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2024.01.23ジパング俱楽部砥部焼の里で窯元めぐりと焼き物制作を体験する旅|モデルコース

愛媛県砥部(とべ)町

経済産業省が指定する「伝統的工芸品」をはじめ、日本各地には今も手仕事でつくられている伝統工芸品があります。ここでは職人技を間近で見学したり体験したりできる、店や施設をめぐるモデルコースを紹介します。

四国を代表する磁器のひとつである砥部焼。松山市街の南に位置する山間で古くから作られています。砥部焼体験や砥部焼の窯元めぐりをしながらの里山歩きに出かけましょう。


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「ジパング倶楽部」ならこれだけおトク!

新大阪駅~松山駅の例)

新大阪駅→岡山駅=山陽新幹線「さくら」で約49分
岡山駅→松山駅=特急「しおかぜ」で約2時間44分


通常=1万3270円  3割引=9280円 
3990円おトク!
  • 金額は一例です。前後の行程等により金額が異なる場合があります。
  • 通常期の普通車指定席利用の場合です。
  • 入会して最初のご利用から3回目までは運賃・料金は2割引、4回目からは3割引となります。


砥部焼とは?

砥部焼は、厚手の生地にふくよかさを感じるフォルム、冴えわたる白磁に藍色の染付などが特徴。安定感と頑丈さもあり、日常の器として愛されてきました。また、手で形づくり、手筆で絵付けと、砥部焼の工程の多くに作り手のこだわりが詰まっています。


現代では、伝統的な絵付け以外の作品も 現代では、伝統的な絵付け以外の作品も

その始まりは、いわばリサイクル。

奈良・平安時代から砥石「伊予砥(いよと)」の産地だった砥部では、江戸時代に砥石屑(くず)を活用した磁器づくりが着目されます。数々の失敗の末、1776(安永6)年に現在の砥部焼のような白磁器の焼成に成功。

明治以降は海外でも砥部焼は評価され、大正時代には生産量の約7割以上の砥部焼が輸出されました。

戦後になると、砥部焼の手仕事のぬくもりを、柳宗悦(やなぎむねよし)など民藝運動の旗手らが再評価。1976(昭和51)年に砥部焼は「伝統的工芸品産地」の指定を受けました。

予讃(よさん)線松山駅からスタート!


松山駅(画像は高架化工事前の駅舎) 松山駅(画像は高架化工事前の駅舎)

愛媛県松山市の代表駅である松山駅は、本州や高松・宇和島方面を結ぶ特急列車が発着する四国有数のターミナル駅です。 現在松山駅は高架化工事が行なわれており、2024年度には新駅舎の運用開始が予定されているなど、駅周辺の再開発が進んでいます。


↓ 松山駅下車徒歩約3分のJR松山駅前電停から伊予鉄道市内電車2番約10分の松山市駅下車後、大岩橋・断層口行き伊予鉄バスに乗り換え約46分の砥部焼伝統産業会館前下車、徒歩約2分

砥部焼伝統産業会館

砥部焼の歴史と窯元の秀作に出合う


砥部焼伝統産業会館 外観 砥部焼伝統産業会館

砥部に到着したら、まずは砥部焼伝統産業会館を訪ねましょう。ここは砥部焼の歴史を伝える出土品や器、現代の名工たちによる美しい砥部焼、現代の暮らしに砥部焼を取り入れる提案などを展示してあります。

また、約80軒という砥部焼の窯元の多くの作品を展示、販売。ここで気になる作品を見つけたら、その窯元を訪ねてみるのもおすすめです。白磁に呉須(ごす)の絵付けという伝統的な砥部焼のイメージを越える器にも出合えます。


現代的な趣の砥部焼の展示スペース 現代的な趣の砥部焼の展示スペース

約80軒の砥部焼窯元の作品を販売 約80軒の砥部焼窯元の作品を販売

館内に入ると、まず砥部焼でできた大きな地球儀「生命(いのち)の碧い星」がお出迎え。高さ約160センチ、直径約105センチ、重さ約300キロもあるこの砥部焼は、国連創設50周年にスイスのジュネーブの国連欧州本部に寄贈された物の姉妹品です。

そして、各窯元の展示販売コーナーの奥に向かえば、砥部焼の歴史についての展示スペースに。砥部焼が始まった江戸時代から現代に至るまでの作風の変遷や、砥部焼にまつわる出来事、砥部焼ができるまでの工程や道具などが、素晴らしい作品とともに分かりやすく展示してあります。

また、砥部焼伝統工芸士による逸品や、若い世代の陶工の個性が生きる現代的な趣の砥部焼も鑑賞できます。


砥部焼伝統産業会館

問い合わせ先 089-962-6600
時間 9~17時
定休日 月曜(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月1日
交通アクセス 予讃線松山駅下車徒歩約3分のJR松山駅前電停から伊予鉄道市内電車2番約10分の松山市駅下車後、大岩橋・断層口行き伊予鉄バスに乗り換え約46分の砥部焼伝統産業会館前下車、徒歩約2分。
値段 300円(65歳以上は200円)
URL https://www.town.tobe.ehime.jp/site/tobeyakidentosangyokaikan/densan.html

