2025.09.25ジパング俱楽部ジパング倶楽部会員が選んだ、行ってよかった城ランキング|中国エリア
中国エリアの「行ってよかった城」ランキング
会員誌2025年5-6月号で質問した「今までに行ってよかったと感じた日本の城はどこですか?」のアンケート結果を北海道から九州までエリア別に発表!
城郭ライター・萩原さちこさんに、ジパング倶楽部会員様が選んだ中国エリアのベスト3の城の見どころと登城ポイントを解説してもらいます。
解説は城郭ライター 萩原さちこさん
中国エリアランキング
第1位 松江城
63年ぶり!5つ目の国宝天守
島根県松江市
質実剛健で強く美しい佇(たたず)まいの天守
2025(令和7)年、天守が国宝指定から10周年を迎えました。国宝天守の誕生は63年ぶりでした。質実剛健な天守は現存12天守のうち総床面積が2番目に大きく、どっしりとした佇まい。落ち着いた黒色の壁に、破風(はふ)の曲線美や懸魚(げぎょ)の繊細美が上品な華やぎを添えています。随所に隠された戦闘的な工夫も特徴です。
関ヶ原の戦い後に出雲・隠岐24万石を拝領した堀尾忠氏が築城を計画したものの早世したため、豊臣秀吉の家臣だった父・堀尾吉晴が実質的な領主となって築城に心血を注ぎ、松江の礎を築きました。
松江市伝統美観地区である武家地「塩見縄手」も風情たっぷりで、遊覧船で堀と河川を周遊する「ぐるっと松江 堀川めぐり」もおすすめです。
船に揺られながら城下町・松江を堪能できます
松江城の北堀に面した「塩見縄手」の町並み
萩原さちこさんが教える 登城ガイド
島根県庁が立つ場所が三之丸跡。堀越しに復元された二之丸の太鼓櫓(やぐら)や南櫓、中櫓をチェックしたら、外曲輪(そとくるわ)から大手門跡を抜け、三ノ門跡、一ノ門跡へ進めば本丸です。
国宝天守を堪能したら、北之門跡から水の手門跡を抜けて馬洗池(うまあらいいけ)、松江護国神社方面へ。北側に歩けば、塩見縄手方面に抜けられます。「ぐるっと松江 堀川めぐり」の遊覧時間は約50分、1日乗船券1600円。
- お城の堀をめぐる遊覧船がゆっくりゆったりで気持ちよく、周りの景色もふさわしいものだった。(愛知県 60代)
- 城自体も素敵ながら、町と堀と城とが織りなす景色や雰囲気が素晴らしい。(埼玉県 60代)
- 素晴らしい現存天守でした。国宝になる前に行きました。天守で国宝指定の署名をしておられ、ぜひお願いしますといわれたので「私は長州から来ました。幕末の長州征伐の時の敵ですが、署名してよいのですか?」と言い、2人で大笑いしました。おかげで、そのボランティアの方から、いろいろ城の説明をしていただき、思い出深い旅になりました。(山口県 70代)
松江城
問い合わせ先 | 0852-21-4030(松江城山公園管理事務所) |
---|---|
時間 | 8時30分~17時30分(10月1日~3月31日は~16時30分) |
定休日 | なし |
交通アクセス | 山陰本線松江駅からぐるっと松江レイクラインバス(通常運行ルート・嫁ヶ島ルート)約10分の国宝松江城大手前下車、徒歩約10分 |
値段 | 800円 |
URL | https://www.matsue-castle.jp/ |
第2位 備中松山城
雲海も!現存天守を擁する山城
岡山県高梁(たかはし)市
雲海に浮かぶ備中松山城
全国で唯一、現存天守がある山城です。備中松山城のある標高約480メートルの臥牛山(がぎゅうざん)は4つの峰からなり、戦国時代には全山が要塞化されていました。江戸時代、1683(天和3)年には水谷勝宗が3年がかりで小松山の大改修を行ない、現在の天守、石垣が完成しました。
剥き出しの岩盤、そしてその上に積まれた石垣のコラボレーションは迫力満点で、とくに大手門付近の石垣は圧巻。天守奥に残る二重櫓の背後の堀切を越えると、中世の城が現れます。9月下旬~4月上旬には、気象条件が揃えば雲海に浮かぶ天空の城を見ることができます。
難攻不落と称された名城です
大手門付近の石垣
萩原さちこさんが教える 登城ガイド
八合目のふいご峠からスタートし、本丸と御根小屋の中継所である中太鼓櫓跡で城下や周辺の位置関係を確認したら、あとは道なりに登るだけ。堀切で分断された後曲輪の北側までが、近世の城に改修された城域です。
