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2023.12.18ジパング俱楽部ひとり旅で、温泉宿に泊まろう|解決! 60代からのお悩みごと

ジパング世代におすすめしたい温泉宿でひとり旅

大好きな温泉、人目を気にせず自分のペースでゆっくり楽しみたい!
でも、温泉宿にひとりで泊まるのはハードルが高い……なんて、思っていませんか?

そんなことはありません。じつはひとり旅の醍醐味が、温泉宿に詰まっているのです。

今回は温泉宿でひとり旅を楽しむ方法を、編集者・ライターで「ひとり旅活性化委員会」主宰の山田静さんにうかがいました。


教えてくれた人

山田 静さん

旅の編集者・ライター、「ひとり旅活性化委員会」主宰。全11室の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」のマネージャーを務めながら、年に2度、1カ月程度のひとり旅に出ている。『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)、『京都で町家旅館はじめました』(双葉社)など編著書多数。

「京町家 楽遊」 公式サイト
ひとり旅活性化委員会・山田静「X (旧Twitter)」

1.温泉宿でひとりは気まずくなんてない

こんにちは。山田 静です。
女子旅を元気にしたい!という思いから1999年に「ひとり旅活性化委員会」を結成し、編集者・ライターとして活動しています。

今回はジパング世代のみなさまに、ひとり旅の楽しさをお伝えします。

旅=団体旅行や家族旅行だった時代、ひとり旅派は珍しく、(ワケありでは?)と見られてしまう存在でした。

ですが今はさまざまな旅の形があたり前の時代。ペット同伴、キャンプ、ひとり旅……ゲストの多様化に応じて受け入れ態勢を整える宿泊施設が増えてきました。

じつは「素泊まり」にひとり旅の極意が詰まっている?

試しに情報誌を広げたり、予約サイトで「ひとり旅 温泉」と検索してみると、ひとり旅プランを用意しているお宿がずらりと出てくるはず。

単純に金額を高くしたプランもありますが、ひとりで気楽に過ごせるように「部屋食」、価格を抑えた「素泊まり」など、ひと工夫されたプランも多くあります。

「せっかくの温泉なのに素泊まりは……」なんて思うかもしれませんが、温泉地にはおいしいものがいっぱい。

ご当地スーパーのお総菜やお菓子、駅弁など地元のおいしそうなものを買い込んで部屋で時間も人目も気にせずのーんびり、なんていかがでしょう?


ちょっぴり勇気があれば、地元の食事処に行くのもおすすめです。

目当ての店がなければ、チェックイン時、宿の人に予算と食べたいものを言い添えて、ひとりでも行けそうなお店を聞いてみましょう。

カウンターしかない小さなお店で料理人の話に耳を傾けたり、地元の人と会話を楽しんだりと、味の記憶とともに思い出も持ち帰れるかも。

2.はじめてのひとり温泉の楽しみ方は?

ひとり旅の最大のメリットは時間を100パーセント自由に使えること。

ずっと部屋で寝ていようが綿密なスケジュールを立てて湯めぐりをしようが、誰に遠慮もいりません。

仲間とわいわい旅をするのとはまた違った、自分の「好き」を追求できるひとり温泉旅は、一度ハマると「次はどこに行こうかな?」と考えてしまう抜けられない楽しさがいっぱいです。

ひとつやりたいことを決めましょう

ただ初めてのひとり温泉の場合、おすすめしたいのは、一つやりたいことを決めておくこと。漠然と「温泉でのんびりしたい」だと、意外と時間を持て余します。


1879(明治12)年創設の別府・竹瓦温泉 1879(明治12)年創設の別府・竹瓦温泉

やりたいことはなんでもOK。

たとえば箱根なら駅伝中継で見た坂を訪れる、由布院ならアートめぐりをする、などです。城崎温泉や別府温泉など外湯めぐりが名物の温泉地も数多くあります。最初のひとり旅なら、こういった定番の見どころややることがある温泉地を選んで、そこから宿を絞り込むのもおすすめのやり方です。

ただし、あんまり予定を盛り込みすぎないこと。
ひとり旅はきっぷを買ったりチェックインしたりも全部自分でやる必要があります。旅の目的が「ゆったり過ごす」だったら、やりたいことは一つだけにして、あとは時間が余ったら行く、程度に構えましょう。

ひとりを充実させるアイテムを選ぼう

観光を終えた夕方から夜など、宿ではどう過ごしたらいいだろう?とお悩みの方はいませんか。

おすすめは、ひとり時間を楽しむアイテムを持参すること。スケッチブック、いつか読もうと思っていた本、カメラで撮影した写真を見返すための接続デバイス、お友達に出すための絵葉書とペン……安全のため宿の名前だけ伏せて、SNSに旅報告をするのもいいでしょう。

ちなみに私の場合は旅ノートが必携品です。


山田さんの必需品・旅ノート 山田さんの必需品・旅ノート

行動記録やお金の記録をつける簡単なもので、ついでに手元に残ったきっぷの半券や箸袋なども貼り付けます。

人に見せられるようなものではありませんが、このノートをどんな旅にでも連れていくうち思い出が積み重なっていき、旅先でこれを開くと過去の旅の振り返りもできて、一つの楽しみになります。