↓ 徒歩約3分

石臼挽き 手打ち蕎麦処 富そば

店内はまるで砥部焼ギャラリー


店主の山田富夫さん。生まれも育ちも砥部 店主の山田富夫さん。生まれも育ちも砥部

店主の山田富夫さんは、大手百貨店で販促や店内装飾に携わっていました。その頃の同僚さんが店のデザインをかって出たのがこの富そば。同僚さんも店内装飾担当だったためそのセンスは抜群で、懐かしくもセンスのいい空間になっています。

店内にはそば猪口をはじめ、砥部焼の名品を展示。手がすく時間帯であれば、店主から作品について一言二言聞けることも。


座敷席では、砥部焼の名品が間近に 座敷席では、砥部焼の名品が間近に

ソバの実は店内石臼挽き、ツユも秘密のレシピありと、提供されるそばへのこだわりは文句なしですが、なかでも注目したいのは11月~2月末の限定メニュー「雉せいろ」と「雉かけ」各1400円。

山田さんが少年時代によく食べていた、山で獲ったキジのおいしさをみなさんにと、四国の山奥で育てられたキジをセレクトしています。


石臼挽き 手打ち蕎麦処 富そば

問い合わせ先 089-962-2053
時間 11時30分~15時(3月~10月は11時~)
定休日 水・木曜
交通アクセス 予讃線松山駅下車徒歩約3分のJR松山駅前電停から伊予鉄道市内電車2番約10分の松山市駅下車後、大岩橋・断層口行き伊予鉄バスに乗り換え約46分の砥部焼伝統産業会館前下車、徒歩約2分。

↓ 徒歩約2分

陶板の道

窯元が点在する里山を一望


砥部焼の絵付けの多様性に触れられます 砥部焼の絵付けの多様性に触れられます


家並みに窯元の煙突が。砥部の里山風景 家並みに窯元の煙突が。砥部の里山風景

富そばから西へ少し歩けば、砥部町で暮らした詩人・坂村真民(しんみん)の記念館。

ここから、砥部町陶芸創作館まで続く散策路「陶板の道」が始まります。小さな丘を越えていくこの道には、歩道や法面(のりめん)に地元の砥部焼の陶工の絵付けによる陶板約580枚が敷き詰められています。

「砥部町陶芸創作館」まで徒歩約15分の道のりは、道の案内板まで砥部焼です。

また、陶板の道からは、砥部町の里山風景を一望できます。頂上には砥部焼の始祖である杉野丈助(じょうすけ)の碑がたつ陶祖ケ丘(とうそがおか)があります。


陶板の道を登ると陶祖ケ丘 陶板の道を登ると陶祖ケ丘

江戸時代に砥部の砥石屑での磁器焼成に成功したのが杉野丈助。彼の碑がある陶祖ケ丘で目をひくのは、碑の背面の壁。

江戸時代中期~大正時代までの「くらわんか茶碗」の破片などが埋め込まれ、砥部焼の歴史を感じられます。


陶板の道

交通アクセス 予讃線松山駅下車徒歩約3分のJR松山駅前電停から伊予鉄道市内電車2番約10分の松山市駅下車後、大岩橋・断層口行き伊予鉄バスに乗り換え約46分の砥部焼伝統産業会館前下車、徒歩約3分。

↓ 徒歩約15分

砥部町陶芸創作館

砥部焼の絵付けからロクロ体験まで


絵付け、手びねり、ロクロ体験ができます 絵付け、手びねり、ロクロ体験ができます

陶板の道を歩きながら、いろいろな砥部焼の絵付けや砥部の里山風景を堪能しながら丘を下っていけば、「砥部町陶芸創作館」に到着します。

砥部焼をつくる楽しさを体感することができる施設ですが、館内には砥部焼作品を展示販売するギャラリーもあり、自分好みの一品に出合うかもしれません。ギャラリーの砥部焼には、若手作家のみずみずしい感性から生まれる作品もあり、砥部焼の奥深さを教えてくれます。

また館外には、江戸末期の砥部焼の登り窯の跡を復元した「大下田(おおした)一号窯」もあります。砥部焼体験だけでなく、砥部焼の昔と今にも触れられる施設です。


砥部町陶芸創作館 外観 砥部町陶芸創作館

砥部焼体験の講師で陶工の宮内勇武さん 砥部焼体験の講師で陶工の宮内勇武さん

砥部町陶芸創作館での砥部焼体験メニューは3つあります。箸置きから大皿までさまざまな器を選べる「絵付け」体験は所要時間約30分~2時間程度で300円~。所要時間と値段は器によります。

