トレたび JRグループ協力

2025.05.07ジパング俱楽部小田原駅発、北条氏の築いた相模の城下町を歩く|JR駅発、お手軽1日モデルコース

鉄道を使って、もっと気軽に日本を旅しよう。 日本全国の駅を拠点に、半日から一日で楽しめるモデルコースを紹介します。

小田原は、戦国時代に関東一円を治め、武田や上杉と覇権を争った北条氏のお膝元。かつては総構(そうがまえ)といって、東の酒匂川(さかわがわ)、西の早川を外堀がわりに、その間の住民のいる地域をまるごと城下町とした巨大な城塞都市でした。

関東平野から見ると箱根山の手前にあたるため、江戸時代には東海道の宿場として多くの人が宿泊しました。江戸みやげになる折り畳み式の小田原ちょうちんや、日持ちのするかまぼこはその名残です。そんな江戸の名残を感じながら、城下町を歩きましょう。

  • トップ画像は、小田原城天守閣

東海道新幹線小田原駅からスタート


東京駅から上野東京ラインで1時間20分強、東海道新幹線「ひかり」なら30分強です。東口に駅ビル「ラスカ小田原」があり、その2階からは商業施設「ミナカ小田原」、1階からは地下街「ハルネ小田原」につながるなど、便利です。

西口ロータリーには、小田原北条氏の祖である「北条早雲公像」があります。



 

徒歩約16分(北条早雲公像、北条氏政・氏照の墓所経由/見学時間は含まず)

 

だるま料理店

登録有形文化財の老舗でランチ


社寺を思わせる唐破風入母屋造りの建物 社寺を思わせる唐破風入母屋造りの建物


お座敷の利用は2名から要予約 お座敷の利用は2名から要予約

名物の「天丼セット」 名物の「天丼セット」

1893(明治26)年創業の和食店。現在の建物は、大正時代にブリの大漁によって得た財で建てられた当時一流の職人によるもので、国の登録有形文化財に指定されています。

名物の天丼は特注のごま油で揚げており、衣はかりっと香り高く、身はふわっとやわらか。天つゆは、門外不出の継ぎ足し継ぎ足しで味を守っています。相模湾で水揚げされる魚介を中心に用いた刺身の定食も人気。歴史を感じる、贅(ぜい)を尽くした文化財で食べる小田原の味は格別です。


問い合わせ先 0465-22-4128
時間 食堂11~20時、お座敷11時30分~19時
定休日 水曜・1月1~3日
交通アクセス 東海道新幹線小田原駅から徒歩約8分
URL https://darumanet.com/

 

徒歩約8分

 

小田原城

伝統工法で再現された門を抜け登城


二の丸の正門にあたる銅門。土・日曜・祝日10~15時に内部を特別公開 二の丸の正門にあたる銅門。土・日曜・祝日10~15時に内部を特別公開

小田原市制20周年記念事業として再建された天守閣 小田原市制20周年記念事業として再建された天守閣

「だるま料理店」から小田原城へは学橋(まなびばし)から入るのが近道ですが、せっかくならば江戸時代の登城ルートであった馬出門・銅門(あかがねもん)を目指しましょう。古絵図をもとに伝統工法で復元され、威厳に満ちた美しい門の姿を楽しめます。

銅門を抜けると二の丸には「小田原城NINJA館」があります。戦国時代の北条氏を陰で支えたと言われる風魔忍者をモチーフに据え、忍者の存在を学んだり、その技を体験できる施設です。本丸には、甲冑や刀剣などの武具に特化した展示を行なう「常盤木門SAMURAI館」があり、その先に天守閣がそびえます。

天守閣は、江戸時代に造られた雛型や引き図(宝永年間の再建の際に作られた模型や設計図)をもとに1960(昭和35)年に外観復元され、内部は小田原の歴史を伝える資料の展示施設となっています。標高約60メートルの最上階からは相模湾が一望でき、よく晴れた日には房総半島まで望むことができます。


