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2024.01.29鉄道JR東日本 スーパートレインスタンプラリーにチャレンジ! ~助川康史カメラマンの10駅攻略法~

列車撮影を楽しみつつ、10駅達成を目指そう!

毎年おなじみ、JR東日本の鉄道スタンプラリー。趣向を凝らした内容で、おとなから子どもまで大好評だが、今年(2024年)のテーマはなんと“スーパートレイン”!

平成初期に活躍した車両がメインとなれば、昭和に生まれ、平成を生きた私の鉄道魂がにわかに燃え上がる!! 鉄道趣味誌『鉄道ダイヤ情報』の連載「遖! はらから鉄道塾」の出張版として、伊藤壮吾さんを巻き込んで2人で挑戦することにした(笑)。

私の考えたオリジナルコースで、まずは10駅達成にチャレンジだ!


  • 提供:東日本旅客鉄道株式会社
  • 取材・文:助川康史

人物紹介

助川康史

1975(昭和50)年東京生まれ。各種時刻表の表紙写真を多く手掛けるほか、JR東日本などの鉄道会社のポスターやカレンダー撮影も精力的に行っている。日本鉄道写真作家協会(JRPS)理事。マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ勤務。ニコンカレッジ講師。

伊藤壮吾

2003(平成15)年千葉生まれ。スターダストプロモーションのダンス&ボーカルユニット「SUPER★DRAGON」所属。JR線完乗を目指して乗車旅を楽しみつつ、時刻表好きが高じて妄想鉄道「壮都高速鉄道」を運営中。『タモリ倶楽部』『友近・礼二の妄想トレイン』『鉄オタ選手権』『アメトーーク!』など、鉄道好きとしてのテレビ出演も多数。

旅のスタートは東京駅

鉄道の歴史を感じながら出発進行!

東京駅丸の内地下南口改札口を出てすぐの場所には、「動輪の広場」という待合せ場所がある。今回はここをスタンプラリーの出発点に選び、壮吾さんと合流した。

展示されている動輪はC62形蒸気機関車15号機のもので、1972(昭和47)年の地下総武線のりば使用開始以来、50年以上も東京駅を見守ってきた存在。壮吾さんも「改めてみると大きくて、存在感がありますよね!」と興味津々だ。


「動輪の広場」で決めポーズ。10駅達成チャレンジの幕開けだ!

スタンプのディテールにも注目

まずは東京駅のスタンプをゲット。描かれているのは『200系「やまびこ」』なのだが、東北新幹線開業時の顔ではなく、のちに登場したシャークノーズ。

1990(平成2)年からは2階建て車両を1両組み込んだ13両編成で営業を開始し、翌1991(平成3)年には2階建て車両が2両になって、編成も当時の東北新幹線で最長の16両という堂々たる編成に昇格。

主に東京駅~盛岡駅間の速達列車、通称「スーパーやまびこ」に充当され、東北新幹線のエースとして活躍した、まさに“スーパートレイン”だ。


東京駅のスタンプの絵柄は『200系「やまびこ」』

起点駅ならではの楽しみも

みなさんご存じのとおり、東京駅は、各路線の起点となる駅。私がスタンプラリーの出発点に東京駅を選んだのもこれが理由だ。起点を示す「ゼロキロポスト」が、駅構内になんと10以上も! なかには意匠の凝ったものもあり、探してみると楽しい。

7番線から、上野東京ラインE231系1000代に乗り込む。最大35‰(パーミル)の急勾配を楽しみつつ、上野駅に向かった。


東京駅のゼロキロポストは10以上あり、デザインもさまざま

北の玄関口 上野駅~日暮里駅

上野駅ではついつい思い出話を……

上野駅のスタンプは『24系「夢空間』。この車両は、1988(昭和63)年に国内を駆け巡り話題となった『オリエント急行』の車両設計思想を参考にして誕生したそうだ。

仕様も車体色も違う3両を24系寝台車と連結して、臨時の寝台特急〔北斗星〕やイベント列車に使用されていた。走行する際には、そのプレミア感も相まって、カメラを構える多くのレイルファンが集まったとか。

その頃、私はまだ秋田に住んでいた。“夢空間”車両が日本海側に来ることはほとんどなく、なかなか目にするチャンスがなかったが……1995(平成7)年5月、ついに臨時寝台特急〔夢空間北東北〕として秋田県内を日中走行する日が来た!

