新橋から横浜までの鉄道歴史さんぽへ ~新橋から品川周辺を訪ねる~
明治維新のおよそ5年後、明治天皇を乗せたお召し列車が、新橋駅を出発した――。
1872(明治5)年10月14日、日本初の鉄道が新橋~横浜間で正式に開通しました。当時は新橋に近い築地と横浜に外国人居留地があったこから、新橋と横浜を起点・終点にしたとも。これにより、同区間の29kmを約1時間で移動できるようになるなど、人の交流や貨物の運送も盛んに。鉄道開業が、その後の産業発展の礎となったのです。
鉄道開業150イヤーだからこそ巡りたい、鉄道開業の関連スポット
今年は、開業からちょうど150年。そこで、新橋~横浜間にある鉄道開業の関連スポットをめぐるコースをご案内。今回は新橋から品川周辺を訪ねます。開業時の遺構が残る旧新橋停車場や一部区間は海上を走っていたことを伝える築堤跡、我こそは日本最古の駅と謳う品川駅前の石碑など、明治日本の鉄道浪漫にふれられる場所が、そこかしこに!
新橋駅からSTART!
新橋駅には、日比谷口にSL広場が、汐留口に鉄道唱歌の碑があります。
C11形蒸気機関車が飾られている新橋駅日比谷口のSL広場
新橋駅汐留口の鉄道唱歌の碑。新橋編の歌詞が刻まれている
旧新橋停車場
当時の停車場を、そのときと同位置に、同じ石張りの外観で再現。
当時の全長約151mのうち、25m分が再現されたプラットホーム
アメリカ人の建設技師、リチャード・ブリジェンス設計の駅舎外観を再現
鉄道歴史展示室1階では敷地から出土した改札鋏や工具類、汐留の歴史年表、2階では鉄道開業の経緯などを解説する映像などを見ることができます。再現駅舎の南側には、双頭レールだった明治期の線路や、プラットホームも。
1階のガラス張りの床越しに、開業時の駅舎基礎石を見学可能
当時と同じ位置にある、0哩標識。日本の鉄道開業の起点だった証
旧新橋停車場
住所 | 港区東新橋1-5-3 |
---|---|
問い合わせ先 | 03-3572-1872 |
時間 | 10~17時 |
定休日 | 月曜日 |
交通アクセス | 新橋駅「銀座口」より徒歩5分 |
値段 | 入場料無料 |
URL | https://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/ |
すき焼き 今朝(いまあさ)
旧新橋停車場の隣で1880(明治13)年創業。夜は松阪牛、昼は国産黒毛和牛(ともにA5ランク)のすき焼きを味わえます。板前が丁寧に包丁で手切りした肉は割り下がよく染み、そのやわらかさに思わず破顔。甘い千住ネギや肉厚のシイタケなど脇役も絶品です。
「昔は二階席から停車場の列車が見えたそうです」と五代目の藤森 朗(あきら)さん。
お昼のすき焼定食2750円。肉100gや各野菜などボリューム満点
「ワインとすき焼きのペアリングもぜひ」と五代目
すき焼き 今朝
住所 | 港区東新橋1-1-21 今朝ビル2階 |
---|---|
問い合わせ先 | 03-3572-5286 |
時間 | 11時30分~14時Lo・17時30分~20時Lo |
定休日 | 土日祝日 |
交通アクセス | 新橋駅より徒歩5分 |
URL | https://sukiyaki.imaasa.com/ |
ちょっと寄り道…港区立郷土歴史館
1938(昭和13)年竣工の旧公衆衛生院を整備し、活用。常設展は3・4階に分かれ、主に近現代をテーマとした4階の一画では鉄道開業の歴史を展示しています。旧新橋停車場の開業直前の写真や、1902(明治35)年頃の田町と浜松町の中間付近の交通と町並みを再現した模型など、見どころ多数。
高輪築堤が描かれた高輪蒸気車通行図。1874(明治7)年頃の印刷物
港区立郷土歴史館
住所 | 港区白金台4-6-2 ゆかしの杜内 |
---|---|
問い合わせ先 | 03-6450-2107 |
時間 | 9~17時(土曜日のみ9~20時) |
定休日 | 第3木曜日 |
交通アクセス | 地下鉄南北線・三田線「白金台駅」より徒歩1分 |
値段 | 常設展観覧料:大人300円、小中高校生100円 |
URL | https://www.minato-rekishi.com/ |
高輪築堤跡・高輪大木戸跡・高輪橋架道橋(お化けトンネル)
高輪橋架道橋西側にある仮設通路付近で発掘調査・整備工事などが進められている
江戸の南の入り口として、旧東海道の両脇に築かれた
鉄道開業の際、海上に線路を敷設するために築かれた、石積み・盛り土の遺構。2019年の品川駅改良工事のときに、石垣の一部が発見されました。開業当時、堤の長さは現在の田町駅周辺から品川駅周辺まで、約2.7kmに及んだといわれています。
高さ制限1.5mで、「お化けトンネル」「首曲がりトンネル」の異名も。再開発に伴い、一部は地上の仮設通路に
高輪築堤跡・高輪大木戸跡・高輪橋架道橋
交通アクセス | 高輪築堤跡:高輪ゲートウェイ駅より徒歩8分(築堤が見える仮設通路まで)/高輪大木戸跡:高輪ゲートウェイ駅より徒歩7分/高輪橋架道橋:高輪ゲートウェイ駅より徒歩9分 |
---|
品川駅 創業記念碑
本開業に先立ち、品川駅の仮開業が始まった日付け「明治五年五月七日」(旧暦)の文字が。隣の説明板には当時の運賃や時刻表も見られる。
品川駅 創業記念碑
交通アクセス | 品川駅より徒歩1分 |
---|
常盤軒
明治維新に際し、鉄道敷設建白書を上程した小松帯刀。その子孫の重春が1922(大正11)年に品川駅構内での立売営業権を認められ、常盤軒の歴史が始まりました。最初は駅弁などを販売、1964(昭和39)年に立ち食いそば店を開業。
こくのある甘めのつゆ、太くて黒い蕎麦という30年以上不変の味を求め、ほかのホームから毎日通う常連も!
やわらか角煮そば570円。お客の「お肉系のそばを!」の声に応え誕生
桜海老やゲソ入りの巨大かきあげが覆う品川丼500円。漬け物とお吸い物付き
常盤軒
住所 | 港区高輪3-26-27 |
---|---|
時間 | 6~23時 |
交通アクセス | 品川駅構内1番ホームと13・14番ホーム |
井上勝の墓
1871(明治4)年に初代鉄道頭となり、鉄道開業に尽力した井上勝が眠る東海寺の墓地。墓参に関してはマナーを厳守しましょう。
井上勝の墓
住所 | 品川区北品川4-11 |
---|---|
交通アクセス | 大崎駅より徒歩15分(京急新馬場駅より徒歩10分) |
次回は神奈川編!
鉄道開業150年を記念してお送りする、新橋~横浜の「鉄道歴史さんぽ」、次回は神奈川編です。
2022年6月公開。こちらもぜひご覧ください!
鉄道開業150年! 新橋~横浜「鉄道歴史さんぽ」神奈川編はこちら!
- ※掲載内容は、2022年3月中旬現在の情報です。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一部掲載内容と異なる場合があります。
- ※文章・写真/鈴木健太
- ※イラスト/高梨智子