トレたび JRグループ協力

2023.06.26ジパング俱楽部日本最北を走る秘境駅の宝庫・宗谷本線5駅をめぐる!【モデルコース】

通勤・通学客がひしめく都会の列車とはまるで違う、秘境を感じる鉄道路線の旅をご紹介します。
この記事では秘境駅訪問家・牛山隆信さんが選んだ秘境駅ランキング50位までに入る駅がいくつもある宗谷本線をご案内。


60代からのJR割引サービス「ジパング倶楽部」

60代からのJR割引サービス「ジパング倶楽部」は、きっぷの割引、JRホテルグループのホテルを優待料金で利用できるなど、魅力的なサービスが満載です。

これだけおトク!の例

札幌駅→音威子府駅=特急「宗谷」で約3時間11分
通常=8560円 3割引=5980円 2580円おトク!
  • 金額は一例です。前後の行程等により金額が異なる場合があります。
  • 通常期の普通車指定席利用の場合です。
  • 入会して最初のご利用から3回目までは運賃・料金は2割引、4回目からは3割引となります。


<1日目>札幌駅からスタート!

↓ 特急「宗谷」で約3時間11分

音威子府駅

北海道でもっとも人口が少ない村の象徴


音威子府駅 音威子府駅

宗谷本線では希少な「有人駅」である音威子府(おといねっぷ)駅。正面に木彫りの駅名板が掲げられています。
音威子府村は2023年5月時点で人口662人と、北海道で一番人口が少ない村です。
にもかかわらず音威子府駅の駅舎は堂々と大きく、みどりの窓口もある有人駅。

駅舎の中にはかつて音威子府駅で宗谷本線から分岐し、南稚内駅までつないでいた天北線にまつわる資料などを展示する天北線資料室が無料公開されています。


音威子府駅ホームには木工芸が盛んな音威子府村らしい丸太のオブジェを設置

駅舎内にある天北線資料室。ジオラマや鉄道資料など見ごたえたっぷり

↓ 音威子府駅から徒歩約3分

道の駅おといねっぷ

駅近の道の駅で名物ラーメンを味わう


「道の駅おといねっぷ」内「食堂天北龍」の「常盤ラーメン(しょうゆ)」870円。手作りのほっとする味わいです 「道の駅おといねっぷ」内「食堂天北龍」の「常盤ラーメン(しょうゆ)」870円。手作りのほっとする味わいです

はちみつ味やよもぎ味などユニークな味を展開する「音威子府羊羹」や木工芸品といった村の逸品が手に入る「道の駅おといねっぷ」。
中に入る「食堂天北龍(てんぽくりゅう)」のラーメンが、道内をツーリングするライダーたちの間などで評判を呼び、わざわざ遠方から訪れる人もいるほどです。
もともとラーメン店を営んでいた職人の伊藤英樹さんが作る「常盤ラーメン」は、利尻・三石・厚岸の3種類の昆布やげんこつ、鶏ガラ、サバ節などからスープをていねいに手作り。

新発売の生そばは売店でおみやげとして好評です。
2021年に閉店した音威子府駅のそば店で出していた“黒いそば”を懐かしむ声が多いものの、そのレシピは再現できないため、音威子府産のそば粉をブレンドした香り高いそばを開発したものです。


ラーメン職人の伊藤さん。麺は北海道産の小麦を使用しています ラーメン職人の伊藤さん。麺は北海道産の小麦を使用しています

生そば「マルシチ」2.5人前756円は開発に時間をかけた自信作 生そば「マルシチ」2.5人前756円は開発に時間をかけた自信作


道の駅おといねっぷ

問い合わせ先 01656-5-3111
時間 9時30分〜17時(10〜3月は〜16時、食堂は11時〜13時30分、売り切れしだい終了)
定休日 火曜(10〜3月は第2・4月曜も)・年末年始
交通アクセス 音威子府駅から徒歩約3分

「道の駅おといねっぷ」の詳細はこちら


↓ 徒歩約3分の音威子府駅から宗谷本線約10分

天塩川温泉駅

赤い屋根が印象的な、温泉宿への玄関口


屋根の形が特徴的な天塩川温泉駅

短い木製のホーム、中央がツンと尖った赤い屋根の駅舎。
温泉宿泊施設「天塩川(てしおがわ)温泉」への最寄り駅ですが、駅前には商店はおろか民家もありません。

1日4往復の列車が通る時以外、静かな時間が流れています。

↓ 徒歩約10分

天塩川温泉

天塩川のほとりに湧く


自然豊かな川沿いの湯に癒やされます 自然豊かな川沿いの湯に癒やされます

住民保養センターとして1989年に開業した温泉宿。泉質はナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・塩化物泉で、メタホウ酸を多く含んでおり、湯上がりの肌がすべすべと滑らかに感じます。
食事や日帰り入浴だけで利用する地元の人の姿もちらほら。

現在はほとんどのお客が車で訪れるそうですが、道北地域で育った支配人の田村武さんは「昔は列車で観光に来る人も多かったんですよ。僕はのんびり出かける列車の旅も好きなので、今でもときどき乗っています」と話していました。


温泉水を使ったコシの強い「源泉そば」が付く夕食の一例

親しみやすく接客していた田村さん。売店には地域のみやげも揃います 親しみやすく接客していた田村さん。売店には地域のみやげも揃います


天塩川温泉

問い合わせ先 01656-5-3330
交通アクセス 天塩川温泉駅から徒歩約10分
値段 1泊2食8900円〜

泉質       ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・塩化物泉


「天塩川温泉」公式サイト

<2日目>天塩川温泉

↓ 徒歩約10分の天塩川温泉駅から宗谷本線約1時間12分

糠南駅

ポツンと小さな駅ながら地域の愛情を感じる


牧場の脇に設置された糠南駅。短い板張りのホームのそばに小さな待合所が置かれています 牧場の脇に設置された糠南駅。短い板張りのホームのそばに小さな待合所が置かれています


