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2026.03.25ジパング俱楽部三角駅から行く世界遺産「明治日本の産業革命遺産」|駅から世界遺産

熊本県

歴史や文化など知的好奇心を満たしてくれる世界遺産のなかでも、JR駅から比較的アクセスしやすいところを厳選して紹介します。

九州エリアで訪れたいのは、宇土(うと)半島の先端、有明海と不知火海(しらぬいかい)(八代海)に囲まれた三角ノ瀬戸(みすみのせと)に位置する三角西港(みすみにしこう)。

1887(明治20)年に築港され、近代湾港都市として発展しました。明治時代の洋館や石積埠頭(ふとう)などが現存し、異国情緒溢れる港を散策しませんか。



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世界遺産「明治日本の産業革命遺産」とは?

近代港湾都市として明治時代に繁栄


穏やかな三角ノ瀬戸。宇土半島と天草諸島を結ぶ、天城橋と天門橋(天草一号橋)が並んで架かります

山と島に囲まれた三角ノ瀬戸の三角西港。波穏やかで水深が深く、暴風波浪の影響が少ないなどの自然条件から明治政府が港建設地に選定し、オランダ人水理工師ローウェンホルスト・ムルドルが設計を担当。山を切り開き、海を埋め立てて築造され、1887(明治20)年に開港しました。

開港後は九州の主要貿易港となり、1889(明治22)年には国の特別輸出港に指定。米や麦、麦粉、硫黄などを海外へ輸出し、九州の物流拠点として繁栄しました。三池炭鉱(福岡県大牟田市・みやま市・熊本県荒尾市)の石炭を輸出する役割も担い、日本の近代化に貢献しました。

港内に郡役所や簡易裁判所、警察署、税関などの公的機関が置かれたことも特筆すべき点。貿易港としてだけでなく、行政・司法機能を備えた近代港湾都市へと発展しました。

ムルドルが設計し、約13万人といわれる天草の石工集団が施工した石積埠頭や排水路、石橋などが、ほぼ原形のまま現存。西欧と日本の技術が融合した貴重な歴史的遺産として国重要文化財に指定されています。国登録有形文化財の旧三角海運倉庫や旧三角簡易裁判所など築港当時の建物も残り、明治時代の面影を色濃く感じられます。

三角西港は、三池炭鉱で産出された石炭の輸出港としての歴史的・文化的価値が高く評価され、2015年に世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産  製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に登録されました。

三角駅からスタート!


教会をイメージした南蛮風の駅舎

三角線の終着駅。2011年、特急「A列車で行こう」の運行開始に合わせて駅舎がリニューアル。

特急「A列車で行こう」の列車が天草の南蛮文化をテーマにしていることから、三角駅の駅舎も南蛮風の建物に一新しました。特急「A列車で行こう」の列車と同様、工業デザイナーの水戸岡鋭治氏が駅舎のデザインを担当しました。

また、キリシタンの歴史が息づく南蛮文化やイルカウォッチングで知られる天草諸島への玄関口でもあります。特急「A列車で行こう」で三角駅に到着後は、駅舎前の三角港から天草・松島港へ向かう定期航路「天草宝島ライン」が接続運航。移動がスムーズで、天草観光に便利です。


 

車約5分

 

三角西港

明治・大正時代建築のレトロな洋館が立ち並ぶ


築港当時の姿が残る石積埠頭。緻密な石積みと美しい曲線が技術の高さを物語ります

三国港(福井県)、野蒜(のびる)築港(宮城県)とともに明治三大築港のひとつ。全長約756メートルの石積埠頭や4カ所の排水路などがほぼ完全な形で残っており、明治・大正時代建築の洋館や倉庫など往時を偲(しの)ばせる建物が点在。明治三大築港のうち築港当時の姿が残るのは三角西港のみです。

また、国道57号を挟んだ山側にも旧三角簡易裁判所など文化財の建物が現存。高台から三角西港を見下ろせる山側にも足を延ばしてみましょう。

山や海、島々が織り成す景色が風光明媚(めいび)な三角西港は、与謝野鉄幹(よさのてっかん)や北原白秋らによる紀行文『五足の靴』、小泉八雲の紀行文『夏の日の夢』などの文学作品にも登場。三角西港がある三角ノ瀬戸は、2015年に「三角浦の文化的景観」として国重要文化的景観に選定されています。


石積埠頭沿いを散策

明治20年代に建設された回船問屋跡「旧高田回漕店」


三角西港

問い合わせ先 0964-53-1111(宇城市三角支所経済建設課)
時間 公園内見学自由
交通アクセス 三角線三角駅から車で約5分または三角駅から宇土駅前行きほか産交バス約7分の三角西港前下車すぐ
URL https://ukitrip.city.uki.kumamoto.jp/

 

徒歩すぐ

 

浦島屋

小泉八雲の紀行文『夏の日の夢』の舞台になった旅館を復元


コロニアル様式のレトロな洋館

開港時の1887(明治20)年頃に建てられた旅館「浦島屋」を、当時の写真をもとに1993年に復元。コロニアル様式の2階建ての白い洋館は、三角西港のシンボル的存在です。

