2026.08.20ジパング俱楽部第一次「令和のお木曳」/2033遷宮への道⑥|現地発!おすすめ旅ネタ情報

現地発・おすすめ旅ネタ情報
このコーナーでは、旅好きライター・観光ナビゲーターが、ご当地ならではのおすすめスポットや旅ネタ情報をお届けします。
ここでは1300年以上にわたって続く、伊勢神宮の第63回神宮式年遷宮について、地元三重在住で、文筆家・皇學館大学非常勤講師の千種清美(ちくさきよみ)さんが、その関連行事と、最新の様子をお知らせします。
愛子さまもご参加。伊勢の人々が待ちわびたお木曳がついに開催
伊勢神宮の式年遷宮に向けての行事「お木曳(おきひき)」は、5月から約3カ月にわたってにぎやかに行なわれました。週末になると伊勢の町には「エンヤー」の威勢のいい掛け声が響き、揃いの法被(はっぴ)姿の人々が、外宮へ、内宮へ、社殿造営のためのヒノキ材(御用材)を懸命に曳きました。
始まる前には、少子高齢化、人口減少、酷暑など地域を取り巻く状況に、無事に行事ができるのか、心配する声も多く聞かれましたが、参加者は約7万2000人にのぼりました。伊勢市内に結成された奉曵団(ほうえいだん)は72、約5万2700人が奉仕したほか、伊勢市外から集った全国の神宮崇敬者による特別神領民は約2万人にのぼりました。外宮への「陸曳(おかびき)」の15日間、内宮への「川曳(かわびき)」の4日間合わせて19日間に、じつに約7万2700人もの人々がひき綱をにぎり、お木曳に参加したのです。
「令和」のお木曳はともに助け合い、支え合う
伊勢市民のほか特別神領民も参加した「令和のお木曳」
かつて遷宮は国家の事業だったので各地から伊勢に人手が送られていたのですが、室町時代後期になると戦乱のため来ることができなくなります。お木曳は、伊勢へ運ばれてきた御用材を内宮・外宮へ運び込むことが難しくなったため、地元の人々(旧神領民)が労働奉仕として行なったのが始まりとされます。以来550年以上にわたり続き、伊勢市の無形民俗文化財にも指定されています。
五十鈴川をさかのぼる「川曳」
御用材が橋下を通る際には、橋上は交通規制がかかり、人も車も通れないのが習い
今回は、とくに「令和のお木曳」と銘打って行なわれました。元号にちなんでですが、その真意を御遷宮委員会に尋ねると、「これまで各奉曵団は競い合ってきましたが、今回は助け合い、支え合い、乗り切りたいという思いもあります」。なるほど、各奉曵団が抱える課題を、連携することで乗り越えることを目指す、そんな思いが根底にあり、あえて今回ならではの行事だと印象付ける「令和のお木曳」と名付けていたことが分かりました。
これまでも兄弟町といって、ゆかりの深い奉曵団同士が協力して、木遣りや運行を手伝ってきた歴史はあります。ですが、今回は奉曵団の自主性に任せるのではなく、御遷宮委員会から協力を呼びかけたのです。たしかに、伊勢市外からお木曳にやってきた特別神領民のサポートも、これまでは奉曵本部などの役員が中心でしたが、今回は各奉曵団の団員をはじめ、さまざまな人々で行なわれていました。
「令和のお木曳」が伊勢にもたらしたにぎわい
7年ぶりに復活した夫婦岩の「二見大祭しめなわ曳」
こうした地域の結束は、ある行事の復活にも一役買っていました。夫婦岩で知られる伊勢市二見町では、例年夫婦岩の2つの岩にかける3本の綱を町民たちが曳く「二見大祭しめなわ曳」が行なわれていましたが、コロナ以降中止されていました。昨年は二見興玉神社からの要望もあり、身近な人々で曳くにとどまりましたが、今年7月に7年ぶりに復活したのです。
私も参加しましたが、以前はもっぱら二見町の人々によるものでしたが、二見町だけでなく、ほかの町の法被を着た人々が多く見られたのには驚きました。他町からも曳き手が参加しているのです。地元の体制も整い、ほかの地域からの協力も得られたのは「令和のお木曳」の効果といえるでしょう。
「令和のお木曳」を見に、来年の伊勢へ
愛子さまは内宮参道のお木曳に参加されました 写真/お木曳関係者提供
お木曳の最終日は、天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが視察に来られ、みずからもひき綱を手に取り、御用材を皆と一緒に曳かれました。この姿に伊勢の人々は大いに喜び、すばらしい幕引きとなりました。
