2024.04.24ジパング俱楽部長崎・世界遺産巡礼の道でキリシタンの歴史に想いを馳せる|モデルコース
長崎県長崎市
2024年に世界遺産登録20周年を迎える「熊野古道」を中心に、古道歩きが注目されています。編集部では、日本各地にある古道のなかから、気軽に歩ける古道歩きのモデルコースを紹介します。
ウォーキングで心身ともにリフレッシュしましょう。
世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」ゆかりのスポットを歩いてめぐる「世界遺産巡礼の道」。
今回のルートでは、キリシタン関連の史跡や資料館を訪れながら、江戸時代の禁教期に密かにキリスト教の信仰を守り続けた潜伏キリシタンの歴史を辿ります。
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世界遺産巡礼の道とは?
世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、厳しい弾圧に耐えながら、禁教下で約250年にわたり信仰を貫いた潜伏キリシタンの歴史を伝える貴重な遺産。
長崎と天草地方には、構成資産以外にも、世界文化遺産の歴史的背景への理解が深まる史跡や資料館などが多数存在しています。
これらの歴史を物語るスポットをめぐるルートが「世界遺産巡礼の道」。5つのエリア・全35の巡礼路で構成される総延長約468キロの道です。
今回歩くコースの基本データ(旧県庁舎跡地(岬の教会跡)~平和公園停留場)
歩行距離 | 約5キロ |
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歩行時間 | 約1時間30分 |
問い合わせ | 095-895-2762(長崎県文化振興・世界遺産課) |
スタート地点までのアクセス | 西九州新幹線長崎駅から徒歩約15分 |
URL | https://oratio.jp/pilgrimage |
- ※歩行距離・歩行時間は目安です。拝観、休憩時間などは含みません。
最寄り駅は、西九州新幹線長崎駅
2022年9月に開業した西九州新幹線と、JR長崎本線の終着駅。駅前には長崎観光に便利な長崎電気軌道が走り、アクセスも良好です。
2024年3月には長崎駅直結の商業施設「アミュプラザ長崎本館」がリニューアルするなど、駅周辺の整備が着々と進んでいます。
旧県庁舎跡地(岬の教会跡)からスタート!
現在は石碑や案内板が往時を伝えるのみ
フィゲイレド神父が建設したサン・パウロ教会(岬の教会)や日本イエズス会本部、コレジヨ(司祭を目指す神学生の寄宿学習施設)があった場所。
1614(慶長19)年の禁教令により破壊されました。長崎海軍伝習所や長崎奉行所西役所、四代にわたる県庁舎の跡地でもあります。
サント・ドミンゴ教会跡
全国でも珍しい江戸時代初期建築の教会遺跡
長崎市立桜町小学校の一角にあります
1609(慶長14)年にモラーレス神父らによって建設され、禁教令の発布によりわずか5年で破壊されたサント・ドミンゴ教会の跡地。
旧勝山小学校の建て替え工事に伴い、1995年から行なわれた発掘調査で、石組地下室や石畳、排水溝などの遺構のほか、花十字紋瓦(はなじゅうじもんがわら)やメダイ(※)など大量の遺物が出土しました。
- ※キリスト教ゆかりの宗教的な絵が刻まれたもので、キリスト教信者が信仰の証として身につけていたもの
用途不明の大型石組地下室などを展示
教会解体後に200年以上続いた代官屋敷時代の建物礎石(そせき)や井戸などとともに、「勝山町遺跡」として発掘当時のまま保存・展示されています。
問い合わせ先 | 095-829-4340 |
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時間 | 9~17時 |
定休日 | 月曜・年末年始 |
交通アクセス | 西九州新幹線長崎駅から徒歩約13分 |
値段 | 無料 |
URL |
https://www.city.nagasaki.lg.jp/shimin/190001/192001/p000835.html |
長崎奉行所の跡地に立つ「長崎歴史文化博物館」。江戸時代から近代にかけての長崎の海外交流に関する歴史を紹介しています。
長崎奉行所を復元した建物にも注目。
フランシスコ会司祭のバウチスタが建設した壮大な教会「サン・ジョアン教会跡」。禁教令により破壊されました。
住民のために建てられたサン・ラザロ病院が隣接していました。
日本二十六聖人記念館(西坂公園)
ザビエルの書簡や禁教期の貴重な史料を展示
二十六聖人の等身大ブロンズ像が並ぶ記念碑
小高い丘にある「西坂公園」は、豊臣秀吉のキリスト教禁止政策により26人の宣教師と信徒(二十六聖人)が処刑された場所。バチカンが認めるカトリック教徒の公式巡礼地でもあります。
館内ではザビエル神父像がお出迎え
公園内の「日本二十六聖人記念館」では、キリスト教の伝来から迫害・殉教、信仰の復活まで、フランシスコ・ザビエル来日以降の日本のキリスト教の歴史を時系列で紹介。
