トレたび JRグループ協力

2026.01.13ジパング俱楽部観光客も歓迎。100年続く京都銭湯「長者湯」へ|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報

このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーターが、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。

今回紹介するのは、京都に100年以上続く老舗(しにせ)銭湯「長者湯」についてです。

地下水を薪で沸かした「まったりした湯」

京都府京都市

底冷えする冬の京都で、恋しくなるのがお風呂です。京都府には約80もの銭湯があり、その多くが京都市内に集まっています。盆地で地下水に恵まれた京都にはレトロな趣の銭湯があり、観光客にも開かれています。

なかでも西陣にある長者湯は、1917(大正6)年に創業した老舗銭湯。唐破風(からはふ)の玄関や柳行李(やなぎごうり)の脱衣籠、坪庭など京都の銭湯文化をたっぷりと楽しめます。地下水を薪で沸かした「まったりした湯」に入ってきました。


長者湯は2002年に京都市歴史的意匠建造物に指定 長者湯は2002年に京都市歴史的意匠建造物に指定

唐破風の玄関が立派な109年の歴史を持つ銭湯

町家が点在する京都・西陣にある「長者湯」。唐破風の玄関の上には、「長者湯」と記された瓦があります。

「今の建物は1936(昭和11)年に建て替えた時のもの。唐破風は建て替えた後、昭和30年代くらいに付け足したようです。唐破風はお寺や神社など神聖なところで見られますよね。銭湯に唐破風があるのは、体を清潔にするという意味からだと思います」と三代目の間嶋正明さんはにこやかに話します。


話を聞かせてくれた三代目の間嶋正明さん 話を聞かせてくれた三代目の間嶋正明さん


薪を投入して湯を沸かす間嶋さん 薪を投入して湯を沸かす間嶋さん

初代は明治時代に現在地に近い東堀川一条で小さな銭湯を始め、1917(大正6)年により広い長者湯を購入して開業。

2026年で109年を迎えます。

浴室には、地下水を薪(まき)で沸かした湯がなみなみと注がれています。


地下水を汲み上げて使っています。水位は季節で変わり冬は低いそうです 地下水を汲み上げて使っています。水位は季節で変わり冬は低いそうです

浴室には「うたせ湯」や「すわりふろ」などがあります 浴室には「うたせ湯」や「すわりふろ」などがあります

木製ロッカーや柳行李の脱衣籠など昭和な雰囲気が漂う

間嶋さんによると、京都府内には多い時で約600件もの銭湯があったそうです。団塊の世代が結婚し、家を建て替えるようになった昭和40年代頃から家の中にお風呂を造るようになり、それまで外湯を利用していた人が減り、銭湯が激減。今も年に何件かは廃業し、現在、京都市内の銭湯は77件ほどだといいます。

「銭湯は絶滅危惧種です」という間嶋さん。これまで伝わってきた銭湯の古きよき文化を大切に守ろうとしています。脱衣場には木製ロッカーが並び、中に入っているのは柳行李の脱衣籠。格子の天井や籐むしろの床、京都名所が描かれたタイル絵、懐かしいアナログの体重計など昭和な雰囲気が漂います。


脱衣場に入った瞬間、昭和の雰囲気に包まれます 脱衣場に入った瞬間、昭和の雰囲気に包まれます

「タイル絵は1994年に改装した時に設けました。京都の銭湯なので、よくある富士山じゃなくて京都らしい絵にしようと。近くの西陣織会館で京都の絵はがきを買い、雪の金閣寺を男湯に、桜の清水寺を女湯にすることに決めたんです」と間嶋さん。