そして、伊勢の人々は早くも来年に行われる第二次お木曳に向けて、準備を進めようとしています。第二次は来年、令和9(2027)年の5月にスタートします。2033年の式年遷宮へ向かう伊勢の節目を感じに、来年の旅先の候補に、伊勢を加えてみてはいかがでしょうか。祭りでにぎわう伊勢の町を訪れ、外宮・内宮周辺や二見でゆっくりと土地の景色を眺めれば、式年遷宮へ向かう伊勢の今をより深く感じられることでしょう。
- ※当ホームページでは三重県伊勢市を中心に予定されている遷宮行事の数々を、順次紹介していく予定です。お楽しみに。
第63回神宮式年遷宮の主なお祭り一覧
~御神木のお祭り~
令和8年(2026)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 5~7月 | 御木曳行事(第一次) (おきひきぎょうじ) |
伊勢の住民(旧神領民)と全国の崇敬者により、御用材を古式のままに両宮域内へ曳き入れる盛大な行事です。内宮は五十鈴川を川曳(かわびき)し、外宮は御木曳車で陸曳(おかびき)します。遷宮諸祭・行事の中でもっともにぎやかな行事です。 | ◎ |
令和9年(2027)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 5~7月 | 御木曳行事(第二次) (おきひきぎょうじ) |
御木曳行事は地元の旧神領民の誇りとして奉仕されます。御遷宮に奉仕できる数少ない行事として旧神領民に加えて全国からも多くの特別神領民が御用材を奉曳し、伊勢の町は活気に満ち溢れます。 | ◎ |
~社殿建築のお祭り~
令和10年(2028)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 鎮地祭 (ちんちさい) |
新宮を建てる新御敷地で行なわれる最初のお祭りです。造営作業の安全を祈り大宮処(おおみやどころ)に坐す神を祀ります。このお祭りを節目に遷宮諸祭は山作(やまづくり)から庭作(にわづくり)へと進められていきます。 | 〇 参道 |
令和11年(2029)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 11月 | 宇治橋渡始式 (うじばしわたりはじめしき) |
内宮の入口に架かる宇治橋は、遷宮の度に架け替えが行なわれ、古式ゆかしく渡り始めが行なわれます。「渡女(わたりめ)」を先頭に全国から選ばれた三世代そろった夫婦に続いて、関係者や市民などが新橋を渡ってお祝いします。 | ◎ |
令和12年(2030)
令和13年(2031)
令和14年(2032)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 3月 | 立柱祭 (りっちゅうさい) |
御正殿の建築はじめに際し、御柱(みはしら)を建てるお祭りです。建物の守り神として崇められる屋船大神(やふねのおおかみ)に平安を祈り、束柱(つかばしら)を貫き支える足堅(あしがため)と四間樌(よまぬき)の木口(きぐち)を小工(こだくみ)が木槌(きづち)で打ち固めます。 | 〇 参道 |
| 3月 | 御形祭 (ごぎょうさい) |
御正殿の東西の妻の束柱に円形の図様(ずよう)を穿(うが)つお祭りです。『皇太神宮儀式帳(こうたいじんぐうぎしきちょう)』には御正殿竣功後に奉仕する秘儀と記されています。 | × |
| 3月 | 上棟祭 (じょうとうさい) |
御正殿に棟木(むなぎ)を上げるお祭りです。古儀のとおりに測量をした後、神職と造営庁職員が棟木から伸ばされた綱を曳いて棟木をあげます。造営に関わる遷宮諸祭のなかでもひと際華やかなお祭りです。 | 〇 参道 |
| 5月 | 檐付祭 (のきつけさい) |
御正殿の御屋根の萱(かや)を葺(ふ)き始めるお祭りで、屋船大神(やふねのおおかみ)に祈りが捧げられます。 | 〇 参道 |
| 7月 | 甍祭 (いらかさい) |
御正殿の萱も葺きおわり、金物を打つお祭りです。代表的な金物が御正殿前に奉安され、小工が金槌で打つ所作をします。 | 〇 参道 |
令和15年(2033)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 7~8月 | 御白石持行事 (おしらいしもちぎょうじ) |
伊勢の住民(旧神領民)が新宮に御白石を奉献する行事です。全国から特別神領民も伊勢に集い、五十鈴川と伊勢街道には、木遣歌と「エンヤ―!」の掛け声がひびきます。 | ◎ |
| 9月 | 御戸祭 (みとさい) |
