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2025.03.11ジパング俱楽部この春は、鉄道に乗って「今行ける能登」へ!|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報

このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーターが、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。

今回紹介するのは、能登の桜と観光列車についてです。

能登に咲く満開の桜の下へ

昨年の能登半島地震で甚大な被害を受けた能登。「能登に行って寄り添いたい」と思う一方で、「いま能登に行っては迷惑ではないか?」と心配される方も多いと聞きます。でもそんなことはありません。

鉄道が通っているところまでなら安心して訪れることができますし、春は沿線の桜がみごとに咲き誇ります。例年ですと4月中旬には沿線の桜も美しく、列車に乗りながらのお花見も楽しめます。

能登に行くことが復興支援となります

南北に長い能登半島。七尾市、志賀町以南では震災からの復興も進みつつあり、再開している観光施設やお店が多く、観光に行っても差し支えないところがほとんどです。

一方、穴水町、輪島市、能登町、珠洲市(すずし)の北部では、地震に加えて令和6年奥能登豪雨の影響もあり、復旧半ばで観光客の受け入れが万全ではないところもあります。それでも、地元の多くのみなさんは、「能登に来てもらうだけで自分たちも気持ちが前に向く」と、観光に来てもらうことを待ち望んでいます。

鉄道利用なら交通事情が気になる方も安心でしょう。たとえば、金沢に泊まって、七尾線とのと鉄道を乗り継いで、日帰りで能登を訪ねてみてはいかがでしょうか。


珠洲市にある見附島(みつけじま)は地震で大きく崩れました(2024年撮影) 珠洲市にある見附島(みつけじま)は地震で大きく崩れました(2024年撮影)

かつての見附島(2021年撮影) かつての見附島(2021年撮影)

まずは七尾線に乗って七尾駅を目指す

北陸新幹線金沢駅から七尾線の七尾駅行き電車に乗り換えます。七尾線も地震で一部区間が運休となっていましたが、約3週間ほどで七尾駅までの運転を再開しました。

沿線はのどかな田園風景が広がり、車窓からは能登半島最高峰の宝達山(標高637メートル)がよく見えます。

七尾線を走る観光列車「花嫁のれん」は、地震の後、運転を見合わせていましたが、2025年3月7日から、団体専用臨時列車として運転を再開することになりました。ツアーに参加すれば、一般の方も乗車できるものがあります。


七尾線を走る観光列車「花嫁のれん」(2021年撮影) 七尾線を走る観光列車「花嫁のれん」(2021年撮影)


七尾駅では途中下車して、市内観光へ

七尾駅周辺には徒歩で回れる観光スポットがいくつかあります。なかでも春のおすすめは小丸山城址公園です。前田利家が金沢に移る前に築いたのが小丸山城で、利家の出世城とも呼ばれます。

約260本の桜が咲き、能登を代表するお花見スポットのひとつとなっています。園内は見晴らしがよく、桜の花越しに七尾湾を望むことができます(地震の影響で、2025年2月現在一部立ち入り禁止の部分があります)。

そばには旧加賀藩領で行なわれている婚礼の風習をテーマにした「花嫁のれん館」(時短営業中)や「一本杉通り商店街」(仮設商店街や仮設店舗で営業している店舗も多い)もあるので立ち寄りたいです。また、能登のグルメが揃う「能登食祭市場」も近いので、能登の味覚に触れてみてはいかがでしょうか。


桜咲く小丸山城址公園(2024年撮影) 桜咲く小丸山城址公園(2024年撮影)


小丸山城址公園

問い合わせ先 0767-52-9266(希望の丘公園 管理事務所)
交通アクセス 七尾線七尾駅から徒歩約8分
値段 入園自由
URL https://www.city.nanao.lg.jp/toshikenchiku/shisetsu/03.html

のと鉄道に乗って能登鹿島駅へ


ホームに立派な桜並木がある笠師保駅(2022年撮影) ホームに立派な桜並木がある笠師保駅(2022年撮影)

七尾駅に戻り、のと鉄道に乗って能登鹿島駅を目指します。

のと鉄道は地震で甚大な被害を受けましたが、「新学期に間に合わせたい」と、鉄道関係者のたゆまぬ努力によって、約3カ月という、奇跡ともいえる短い期間で復旧しました。そして運転再開のニュースは能登の人々に大きな希望をもたらしました。