もちろん私は緑風の香る奥羽本線の糠沢駅~早口駅間でばっちり撮影。憧れの人にようやく会えたような充実感を覚えた記憶がある。


〔夢空間北東北〕のヘッドマーク。写真は2021年に田端運転所で開催されたイベントで撮影したもの

「北の玄関口」たる由縁

さて、上野駅で外せないスポットといえば、やはり13~17番線の、通称“地平ホーム”だろう。

石川啄木の歌碑が設置されており、かつて多数長距離列車が発着し、さまざまな「お国言葉」がホームを賑わせていた様子が浮かんでくる。今の地平ホームは発着する列車の本数が少なくちょっと寂しいが、北の玄関口といわれた上野駅ならではの旅情の記憶が今もここに刻まれている。


地平ホームの石碑には、故郷を懐かしむ啄木の歌が刻まれている

余談だが、上野駅では総合検測車E491系East i-Eに遭遇! 壮吾さんの強運パワーの賜物?


14番線ではE257系5500代を撮影。先輩格であるE257系0代は四ツ谷駅のスタンプになっている

“スーパートレイン”は特急列車だけじゃない!

2番線から山手線E235系で上野駅を後にして、2駅先の日暮里駅へ。

日暮里駅のスタンプは、『E501系 常磐線』。現在では土浦駅以北のみで定期運用に就く4ドアの交直流電車だが、平成初期は上野駅起点で運用され、当時は「音」も独特だった。

いまだにレイルファンに根強い人気がある車両で、土浦駅以北まで撮影に出向く人も少なくない。通勤タイプの車両でありながら、その存在感は“スーパートレイン”だ。


常磐線神立駅~高浜駅間を走行するE501系

ちなみに常磐線は上野駅~日暮里駅間で山手線などと並走するので、この区間では、線路がずらりと並ぶ様子を楽しめる。各線の車両たちをどれだけ一緒に撮れるか、並走の最高記録にチャレンジするのも楽しい。

長距離列車・優等列車の思い出 尾久駅~両国駅

尾久車両センターの列車を観察

日暮里駅の先、京浜東北線の上中里駅からは、尾久駅まで歩くことができる。その道中で「上中里さわやか橋」に上れば、尾久車両センターの全景を眺められる。

近郊タイプのE231系やE233系に交じって、奥にはE26系寝台車“カシオペア”の姿が! 「電源車のカヤ27形も見えますよ!」と、壮吾さんも興奮気味だ。

タイミングがよければ、このほかにE001形“TRAIN SUITE 四季島”E655系“なごみ(和)”などのめずらしい車両も見ることができる。


よく見ると、右奥にはE26系寝台車“カシオペア”が、編成を切り離して点検中のよう


一期一会の列車たちに、壮吾さんとの鉄道談義も盛り上がる!

今では貴重な寝台列車

尾久駅まで歩き、スタンプを押す。絵柄は『EF81形「北斗星」』。先ほど見えたE26系を使用した臨時寝台特急〔カシオペア〕とともに、北の大地・北海道へと向かうかつての寝台列車だ。

ちなみに秋田人の私にとって寝台列車といえば〔あけぼの〕。もちろん〔あけぼの〕もこの尾久車両センターを寝床にしていた列車で、壮吾さんにはついつい、「〔あけぼの〕の取材撮影で、尾久で写真を撮ったあと、秋田まで車で追いかけたこともあって……」と思い出を自慢してしまった(笑)。

両国駅ではちょっと勉強!

上野駅、秋葉原駅と小刻みに乗り継ぎ、E231系500代で降り立ったのは両国駅。

さっそくスタンプを押しに改札外へ……の前に、構内にある「両国ステーションギャラリー」を見学することにした。ここは展示パネルなどを通じて、両国駅の歴史を学べる施設だ。


展示パネルでは房総方面の鉄道の歴史について学ぶことができる。奥に見える3番線臨時ホーム入口は現在封鎖中

新橋駅、上野駅、万世橋駅などとともに、房総地区の列車の始終着駅だった両国駅だが、立派な駅舎や現在の3番線ホームから、その面影を感じることができる。

そんな両国駅のスタンプは『485系「ニューなのはな」』。平成時代に人気を博した、いわゆる「ジョイフルトレイン」のひとつだ。JR東日本千葉支社所属の車両であっただけに、両国駅発着の臨時列車にも多く充当された歴史をもつ。

千葉県民の壮吾さんにとっては、千葉方面への玄関口であった両国駅は身近な駅に感じられるのではないだろうか!


往時の面影を残す両国駅の臨時3番線ホーム。奥に見える国技館のあたりも、かつては両国駅の敷地だった

湾岸エリアの鉄道スポット 天空橋駅~浜松町駅~高輪ゲートウェイ駅

浜松町から足を延ばして特別スタンプを入手!

再び秋葉原駅に戻り、浜松町駅で東京モノレールに乗り換えて、車窓を楽しむこと約20分。スタンプ設置駅の天空橋駅で下車。『東京モノレール2000形(旧塗装)』のスタンプを押し、近くにある撮影地では東京モノレールを撮影した。


これから撮影する東京モノレールのスタンプを押して、準備万端!


