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2024.01.24ジパング俱楽部アイヌ文化が息づく二風谷でアイヌ民芸 木彫、刺繍、織物の今昔に触れる|モデルコース

北海道沙流(さる)郡平取町

経済産業省が指定する「伝統的工芸品」をはじめ、日本各地には今も手仕事でつくられている伝統工芸品があります。ここでは職人技を間近で見学したり体験したりできる、店や施設をめぐるモデルコースを紹介します。

北海道各地に残るアイヌ文化。2020年にオープンした白老(しらおい)町の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」や人気漫画『ゴールデンカムイ』でも注目されています。山間の小さな集落で民芸の技が脈々と受け継がれる平取(びらとり)町二風谷(にぶたに)の美しい手仕事を訪ねました。


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「ジパング倶楽部」ならこれだけおトク!

函館駅~沼ノ端駅の例)

函館駅→苫小牧駅=特急「北斗」で約2時間40分(1泊して)
苫小牧駅→沼ノ端駅=室蘭本線で約8分

通常=8230円  3割引=5750円 2480円おトク!
  • 金額は一例です。前後の行程等により金額が異なる場合があります。
  • 通常期の普通車指定席利用の場合です。
  • 入会して最初のご利用から3回目までは運賃・料金は2割引、4回目からは3割引となります。


アイヌ民芸とは?


手彫りで描き出されるアイヌ文様も特徴的です 手彫りで描き出されるアイヌ文様も特徴的です

寒冷地の厳しい環境の中で自然と共存し、植物や動物から授かる素材を生かした暮らしを続けてきた北海道の先住民族・アイヌ民族。独自の文様や彩りを添えた手作りの生活道具は実用的で美しく、家族への愛や万物への感謝がこめられています。

木彫による器やマキリ(小刀)、樹皮から糸をつむぐ織物、刺繍などさまざまな手仕事のうち、平取町の二風谷で受け継がれてきた木の盆「二風谷イタ」と織物「二風谷アットゥㇱ」が2013年、経済産業大臣が指定する伝統的工芸品に北海道で初めて指定されました。

手仕事を動画で見てみよう![二風谷民芸組合公式youtubeチャンネル]


室蘭本線・千歳線沼ノ端駅からスタート!


空が透けて見えるガラス張りの駅舎と自由通路が印象的 空が透けて見えるガラス張りの駅舎と自由通路が印象的

沼ノ端駅へは札幌駅から函館本線・千歳線で約1時間。

1898(明治31)年に開業した歴史ある駅で、北には白鳥の飛来地として知られるウトナイ湖が広がっています。

↓ 沼ノ端駅から静内行き道南バス約1時間の門別警察署前下車後、平取行き道南バスに乗り換え約23分の終点下車、平取温泉行き道南バスに乗り換え約9分の資料館前下車、徒歩約3分

二風谷コタンのチセ群

伝統的家屋を復元し、アイヌ集落を今に伝える

平取町の二風谷地区中心部を訪ねると、最初に目を引くのが茅葺(かやぶ)き屋根の家々。
周辺は二風谷コタン(=村)と呼ばれ、アイヌの人々が独自の伝統的な暮らしをしていた頃の集落が再現されています。

釘を一本も使わず、柱を植物のツルで縛り、ヨシなどで屋根や壁を葺いた家屋の内部には中心に囲炉裏があり、寒さを十分にしのぐことができました。


雪景色に佇(たたず)むチセは昔の暮らしを想像させます 雪景色に佇(たたず)むチセは昔の暮らしを想像させます

小径がめぐるコタンに9棟のチセが並びます 小径がめぐるコタンに9棟のチセが並びます

冬は外から眺めるのみですが、5〜10月は3棟のチセの内部を公開しており、それぞれ女の手仕事(刺繍など)や男の手仕事(木彫)の実演、語り部によるアイヌ語の物語や昔話に触れることができます。


二風谷コタンのチセ群

問い合わせ先 01457-3-7703(平取町役場観光商工課)
時間 冬期は外からの見学自由。手仕事実演は5月1日〜10月下旬の10〜16時(昼休憩あり)、語り部は土曜13〜14時、その他作業内容などにより時間の変動あり
交通アクセス 室蘭本線・千歳線沼ノ端駅から静内行き道南バス約1時間の門別警察署前下車後、平取行き道南バスに乗り換え約23分の終点下車、平取温泉行き道南バス約9分の資料館前下車、徒歩約3分
値段 見学無料
URL https://www.biratori-ainu-culture.com/trip/nibutani-kotan/

