目は、大人の趣味ランキングで1位となった「ガーデニング」がテーマです。(出典:YAHOO!ニュース) ガーデニングは夫婦で楽しめる定年後の趣味としても人気です。 空き缶や100均で購入した容器、海岸で拾った流木などをアレンジした、おしゃれな手作り雑貨を取り入れながら、自由にいきいきと庭づくりに取り組んでいる三中西さんのお宅を訪ね、二人三脚で楽しむ奥様とともに話を聞きました。
三中西 東(さんなかにし ひがし)さん
手入れをすると必ずこたえてくれるガーデニングの魅力
千葉県市川市の閑静(かんせい)な住宅街。家の壁にパーゴラ(つる性の植物をはわせる棚)、足もとにはバラ、門塀には多彩な多肉植物でいっぱいのお宅を発見しました。手がけているのは会社員の三中西東さんです。
50代から力を入れ始めたガーデニング
——ガーデニングを始めたきっかけは?
三中西さん もともと父が好きで、バラやサボテンを育てる姿を幼少期から見てきたんですね。私も所帯を持ったアパート時代から少し花を育ててはいましたが、本格的に始まったのはこの家を建てた25年前くらいでしょうか。玄関アプローチの脇に土を残してもらって、1~2本バラを植えたんです。でも、こんなになるとは思わなかったですけどね(笑)
さらに転機となったのは13年ほど前、このおしゃれな庭を見たご近所さんから「いちかわオープンガーデン」に誘われたこと。
これは市川市が主催している取り組みで、市民が丹精こめて手入れした庭を観賞や交流の場として春に一般公開するというものです。ここに登録・参加してから、庭づくりにいっそう力を入れるようになったそうです。
5月に咲く花を夢見て
——ガーデニングはどんなところが魅力なのでしょうか?
三中西さん 私の場合は、手入れしてやればそれにこたえてくれるところですかね。花って、開花時期の作業がメインと思われがちですが、一番手間がかかるのは冬。壁や柱に結び付けていた枝をすべて外して、古い枝を落として、新しい枝を剪定(せんてい)して、深く地面を掘って肥料、堆肥を入れる。鉢植えは全て植え替えをします。だからお正月休みはないです(笑)。 でも、「春のバラを夢見て」という言葉があるように、5月の満開のバラを見れば、寒いなかの作業の苦労も吹き飛ぶ。ああ、来年もまたこんなふうに咲かせられたらいいなあ、頑張ろうって思うんですよね
スモールガーデンをおしゃれに楽しく
ガーデニング初心者の方のお手本に
ガーデニングというと広い庭で行なわれるイメージもありますが、三中西さんの庭は意外にもコンパクト。けれども、植木鉢やパーゴラを多用して、育てているのはバラだけで約30品種!多肉植物もじつにバラエティー豊かで、ディスプレイの仕方にもセンスが光ります。
三中西さん 土も少ないですし、かぎられたスペースで工夫するしかないんですよね。平日は勤めているのであまり手も広げられませんし、目の行き届くちょうどいい大きさだと思っています
奥様の芳子(よしこ)さん オープンガーデンでうちを見に来てくださった方が、「こんな風にできるんですね」とか「庭がないけどやってみよう!」って言ってくださるんですよ
三中西さんの庭はガーデニングに関心ある人たちのいいお手本になっているようです。
ガーデニングを彩る雑貨は100均も活用!!
また、植物にも負けず目を引くのが、木のメッセージプレートやカラフルな缶や流木を使った植木鉢などの小物類。まるでハイセンスな雑貨店に売られているようなおしゃれな品々は、なんとどれもご本人による手作りです。
三中西さん ガーデニングにまつわる小物も自分で作るのが私の楽しみなんですよ。100均の容器を自分でペイントしてラベルを張ってアレンジしてみたり。
ただお花を植えるだけじゃなくて、パーゴラを作ったり、自分で文字を描いてプレートを掲げたり、缶で作った鉢に多肉植物を植えたり……。そういう庭のほうが、来た人にとってもおもしろいんじゃないかなと思うんです
ガーデニングを通して趣味や交友関係が広がった
定年後も夫婦で続けられるガーデニング
ガーデニングをきっかけに世界が広がったという三中西さん。たとえば、一眼レフカメラで花の写真撮影に挑戦するようになったり、自作の雑貨を頼まれて販売したり、オープンガーデンのガイドブックには得意な水彩画の挿絵も採用されていました。
オープンガーデンを通して交友関係も生まれ、ガーデニング仲間から相談を受けたり、作業の手伝いを頼まれることもしばしばとか。
芳子さん 「三中西さんのバラは葉っぱの色が他所とは違ってツヤツヤしてる」って言われるんです。
以前住んでいたアパートのそばのお友達も、偶然、うちの庭のことを知って興味を持ってくれて、ご主人が定年退職後にバラを始めたんですって。オープンガーデンで賞をいただいたことももちろん光栄ですけど、そういう反応がうれしいですよね
三中西さん (頷きながら)定年後ならたっぷりと時間がありますし、羨ましいですよ
日々手入れし、植物とじっくり向き合うことが大切なガーデニングは、まさに第二の人生の趣味にはもってこいでしょう。
これからもガーデニングとともに
——では、今後の目標は?
三中西さん 庭を広げられるわけでもないし、もういっぱいいっぱい(笑)。維持あるのみです。本当は、オープンガーデンの最盛期にほかの方のお庭を見に行きたいなという思いもありますが、その時は自分の庭も公開中なので、一番いい時期は動けないんですよね
そう話す三中西さんは、早くも来年の春へ思いを馳(は)せたようにほほえむのでした。
これで明日から始められる! 三中西さんの考えるガーデニングの3ステップ
自分が興味のある植物、育てたい植物を決める。多肉植物は比較的育てやすいが、それでもうまくいかない時はいきません。なので、育てやすさを気にするよりも、好きなもの、愛情を注げるものを選ぶのが一番!
その植物や育て方について、インターネットや本などで調べ、知識をつけるべし!ガーデニングに精を出すご近所さんがいれば話を聞く。愛好家なら喜んで話してくれます。園芸教室を開催している自治体もあるので参加するのも手。また、全国にはオープンガーデンも多数開かれているので、見学して庭づくりの参考にしてもいいかもしれません。
参考リンク
最後はとにかく実践あるのみ。1~2鉢からでもいいからトライしてみよう!こどもと同じように毎日見守れば、日々の変化や病気にも気づけるようになります。ちなみに、「旅行に行けなくなるのでは?」と思われるかもしれませんが、心配ご無用。私たち夫婦も旅行好きなので、水やりは家族やご近所さんなど人に頼んでどんどん行っています。最近は自治体のシルバー人材センターなどでも水やりをお願いできるので調べてみてください。
文/下里康子 写真/田中仁志