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2023.03.20ジパング俱楽部ジパング会員が選ぶ、地元おすすめの「史跡」ランキング 後編【北陸・近畿・中国・四国・九州エリア】

※トップ画像は「岡山後楽園」


西日本・四国・九州エリアの、地元おすすめ「史跡」ランキング

北海道から九州まで、ジパング倶楽部会員様からのおすすめをもとにしたエリア別ランキングを一挙公開!
2023年3月号の特集「ジパング倶楽部会員様が選んだ 地元のおすすめ、教えます!」で紹介しきれなかったおすすめ物件を大発表します!

こちらでは、北陸・近畿・中国・四国・九州エリアのランキングをご紹介します。



北陸エリア 史跡ランキング

北陸エリア(富山県・石川県・福井県)のベスト10を紹介します。

1位は、加賀百万石の大名庭園「兼六園」(石川県金沢市)


冬の兼六園。手前に見えるのは兼六園のシンボル「徽軫(ことじ)灯籠」 冬の兼六園。手前に見えるのは兼六園のシンボル「徽軫(ことじ)灯籠」

日本三名園のひとつで国の特別名勝。加賀藩五代藩主・前田綱紀が別荘を建て、周辺を庭園としたのが始まりとされます。歴代藩主により長い年月をかけて形作られた広大な園内にはもっとも大きな霞ヶ池を中心に築山や茶屋などが点在し、回遊を楽しめます。

「雪化粧された風景は絶景」と会員様からのコメントがあるように、雪国ならではの「雪吊り」の景色が美しく、定期的にライトアップもされます。


2位は、曹洞宗の大本山「永平寺」(福井県永平寺町)


永平寺唐門 写真/大本山永平寺 永平寺唐門 写真/大本山永平寺

永平寺は、1244(寛元2)年、道元禅師が坐禅修業の道場として創建した曹洞宗の大本山です。多くの僧侶が坐禅修業をしており、七堂伽藍は樹齢500年を超える杉に囲まれ静寂な雰囲気が漂います。

日帰りもしくは1泊2日の修行体験が可能で、とくに毎朝行なわれている朝のおつとめ(朝課諷経)は修行僧とともにお経を唱えることができ、荘厳な雰囲気を体感することができます。


3位は、富山県初の国宝となった「瑞龍寺」(富山県高岡市)


瑞龍寺の仏殿 瑞龍寺の仏殿

加賀藩二代藩主・前田利長の菩提を弔うため、三代藩主・利常によって建立された曹洞宗の寺院。山門、仏殿、法堂が江戸時代を代表する禅宗寺院建築の傑作との評価を受け、1997年に国宝に指定されました。

回廊で結ばれた伽藍は独特の景観をつくりだしており、会員様からは「端正で静謐な雰囲気の佇まい」「心が休まり、癒やされる」といった声があがりました。


4~10位はこちら

4位は、一乗谷朝倉氏遺跡(福井県福井市)
5位は、富山城(富山県富山市)・丸岡城(福井県坂井市)
6位は、金沢城(石川県金沢市)
7位は、白山平泉寺(福井県勝山市)
8位は、五箇山の合掌造り集落(富山県南砺市)
9位は、高岡古城公園(富山県高岡市)・日石寺(富山県上市町)


編集部からのひとこと

加賀藩のゆかりの地が上位となる結果となりました。一方4位の一乗谷朝倉氏遺跡は、ジパング倶楽部2022年12月号で取り上げました。2022年に「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館」がオープンするなど、盛り上がっています!