潜伏キリシタンが密かに信仰していた絵画「雪のサンタマリア」や踏み絵と同型の銅板「ピエタ」など、貴重な史料が多数展示されています。
問い合わせ先 | 095-822-6000 |
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時間 | 9~17時 |
定休日 | 年末年始 |
交通アクセス | 西九州新幹線長崎駅から徒歩約5分 |
値段 | 500円 |
URL |
明治時代に開かれた「坂本国際墓地」。スコットランド出身の貿易商、トーマス・グラバーをはじめ、日本の近代化に貢献した外国人が眠ります。
グラバー家の長男、倉場富三郎の墓もあります。
「浦上街道」の案内板を目印に
山王神社
原爆の脅威を物語る2本の被爆クスノキ
被爆クスノキは推定樹齢500〜600年の巨木
浦上街道沿いにある神社。爆心地から南東約800メートルの場所に位置し、原爆で被爆。社殿は跡形もなく崩れ、境内のクスノキは大半が焼けたものの、数カ月後に芽が出て豊かな緑を取り戻しました。
一本柱鳥居(二の鳥居)。左半分も近くに保存されています
1950(昭和25)年に再建された社殿
また、爆風で片方の柱だけが残った一本柱鳥居(二の鳥居)は国史跡「長崎原爆遺跡」のひとつ。2本の被爆クスノキとともに、神社のシンボル的存在です。
問い合わせ先 | 095-844-1415 |
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時間 | 8時30分~16時 |
交通アクセス | 長崎本線浦上駅から徒歩約10分 |
URL |
「浦上キリシタン資料館」。大規模なキリシタン検挙事件「浦上四番崩れ」など、浦上地区の隠れキリシタンと原爆の歴史を紹介しています。
入場無料。
たくさんの坂があります
浦上天主堂
潜伏終了後、約30年の歳月をかけて築造
高台にそびえる赤レンガ風の天主堂
1925(大正14)年、東洋一の大きさを誇るレンガ造りのロマネスク様式大聖堂として完成。信徒たちが約30年の歳月をかけて築造しました。
原爆で全壊したため、1959(昭和34)年に再建。その後、1980(昭和55)年に赤レンガ風の往時の姿に復元されました。双塔のうち右塔には爆風に耐えた「アンジェラスの鐘」が設置されています。
問い合わせ先 | 095-844-1777 |
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時間 | 9~17時 |
定休日 | なし |
交通アクセス | 長崎本線浦上駅から徒歩約1分の浦上駅前から長崎電気軌道1または3系統約5分の平和公園下車、徒歩約8分 |
値段 | 無料(献金箱に寄付) |
URL |
平和公園
平和祈念像は長崎のシンボル的存在
平和祈念像
展望台「天主堂の見える丘」からの眺め
1955(昭和30)年、原爆落下中心地に整備された都市公園。戦争の悲惨さや世界平和の大切さを伝えます。高さ約9.7メートル、重さ約30トンの平和祈念像や、水を求めながら亡くなった原爆犠牲者の冥福を祈る平和の泉などがあります。
平和公園停留場ゴール!
お疲れ様でした!
世界遺産巡礼の道を歩いたら立ち寄りたい! 編集部おすすめスポット
大浦天主堂
世界に称賛された「信徒発見」の舞台
正式名は「日本二十六聖殉教者聖堂」
世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつ。
1865(元治2)年、浦上地区の十数人の潜伏キリシタンがプティジャン神父に信仰を告白。約250年にわたる弾圧に耐え信仰を守り続けたことが世に知れわたった「信徒発見」の舞台となり、当時は“世界宗教史上の奇跡”として称賛されました。
現存する日本最古の木造教会で、国宝に指定されています。
問い合わせ先 | 095-823-2628 |
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時間 | 8時30分~17時30分(11~2月は~17時) |
定休日 | なし |
交通アクセス | 西九州新幹線長崎駅から徒歩約3分の長崎駅前から長崎電気軌道1系統約7分の新地中華街下車後、5系統に乗り換え約7分の大浦天主堂下車、徒歩約5分 |
値段 | 1000円 |
URL | https://oura-church.jp/ |
紹介スポット一覧マップ
- ※マップは大まかな道を示したものです。
文/佐藤 史 写真/玉村恵理子
- ※記事中の情報は2024年4月時点のものです。
- ※列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
- ※店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
- ※同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。
- ※新型コロナウイルス感染症等の影響により、掲載している内容が変更となる可能性があります。お出かけの際は事前にご確認ください。