スニーカー、ハイキングの装いがベター。雲海展望台へは、天候やアクセス、寒さ対策など、高梁市のサイトなどで十分に下調べしてお出かけください。
- 現存する山城。城も眺めもよかった。山道を登った甲斐(かい)がありました。(秋田県 60代)
- 道も細く、あまり整えられてない道だったから、城を登っていると感じた。城からの眺めもよかった。(奈良県 70代)
- 現存天守が残り、石垣も見応えがあります。地域の方々が一体となって城を残そうと汗を流し、今の姿があることに感激です。「猫城主さんじゅーろー」もかわいい!(群馬県 60代)
備中松山城
問い合わせ先 | 0866-21-0461(高梁市観光協会) |
---|---|
時間 | 9~17時(10月1日~3月31日は~16時) |
定休日 | 12月29日~1月3日 |
交通アクセス | 伯備線備中高梁駅から車で約10分のふいご峠下車、徒歩約20分 |
値段 | 500円 |
URL | https://www.bitchumatsuyamacastle.jp/ |
第3位 岡山城
旭川のほとりに立つ不等辺五角形の天守
岡山県岡山市
北側から望む不等辺五角形の天守
1590(天正18)年頃から、豊臣秀吉政権下の宇喜多秀家が築城。城内に残る石垣はほとんどが関ヶ原の戦いの後に入った小早川時代、もしくは池田時代に築かれたものですが、秀家が築いた古い石垣も残存し、全国的にも希少なものとなっています。
天守は太平洋戦争の空襲で焼失したため、1966(昭和41)年に古写真などをもとに復元されました。不等辺五角形をした独特の造形美は、北側から見上げることができます。江戸時代から残る現存建造物が、月見櫓と西の丸西手櫓。月見櫓は1615(慶長20)年に城主になった池田忠雄の建造で、城外側から見ると二重の望楼型、城内側は三重の層塔型になる珍しい構造です。
岡山城と岡山後楽園はセットでめぐるのがおすすめ
岡山市出身の歴史学者・磯田道史さんの展示監修
萩原さちこさんが教える 登城ガイド
蛇行する旭川が天守を取り巻く雄大な景観は、月見橋がベスト撮影スポット。月見橋を渡った先にある「岡山後楽園」は日本三名園のひとつで、二代藩主の池田綱政が着工し1687(貞享4)年から造らせた大名庭園です。
北側から見学する場合は、天守の北側から、旭川に沿って南側へ→下の段→南側の鉄門(くろがねもん)跡→不明門(あかずのもん)→本段の天守へ。中の段には表書院の平面表示や宇喜多時代の石垣の展示、月見櫓があります。
- 後楽園から眺める岡山城がかっこよかった。(福島県 60代)
- 隣接する名勝後楽園の庭、旭川が城の存在感を高めている。ゆったりとした城全体の雰囲気が気に入りました。(静岡県 70代)
- 磯田道史さんの解説が分かりやすくてよかった。五感を通して昔の生活を感じとれるような仕掛けが多く、インパクトが大きかった。(新潟県 70代)
- リニューアルされて、実際に鉄砲(火縄銃のレプリカ)に触れたりできるところがよかった。(東京都 60代)
岡山城
問い合わせ先 | 086-225-2096(岡山城管理事務所) |
---|---|
時間 | 9~17時(イベント等により開園時間が延長される場合あり) |
定休日 | 12月29~31日 |
交通アクセス | 山陽新幹線岡山駅下車、徒歩約3分の岡山駅前から岡山電気軌道路面電車東山行き約5分の城山下車、徒歩約10分 |
値段 | 400円 |
URL | https://okayama-castle.jp/ |
紹介スポット一覧マップ
文/萩原さちこ 写真/島根県観光連盟、岡山県観光連盟、おかやま観光コンベンション協会
- ※記事中の情報は2025年9月時点のものです。
- ※列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
- ※花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
- ※店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
- ※同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。