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2025.10.27ジパング俱楽部ラフカディオ・ハーンの暮らした松江|外国人の愛した日本

島根県松江市

現在放送中の連続テレビ小説『ばけばけ』で注目を集める、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲〈やくも〉)。ハーンのように、他の文化圏からやってきた外国人がよさを見出した、ゆかりの地を紹介します。

1890(明治23)年に来日したラフカディオ・ハーンは、島根県尋常(じんじょう)中学校の英語教師として神話の舞台、出雲(いずも)国の松江へ。日本古来の生活文化が息づく日常に感銘を受け、著書でつぶさに描写しました。その足跡を辿る旅へと出かけましょう。



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ラフカディオ・ハーン

『怪談』の著者

1850〜1904年、ギリシャ生まれのアイルランド人(イギリス国籍)。文筆家。渡米し新聞・雑誌記者として活躍後、来日。1896年小泉セツとの結婚を機に帰化し、小泉八雲と改名しました。

写真/小泉八雲記念館

 

はるか彼方の湖水が一番深まる辺りは、言葉にできないほどやさしいスミレ色に染まり、松林の影に覆われる小島のシルエットが、その柔らかで甘美な色彩の海に浮かんでいるように見える。

———『知られぬ日本の面影』(池田雅之訳『新編 日本の面影』(角川ソフィア文庫)に収録)より

最寄りは山陰本線松江駅


通勤・通学や観光の拠点となる島根県の中心駅で、国際観光文化都市である松江市の玄関口。駅前のバスターミナルには市内外をめぐる路線バスや高速バス、空港リムジンバスが発着し、周辺には商業施設やビジネスホテルも充実。西側には宍道(しんじ)湖、大橋川をはさんだ北側には城下町が広がります。岡山駅から特急「やくも」で約2時間46分。


小泉八雲記念館

活動の足跡を多角的に紹介


城下町の景観と調和する和風の外観です 城下町の景観と調和する和風の外観です

1934年、小泉八雲旧居の隣接地に開館。解説パネルや写真、遺愛品、直筆原稿をはじめ、数多くの資料を通して、ハーンの生い立ちや日本での暮らしなどが紹介され、代表作『怪談』の著者ということに留(とど)まらない多角的な文筆家の素顔に迫れます。ハーンが再話した山陰地方の怪談の朗読が聞けるコーナーも。2026年9月6日まで小泉セツの企画展を開催中です。


写真奥の展示室3では企画展の開催も 写真奥の展示室3では企画展の開催も


小泉八雲記念館

問い合わせ先 0852-21-2147
時間 9時〜16時30分(4〜9月は〜17時30分)
定休日 なし(メンテナンスのため年数回休館)
交通アクセス 山陰本線松江駅からぐるっと松江レイクラインバス約16分の小泉八雲記念館前下車すぐ
値段 600円(小泉八雲旧居との2館共通券800円)
URL https://www.hearn-museum-matsue.jp/

小泉八雲旧居

作品に描かれた庭の景観を保つ


ハーン愛用の机と椅子の複製品に座ることも可能(実物は「小泉八雲記念館」に展示) ハーン愛用の机と椅子の複製品に座ることも可能(実物は「小泉八雲記念館」に展示)

松江で暮らし始めたハーンを支えたのが、士族の娘の小泉セツ。2人は松江城北の堀に面した旧松江藩の武家屋敷へと移り住み、ハーンが松江にいた約1年3カ月のうち最後の約5カ月を過ごしました。ハーンは風趣に富んだ庭を大変気に入ったそう。現在も枯山水庭園や蓮池のある庭に囲まれ、四季折々の景観が居間や書斎から愛(め)でられます。国指定史跡。


小泉八雲旧居

問い合わせ先 0852-21-2147(小泉八雲記念館)
時間 9時〜16時30分(4〜9月は〜17時30分)
定休日 なし(メンテナンスのため年数回休館)
交通アクセス 山陰本線松江駅からぐるっと松江レイクラインバス約16分の小泉八雲記念館前下車すぐ 
値段 400円
URL https://www.hearn-museum-matsue.jp/residence/index.html

