2026.04.23ジパング俱楽部鬼の城!? 謎の古代山城へ吉備路トレッキング|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報
このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーター、役場や観光協会などの観光担当者が、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。
鬼ノ城(きのじょう)は、岡山県の吉備高原にある大規模な古代山城。約1400年前の築城技術に感服し、里山の自然を満喫する1日はいかがでしょう。
謎の古代山城・鬼ノ城
岡山県総社市
岡山県の吉備高原。鬼城山(きのじょうざん/標高397メートル)のすり鉢状の山頂部にある大規模な古代山城が鬼ノ城です。
築城当時の石垣や、復元された土塁によりぐるりと囲まれ、約1時間かけて城内を散策できます。鬼城山頂の近くの鬼城山ビジターセンター(9~17時、月曜と年末年始休み)まで自動車でアクセスできますが、今回は麓から歩いて登って一日を楽しむ低山ハイクを紹介しましょう。心地よい気候の4月~5月下旬はとくにおすすめです。
古代山城は7世紀後半(飛鳥時代後期)の築城が多く、中世や近代の城よりもずっと長く大規模な城壁を持っています。かつて倭軍は、朝鮮半島の百済(くだら)復興を支援するために海を渡りましたが、白村江の戦い(663年)で唐・新羅連合軍に敗れます。古代山城は、唐や新羅からの侵攻に備えるために築かれたとされています。
しかし、古い文献を調べても鬼ノ城については記載がありません。いつ、誰が築いたのか謎の古代山城なのです。
吉備路を歩いて鬼ノ城へ
血吸川の土手を歩いて鬼ノ城へ
今回は登山口を「奧坂休憩所」にしましたが、登山経験のない人はJR吉備線(愛称・桃太郎線)の服部駅で下車し、駅の西にある道路の案内標識に従って砂川公園経由で鬼ノ城へ。こちらはほぼ舗装路なので登山の心得がなくても問題なく、鬼ノ城ビジターセンターまで徒歩約2時間です。
さて、奧坂休憩所(トイレ・駐車場有)へは車でのアクセスが便利ですが、徒歩の場合はJR吉備線足守駅から。駅の西に位置する血吸川を目指し、血吸川(ちすいがわ)の土手の道路(上流のほうを見て左岸)を北上していきます。足守駅から徒歩約1時間で奧坂休憩所です。
奧坂休憩所から
鬼ノ城登山道への分岐へ
奧坂休憩所からは道標に従って登ります。まもなく分岐があり、鬼ノ城登山道(または鬼ノ城東門方面)へ。
鬼ノ城登山道
岩場では三点支持で
鬼ノ城登山道は標高差約250メートルを一気に詰める急な登山道。シダが左右から覆いかぶさる細道だったり、急な岩場だったり、真砂土で滑りやすかったりしますが、三点支持(両手両足のうち常に3点で大地に接している)など登山の基本を知っていれば難しくありません。鬼ノ城の手前には展望の良い平坦な岩場があり、休憩に絶好です。
鬼ノ城より少し下の岩場
東門遺構。柱の位置は発掘調査による
登山口から約30分で鬼ノ城に到達しました。ちょうど東門遺構のあたりです。
ここから私たちは反時計回りに城郭をめぐっていきました。
伝承の鬼の住処から城郭に
私は鬼ノ城に近い田園で少年時代を過ごしました。その頃(昭和40年代前半)は鬼ノ城というより鬼城山の方がなじみの呼び方で、キビツヒコノミコト(吉備津彦命)が討伐した温羅(うら、鬼神)の居城だという伝説を学校で教わりました。
ちなみにこの温羅討伐の話が桃太郎の起源だと言われています。
鬼城山を源にする「血吸川」の名も、「キビツヒコノミコトが放った矢が温羅の目に刺さり、そこから流れた血で染まったから」と、教師が話してくれたものでした。
復元された西門
北門。当時の石垣が残る
屏風折れの高石垣で囲まれた箇所
城郭内の水の排水門
その後の発掘調査で、鬼城山の八~九合目にかけて鉢巻のように城壁が築かれたことが明らかになります。
推定される城壁の幅は約7メートル、高さ約6メートルで、総延長は約2.8キロ。城壁の内側の面積は約29ヘクタール(甲子園球場の約7.5倍)で、東西南北4カ所の城門、城内の排水機能をになう6カ所の水門、礎石建物(そせきたてもの)の跡があります。
西門については発掘調査に基づき、建物と、盛り土による「版築土塁(はんちくどるい)」の城壁が復元されています。
版築土塁
発掘された鬼ノ城の敷石
鬼ノ城の遺跡のなかでも私のお気に入りは、城壁の内と外におびただしく敷き詰められた石。城壁が雨水で崩れないようにする工夫だと考えられています。発掘により現れた石の上を、約1400年前の人と同じように歩けることに感動を禁じえません。このような敷石は日本の他の古代山城にはなく、鬼ノ城の築城技術の元とされている朝鮮半島の山城にもないという、大変珍しいものだとされています。
吉備路や瀬戸内方面の眺め
それにしても、見晴らしのよい城です。推定築城時期である7~8世紀には政治・経済・文化の要衝であった吉備路を一望できるし、空気が澄んでいれば瀬戸内海の小豆島や、遠く四国の山並みまで見えるのだとか。
文献に記載のない謎の城ですが、国の防衛には欠かせない場所だったことは容易に推測できます。
下山は登りと同じルートの予定でしたが、時間もあるし、少し遠回りしてみました。鬼城山ビジターセンターから自然観察路を歩き、のんびりとした里山の景色をへて中国自然歩道経由で奧坂休憩所へ戻る約1時間の道のりです。
里山を歩いて下山します
自然観察路から中国自然歩道へ
クヌギやコナラなどの雑木林のなか、比較的歩きやすい山道を下っていきます。新緑や紅葉の時期はきっと美しいことでしょう。岩絡みの急な登山道が苦手な方は、登りもこの道の方が安心かもしれません。
歩道のそばの沢では、「血吸川」の名にふさわしい、川の赤さも体感できました。
血吸川の源流付近
鬼ノ城登山道との分岐
峡谷をぬけて、鬼ノ城登山道の分岐まで戻ってきたら、里山を眺めながらベンチでひと休み。調子を整えたら足守駅までのんびり行きましょう。
振り返れば、そこには鬼ノ城。自分の足で踏みしめた後では、山城の構えが一層雄大なものに感じられました。
- ※山中のルートはこちらを参照
鬼ノ城
| 交通アクセス | 吉備線足守駅から徒歩約1時間の奥坂休憩所から登山。もしくは吉備線服部駅から徒歩約2時間(鬼ノ城ビジターセンター) |
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