近畿エリア 史跡ランキング

近畿エリア(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)のベスト10を紹介します。

1位は、太閤秀吉による「大阪城」(大阪府大阪市)


町なかに佇む大阪城 町なかに佇む大阪城

地元民から圧倒的な票を得たのが大阪城。豊臣秀吉によって1585(天正13)年に天守が築かれました。会員様からは「太閤さんのお城」など、秀吉を慕うコメントが目立ちました。

現在の天守は三代目のものですが、現在、初代石垣を掘り起こす「豊臣石垣公開プロジェクト」が進められています。石垣が公開されれば、これまで以上に夢が感じられるはずです。


2位は、白亜の世界遺産「姫路城」(兵庫県姫路市)


姫路城の桜の見頃は例年3月下旬~4月上旬 写真/姫路市 姫路城の桜の見頃は例年3月下旬~4月上旬 写真/姫路市

1993年、日本で初めて世界文化遺産に登録された白鷺城こと姫路城。

1346(貞和2)年に赤松貞範によって初めて築城されたと言われているこの城は、豊臣秀吉や池田輝政により 幾度か姿を変え、現在の姿となったのは1609(慶長14)年のことでした。その美的完成度がわが国の木造建築の最高の位置にあると評価され、日本初の世界文化遺産に登録されました。

「桜の時期は一段ときれいです」とは会員様からのコメント。姫路城周辺含め、約1600本もの桜が植えられ、一面の桜に真っ白な城壁が映え絶景となります。


3位は、井伊家が築いた「彦根城」(滋賀県彦根市)


彦根城天守 彦根城天守

関ヶ原の戦いののち、徳川家康が家臣の井伊家に命じ、1604(慶長9)年より約20年の歳月をかけて築城された彦根城。江戸時代を通して、彦根藩の政治の拠点となりました。江戸時代の政治の仕組みをよく示しているとして、現在世界遺産登録を目指しています。

会員様からも人気の彦根市のキャラクター「ひこにゃん」は毎日登場。


4~10位はこちら

4位は、竹田城跡(兵庫県朝来市)
5位は、東大寺(奈良県奈良市)
6位は、今城塚古墳(大阪府高槻市)
7位は、明石城(兵庫県明石市)・二条城(京都府京都市)
9位は、仁徳天皇陵古墳(大山古墳・大仙陵古墳、大阪府堺市)
10位は、和歌山城(和歌山県和歌山市)


編集部からのひとこと

1〜4位までが城(跡)で、ベスト10のうちお城はなんと7件がランクイン! また、世界遺産が4件も入る結果となっており、歴史とともに文化財が豊富な近畿地方らしい結果となりました。ジパング倶楽部2021年2月号では、世界遺産を特集したので会員の方はチェックしてみてください。


中国エリア 史跡ランキング

中国エリア(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)のベスト10を紹介します。

1位は、岡山藩の大名庭園「岡山後楽園」(岡山県岡山市)


春の岡山後楽園 写真/岡山後楽園 春の岡山後楽園 写真/岡山後楽園

約300年前、岡山藩二代藩主・池田綱政が家臣の津田永忠に造らせた大名庭園で、日本三名園のひとつ。広い芝生地や池、築山、茶室は園路や水路で結ばれ、春は桜、初夏は茶つみ祭、秋から冬にかけてはタンチョウの園内散策が催されるなど四季折々の風景が楽しめます。

会員様からは「庭と岡山城がマッチして素敵です」と、岡山城と一体となった景色を絶賛する回答が多く、園内からは月見橋を渡って岡山城への観光もできます。


2位は、神の島といわれる「宮島」(広島県廿日市市)


嚴島神社の大鳥居。写真は改修前のもの 写真/広島県 嚴島神社の大鳥居。写真は改修前のもの 写真/広島県

厳島とも呼ばれる宮島は、古くは島全体が御神体として信仰された神聖な島。会員様からは、「満潮時海に浮かぶ嚴島(いつくしま)神社の社殿は世界に類がない景観」など嚴島神社を含めた投票結果となりました。

嚴島神社は世界文化遺産となっており、その優れた建築とともに島全体が文化的景観を成している点が高く評価されています。島のシンボルである大鳥居は約70年ぶりの「令和の大改修」が長らく行なわれていましたが、2022年12月に完了。鮮やかな朱色が蘇(よみがえ)りました。
 