明治時代、熊本市の第五高等中学校(現・熊本大学)に英語教師として赴任していた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が長崎旅行の帰りに滞在。紀行文『夏の日の夢』のなかで、「その宿屋は、私にとっては極楽のように思われた」と称しています。

当時の旅館は、数メートル離れた現在の「龍驤館(りゅうじょうかん)」がある場所に立地。1905(明治38)年に解体され、中国・大連に移築されました。

現在、館内は休憩スペースとして開放されており、築港工事中や築港後の風景、三角西港を設計したムルドルなど、明治時代の写真が展示されています。


吹き抜け天井の開放的な空間

館内は休憩スペースとして開放されています

2階のバルコニーから三角ノ瀬戸を見わたせます


浦島屋

問い合わせ先 0964-53-0010(JR三角駅観光案内所)
時間 9~17時
定休日 なし
交通アクセス 三角線三角駅から車で約5分または三角駅から宇土駅前行きほか産交バス約7分の三角西港前下車すぐ
URL https://ukitrip.city.uki.kumamoto.jp/

 

徒歩約5分

 

法の館(旧三角簡易裁判所)

大正時代から昭和・平成まで70年以上現役で活躍


クラシカルな雰囲気の「法廷」。裁判官席や証言台などがあります

1890(明治23)年に三角西港の東排水路近くに開庁し、1920(大正9)年に山側の現在地へ新築移転した旧三角簡易裁判所。1992年まで現役の裁判所として使用されました。

比較的軽微な民事・刑事事件の第一審が行なわれ、大正時代から昭和にかけての簡易裁判所の様子を伺い知ることができる貴重な建造物です。本館、弁護士等控室、記録倉庫の建物が現存し、いずれも国の登録有形文化財になっています。

現在は本館が「法の館」として整備され、建物内部を一般公開。当時の裁判資料などが展示されています。また、人気映画『るろうに剣心』など、数々の映画やドラマのロケ地としても有名。建物内には映画の撮影風景も紹介されています。


こどもたちが疑似裁判を体験できる「子供法廷室」

「法の館 本館(旧三角簡易裁判所)」(左)


法の館(旧三角簡易裁判所)

問い合わせ先 0964-53-0010(JR三角駅観光案内所)
時間 9~17時
定休日 なし
交通アクセス 三角線三角駅から車で約5分または三角駅から宇土駅前行きほか産交バス約7分の三角西港前下車すぐ
URL https://ukitrip.city.uki.kumamoto.jp/

 

徒歩約5分

 

龍驤館

世界文化遺産や三角西港のガイダンス施設として公開


一部2階建ての洋館。明治時代に旅館「浦島屋」が立っていた場所でもあります

1918(大正7)年、明治天皇頌徳(しょうとく)記念館として建設。公会堂や図書館などに利用されました。「龍驤館」の名前は、1872(明治5)年に熊本藩が献上した軍艦「龍驤」で明治天皇が九州を巡幸した際、激しい風雨を避けて三角港(現在の三角西港)に仮泊したことが由来です。

大正時代らしい趣のある洋館は国登録有形文化財。現在は世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」のガイダンス施設になっており、パネル展示やビデオ上映で三角西港の歴史などを学ぶことができます。


館内は世界文化遺産や三角西港のガイダンス施設になっています

三角西港築港に貢献した熊本県令(のちの県知事)・富岡敬明の胸像


龍驤館

問い合わせ先 0964-53-0010(JR三角駅観光案内所)
時間 9~17時
定休日 なし
交通アクセス 三角線三角駅から車で約5分または三角駅から宇土駅前行きほか産交バス約7分の三角西港前下車すぐ
値段 200円
URL https://ukitrip.city.uki.kumamoto.jp/

 

徒歩すぐ

 

アマテラス珈琲

テラス席が海に面した絶景カフェ


「海老とあさりたっぷりの海鮮トマトパスタ」(サラダ付き)1800円


白壁土蔵造りの「旧三角海運倉庫」を改装

天井が高く、開放感溢れる店内

三角西港築港時の1887(明治20)年頃に荷揚げ倉庫として建てられた白壁土蔵造りの建物で、国登録有形文化財の「旧三角海運倉庫」を改装したカフェ。間近に海が広がるテラス席もあります。運がよければ、三角ノ瀬戸に生息するスナメリの姿を見ることができます。

ランチメニューはハヤシライスやパスタなど洋食が揃います。「海老とあさりたっぷりの海鮮トマトパスタ」は、系列の人気海鮮料理店「海鮮家 福伸」(上天草市)で提供しているパスタにアレンジを加えた一品です。

ドリンクメニューも充実。地元ならではの「デコポンスカッシュ」や「宇城ジンジャーシロップのジンジャーエール」各600円もあります。


テラス席は海を眺めながらゆったり過ごせる特等席


アマテラス珈琲

問い合わせ先 080-9101-5577
時間 10~17時(ランチは11~15時)
定休日 なし
交通アクセス 三角線三角駅から車で約5分または三角駅から宇土駅前行きほか産交バス約7分の三角西港前下車すぐ
URL https://www.instagram.com/amaterasu.coffee/

 

車約5分

 

三角駅ゴール!

     

紹介スポット一覧マップ

文/佐藤 史 写真/玉村恵理子

  • 記事中の情報は2026年3月時点のものです。 
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