トレたび JRグループ協力

2024.07.31ジパング俱楽部礼文島の高山植物を愛でに、桃岩展望台トレッキングへ

桃岩(ももいわ)展望台コースとは?  

礼文島(れぶんとう)には距離も難易度もさまざまな7つのフットパス(歩行者専用の道)が整備されています。 香深(かふか)港から近く、高山植物と絶景を楽しめるのが「桃岩展望台コース」。桃岩登山口までバスで行けば、反対側の知床(しれとこ)登山口までは約5.3キロ、2時間〜2時間30分ほど。

花の見頃は刻々と変化しますが、島で見られる花のほとんどがコース上に咲き、海越しに利尻富士を眺められるポイントも数多く存在します。 風が強いことや、霧が発生して冷えることもありますので、真夏でも上着があると安心です。飲み物やタオル、帽子を持参し、履き慣れたスニーカーや登山靴で臨みましょう。



香深港フェリーターミナルから出発!宗谷(そうや)バスで桃岩登山口へ


バス停は香深港フェリーターミナルのビルを出てすぐ バス停は香深港フェリーターミナルのビルを出てすぐ

桃岩登山口行き宗谷バス約8分の桃岩登山口下車すぐ


港から急坂を登って到着する桃岩登山口バス停 港から急坂を登って到着する桃岩登山口バス停

登山道入口脇に簡易トイレがあります 登山道入口脇に簡易トイレがあります

桃岩登山口〜桃岩展望台


可憐な花姿のチシマフウロ(6〜8月) 可憐な花姿のチシマフウロ(6〜8月)


長い花期で楽しませてくれるエゾカワラナデシコ(7月下旬〜9月) 長い花期で楽しませてくれるエゾカワラナデシコ(7月下旬〜9月)

桃岩と7〜8月に咲くイブキトラノオ 桃岩と7〜8月に咲くイブキトラノオ

バスを降りるとすぐ先に登山道への入口があります。ゴールの知床までトイレはないので、フェリーターミナルか登山道入口脇の簡易トイレを利用しておきましょう。

入口からしばらくは階段が続きます。手すりはないのでストックがあると疲れを軽減できます。コースのほとんどは人とすれ違うには少々狭いくらいの道幅ですが、足もとやすぐそこに高山で見られる花々がかわいらしい姿を見せてくれます。花の写真を撮る際は後ろの登山者に道を譲りながら、自分のペースで歩みを進めましょう。

入口から20分前後で「桃岩展望台」に到着。海側には桃のような形をしていることから名づけられた桃岩が見え、7~8月頃はピンクの花穂をかわいらしく風に揺らすイブキトラノオの群生が迎えてくれます。

桃岩展望台〜キンバイの谷


美しい丘の風景に包まれる「キンバイの谷」 美しい丘の風景に包まれる「キンバイの谷」

「キンバイの谷」の周辺は木道が整備されています 「キンバイの谷」の周辺は木道が整備されています


霧が立ち込める風景も幻想的です 霧が立ち込める風景も幻想的です

右手に海が広がり、なだらかにうねる丘陵地に植物が青々と茂る素晴らしい景色が連続します。晴れた日は所どころで隣の利尻島にそびえる利尻富士がぽっかりと海に浮かぶ絵葉書のような景色が現れます。

足もとがぬかるんでいる所もあるので下を向きがちですが、ときどき立ち止まって顔を上げ、周りを見わたしたり、来た道を振り返ってみたりすることを忘れずに。切り立った崖のパノラミックな景観や、緑の丘に刻まれた登山道の美しい光景に包まれていることに気づきます。 「キンバイの谷」と呼ばれる開けたポイントまで来ると歩きやすい木道になり、丘の向こうに利尻富士を望む展望所が設けられています。

キンバイの谷〜元地(もとち)灯台


トレッキングの疲れが吹き飛ぶ「元地灯台」の眺め トレッキングの疲れが吹き飛ぶ「元地灯台」の眺め

レブンキンバイソウ(6月)とヒオウギアヤメ(6月下旬〜8月) レブンキンバイソウ(6月)とヒオウギアヤメ(6月下旬〜8月)