↓ 徒歩約1分

平取町立二風谷アイヌ文化博物館

自然信仰と結びついた美しい民具を展示

二風谷コタンのチセ群を眺めながら進むと、左奥に大きな建物が見えてきます。ここは二風谷の歴史や文化を伝える中心的博物館。
国の重要有形民俗文化財に指定された「北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション」をはじめとした木彫、衣類、狩猟や採集の道具など約5000点の貴重な資料を収蔵し、そのうち約1000点を展示しています。


儀礼に使用した祭具イクパスイもそれぞれ個性的 儀礼に使用した祭具イクパスイもそれぞれ個性的


刺繍の文様には魔除けなどの意味もあります 刺繍の文様には魔除けなどの意味もあります

手仕事の細部まで見やすく展示された館内 手仕事の細部まで見やすく展示された館内

「ゆりかごや遊具に始まり、暮らしぶりを紹介しながら最後は墓標まで、アイヌの一生をテーマに展示しています」と学芸員の廣岡絵美さん。精緻な文様が刻まれた木製の盆や美しい刺繍が施された衣類など、アイヌの民具のほとんどは町内や周辺地域から集めたものだそう。実際に使われ、大切に保存されていた代々の品に心を奪われます。


平取町立二風谷アイヌ文化博物館

問い合わせ先 01457-2-2892
時間 9時〜16時30分
定休日 12月16日〜1月15日、11月16日〜4月15日の月曜
交通アクセス 室蘭本線・千歳線沼ノ端駅から静内行き道南バス約1時間の門別警察署前下車後、平取行き道南バスに乗り換え約23分の終点下車、平取温泉行き道南バス約9分の資料館前下車、徒歩約3分
値段 400円
URL http://www.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/nibutani/

↓ 徒歩約1分

平取町アイヌ文化情報センター(二風谷工芸館)

見て触れて購入できる、そばに置きたい手仕事の品


日常に取り入れてみたい衣類やイタなどが勢揃い 日常に取り入れてみたい衣類やイタなどが勢揃い

平取町立二風谷アイヌ文化博物館のすぐ隣に位置する建物は、アイヌ文化の普及や情報発信を行なう施設。地域で活動する作家の作品を展示販売する二風谷工芸館を併設しています。
町内には織物や刺繍、木彫をたしなむ人が多く暮らしていますが、現在、一般に訪ねることができる工房の一つに「平取町アイヌ工芸伝承館ウレㇱパ」があります。

展覧会やコンクールで受賞歴がある工芸師をはじめとする、二風谷民芸組合所属の作家による手仕事の品を手に取り購入することができる貴重な場所でもあります。


刺繍入りコースターは1500円前後〜 刺繍入りコースターは1500円前後〜

彫り方や織り方など作り手によって風合いの違う作品の数々を眺めているだけでも、豊かな気持ちに満たされることでしょう。


平取町アイヌ文化情報センター(二風谷工芸館)

問い合わせ先 01457-2-3299
時間 9〜17時
定休日 年末年始(詳細は要問い合わせ)
交通アクセス 室蘭本線・千歳線沼ノ端駅から静内行き道南バス約1時間の門別警察署前下車後、平取行き道南バスに乗り換え約23分の終点下車、平取温泉行き道南バス約9分の資料館前下車、徒歩約3分
値段 入館無料
URL http://www.town.biratori.hokkaido.jp/kankou/bunka/bunka10/

↓ 徒歩約1分

沙流川歴史館

旧石器から近代まで、流域の暮らしを感じる

二風谷コタンの最奥、沙流(さる)川に面した場所に位置するこの施設は、沙流川とともに形成された文化や動植物との関わりなどから地域の暮らしをひもときます。
町内には遺跡や文化財の出土地が100カ所以上もあり、旧石器時代から縄文、北海道特有の続縄文時代・擦文(さつもん)時代・アイヌ文化期の遺物が多数発見されています。

館内では町内で出土した土器や黒曜石の石器、本州や大陸との交易を思わせる金属製品や陶磁器などを展示し、ジオラマや解説パネルなどで沙流川流域の歴史を分かりやすく解説。


下の引き出しをのぞくのも楽しい土器・石器などの展示室 下の引き出しをのぞくのも楽しい土器・石器などの展示室

森を再現したコーナーでは暮らしに関わりの深い動植物についても紹介しています。


凍結した沙流川を眺めながらひと息 凍結した沙流川を眺めながらひと息

近代の写真や発掘調査の様子の展示を見ながら最上階へ進むと、カウンター席のある展望台ギャラリーに沙流川の景色が広がります。


沙流川歴史館

問い合わせ先 01457-2-4085
時間 9時〜16時30分
定休日 月曜(祝日の場合は翌平日)、12月30日〜1月5日
交通アクセス 室蘭本線・千歳線沼ノ端駅から静内行き道南バス約1時間の門別警察署前下車後、平取行き道南バスに乗り換え約23分の終点下車、平取温泉行き道南バス約9分の資料館前下車、徒歩約4分
値段 入館無料
URL https://www.biratori-ainu-culture.com/trip/sarugawa-museum/

