トレたび JRグループ協力

2013.08.01鉄道明日から使える!知っておきたい 初心者のためのグリーン車大活用術

週末のお出かけや旅行がもっと快適に&クラスアップ

列車の「グリーン車」は、運賃や特急・急行料金以外に別途料金が発生する、特別な車両です。飛行機のクラスと同様、良い座席は料金がかかる分、設備もサービスも上質。ゆったり乗車できることから、ラッシュアワーの混雑を避けたい時や長距離旅行、ハイクラスの人々の移動などに長く愛されてきました。

近年、その設備やサービスがますます進化を重ねているグリーン車。今回は、そんなグリーン車を賢く使うための基本的な活用術を首都圏の普通列車、新幹線・特急に分けてご紹介します。

首都圏普通列車編

実はリーズナブル! 乗車前の・乗車後で料金に違いがある!
普通列車や「湘南新宿ライン」に連結されているグリーン車利用のツボ


首都圏を走る普通列車では、ロングシートの普通車が多くなりました。そこで、少しでも快適に移動したいという人に注目が集まっているのが普通列車グリーン車です。料金は、平日とホリデーに分かれていて、それぞれに事前料金と車内料金があります。一番割安なのはホリデーの事前料金で、50kmまで580円と手頃です。

50kmまでというと、東京~北鎌倉間や赤羽・池袋・新宿~横浜間などに相当します。都内のターミナルから横浜・湘南の日帰りスポットへ行くのに利用できる距離です。

普通列車グリーン券の購入情報を持つSuicaで普通列車グリーン車に乗車し、座席上方にある読み取り装置にタッチすれば、ランプが赤から緑に変わります。その場合は車内改札が省略されます。席を移動したり別の列車への乗り換えたりする際は、Suicaの再タッチをお忘れなく。

なお、東海道本線熱海~沼津間などでは、Suicaで普通列車グリーン車を利用できません。事前に駅で通常の券(磁気券)を買いましょう。
また、車内では携帯情報端末の電波状態により、Suicaグリーン券を購入できない場合もあります。モバイルSuicaでの普通列車グリーン券の購入は、乗車前に済ませておきましょう。

基本の5ヵ条

【1】普通列車グリーン券は乗車前に買うとお得

普通列車グリーン券は、駅などで事前に購入した場合と車内で購入した場合で料金が異なります。事前購入の方が割安なので、乗車前に駅やホームの券売機などで購入しましょう。

【2】乗り継いでも普通列車グリーン券1枚で済む(首都圏エリア内)

普通列車のグリーン料金は、基本的に1列車に対して1枚必要ですが、例えば、東海道線に乗って、横浜か大船で改札を出ずに横須賀線に乗り継いでも普通列車グリーン券1枚で済みます(例外あり)。

【3】モバイルSuicaなら券売機に並ばず、どこでも事前料金で乗れる

携帯電話でSuicaを利用できる「モバイルSuica」なら、読み取り装置にタッチする前に購入操作をしておけば、券売機に並ばず、どこでも事前料金が適用されます(ただし1端末につき1人分まで)。

【4】遠くまで乗れば乗るほどお得

首都圏の普通列車グリーン料金は、51km以上どこまで乗っても800円(ホリデーの事前料金)。普通列車グリーン車の最長区間となる、黒磯~沼津間280km余りを乗り継いでも800円!

【5】定期券でも普通列車グリーン券の追加だけで乗れる

定期券で普通列車グリーン車を利用する場合、他に普通列車グリーン券を購入するだけで利用できます。毎年、春、夏、冬に発売される「青春18きっぷ」でも同じルールで利用できます。


首都圏エリアの普通列車のグリーン料金

【事前料金】

■営業キロ50㎞まで

平日:780円/ホリデー:580円

■営業キロ51㎞以上

平日:1000円/ホリデー:800円

 

【車内料金】

■営業キロ50㎞まで

平日:1040円/ホリデー:840円

■営業キロ51㎞以上

平日:1260円/ホリデー:1060円

  • 平日料金は12月29日~1月3日除く。ホリデー料金は土曜・休日及び12月29日~1月3日利用の場合に適用。
  • 2020年8月現在の料金です。

新幹線・特急編

より上質&快適な旅を楽しめるおすすめのグリーン車をご紹介

普通列車用のグリーン車より上質な設備を誇るのが新幹線や各種特急のグリーン車です。普通列車用の座席は、特急普通車を基準にしたものですが、特急では、東北新幹線の「はやぶさ」などで使われているE5系「グランクラス」のように、座席配置を2+1にして最上級のゆとりを持たせたものや、九州の日豊本線の特急「にちりん」などで使われている「DX(デラックス)グリーン」のように座席が寝台と見間違えるほどフルフラットになるものがあります。

また、秋田新幹線「こまち」用のE6系や「成田エクスプレス」用のE259系のように、木目を生かした高級感のあるインテリアも特急グリーン車ならではもの。

ほかにも前面展望を楽しめるタイプや個室タイプもあり、東京駅~伊豆急下田駅間の「スーパービュー踊り子」はそのどちらも備えている数少ない特急です。


東海道・山陽新幹線の「のぞみ」などで使われているN700系(JR東海車)のグリーン車は、快適なリクライニング姿勢を保てる「シンクロナイズド・コンフォートシート」を装備。フットレストも備えています。


この春、秋田新幹線「こまち」に投入されたばかりのE6系グリーン車。新幹線グリーン車の最新型です。シートは一部が革製で、木の温もりが生かされています。車内は和のテイストでゴージャスな印象を醸し出しています。


JR九州の特急「にちりん」「にちりんシーガイア」「有明」などの1号車に連結されている「DXグリーン」。定員はわずか3人。後ろに座席がないので、リクライニングシートを気兼ねなく倒すことができます。


成田空港アクセス特急「成田エクスプレス」に使われているE259系のグリーン車。車内は木目を生かした高級感のある仕上がり。シートは総革張りで、全席にコンセントが備えられている数少ないグリーン車です。

特急のグリーン料金は、その分、普通列車のグリーン料金より割高ですが、JR九州博多駅~直方駅間の310円など、かなり割安に設定されているものもあります。「ぷらっとこだま」など、グリーン車に格安で乗ることができる企画商品も見逃せません。


著者紹介

佐藤 正樹

1960年、北海道札幌市生まれ。「鉄道ダイヤ情報」編集部を経て、現在、フリーで鉄道趣味や旅関連の執筆を手がける。
近著に「グリーン車の不思議」(交通新聞社新書)がある。写真ブログ「札幌のスナップ」を公開中。

  • 写真/JR東日本、SONIC RAIL GARDEN、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2013年8月(一部2020年8月改定)現在のものです。
トレたび公式SNS
  • X
  • Fasebook