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2024.09.30ジパング俱楽部盛岡市郊外で見つけたリンゴ農家が営む小さなカフェ「mi cafe」で絶品リンゴスイーツを|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報

このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーターが、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。

今回紹介するのは、岩手県盛岡市の郊外に位置する、リンゴ農家が営む小さなカフェ「mi cafe(ミ カフェ)」についてです。

リンゴ料理と絶景で季節の移ろいを味わう

リンゴの生産量全国第3位という岩手県で、最大の栽培面積を有する盛岡市。本州のリンゴ栽培の草分け的な場所でもあり、人気品種「ふじ」の始まりとなった原木もあります。

盛岡の秋を象徴する風景のひとつ、枝いっぱいの果実が色づきはじめたリンゴ畑が見わたせる農園カフェを訪ねました。

リンゴ畑を上って、歴史ある専業農家が始めたカフェへ


日当たりのいいリンゴ畑の斜面の上にある「mi cafe」 日当たりのいいリンゴ畑の斜面の上にある「mi cafe」

久しぶりに澄んだ青空に少しだけ秋の気配を感じた日、おいしいリンゴを使った料理が食べたくなって盛岡の郊外に足を延ばしました。

道端の小さな看板を頼りにリンゴの果樹が立ち並ぶ小径を上れば、日当たりのいい高台に立つ小さなカフェが「mi cafe(ミ カフェ)」です。


実が赤くなりはじめたリンゴ畑の坂道を上ればあと少し 実が赤くなりはじめたリンゴ畑の坂道を上ればあと少し

経営するのは、江戸時代から続く農家で、リンゴ農家としても約90年もの歴史を持つ「松本りんご園」です。

園内のもっとも古いリンゴの木は樹齢約100年とのこと。リンゴをはじめ自分たちが自信を持って育てた農産物をおいしく食べてもらいたい、という思いからオーナーの松本直子さんがカフェを始めました。

リンゴの個性を生かしたアップルパイとリンゴスイーツ


「工房MIYUKI(みゆき)」の「アップルパイ」550円(手前) 「工房MIYUKI(みゆき)」の「アップルパイ」550円(手前)

リンゴなど園内で収穫される果物を使った数々のメニューが並ぶなか、まず食べたかったのが「工房MIYUKI」のアップルパイです。

サクっと軽く香ばしいパイ生地の中に、ぎっしり入っているのはリンゴのフィリングのみ。この日使用していたリンゴは「さんさ」という品種で、今年の夏は暑かったのでいつもより甘く育ったそうです。

口に広がるフィリングの甘さはやさしく、リンゴそのもののおいしさをたっぷり堪能できました。リンゴの素材を生かしたこのアップルパイに惚れ込んだ松本さんが工房MIYUKIに製作を依頼しているのですが、1日1台8ピース限定でテイクアウト不可なので、ぜひお店に足を運んで味わってください。

ただ、「工房MIYUKI」自身もリンゴ農家ということで、農繁期には焼けない日もあるそうです。


コースターもリンゴの木をくり抜いた「三実味(みみみ)」650円 コースターもリンゴの木をくり抜いた「三実味(みみみ)」650円

リンゴの品種による違いを楽しみたい人には、3種類のリンゴジュースの飲み比べセット「三実味」がおすすめです。

今回いただいたのはさわやかな酸味の「シナノレッド」に落ち着いた甘みの「北斗」、そして香り立つ「陽光」の3品種。リンゴを搾り加熱殺菌するだけで何も加えないジュースは、味や香り、色といった個性の違いがはっきり分かります。

収穫最盛期には、6品種のリンゴジュースを提供できる場合もあるそうです。


「りんごのコンポート」450円はリンゴ半個分のボリューム 「りんごのコンポート」450円はリンゴ半個分のボリューム

「りんご屋さんのアップルティー」600円 「りんご屋さんのアップルティー」600円

「3種のりんごパイ」550円 「3種のりんごパイ」550円

また、リンゴのコンポートは砂糖を使わずリンゴジュースだけでリンゴを煮た、自然な甘さに驚く逸品。紅茶の茶葉を何十種類も試し厳選したリンゴジュースで煮出したアップルティーの、濃厚な香りのハーモニーもぜひ試してください。