3位は、築城400年を迎えた「福山城」(広島県福山市)


福山城の天守 写真/福山観光コンベンション協会 福山城の天守 写真/福山観光コンベンション協会

2022年、天守閣修復工事が完了し、リニューアルオープンした福山城が話題となり、県民から多くの票を得ました。

福山城は、徳川家康の従兄弟である初代藩主・水野勝成により1622(元和8)年に築城。1945(昭和20)年の福山空襲により焼失してしまいますが、1966年に天守などを復元。

今回の修復では、日本の城で唯一である天守の「鉄板張り」が復元され注目です。この鉄板張りは、敵からの鉄砲や大砲などへの防御力が低かった北側の対策として天守の北側にだけ張られ、珍しい姿となっています。


4~10位はこちら

4位は、瑠璃光寺(山口県山口市)
5位は、旧堀氏庭園(島根県津和野町)
6位は、吉備津神社(岡山県岡山市)・縮景園(広島県広島市)
8位は、錦帯橋(山口県岩国市)・毛利氏庭園(山口県防府市)
10位は、広島城(広島県広島市)


編集部からのひとこと

5位の旧堀氏庭園は、かつて石見銅山で繁栄した銅山師・堀氏による名庭。ジパング倶楽部2022年6月号で紹介しました。また、鳥取県は鳥取市の「鳥取城」と三朝町の「三徳山三佛寺の投入堂」が同票一位でした。


四国エリア 史跡ランキング

四国エリア(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)のトップ10を紹介します。

1位は、「一歩一景」の「栗林公園」(香川県高松市)


春の栗林公園 春の栗林公園

この大名庭園の基礎が築かれたのは江戸時代初期で、100年以上を経て完成しました。明治維新まで高松藩主松平家の下屋敷として使われていた庭園です。

紫雲山を背景に、約75ヘクタールという広い園内には6つの池と13の築山が巧みに配され、会員様からも「後ろの山と一体となって奥行き感があり、心が安らぎます」とのコメントが。「一歩一景」と称されるように、歩くごとに変わりゆく景観が楽しめます。


2位は、日本一小さい天守を持つ「丸亀城」(香川県丸亀市)


高い石垣にそびえる丸亀城 写真/香川県観光協会 高い石垣にそびえる丸亀城 写真/香川県観光協会

1597(慶長2)年、生駒親正・一正によって築かれた丸亀城。1615(元和元)年に廃城となりましたがその後山崎家治が再建し、京極氏へと引き継がれ、現在に至ります。

山頂に立つ3層3階の小さな木造天守は現存12天守のうち、もっとも小さな天守です。高さの合計が約60メートルにもなる四段の高い石垣が美しく、その曲線美は「扇の勾配」と称されます。

「天守に登れば瀬戸内海が一望できる」とは会員様からのコメント。小さい天守とはいえ、その高さから、瀬戸内海を見張る役割を持っていました。


3位は、日本で最後の完全な城郭建築「松山城」(愛媛県松山市)


城山(勝山)にそびえる松山城 城山(勝山)にそびえる松山城

標高132メートルの城山(勝山)の山頂にそびえ立つ松山のシンボル・松山城。1602(慶長7)年豊臣秀吉の家臣・加藤嘉明が築城に着工。

現存12天守のひとつでもあり、姫路城や和歌山城と同じ連立式天守の構造を持ちます。天守、小天守、隅櫓を四方に配し、渡櫓(廊下)でつないだ天守は、建物で仕切られた中庭ができるのが特徴で、攻守の機能に優れています。
 


4~10位はこちら

4位は、北川村「モネの庭」マルモッタン(高知県北川村)
5位は、善通寺(香川県善通寺市)
6位は、今治城(愛媛県今治市)・高松城(香川県高松市)・牧野植物園(高知県高知市)
9位は、臥龍山荘(愛媛県大洲市)・道後温泉本館(愛媛県松山市)


