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2025.11.06ジパング俱楽部廃線跡を走る片鉄ロマン街道サイクリング体験記 in 岡山県備前市|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報

このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーターが、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。

今回紹介するのは、和気(わけ)駅から走る「片上ロマン街道サイクリング」です。

廃線跡を辿る旅へ

岡山県備前市

レトロな鉄道遺構がいくつもある片上のサイクリングコースを紹介。ノスタルジックな景観と自然に癒やされる廃線跡を自転車で満喫します!

廃線跡がサイクリング向きなワケ

初心者に最適なサイクリングコースといえば「廃線跡」です。山岳(登山)鉄道を除き、一般的な鉄道はアップダウンが少なくなるように敷設されるため、廃線後に整備された道はじつにサイクリング向きです。

「片鉄ロマン街道」もそんな廃線跡のひとつ。自転車・歩行者専用道なので、のびのびと自転車を走らせることができます。


吉井川沿いに延びる片上ロマン街道 吉井川沿いに延びる片上ロマン街道

鉱山と港を結ぶ鉄路の跡を辿る

1923(大正12)年に開し、1991年に廃止となった片上鉄道は、瀬戸内海の港町である岡山県備前市の片上駅から久米郡柵原(やなはら)町(現美咲町)の柵原駅を結んでいた私鉄路線で、柵原鉱山の鉱石輸送と旅客営業が行なわれていました。

その廃線跡を整備した「片鉄ロマン街道」は、全行程約34キロ。今回はお気軽なルートとして和気(わけ)駅~旧苦木(にがき)駅の片道約14キロを紹介します。

岡山県の三大河川のひとつである吉井川が刻む谷沿いのルートで、途中に集落やお手洗いスポットもあり、初心者サイクリングでも安心です。



片上鉄道の車両 片上鉄道の車両

さて、和気駅の北口を出ると昔の銀行の建物を活用した和気町観光協会があります。自転車のレンタルはここで。電動アシスト自転車もありますが、2台だけなので要予約です。

食べるものをを買うなら、北口近くにおしゃれなベーカリーが一軒、和気駅南口方面には農協の産直やスーパーマーケットがあります。南口方面へは、地下道で線路をくぐって行けます。


和気町観光協会のレンタサイクル 和気町観光協会のレンタサイクル

≪レンタサイクル情報≫

場所 和気町観光案内所
問い合わせ先 0869-92-4678(和気町観光協会)
時間 9時~15時30分
定休日 火曜・年末年始
レンタサイクル料金と利用時間 予約可。1日300円で観光協会営業時間(~15時30分)以降も返却可、ロードバイク・電動アシスト付き自転車は1日500円で15時30分までに要返却
交通アクセス 和気駅下車すぐ(北口)
URL https://enterwake.localinfo.jp/ (ENTER WAKE(エンターワケ))

サイクリングマップも和気町観光協会で サイクリングマップも和気町観光協会で

吉井川の自然と鉄道遺構を体感

サイクリングのスタートは和気駅南口から。歩行者・自転車専用道(片上ロマン街道)を辿ると、間もなく最初の鉄道遺構、軽くアーチを描きながら金剛川を渡る鉄橋が見えてきます。

橋の幅は鉄道営業時のままで左右の見晴らしがいい橋です。鉄道橋を自転車で渡るなんて、めったにない体験です。


金剛川の旧鉄道橋 金剛川の旧鉄道橋

ここからはほぼ直線で平坦な道。町並みを抜けると大型遊具やゴーカートでこどもたちに人気の「わけまろパーク」です。益原駅があったあたりで、当時の貨車が展示 されています。

そこから風景は田んぼの中の一本道から山沿い道へと変わっていき、木々の間から左に吉井川のきらめきが見えます。


「わけまろパーク」付近。トイレあり 「わけまろパーク」付近。トイレあり

木立のトンネルを駆け抜けます 木立のトンネルを駆け抜けます

和気駅から約6キロの旧天瀬(あませ)駅は、駅舎やホームに当時の景観を色濃く残しています。のんびりお弁当を食べるのにも最適です。近くには当時の信号機も残っています。


旧天瀬駅。トイレあり 旧天瀬駅。トイレあり

鉄路の時代を伝える信号機 鉄路の時代を伝える信号機

そしてトンネルを抜けると、左には吉井川の大展望が。来た道を振り返ると、のしかかるように急峻な山並みが見えます。標高408.7メートルの天神山です。

岡山を代表する戦国大名のひとり、浦上宗景(うらがみむねかげ)がここに山城を築いていましたが、家臣の宇喜多直家(うきたなおいえ)に攻められ落城しました。


天神山。その裾野を片鉄ロマン街道は辿っていきます 天神山。その裾野を片鉄ロマン街道は辿っていきます

里山風景も片鉄ロマン街道の魅力 里山風景も片鉄ロマン街道の魅力

道は田園を抜け、再び山沿いの林を抜けていくと、間もなく旧苦木駅。ここも駅舎がいい感じで保存されていて、じつにノスタルジックな空間。ここまで和気駅からのんびり自転車を走らせても1時間半ぐらいでしょうか。

まだお尻が痛くないようなら、さらに約1時間漕いで終点の旧吉ヶ原駅がある「柵原ふれあい鉱山公園」もおすすめです。昔の鉄道設備や鉄道車両が保存展示されていて、ここまでの苦労が報われるスポットです。


旧苦木駅 旧苦木駅

旧苦木駅駅舎内。ここは昔の切符売り窓口? 旧苦木駅駅舎内。ここは昔の切符売り窓口?


旧吉ヶ原駅(柵原ふれあい鉱山公園) 旧吉ヶ原駅(柵原ふれあい鉱山公園)

帰りは来た道を辿って和気駅へ。復路は、「意外と近いなあ」と感じられるものですよ。

≪和気町ミニ歴史情報≫

和気駅を最寄り駅にする和気町は、奈良時代の貴族で天皇の側近だった和気清麻呂の出身地。彼は身を挺して天皇家を守ったこと(僧侶・道鏡が皇位を狙った宇佐八幡宮神託事件にて)で知られ、平安京造営では現場監督のような立場で活躍しました。

町内のゆかりの地としては、美しい藤棚で知られる藤公園に隣接の和気神社があります。和気駅から約4キロ、自転車だと約20分です。


この記事を書いた人

大村嘉正

四国の瀬戸内海沿岸で暮らし、登山とカヤックを愛するライター&フォトグラファー。自然やアウトドア、伝統文化、農林業などの記事を発表。著書は、ラフティングガイドの1年を記した「彼らの激流(築地書館)」。

https://www.instagram.com/fuku81yoshi/

  • 記事中の情報は2025年11月時点のものです。
  • 写真はすべてイメージです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。