灯台のそばのベンチでひと休み 灯台のそばのベンチでひと休み

ここからは登りの道や少々きつい階段が続きますが、振り返るたびにどんどん眺めが良くなり、疲れを忘れさせます。休み休み、ゆっくりと歩きましょう。 20分ほどで下りの道に変わり、灯台まであと800メートルの距離を示す道標と利尻富士の眺めが励ましてくれます。

元地灯台は1954(昭和29)年に初点灯し、今なお現役で海の安全を守っています。灯台と水平線を望む、胸がすくような景色が広がります。

元地灯台〜知床


バスの到着まで座って過ごせる知床バス停 バスの到着まで座って過ごせる知床バス停

灯台からは下り道が続き、だんだんと道幅が広がり傾斜も緩やかになります。しばらく進むと前方に海が開け、民家が見えてきます。海越しに利尻富士、左の丘には「北のカナリアパーク」が見え、知床口のゲートを過ぎればゴールはあと少し。 小さな橋を渡って民家の間を進み、知床バス停に到着。 バス停には4〜5人が座れる待合室があり、隣にトイレの小屋も建っています。

桃岩展望台トレッキング

行程 香深港フェリーターミナル→(バス約8分)→桃岩登山口→(徒歩約20分)→桃岩展望台→(徒歩約45分)→キンバイの谷→(徒歩約40分)→元地灯台→(徒歩約40分)→知床バス停→(バス約8分)→香深港フェリーターミナル
所要時間 約2時間30分
問い合わせ 0163-86-2655(礼文島観光案内所/4月中旬〜10月中旬営業)

トレッキングの後はここへ!

炉ばた ちどり

獲れたてのホッケを「ちゃんちゃん焼き」に


炭火で炙(あぶ)りながら味わう「ほっけのちゃんちゃん焼き」 炭火で炙(あぶ)りながら味わう「ほっけのちゃんちゃん焼き」


椅子席、カウンター席、小上がり席のある店内 椅子席、カウンター席、小上がり席のある店内

宿や日帰り入浴施設へも近い便利な立地 宿や日帰り入浴施設へも近い便利な立地


両親と店をきりもりする西岡洋さん 両親と店をきりもりする西岡洋さん

礼文島はホッケの好漁場としても知られています。70年ほど前に創業したというこの店では、生のホッケに味噌をのせて炭火で焼く「ほっけのちゃんちゃん焼き定食」(ごはん、味噌汁、漬物、小鉢付きで1600円)が名物。

もとは抱卵して味が落ちたホッケをおいしく食べようと考案したということですが、現在は脂乗りのよい時期のホッケを使用し、通年提供しています。 「ホッケは6〜8月、ちょうど礼文島の花の見頃の時期がおいしい季節」と三代目の西岡洋さん。

ていねいに骨を外したホッケを網に乗せて炭火で焼くと、5分ほどで尾のほうから火が入ってきます。ちょうどよいタイミングでスタッフが食べ方をレクチャーしてくれるので安心。ほぐした身にお母さん手作りの自家製味噌を混ぜれば、ふっくらとした身と上品な脂の旨みが口いっぱいに広がります。

皮をお皿代わりに食べ進み、最後は皮も香ばしい一品に。ホッケは足が速いため、干物ではない新鮮な生ホッケは産地ならではの貴重な味わいです。


炉ばた ちどり

問い合わせ先 0163-86-2130
時間 11〜16時
定休日 不定休
交通アクセス 香深港フェリーターミナルから徒歩約5分
URL https://h855000.gorp.jp/

おわりに

いかがでしたでしょうか。
固有種の花々や、海に面した丘陵地帯の感動的な景色が迎えてくれる礼文島のトレッキング。
ひと汗かいた後は新鮮な魚介類でおなかを満たし、温泉にほっとくつろげる場所が港の近くに揃っています。
日常から遠く離れた美しい風景に、心うるおう最北の島旅です。

文・写真/春日明子