まずはお手本として私が2000形を撮影。東京タワーが背景に収まる絶好の撮影ポイントだ


カメラとレンズを壮吾さんに貸して、構図をレクチャー

壮吾さん撮影の1000形。朝の時間帯は列車本数が多いので撮影に最適だ

浜松町駅に戻り、忘れずに『カートレイン九州号』のスタンプを押す。北口を出て数分歩いて向かうのは、ウォーターズ竹芝だ。

なぜここに来たかというと、スーパートレインスタンプラリーにあわせた「企画展 ~平成を駆け抜けた試験車両たち~」が開催されているから。ここではなんと、在来線試験車『E991系「TRY-Z」』の特別スタンプをゲットできる。


企画展 ~平成を駆け抜けた試験車両たち~

E991系“TRY-Z”をはじめとする試験車両の写真や、当時関わっていた社員のインタビューなど、盛りだくさんのパネル展示を見学できる。

〇展示期間・スタンプ設置期間:2024年1月12日(金)~3月4日(月) 11:00~22:00
〇展示場所・スタンプ設置場所:アトレ竹芝 シアター棟1階


在来線試験車『E991系「TRY-Z」』のスタンプを押す壮吾さん。このスタンプはサイズが大きいので、達成感もひとしおだ

パネル展示では、鉄ちゃん心をくすぐるE991系“TRY-Z”E993系〔ACトレイン〕の貴重な諸元表のほか、当時の新技術の説明を読むことができる。どれも想像以上にディープな内容で、すっかり見入ってしまった。

なかでも個人的に面白いと感じたのは、運転士や走行試験担当者へのインタビュー。試験走行中の秘話には壮吾さんとふたりで思わず笑ってしまった(笑)。


壮吾さんもパネルを熟読。ここでしか読めない貴重な資料に触れることができて、大満足だった!

新駅にも歴史あり!

浜松町駅に戻り、やってきた山手線E235系で高輪ゲートウェイ駅へ。

2020年に開業した新駅で、駅舎や開放的な構内は建築家・隈研吾の設計だ。思えば、山手線の新駅開業は1971(昭和46)年の西日暮里駅以来だから、平成の間に開業した新駅はなかったということになる。

高輪ゲートウェイ駅は、上野東京ラインの開業で東京駅発着の列車が少なくなり、(旧)田町車両センターの機能を移転・縮小したことによって作ることが可能になった。もともと田町駅~品川駅間は距離があり、駅建設の要望も多かったので、利用者の念願が叶ったかたちだ。

沿線工事の際には、日本初の鉄道として新橋駅~横浜駅間に開業した当時の海上築堤「高輪築堤」跡が発掘されたことも記憶に新しい。日本最古の鉄道の地に、山手線E235系などの最新車両が走っていることはとても感慨深い。


2階コンコースのガラス面は鉄道ビュースポット。品川駅構内電留線で休む電車を観察できる

ちょっと意外なスタンプも?

高輪ゲートウェイ駅のスタンプは、『167系』。駅に隣接する留置線群は、かつてもっと敷地が広く、田町電車区を名乗っていた。167系は田町電車区に配置され、修学旅行列車や団体臨時列車などで、平成初期にかけて活躍した車両だ。

最近は修学旅行先が海外という学校も増えてきたが、私たちの世代は修学旅行といえばほとんどが国内の時代。専用列車も全国各地を駆け巡っていた。そういえば、平成生まれの壮吾さんにはどんな修学旅行の思い出があるのだろう?

旅の締めは“レア車両”で 神田駅~新宿駅

出合えたらラッキー! 209系

留置線群を眺めつつ京浜東北線に乗車し、続いては神田駅へ。スタンプは『209系500代 京浜東北線』だ。またなんともマニアックな車両を選んだと感心!

京浜東北線用の209系500代は、多いときでもわずか5編成のみだったレア車両。たまたま乗れたときには「今日はきっとよいことがある!」と元気になったものだ(笑)。

スタンプを押した後は、中央線快速ホームで少しばかり時間をつぶす。山手線、京浜東北線のほか新幹線も見えるので、行き交う列車を眺めているだけであっという間に時間が過ぎていく。「新幹線を見ていると、つい遠くへ行きたくなるんですよね~」と壮吾さん。その気持ち、激しく同意(笑)!!

そして、ようやくやってきたのはスタンプの209系500代ならぬ、209系1000代だ。


中央線快速では、2024年度末以降にグリーン車サービスを開始予定で、209系を見られるのもあとわずか?