編集部からのひとこと

全国には現存天守が12ありますが、四国にはそのうち4つも残っているというので驚きです。その理由については、「ジパング倶楽部」2021年3月号で歴史学者・小和田哲男先生が答えてくださっています。また、徳島県の1位は三好市の「祖谷のかずら橋」でした。


九州エリア 史跡ランキング

九州エリア(福岡県・佐賀県・熊本県・長崎県・大分県・宮崎県・鹿児島県)

1位は、菅原道真を祀る「太宰府天満宮」(福岡県太宰府市)


太宰府天満宮の楼門 太宰府天満宮の楼門

学問の神として崇められている菅原道真を祀る太宰府天満宮。全国の天神さまの総本宮です。

社殿は、菅原道真が埋葬された地に祀廟が創建されたのち、919(延喜19)年に建立。本殿の前には、菅原道真を慕って京都から一夜で飛んできたと伝わる「飛梅」があり、毎年2月中旬に梅の花を咲かせています。

さらに、広い境内には天神さまのお使いである牛の像が10体あり、探してみるのも楽しみです。


2位は、熊本県のシンボル「熊本城」(熊本県熊本市)


復旧後の熊本城天守閣 写真/熊本城総合事務所 復旧後の熊本城天守閣 写真/熊本城総合事務所

1607(慶長12)年、築城の名手・加藤清正が築いた熊本城。1877(明治10)年に繰り広げられた西南戦争では約50日間におよぶ籠城戦で、1万人を超える薩摩軍の総攻撃に耐え抜いた、難攻不落の堅城です。

2016年の熊本地震により歴史的建造物や石垣の多くが被災しましたが、2021年には天守閣が復旧しリニューアルオープン。「武者返し」と呼ばれる美しい曲線の石垣などが復活しました。


3位は、琉球文化の影響を受けた「知覧武家屋敷庭園」(鹿児島県南九州市)


知覧武家屋敷庭園 森重堅庭園 知覧武家屋敷庭園 森重堅庭園

知覧武家屋敷庭園とは、江戸時代に薩摩藩が築いた武家屋敷群にある、7つの国指定名勝庭園です。知覧の港が薩摩藩の琉球貿易の拠点だったことから、琉球文化の影響を多く受けているのが特徴です。

ジパング倶楽部ホームページでは、知覧武家屋敷庭園で見つけた見慣れないものをクイズ形式で紹介する「知覧武家屋敷庭園 ナニコレ散策!」を公開中。挑戦してみてくださいね。


4~10位はこちら

4位は、小倉城(福岡県北九州市)
5位は、仙巌園(鹿児島県鹿児島市)
6位は、吉野ヶ里遺跡(佐賀県吉野ヶ里町)
7位は、岡城跡(大分県竹田市)
8位は、福岡城跡(福岡県福岡市)・宗像大社(福岡県宗像市)
10位は、宇佐神宮(大分県宇佐市)・名護屋城(佐賀県唐津市)・富貴寺(大分県豊後高田市)


編集部からのひとこと

4位の小倉城や5位の吉野ヶ里遺跡は、九州をぐるっと一周するJR九州のD&S列車「36ぷらす3」の沿線スポットとしてジパング倶楽部2020年9月号で紹介しました。九州には観光列車が豊富なので、気になる史跡とともに利用するのも楽しいです。

まとめ

「地元のおすすめの『史跡』」に投票してくださった会員のみなさま、ありがとうございました。
北海道・東北・関東・甲信越・東海エリアのランキングは下記ページで紹介しているのでこちらもご覧ください。
【北海道・東北・関東・甲信越・東海エリア編】はこちら

会員誌3月号とこのランキングで、訪れてみたい史跡を見つけてくださいね!

  • 文/ジパング倶楽部編集部

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