↓ 徒歩約23分、または車約3分

びらとり温泉ゆから レストラン

びらとり和牛を味わえる温泉宿の食事処


「和牛ステーキ丼」1800円(味噌汁、香の物付き) 「和牛ステーキ丼」1800円(味噌汁、香の物付き)


定食、洋食、麺類とメニューが豊富なレストラン 定食、洋食、麺類とメニューが豊富なレストラン

畜産も盛んな平取町で生産された黒毛和種のびらとり和牛や黒豚、ブランドトマト「ニシパの恋人」などを存分に味わえるレストラン。

料理がおいしいと評判の宿「びらとり温泉ゆから」の中にあり、日帰り入浴とあわせてひと息つくのもおすすめです。

すべてA5ランクを使うびらとり和牛のメニューは、すき焼き御膳やハンバーグ、ラーメンなど迷うほどありますが、一番人気は「和牛ステーキ丼」。
ミディアムレアに焼き上げた赤身肉は旨みが濃く、平取町産ななつぼしのごはんの上にサラダと名産のトマトがたっぷりと添えられます。ピリッときいた山わさびと和風ソースも相まって、さっぱりと味わえるひと品です。

館内にはびらとり和牛直売店や特産品を扱うショップもあり、買い物も楽しめます。


びらとり温泉ゆから レストラン

問い合わせ先 01457-2-3280
時間 11〜14時・16時〜19時30分。日帰り入浴は10時〜20時30分最終受付、500円
定休日 なし(メンテナンスのため臨時休館の場合あり)
交通アクセス 室蘭本線・千歳線沼ノ端駅から静内行き道南バス約1時間の門別警察署前下車後、平取行き道南バスに乗り換え約23分の終点下車、平取温泉行き道南バス約13分の終点下車すぐ
URL http://www.biratori-onsen.com/shop/

↓ 徒歩約21分、または車約3分

平取町アイヌ工芸伝承館 ウレㇱパ

製作体験もできる伝統技術の学び舎


伝統的な糸巻きをモチーフにした木彫りの鍋敷き 伝統的な糸巻きをモチーフにした木彫りの鍋敷き

国道237号を挟んで二風谷コタンの反対側は、手仕事を営む人が多く暮らす「匠の道」エリアです。誰でも伝統工芸の製作工程を見たり体験したりできるよう、2019年にこの施設が誕生しました。工芸家たちが代わる代わる製作に訪れ、その技術を継承する場所でもあります。
この日はアットゥㇱ織り、刺繍、木彫の作業が行なわれていました。オヒョウなどの樹皮からいくつもの手作業を経てつむいだ糸を使い、アットゥㇱ織りの反物を作っていたのは若手の柴田幸宏さん。「町のみなさんが先生です」と話し、技術を磨きながら現代生活にもなじむ作品を製作していました。


アットゥㇱ織りの反物から作られたスーツ アットゥㇱ織りの反物から作られたスーツ

反物を織る道具も人の手で作られています 反物を織る道具も人の手で作られています


アイヌ刺繍にもさまざまな手法があります アイヌ刺繍にもさまざまな手法があります


木彫りの鍋敷きを製作する岡本さん 木彫りの鍋敷きを製作する岡本さん

ていねいに木彫りをする岡本朋也さんも、伝統的な糸巻きをモチーフにした鍋敷きなど新しい作品を生み出しており、手仕事の技と心が世代を超えて確かに受け継がれていることを感じます。


平取町アイヌ工芸伝承館 ウレㇱパ

問い合わせ先 01457-3-7501
時間 9時〜16時30分
定休日 月曜(祝日の場合は翌平日)、12月31日〜1月5日
交通アクセス 室蘭本線・千歳線沼ノ端駅から静内行き道南バス約1時間の門別警察署前下車後、平取行き道南バスに乗り換え約23分の終点下車、平取温泉行き道南バス約9分の資料館前下車、徒歩約3分
値段 入館無料。製作体験は1000円〜
URL https://biratori-urespa.jp

↓ 徒歩約3分の資料館前から富川高校行き道南バス約28分の富川市街下車後、苫小牧駅前行き道南バスに乗り換え約1時間14分の終点下車

苫小牧駅ゴール!

紹介スポット一覧マップ

文/春日明子

  • 記事中の情報は2024年1月時点のものです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。
  • 新型コロナウイルス感染症等の影響により、掲載している内容が変更となる可能性があります。お出かけの際は事前にご確認ください。

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