のと鉄道のすべての駅には桜の木が植えられ、それぞれが美しく、駅に着くたびに、次はどんな桜が見られるのか、ワクワクします。また、能登中島駅と西岸(にしぎし)駅の間にある深浦漁港の近くには、線路脇に1本の桜の木があり、これもお見逃しないように。

さらに西岸駅の近くでは桜並木と菜の花の競演も。西岸駅を出発するといよいよ次は能登鹿島駅です。


深浦漁港の一本桜(2024年に車中から撮影) 深浦漁港の一本桜(2024年に車中から撮影)

西岸駅近くの桜並木と菜の花畑(2022年撮影) 西岸駅近くの桜並木と菜の花畑(2022年撮影)

能登のみなさんを笑顔にする桜のトンネル


「能登さくら駅」の愛称がある能登鹿島駅。「がんばろう能登」のヘッドマークに目頭が熱くなりました(2024年撮影) 「能登さくら駅」の愛称がある能登鹿島駅。「がんばろう能登」のヘッドマークに目頭が熱くなりました(2024年撮影)

能登鹿島駅はホームの両側に桜並木があり、桜の花がつくるトンネルを列車が走り抜けていくシーンで有名に。もともと、1932(昭和7)年にこの駅が開業したとき、それを祝って地域住民が植えたのが始まりといいます。

100本ほどあるソメイヨシノのうち、6〜7割が開業当時に植えられたもので、その樹齢は90年を超えています。また、ホームからは七尾湾の海の望め、桜の時期には駅前に露店も出ると思いますので、途中下車して桜と海と列車を眺めながらのんびりしてみては。

毎年、この駅の桜を楽しみにしている地元の方も多く、昨年は、被災されて大変ななか、この駅の桜の花を見て、笑顔でホッとひと息つかれていた方も多かったそうです。

能登鹿島駅から穴水駅へは、列車は七尾湾に沿って走り、車窓からはこの地方の伝統漁法を再現した「ボラ待ちやぐら」も見ることができます。


桜と海を眺めながら、露店で買った花見団子で一服(2024年撮影) 桜と海を眺めながら、露店で買った花見団子で一服(2024年撮影)

能登鹿島駅のホームには桜以外にも色とりどりの花が植えられています(2024年撮影) 能登鹿島駅のホームには桜以外にも色とりどりの花が植えられています(2024年撮影)

旅して応援、そして買って応援!


震災語り部観光列車に使用される観光列車 写真/のと鉄道 震災語り部観光列車に使用される観光列車 写真/のと鉄道

のと鉄道では、地震の記憶を風化させまいと、「震災語り部観光列車」を2025年4月6日から運転します。

能登中島駅に停車中に地震に遭った観光列車の車両を使用し、車中では観光列車のアテンダントが語り部となって、みずからの被災体験や能登の今、そして能登の魅力について、情感を込めて語ってくれます。

また、カタログギフト「のと鉄道プレミアムギフトバコ」も発売中。能登の特産品が選べる「ふるさと情報付カード式カタログ」と、のと鉄道の沿線を描いたオリジナル「旅するふるさと絵巻物」や「がんばろう能登応援マガジン」、「オリジナルコラボ巾着」(数量限定)がセットになっていて、能登の鉄道旅行の思い出話と一緒におみやげにしてはいかがでしょう。


のと鉄道プレミアムギフトバコ 写真/ストアインク のと鉄道プレミアムギフトバコ 写真/ストアインク

穴水駅構内にある穴水町物産館四季彩々で販売するほか、オンラインショップでも購入できます。

のと鉄道プレミアムギフトバコ


のと鉄道「震災語り部観光列車」

問い合わせ先 0768-52-2300(観光列車予約センター) ※10~17時、月・火曜休
時間 2025年4月6日~5月11日と7月19日~8月31日の土・日曜・祝日に運転(以降は夏頃に決定予定)。1日3往復
値段 1750円(七尾駅〜穴水駅。和倉温泉駅〜穴水駅は1590円)
URL https://nototetsu.jp/kataribe/

この記事を書いた人

若井憲

写真を撮って文章を書くフォトライターとして北陸地方を中心に取材活動を続ける。能登半島の復興につながる観光情報の発信にも力を注ぎ、足繁く通って、地元の人の話を聞いている。月刊『旅の手帖』で「来て、見て、能登」を連載中。

https://mameneko.com/editor_works/

  • 記事中の情報は2025年2月28日時点のものです。
  • 写真はすべてイメージです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。