問い合わせ先 0465-22-3818
時間 9時~16時30分(時期で変動)、小田原城址公園は入園自由
定休日 12月第2水曜・12月31日~1月1日
交通アクセス 東海道新幹線小田原駅から徒歩約10分
値段 天守閣単独券510円、「常盤木門SAMURAI館」との共通券610円。「小田原城NINJA館」は別途310円
URL https://odawaracastle.com

 

徒歩約3分

 

報徳二宮神社

“手本とすべき努力の人”を祀る


創建は1894(明治27)年。神明造の拝殿は1909(明治42)年の改築 創建は1894(明治27)年。神明造の拝殿は1909(明治42)年の改築

かつては学校の校庭によくあった二宮金次郎像 かつては学校の校庭によくあった二宮金次郎像

かつて多くの学校の校庭に、背中に薪を背負い読書しながら歩く姿の二宮金次郎像がありました。その二宮金次郎(尊徳)は相模国栢山(かやま)村(今の小田原市栢山)の生まれで、没落した家のために一生懸命勉強し働き一家を再興。さらに、小田原藩の財政再建をはじめ、北関東から東北における各藩の農村復興事業で素晴らしい成果をあげるなど、広く社会に貢献しました。

そんな尊徳翁を祭神として創建されたのがこちらの神社。拝殿の礎石には天保の大飢饉の際、小田原藩主の命により尊徳翁が小田原城内の米蔵を開き米が人々の手に渡ったことにより、小田原11万石の領内からは1人の餓死者も出さずにすんだという、その米蔵の礎石が用いられています。

小田原城址公園を出てすぐのところに、尊徳翁の功績を紹介する「報徳博物館」があるので、あわせて見学するといいでしょう。


問い合わせ先 050-1721-2868
時間 6~18時(時期で変動)
交通アクセス 東海道新幹線小田原駅から桃源台行きほか箱根登山バス約4分の箱根口下車すぐ
URL https://www.ninomiya.or.jp/

 

徒歩約7分

 

ういろう

一子相伝で伝える薬とお菓子


白砂糖・抹茶・小豆・黒砂糖、各1棹864円 白砂糖・抹茶・小豆・黒砂糖、各1棹864円


城郭のように重厚な「ういろう本店」 城郭のように重厚な「ういろう本店」

本店は「外郎博物館」(入館無料)を併設 本店は「外郎博物館」(入館無料)を併設

約650年前に日本に帰化した外郎(ういろう)家は、初祖が大陸から持ち込んだ家伝薬を京都で作り始めましたが、応仁の乱により京都の治安が悪化した際、伊勢新九郎盛時(のちの北条早雲)に誘われて五代目の時に小田原に移住。妙薬により領民の健康を守り、薬はいつしか家名にちなみ「薬のういろう」と呼ばれるようになりました。

一方、「お菓子のういろう」は、京都の朝廷に外交役として仕えた二代目が、大陸から来た外国使節団の接待のためみずから考案したもの。黒糖と米粉を練って蒸した菓子はやさしい甘さともっちりした食感が評判となり、「お菓子のういろう」として、こちらも家名が愛称となっています。

歌舞伎の演目「外郎売」の題材にもなった「薬のういろう」と「お菓子のういろう」は、今も変わらず販売されています。


問い合わせ先 0465-24-0560
時間 10~17時
定休日 水曜・第3木曜・12月31日・1月1日
交通アクセス 東海道新幹線小田原駅から徒歩約15分
URL https://www.uirou.co.jp/

 

徒歩約4分

 

かまぼこ通り

名店のかまぼこを食べ歩き!