宍道湖

刻一刻と移ろう風景が魅力


ラフカディオ・ハーンも愛した宍道湖の夕景 ラフカディオ・ハーンも愛した宍道湖の夕景

朝のシジミ漁、戯(たわむ)れる水鳥たち、天候や時間で異なる水の色など、変化に富んだ表情を持つ汽水湖(きすいこ)で「日本百景」にも選定。嫁ヶ島(よめがしま)の背後に夕日が沈む、東岸からの眺めはとくに幻想的。ここ宍道湖について「沈む夕陽を眺めるのは、私の松江での楽しみのひとつ」とハーン。詩情豊かに書き綴(つづ)った光景は今も変わらず、秋の澄んだ空気に包まれて輝きを増すようです。


宍道湖

問い合わせ先 0852-27-5843(松江観光協会)
時間 見学自由
交通アクセス 松江駅から徒歩約10分
URL https://www.kankou-matsue.jp/shinjiko

松江城

全国にある現存12天守のひとつ


国宝の天守。園内の紅葉の見頃は11月中旬〜下旬 国宝の天守。園内の紅葉の見頃は11月中旬〜下旬

天守の入母屋破風(いりもやはふ)の屋根がみごとな松江城。ハーンは「竜のよう」とたとえるとともに、築城時に踊り好きの少女が人身御供(ひとみごくう)にされた人柱伝説の怪談についても著書で紹介しています。松江開府の祖である堀尾吉晴(ほりおよしはる)が1611(慶長16)年に築城したもので、天守にある鯱(しゃちほこ)は高さ約2メートルと木造では現存最大。望楼(ぼうろう)からは市街や宍道湖を一望できます。


松江城

問い合わせ先 0852-21-4030(松江城山公園管理事務所)
時間 本丸/8〜17時30分(4〜9月は〜18時30分)、天守/8時30分〜16時30分(4〜9月は〜17時30分)
定休日 なし
交通アクセス 松江駅からぐるっと松江レイクラインバス約10分の国宝松江城大手前下車、徒歩約10分
値段 天守入場800円
URL https://www.matsue-castle.jp/

城山稲荷(じょうざんいなり)神社

大小さまざまな石狐が迎えてくれる


隋神門では今も一対の石狐が迎えてくれます 隋神門では今も一対の石狐が迎えてくれます

拝殿横に移設されたハーンのお気に入りの石狐 拝殿横に移設されたハーンのお気に入りの石狐

松江藩初代藩主の夢枕に稲荷真左衛門(いなりしんざえもん)と名乗る美少年が現れ、「城内に私の住まいを設けてくれれば火難(かなん)から守る」と約束したことが創建の由来とも伝えられます。毎日のように参拝に訪れたというハーンは、境内に並ぶ無数の石狐のなかでも隋神門(ずいしんもん)前にあったとも言われる一対の石狐がお気に入りだったそう。現在は傷みが激しいため覆屋(おおいや)に移され、隋神門前には新たな石狐が鎮座しています。松江城内にあり、参拝自由。

八重垣(やえがき)神社

出雲神話の夫婦神を祀(まつ)る


拝殿で良縁を祈願。縁占い紙は隣の神札授与所へ 拝殿で良縁を祈願。縁占い紙は隣の神札授与所へ

スサノオノミコトが八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、イナタヒメノミコトと新婚生活を送ったと伝わる地に創建。スサノオノミコトが詠んだ和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻込(つまご)みに 八重垣造る その八重垣を」が社名の由来です。奥の院の佐久佐女(さくさめ)の森には「鏡の池」があり、縁占いで人気。若き日のセツは当時の習わしに従い、和紙の紙船を浮かべて一厘銭(いちりんせん)を乗せたところ、岸から離れた場所で沈みました。まさに遠国から来たハーンとの出会いを暗示していたようです。


鏡の池。占い紙が沈むまでの時間と場所でご縁を占います 鏡の池。占い紙が沈むまでの時間と場所でご縁を占います

日本初の和歌と伝わるスサノオノミコトの歌碑 日本初の和歌と伝わるスサノオノミコトの歌碑


八重垣神社

問い合わせ先 0852-21-1148
時間 参拝自由(社務所9〜17時)
定休日 なし
交通アクセス 松江駅から八重垣神社行き市営バス約20分の終点下車すぐ
値段 宝物収蔵庫200円
URL https://yaegakijinja.or.jp/

紹介スポット一覧マップ

文・写真/笹木博幸 写真/松江観光協会(宍道湖、松江城天守)

  • 記事中の情報は2025年10月時点のものです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。