その写真を左官職人に見せ、壁面に合うように絵を考えてもらい、釉薬(ゆうやく)で描いてもらったそうです。30年以上経った今も色あせていません。


男湯にある雪の金閣寺のタイル絵 男湯にある雪の金閣寺のタイル絵

女湯にあるのは桜の清水寺のタイル絵 女湯にあるのは桜の清水寺のタイル絵


大きくて存在感のある灯籠が立つ、男湯の坪庭 大きくて存在感のある灯籠が立つ、男湯の坪庭

さらに注目したいのが男湯、女湯それぞれにある坪庭。

休憩できる椅子や机が置かれた奥に、灯籠や鯉が泳ぐ池、カエデの木が植えられ風情たっぷり。

銭湯を改装する際もこの庭を残すことを重視したそうです。

京都らしい銭湯が注目され映画のロケ地に


3人が入れるサウナを新しく設置 3人が入れるサウナを新しく設置

こうした京都らしさが注目され、2007年に公開された映画『舞妓Haaaan!!!』のロケ地にもなりました。

「映画監督がロケ地を探す際に、京都の銭湯を紹介した本を見られ、うちの湯に2回入られたそうです。本の執筆者やSNSで長者湯を紹介してくれる人たちにも支えられ、人とのつながりを感じます」と間嶋さんはしみじみ話します。

数年前には、間嶋さんのご子息が長者湯の跡を継ぐことが決まりました。それを機に、2023年に浴室にサウナを設置。夜に入浴する学生の利用客が急増しているそうです。
 

やわらかな湯を常連客とともに楽しむ

間嶋さんにお話を伺った後、ちょうど営業が始まる時間に。銭湯が開くのを待っていた常連客が次々と中へ入り、私も混ざって入浴。常連客が多いと、少しドキドキしますが「こんにちは!」と声をかけられてひと安心。

かけ湯をして湯船に入ると、やわらかな湯が体を包みます。間嶋さんが「薪で沸かした湯は、まったりとしています」と言われていた言葉を思い出して納得。名物の「酵素風呂」には酵素配合の入浴剤が入っていて、花のようないい香りがします。かつては、石川県の白山の麓(ふもと)で取れた湯の花を使っていたそうですが、採掘できなくなり入浴剤に変わりました。


名物の「酵素風呂」は白濁したなめらかなお湯 名物の「酵素風呂」は白濁したなめらかなお湯


坪庭が見えるように休憩できる椅子が置かれています 坪庭が見えるように休憩できる椅子が置かれています

入浴後は体がポカポカし、休憩できる椅子に座って牛乳を飲みながらほっとひと息。

 

坪庭を眺めていると、とてもぜいたくな時間を過ごせているように感じました。

 

銭湯通いがクセになりそうです。

湯めぐりイベントが開催中

さて、2026年1月現在、京都市内の銭湯では「京都銭湯 二十四節気 湯めぐり」という企画が展開中(2026年12月6日まで)。市内の浴場組合に加入している一般公衆浴場で、二十四節気ごとに絵が変わるステッカーを先着でもらえるなどのお楽しみがあります。

まずは、市内の浴場組合に加入している一般公衆浴場で「二十四節気湯めぐり帖」(無料)を入手しましょう。この手帖を提示することでステッカーをもらえますが、ステッカーがなくなったとしてもスタンプは押してもらえます。このスタンプの数によって「達成証」がもらえるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。



組合加盟の銭湯でもらえる「二十四節気湯めぐり帖」 組合加盟の銭湯でもらえる「二十四節気湯めぐり帖」

先着で二十四節気のステッカーをプレゼント。「大雪」のステッカーを貼ってもらいました 先着で二十四節気のステッカーをプレゼント。「大雪」のステッカーを貼ってもらいました


長者湯

問い合わせ先 075-441-1223
時間 15時10分~24時
定休日 火曜
交通アクセス 京都駅から立命館大学行き市バス約25分の大宮中立売下車、徒歩2分
値段 550円
URL https://1010.kyoto/spot/choujayu/

この記事を書いた人

福島恵美

京都在住。地方紙記者を経て、1995年からフリーのライターに。新聞や雑誌などで主にインタビュー記事を執筆。認定心理士。温泉やクラフトビール、猫が大好き。

https://x.com/ef_write

  • 記事中の情報は2026年1月時点のものです。
  • 写真はすべてイメージです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。