御正殿の御扉を立てるお祭りで、扉に鑰穴(かぎあな)を穿ちます。御扉が付くことは造営工事の完了を意味します。 | 〇 参道 |
| 9月 | 御船代奉納式 (みふなしろほうのうしき) |
御神体のお鎮まりになる「御船代」を刻み、御正殿に奉納します。 | 〇 参道 |
| 9月 | 洗清 (あらいきよめ) |
新殿の竣功にあたり殿内と殿外を洗い清める儀式です。 | 〇 参道 |
| 9月 | 心御柱奉建 (しんのみはしらほうけん) |
心御柱は正殿の御床下に建てられる特別な御柱で、忌柱(いみばしら)、天ノ御量柱(あめのみはかりのはしら)とも呼ばれます。心御柱の奉建は、遷宮諸祭のなかでもひと際重んじられる秘儀です。 | × |
| 9月 | 杵築祭 (こつきさい) |
新殿の竣功を祝し、大宮処(おおみやどころ)を撞(つ)き固めるお祭りです。祭儀に先立ち五丈殿で饗膳(きょうぜん)の儀を行ない、神職は白杖(びゃくじょう)を持ち新殿の周りをめぐり、古歌を歌いながら柱の根本を撞き固めます。 | 〇 参道 |
| 10月 | 後鎮祭 (ごちんさい) |
新宮の竣功に際し、御正殿の床下に天平瓮(あめのひらか)を奉居するお祭りです。大宮処の平安を祈った鎮地祭の対になるお祭りです。 | 〇 参道 |
~神遷しのお祭り~
令和15年(2033)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 10月 | 御装束神宝読合 (おんしょうぞくしんぽうとくごう) |
天皇陛下より大御神に献ぜられる御装束神宝を、新宮の四丈殿において、式目(しきもく)に照らし読み合わせる儀式です。 | 〇 参道 |
| 10月 | 川原大祓 (かわらおおはらい) |
遷御の前日、仮御樋代(かりみひしろ)・仮御船代(かりみふなしろ)や御装束神宝を始め、遷御に奉仕するすべての奉仕員を「川原祓所(かわらはらいしょ)」で祓い清める儀式です。 | 〇 参道 |
| 10月 | 御飾 (おかざり) |
遷御当日、新調された御装束で殿内を装飾し、大御神にお遷りいただく準備をする儀式です。 | × |
| 10月 | 遷御 (せんぎょ) |
大御神が本殿から新殿へとお遷りになる式年遷宮の中核をなすお祭りです。100名をこえる奉仕員は御装束神宝(おんしょうぞくしんぽう)を手に整列し、天皇陛下がお定めになられた時刻に大御神は本殿から出御(しゅつぎょ)され、新殿に入御(じゅぎょ)されます。 | × |
| 10月 | 大御饌 (おおみけ) |
遷御の翌日の早朝、新殿において初めて大御神に神饌(しんせん)を奉るお祭りです。 | 〇 参道 |
| 10月 | 奉幣 (ほうへい) |
古くは「一社奉幣(いっしゃほうへい)」と称され、遷御とともに一際重んじられてきたお祭りです。天皇陛下より奉られる幣帛(へいはく)を奉納し、その後五丈殿で饗膳の儀が行なわれます。 | 〇 参道 |
| 10月 | 古物渡 (こもつわたし) |
古殿内の神宝類を新宮の西宝殿に移す儀式です。大御神がお遷りになった後の古殿は昨日までと違った雰囲気が漂っています。 | 〇 参道 |
| 10月 | 御神楽御饌 (みかぐらみけ) |
御神楽を執り行なうに先立ち、大御神に神饌を奉るお祭りです。 | × |
| 10月 | 御神楽 (みかぐら) |
新宮の四丈殿において、天皇陛下がお遣わしになった宮内庁楽師(がくし)が御神楽を奉納します。遷宮諸祭の最後を飾るお祭りです。 | × |
令和16年(2034)
| 開催 | 行事名 | 概要 | ◎見学可 〇条件付き ×非公開 |
|---|---|---|---|
| 順次 | 別宮の遷宮 | 内宮、外宮、荒祭宮(あらまつりのみや)、多賀宮(たかのみや)に続き、残りの12所の別宮でも遷宮が執り行なわれます。 | 〇 参道 |
- ※伊勢神宮「遷宮予定年表」より
この記事を書いた人
- ※記事中の情報は2026年8月時点のものです。
- ※写真はすべてイメージです。
- ※列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
- ※花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
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- ※同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。