駅を訪れた思い出、クリスマスの思い出が残されている待合所 駅を訪れた思い出、クリスマスの思い出が残されている待合所

物置を改造した待合所の中には、腰掛け代わりのビールケースと、訪れた人がメッセージを書き残す「糠南(ぬかなん)駅ノート」、そしてサンタクロースの帽子。
ここは幌延町が維持管理する駅のひとつで、秘境駅を活用した町おこしとして冬には「クリスマスパーティーin糠南」が行なわれているのです。

普段は周囲に牧場が広がっているだけの、のどかな駅。やってきた列車に乗降客はなく、また静かに去って行きました。

↓ 宗谷本線約48分

筬島駅

廃校跡のアトリエ近くに佇む


貨車を使った駅舎。中はレトロな雰囲気が残っています 貨車を使った駅舎。中はレトロな雰囲気が残っています

筬島(おさしま)駅は音威子府村が維持管理する無人駅で、国鉄時代の貨車を改造した駅舎が、修繕しながら大切に利用されています。

駅から徒歩3分ほどの旧・筬島小学校は、アイヌの彫刻家・砂澤ビッキのアトリエだった場所。
「エコミュージアムおさしまセンター」(愛称・BIKKY〈ビッキ〉アトリエ3〈さん〉モア)として、貴重な作品が収蔵されています。


↓ 地域バス約10分の音威子府駅下車後、宗谷本線に乗り換え約1時間45分

下沼駅

秘境駅キャラクターが描かれた駅舎


貨車を再利用した駅舎は幌延町(ほろのべちょう)によるプロジェクトで町の秘境駅キャラクターが描かれています 貨車を再利用した駅舎は幌延町(ほろのべちょう)によるプロジェクトで町の秘境駅キャラクターが描かれています


下沼駅の中。寒い時期は雪風をしのげる駅舎のありがたさを感じます 下沼駅の中。寒い時期は雪風をしのげる駅舎のありがたさを感じます

駅舎に描かれたキャラクターは、下沼駅に棲(す)みつく妖怪「ぬまひきょん」。
4駅を維持管理する幌延町では糠南、下沼、南幌延、雄信内それぞれに「秘境駅キャラクター」を設定し、秘境駅を地域の宝として盛り上げています。

駅前には昭和中期から自噴する湧水「サロベツ権左衛門」があり、無料でおいしい水を汲むことができます。

↓ タクシー約20分

  • 下沼駅からタクシーで行く場合は配車の予約が必須です(天塩ハイヤー幌延本店〈01632-5-2114〉)。

豊富温泉

珍しい“油が浮く”温泉体験


表面に浮かぶ油分がとろりと肌を覆い、浴後は保湿クリームを塗ったような感覚に 表面に浮かぶ油分がとろりと肌を覆い、浴後は保湿クリームを塗ったような感覚に


「ニュー温泉閣ホテル」の内湯大浴場 「ニュー温泉閣ホテル」の内湯大浴場

ニュー温泉閣ホテルでは上坂さん家族と親しみやすいスタッフが迎えてくれます ニュー温泉閣ホテルでは上坂さん家族と親しみやすいスタッフが迎えてくれます

北海道に数ある温泉のなかでも異色の湯として珍重されている豊富(とよとみ)温泉は、原油を含む泉質。
表面にうっすらと浮いた油が肌を包み、アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)によいとされています。

「ニュー温泉閣ホテル」をはじめとした温泉宿のほか、日帰り入浴施設や長期滞在向け宿泊施設もあり、秘境駅めぐりとともに湯治を楽しむのもいいでしょう。

  • 下沼駅からタクシーで行く場合は配車の予約が必須です(天塩ハイヤー幌延本店〈01632-5-2114〉)。

ニュー温泉閣ホテル

問い合わせ先 0162-82-1243
交通アクセス 宗谷本線豊富駅から車で約10分。豊富駅から送迎あり(宿泊者のみ、要予約)。
値段 1泊2食9280円~

<3日目>豊富温泉

↓ タクシーまたは送迎車約10分の豊富駅から特急「サロベツ」約3時間7分の旭川駅下車後、特急「ライラック」約1時間25分

札幌駅ゴール!

スケジュールの一例


<1日目>
7:30発

札幌駅

  • 特急「宗谷」
10:41着

音威子府駅

  • 「道の駅おといねっぷ」
13:12発

音威子府駅

  • 宗谷本線
13:22着

天塩川温泉駅

  • 「天塩川温泉」泊

<2日目>
8:54発

天塩川温泉駅

  • 宗谷本線
10:06着

糠南駅

12:11発

糠南駅

  • 宗谷本線
12:59着

筬島駅

14:40発

3モア

  • 地域バス
14:50着

音威子府駅

17:02発

音威子府駅

  • 宗谷本線
18:47着

下沼駅

  • タクシーで豊富温泉泊

<3日目>
13:42発

豊富駅

  • 特急「サロベツ」
16:49着

旭川駅

17:00発

旭川駅

  • 特急「ライラック」
18:25着

札幌駅

紹介スポット一覧マップ

文・写真/春日明子

  • 記事中の情報は2023年6月時点のものです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。
  • 新型コロナウイルス感染症等の影響により、掲載している内容が変更となる可能性があります。お出かけの際は事前にご確認ください。

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