手ろくろの上で押したり指でつまんだり、型で形を整える「手びねり体験」は所要約1時間、電動ろくろを使用する「ロクロ体験」は約30分で、ともに2000円。絵付け体験以外は要予約です。

講師で砥部焼の陶工でもある宮内勇武さんは、砥部焼の特徴を「手仕事の魅力」といいます。「砥部焼は手づくりの産物。手で形を生み出し、手で絵を描いていきます。それが温かな雰囲気に。また、若手の陶芸家も増えています。彼らがもたらす砥部焼の新たな景色もぜひ味わってみてください」


砥部町陶芸創作館

問い合わせ先 089-962-6145
時間 9~16時
定休日 木曜(祝日の場合は翌日)、12月29~1月3日
交通アクセス 予讃線松山駅下車徒歩約3分のJR松山駅前電停から伊予鉄道市内電車2番約10分の松山市駅下車後、大岩橋・断層口行き伊予鉄バスに乗り換え約46分の砥部焼伝統産業会館前下車、徒歩約7分。
URL https://www.town.tobe.ehime.jp/site/sousakukan/

↓ 徒歩約15分

風山舎(ふうざんしゃ)

砥部を見わたす丘で、静かに作陶を続ける


風山舎の工房にて、窯元の渡部俊治さん 風山舎の工房にて、窯元の渡部俊治さん

砥部町陶芸創作館からは、数軒の窯元がある五本松地区の道を散策しながら陶里ケ丘へ。最後は急な上り坂ですががんばりましょう。

ここにある風山舎の渡部俊治さんは、陶芸好きが高じて砥部焼の窯元になった人です。「ここに窯を構えた翌年には、勤めていた会社を退職して作陶に専念することに」
以来22年、研鑽を重ねるなかでいくつか賞に輝くなど、その作風が評価されてきました。

また、渡部さんは土もの(陶器)も焼いています。「陶器は粉引きという技法でつくっています。窯の中で生まれる窯変の奥の深さが好きで、砥部焼の窯元なのに土ものも手がけています」

そんな型にとらわれない渡部さんだからか、どこか軽やかさとおおらかさを感じさせる作風です。


風山舎のギャラリーで作品を紹介する渡部さん 風山舎のギャラリーで作品を紹介する渡部さん

渡部さんの陶芸の入口は砥部焼の陶芸教室。「松山市で暮らしていましたから、陶芸教室のある砥部町まで4年間通いました」

渡部さんにとって砥部焼の魅力はと聞くと、絵付けだといいます。「器の形を作ることも好きですが、絵を描くことはもっと好きなのです」。自己研鑽の過程で砥部焼の絵付けの魅力の奥深さに気づかされたといいます。

「器にフリーハンドで描くというのは、紙に描くときの筆遣いとはかなり違います。素焼きの器は筆から水分をどんどん吸っていくので、とても難しい」

砥部焼では「つけたての一筆書き」という手法での絵付けもありますが、「それは優れた技なんですよ」と渡部さん。筆の走り方、絵の線の繊細さに着目して、砥部焼の鑑賞を楽しんでみては。


風山舎

問い合わせ先 089-962-4477
時間 9~17時頃
定休日 不定休
交通アクセス 予讃線松山駅下車徒歩約3分のJR松山駅前電停から伊予鉄道市内電車2番約10分の松山市駅下車後、大岩橋・断層口行き伊予鉄バスに乗り換え約46分の砥部焼伝統産業会館前下車、徒歩約20分
URL https://fuuzansha.com/

ひと足のばして 陶里ケ丘の窯元&ギャラリーをめぐる

「風山舎」がある陶里ケ丘は、砥部焼の陶芸界に新たな風を取り入れようと造成された団地。代々の窯元の後継者ではなく、陶芸に挑戦しようという新人や若手がここに窯を構え、研鑽を重ねてきました。陶里ケ丘誕生からこの地で作陶する窯元だと間もなく四半世紀になります。現在9軒の窯元と、砥部焼ギャラリーが1軒あります。不定休や、見学は事前連絡が必要な窯元が多いので、訪問する折には注意が必要です。例年ゴールデンウィークにはここで砥部焼フェアーを開催し、陶里ケ丘以外の窯元の作品も展示販売しています。

↓ 徒歩約20分の砥部焼伝統産業会館前バス停から松山市駅行き伊予鉄バス約52分の終点下車後、伊予鉄道市内電車1番に乗り換え約10分のJR松山駅前下車、徒歩約3分

松山駅ゴール!

紹介スポット一覧マップ

文・写真/大村嘉正

  • 記事中の情報は2024年1月時点のものです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。
  • 新型コロナウイルス感染症等の影響により、掲載している内容が変更となる可能性があります。お出かけの際は事前にご確認ください。