いま乗って撮っておきたい列車

209系1000代は1999年に登場し、地下鉄と直通運転をする常磐線各駅停車で運用されていたが、2019年より中央線快速に転用され、主力のE233系0代とともに活躍している。

走行機器は登場時から変わっていないため、現在では希少になった、うねるような独特の走行音を楽しみながら、10駅目となる新宿駅へ。

記念すべき10駅達成は新宿駅で


10駅目となる新宿駅でゴール。我ながら、歴史を感じつつ撮影を堪能できる良いコースだった!(笑)

もちろん鉄道撮影も忘れません!

新宿駅のスタンプ『165系「パノラマエクスプレスアルプス」』を押し、これで無事に10駅達成! 賞品を受け取った後は、新宿の代名詞ともいえる大ガードの夜景を撮影した。時代が進んでも色あせない都会の美しい情景をカメラに収めた。


新宿のネオンをバックに走る山手線E235系


コース紹介

東京駅

  • 日本の鉄道の起点である東京駅で、ゼロキロポスト探しをゲーム感覚で楽しむ

上野駅

  • かつて北へ向かう優等列車で賑わった地平ホームで、啄木の碑を見て鉄道談義

日暮里駅

  • 駅前のトレインスポットで、たくさんの営業路線と列車の行き交う風景を撮影

尾久駅

  • 駅ホームや跨線橋から、尾久車両センターの列車を見て鉄道談義

両国駅

  • 両国ステーションギャラリーと臨時3番線ホームを見学

天空橋駅

  • 駅から歩いて3分ほどの名撮影地で東京モノレールを撮影

浜松町駅

  • ウォーターズ竹芝で、特別なスーパートレインの企画展を見学

高輪ゲートウェイ駅

  • ビュースポットから品川駅構内電留線(旧田町電車区)を見学

神田駅

  • 行き交う新幹線や山手線、京浜東北線を見ながら中央線快速209系を待つ

新宿駅

  • 新宿歌舞伎町のネオンをバックに、大ガードを走る列車を流し撮り

壮吾さん考案の10駅攻略法も同時公開!

私の考案した10駅攻略ルートはいかがでしたでしょうか。ぜひ皆さんも楽しみながら、「10駅達成のすごいヤツ賞」を目指してほしい。

思わず唸ってしまった、壮吾さん考案の10駅攻略法も同時公開しているので、こちらもぜひチェックを!

撮影上の注意

社会的ルールを遵守し、事故や危険のないよう注意しましょう。
また、次の事項にも十分留意して駅や沿線での撮影を楽しみましょう。

  • 線路には絶対に立ち入らないで!
    線路内の立入りは禁止されています。線路に接近した撮影や、柵に登ったり、寄りかかったりした撮影も大変危険なのでやめましょう。
  • 駅・ホームでもマナーを守って!
    ホームでの撮影は安全な場所で、周囲の利用客に迷惑を掛けないように注意しましょう。とくに列車の発車・進入時には注意しましょう。
  • ゴミを捨てないで!
    装備品の空き箱、空き缶や空きペットボトル、タバコの吸い殻など、ゴミの投げ捨てや放置は絶対にしてはいけません。各自で持ち帰りましょう。
  • 田畑やあぜ道を踏み荒らさないで!
    田畑などの私有地は本来立ち入れない場所です。撮影できるのは、土地所有者・管理者の方のご厚意によるものと心得ましょう。ひと声かけて、了解をいただくことが大切です。
  • 違法駐車はしないで!
    レンタカーなど自動車を利用する場合は、交通法規を遵守。違法駐車も厳禁です。できるだけ鉄道を利用した撮影プランを組みましょう。
  • 譲り合う心を大切に!
    好適な撮影地でも、人数が多くなりすぎると通常起こらない問題が発生しがちです。譲り合う心を大切に、無理な場所取りはやめましょう。

「JR東日本 スーパートレインスタンプラリー ~平成を駆け抜けたすごいヤツ~」開催概要

◆開催期間
2024年1月12日(金)~3月4日(月)
※賞品の引き換えは3月5日(火)まで

◆スタンプ設置箇所
首都圏全50駅の改札外(一部の駅を除く)とウォーターズ竹芝、盛岡駅・山形駅・秋田駅・新潟駅・長野駅の新幹線改札内に設置

◆賞品 ※数量限定
10駅達成のすごいヤツ賞
スーパートレインアクリルスタンド(全3種)※、50駅達成用スタンプ帳、新幹線でGO! スタンプ帳、JRE MALLクーポン(2,000円〔税込〕以上のお買い物で500円割引)
※お渡しはいずれか一つ。種類は選べません。

50駅コンプリートのすごいヤツ賞
50駅コンプリート証(記念台紙付き)
さらに、専用応募サイトから応募すると抽選で、豪華賞品が合計651名さまに当たる

「新幹線でGO!」コースの各駅達成賞
バーニア600氏描き下ろし! 鉄道風景イラストプレート




「JR東日本 スーパートレインスタンプラリー」コラムまとめはこちら

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