ひとり旅を楽しむために心がけたいこと

ちょっと心がけたいのは宿のスタッフとの接し方。

温泉旅館でのひとり客はやっぱり珍しい存在なので、宿の人も気にかけています。チェックインのとき、質問や助けが必要なことがあれば遠慮なく伝えてみましょう。

人手不足で宿も大変、などと報じられていますが、基本的に宿で働く人は接客好き、お客様の笑顔がなによりの元気の源という方が多いです。
「こんにちは」「ありがとう」と笑顔があるだけで、宿の人もひと安心。ひとり旅を気持ちよく完結させるためにも、明るく笑顔でいきましょう。

3.宿選びのポイントは?

温泉宿といっても種類はさまざま。タイプを大きく3つに分けてみます。
あなたの宿の過ごし方の理想は、どれに近いですか?

1. 温泉らしい雰囲気を楽しみつつ柔軟なプランから選びたい

2. 静かなところで地元の人とも触れ合いたい

3. 気楽に過ごしたい


宿主催のイベントに参加するのもあり 宿主催のイベントに参加するのもあり

1を選んだあなたは、「大型旅館」がおすすめです。

団体ツアーで行くような昔ながらのザ・旅館。

いくつもの大浴場や売店があり館内で湯めぐりやショッピングが楽しめます。

施設が大きくゲストも多いので静けさや濃やかなサービスは求めにくいですが、時間を持て余すことはあまりありません。

ひとり旅プランがある宿、部屋食プランがある宿も意外と多く気楽です。


こぢんまりとした宿ならではの交流も期待できるかも こぢんまりとした宿ならではの交流も期待できるかも

2を選んだあなたは、「小規模旅館」がおすすめです。

10室以下程度、家族経営も多い小さなお宿。

長く経営されているところほど温泉や料理など明確なセールスポイントがあり、地域とのつながりも強いのが特徴です。

家族的なおもてなし、特色あるお風呂や料理などその土地らしさを満喫できるおすすめの宿タイプですが、人手が少ないのでひとり旅不可、あるいは季節・曜日限定で受け入れている、というところも多いようです。


ひとりで気ままに温泉を楽しむ ひとりで気ままに温泉を楽しむ

3を選んだあなたは、「温泉のあるホテル」がおすすめです。

大きな温泉街にはたいていある、大浴場を併設したホテル。

客室は洋室または和洋室が多く、ツアーでもよく使われます。食事はビュッフェや専用会場が多く、部屋食はほぼありません。

素泊まりプランもたいていあるので、ひとり旅には利用しやすい宿です。朝食付きのビジネス客中心のホテルや、なかには温泉プールやゲーム施設もあるレジャーホテルもあり、1日館内で遊べます。

ちなみに、人目が気になるという方は大勢のゲストに紛れられる1や3の大きな宿がおすすめです。
アメニティや設備、食事会場など細かいことが気になるという方は、以前ツアーなどで訪れたことのあるお宿を再訪するのもストレスが少なくおすすめです。

4.はじめてのひとり温泉はチェーン系ホテルが安心

はじめての方におすすめなのがチェーン系の宿。

たとえば夜鳴きそばなどのサービスが人気の宿には温泉付きの施設もありますし、エンタメ要素の強いテーマパーク型の宿も各所にあります。

ビジネス客、ファミリー、ツアーと客層が幅広く、食事つき・素泊まりなどプランが豊富でひとり客も問題なし。全国どこでも同じスタイルのサービスが用意されているので、はじめての土地でも安心して利用できます。

「秘湯でひとりゆったりと」はイメージ上では素敵ですが、アクセスが大変だったり食事場所にも困ったり。はじめてのひとり旅ならそんなに頑張らず、気楽に過ごせるところを選ぶのがストレスのない旅プラン。

ハードルの低いところでひとり温泉デビューすれば、次のひとり温泉へのプランも夢ふくらみます。

気負うことなく、気ままにひとり温泉に出かけよう

温泉は、ひとりならではの楽しさがあります。
同行者に気を使わず、体調や気分にあわせていつでも何度でもタオルを手にぶらりとひとっ風呂。温まった後は即、部屋でゴロンとしてもいいですし、浴衣に下駄で温泉街散策も素敵です。

日本の温泉地は個性豊かな魅力にあふれています。
さあ、ひとり温泉旅に出かけましょう。

文/山田静

編集部からひと言

いかがでしたか。
今までハードルが高いと思っていた温泉宿のひとり旅、じつは自分の時間を大切に過ごせるうってつけの場所ではないでしょうか。

山田さんにならって、ひとりを充実させる旅のアイテムを持っていけば、あとから旅の思い出を振り返る大事な小道具にもなります。

温泉が恋しくなる季節、はじめてのひとり温泉宿に出かけてみてはいかがでしょうか。