老舗の佇まいを今に伝える「籠淸」 老舗の佇まいを今に伝える「籠淸」


季節ごとの花かまぼこ(梅・あやめ・紫陽花・朝顔・柿・さざんか) 季節ごとの花かまぼこ(梅・あやめ・紫陽花・朝顔・柿・さざんか)

籠淸の店頭で注文を受けてから揚げる「揚げかまぼこ」 籠淸の店頭で注文を受けてから揚げる「揚げかまぼこ」

相模湾沿いの小田原は豊富な漁場に恵まれ、かまぼこや干物、削り節などの水産加工業の集積地として栄えました。小田原城から海側に足を運べば、老舗の蒲鉾店や干物を扱う店が並び、小田原市本町の旧東海道と千度小路一帯は「かまぼこ通り」と呼ばれています。衰退の兆しが見えた時期もあったものの、「小田原かまぼこ通り活性化協議会」を立ち上げて各店が協力し、通りの活性に努めています。

1814(文化11)年創業の「籠淸(かごせい)」は代表的な老舗のひとつ。定番の板付蒲鉾はもちろん、季節の花の絵柄の「花かまぼこ」も要チェックです。店頭で「揚げかまぼこ」を揚げているので、食べ歩きも楽しめます。


問い合わせ先 店舗により異なる(籠淸は0465-23-4530)
時間 店舗により異なる(籠淸は9~17時)
定休日 施設により異なる(籠淸は1月1日休)
交通アクセス 東海道新幹線小田原駅から箱根関所跡行き伊豆箱根バス約3分の幸町下車、徒歩約3分
URL https://www.odawarakamabokodori.com/

徒歩約4分

御幸の浜

トンネルの先に広がる海が印象的


トンネルの前後には防潮扉が設置されています トンネルの前後には防潮扉が設置されています

眺望のいいさわやかな海辺 眺望のいいさわやかな海辺

1873(明治6)年に明治天皇と皇后が地引網をご覧になったのが名の由来。伊豆半島や三浦・房総半島も見わたせ、海辺の散策などが絶好です。

浜の眺望もさることながら、近年、“映えスポット”として人気なのが「海へと続くトンネル」。海沿いを走る西湘バイパスの高架下に23カ所、高架を抜けるトンネルが設けられており、無機質なコンクリートのトンネルの向こうに広がる青い海の光景がフォトジェニックです。


問い合わせ先 0465-20-4192(小田原市観光協会)
時間 散策自由
交通アクセス 東海道新幹線小田原駅から桃源台行きほか箱根登山バス約4分の御幸の浜下車、徒歩約5分
URL https://www.odawara-kankou.com/spot/spot_area/miyuki.html

徒歩約5分、バス約4分

東海道新幹線小田原駅ゴール!!


ひと足延ばして 小田原攻めの鍵となった歴史の地へ

天下統一を目前にした豊臣秀吉が小田原を攻める際、本陣として築いたのが小田原の西側、早川の先にある石垣山一夜城です。秀吉は築城にあたり、塀や櫓(やぐら)の骨組みに白紙を貼って白壁のように見せかけ、一夜のうちに城ができたように思わせ、敵の士気を低下させたと伝わります。

現在城跡は公園になっています。秀吉がここから見下ろしたのと同様、小田原城を望みましょう。相模湾の眺めも秀麗です。東海道本線早川駅から徒歩約50分(坂道)。

紹介スポット一覧マップ


スケジュールの一例
(9:33発)

(東京駅)

  • (東海道新幹線「ひかり」)
(10:06着)

(小田原駅)

10:10頃

小田原駅

  • 「北条早雲公像」「北条氏政・氏照の墓所」「だるま料理店」「小田原城」「報徳二宮神社」「ういろう」「かまぼこ通り」「御幸の浜」
16:34発

御幸の浜バス停

  • 箱根登山バス
16:53着

小田原駅

(17:14発)

(小田原駅)

  • (東海道新幹線「こだま」)
(17:48着)

(東京駅)

文/赤城はるな 写真/小田原市観光協会

  • 記事中の情報は2025年5月時点のものです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。