「mi cafe」でほかに人気の高いメニューといえば、「リーフアップルパイ」とアーモンドクリームの入った「3種のりんごパイ」。同じ園内に併設された菓子工房「Kumarie」で、ホテルのベーカリー出身のパティシエが腕を振るうお菓子です。

取材の日は準備中ということで、今回は「Kumarie」の「りんごのはちみつパウンド」と「干しりんごとくるみのブラウニー」をおみやげに買いました。


「Kumarie(くまりえ)」の「りんごのはちみつパウンド」(奥)と「干しりんごとくるみのブラウニー」(手前)は各250円 「Kumarie(くまりえ)」の「りんごのはちみつパウンド」(奥)と「干しりんごとくるみのブラウニー」(手前)は各250円

季節による食材の変化と生産者ネットワーク

「mi cafe」では、リンゴのお菓子だけでなく、1日10食限定のランチや夏場には園内で収穫されたベリー類を使ったスイーツもあり、季節の移ろいに合わせてメニューや使う食材の種類、リンゴの品種が緩やかに変わっていきます。

「自然が相手なので農産物が手に入らない時期もあればおいしい旬の時期もある、ということをやんわり感じてほしい」「リンゴは品種の違いだけでなく、生産者や場所、その年の気候によっても味が変化するから、奥が深くて飽きない」と松本さんは語ります。

自分の農園で作っていない食材がほしい場合には、全国の生産者ネットワークを駆使して信頼できる農家さんや漁師さんから購入したり物々交換したりしているそうで、たとえば、ランチで使う魚介類や海藻類は岩手県大槌町(おおつちちょう)の知っている漁師さんから手に入れます。

口に入り身となる食材だから、生産者の顔が見えるのは安心ですし、今時物々交換で手に入れるネットワークというのもなんだか心が温かくなりました。

周りの農家とともに織りなす農園風景


店内からの景色も「mi cafe」の自慢。右側に見えるのが岩手山 店内からの景色も「mi cafe」の自慢。右側に見えるのが岩手山

「mi cafe」のもうひとつの大きな魅力が高台にあるお店からの眺望です。晴れた日には盛岡を囲む山々や、遠くに岩手山がよく見えます。

そして、眼下に広がるりんごの果樹を中心とした畑の美しさは格別。「素晴らしいでしょう。日々変化するこの美しさは実際に来て体感しないと伝わりません。松本りんご園だけではなく、周囲の農家さんがそれぞれ自分の畑や農園を大事に整備しているからこその景色なんです」と松本さんが誇らしげに話すのが印象的でした。

冬の真っ白に覆われる雪風景も幻想的で、店内では薪ストーブでリンゴの間伐材を燃やすため暖かくいい香りに包まれるそうです。


木と白壁を基調とした暖かい雰囲気の店内 木と白壁を基調とした暖かい雰囲気の店内

店名の「mi」に込められているのは果実の「実」と「味」、それを食して得られる「身」、そして環境の「美」なのだと少しだけ実感できた気がします。

食と美しい景色を通して季節の変化を味わうことができる「mi cafe」に、何度も訪れたくなってしまいました。


mi cafe・松本りんご園

問い合わせ先 019-696-2531
時間 11時~16時30分 ※冬期は閉店時間が早まります
定休日 水曜、第2土・日曜。ほか農繁期(不定)、冬期(2024年はクリスマスあたりまで営業し2カ月程度)休業予定
交通アクセス 東北新幹線盛岡駅から車約18分(または盛岡駅から長岡支所行きほか岩手県交通バス長岡線約36分の手代森小学校南口下車、徒歩約13分
URL https://micafe.jp/

この記事を書いた人

蛙子舎H(かえるこやH)

小学生の夏休みに預けられた母親の実家がある岩手の、豊かな自然や文化にすっかり魅了され、後先考えず盛岡市に移住。夏場は渓流のフライフィッシングに忙しいので、できることならあまり働きたくないフリーライター。

  • 記事中の情報は2024年9月時点のものです。
  • 写真はすべてイメージです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。
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