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2024.09.26ジパング俱楽部100年の歴史を持つ老舗(しにせ)が作る今治駅の「瀬戸の押寿司」|駅弁2024

愛媛県今治市

鉄道旅のおとも、駅弁。車内で開くわくわく感を忘れられない人も多いはずです。どこか懐かしさも感じるロングセラー駅弁の人気の理由を、調製元に直接伺いました。

愛媛県今治市は世界的な造船の町として知られ、しまなみ海道がいざなう多島美の玄関口。沖合にある来島(くるしま)海峡は日本三大急潮のひとつで、最大10ノット(時速約18.5キロ)の激しい潮流に暮らす魚介は身が締まり、適度に脂がのった味わいが特徴です。その代表格といわれるのがタイで、古くから地元で愛されてきました。そんなタイを押寿司で食すという珍しい調理法が昔から人気を集める、今治駅限定の駅弁を紹介します。


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「瀬戸の押寿司」を販売する今治駅


予讃(よさん)線今治駅。観光案内所とレンタサイクルが充実 予讃(よさん)線今治駅。観光案内所とレンタサイクルが充実

多島美、早瀬のように波立つ潮流、クレーンが林のように立ち並ぶ造船所など、瀬戸内海の原風景が揃う今治。

今治駅で「瀬戸の押寿司」を手に入れて、あなたの瀬戸内を見つける旅を始めましょう。


今治駅弁「瀬戸の押寿司」

地元の海・来島海峡のタイへの愛から生まれた


「瀬戸の押寿司」。木組みの器入り 「瀬戸の押寿司」。木組みの器入り

手に取ったときの重さに、しっかりと押された寿司だなとうれしくなりました。

竹の6つ目編みをプリントした外箱は、記されている書体とともに、鉄道旅といえば駅弁だった頃を彷彿(ほうふつ)とさせるノスタルジックな雰囲気。中箱には通気性のある木を使用し、押寿司の風味をやさしく包んでいます。

笹の中に、まぶしく光るタイの身


来島海峡産のタイを存分に味わえます 来島海峡産のタイを存分に味わえます

ふたをあければ、まず、美しい緑色の笹がご挨拶。

その下には、白く輝くタイの身がびっしり。塩で締め、だしにつけた白身は、来島海峡の潮にもまれて育ったタイをさばいたものです。適度な脂ののりなので、押寿司にぴったりなのだそう。タイ以外の食材は大葉と寿司飯だけ。

大葉は香りのアクセントに、寿司酢はタイの味を引き立てるよう、名脇役に徹するような塩梅(あんばい)です。瀬戸内海のタイの料理のなかでは、素材を生かす素朴さもありながら、かなり上品な味わいになっています。

「瀬戸の押寿司」の製造を手がける「二葉」  

今治で約100年にわたり駅弁を作る老舗


今治駅のすぐそばにある「二葉」の本店 今治駅のすぐそばにある「二葉」の本店

鉄道旅行中に味わいたければ、今治駅に来るしかないのが「二葉」の駅弁。

地元のタイを使い、その味を引き出すことにこだわっています。この地域ではタイの押寿司というのは一般的な調理法ではないのですが、新しいタイの味わいを求めて開発したそう。

「瀬戸の押寿司」の賞味期限は2日間あるので、おみやげとしても最適です。通販でも購入可能なため、遠方の方でも同じ味を楽しむことができます(一部地域を除く)。

今治駅の歴史とともに歩んだ駅弁


今治駅前で店を構えていた頃の「二葉」 今治駅前で店を構えていた頃の「二葉」

「二葉」の駅弁は、1924(大正13)年の今治駅誕生とともに始まりました。

しかし店の歴史はもっと古く、明治時代には今治城近くで料亭を営んでいたとか。昭和40年代の国内旅行ブームの頃に、「二葉」の名物駅弁のひとつである「鯛めし弁当」が生まれ、「瀬戸の押寿司」は1985(昭和60)年頃に登場。

「鯛めし弁当」も「瀬戸の押寿司」も、誕生当時から変わらぬ内容と味を、自信をもって受け継いでいます。


「二葉」の駅弁売り場は今治駅改札に隣接 「二葉」の駅弁売り場は今治駅改札に隣接

「二葉」の駅弁が買える駅は今治駅だけ。

「瀬戸の押寿司」と「鯛めし弁当」などを販売。駅弁売り場には食堂「うどん店」も併設してあり、購入した駅弁を店内で食べることも可能です。

二葉の四代目・野間靖大さんにインタビュー


四代目の野間靖大さん 四代目の野間靖大さん

―――「二葉」の駅弁のこだわりは?

来島海峡で育った、活きのよいタイですかね。昔から常連のお客さんも多く、伝統の味を守ることを心がけています。今治駅まで来られないお客様のために、通販にも力を入れています。こだわりのタイを使った駅弁を、今治で食べるのと変わらない味わいで届けるため、努力を重ねています。

―――「瀬戸の押寿司」と一緒にどんな旅がおすすめですか?

駅弁をもって、今治港からしまなみの島々に渡る船旅はいいですよ。

また、「鯛めし弁当」を今治城などで食べてもらい、その日の夕食用に「瀬戸の押寿司」をお求めいただき、松山方面への鉄道旅を続けていただくのもおすすめです。

松山駅から乗り換えて、予讃線(愛ある伊予灘線)下灘(しもなだ)駅で、瀬戸内海の夕日を眺めながら食べる駅弁は最高でしょうね。


今治駅のもうひとつの定番「鯛めし弁当」

瀬戸内海沿岸の鯛料理の代表格が、鯛の炊き込みご飯「鯛めし」。

地元来島海峡のタイの味に自信ありの「二葉」では、素材がほぼ「タイ」と「飯」という潔い景色の鯛めしを弁当にしています。通販用の「二葉の鯛めし」もおすすめです。

二葉

問い合わせ先 0898-22-1859(本店)
販売場所 予讃線今治駅構内(改札外横)
時間 駅構内売店8時~19時30分
価格 「瀬戸の押寿司」1540円(10月1日から1800円)、「鯛めし弁当(小)」1030円(10月1日から1160円)
URL https://www.futaba-b.com/

「瀬戸の押寿司」を買いに今治駅に行こう!


特急「しおかぜ」8000系リニューアル車両 特急「しおかぜ」8000系リニューアル車両

予讃線今治駅へは、岡山駅から瀬戸内海を渡って松山駅を結ぶ特急「しおかぜ」が便利。

2023年12月より「8000系特急形電車」のリニューアルがスタートし、順次運転を拡大中。車いすフリースペース(5号車)の設置や車内インテリア、座席設備の更新に伴い、より快適に移動できます。

地元駅弁屋さんに聞いた!今治のおすすめスポット

みなと交流センター はーばりー(今治港)


展望デッキから来島海峡の島々を一望 展望デッキから来島海峡の島々を一望

今治駅から一番近い瀬戸内海の展望所が、今治港にある「みなと交流センター はーばりー」。

港の風情の向こうには、来島海峡や瀬戸の島々、しまなみ海道の橋を眺められます。岸壁にはピクニックテーブルが設置されているので駅弁をゆったりと楽しめます。展望デッキもあり。


みなと交流センターはーばりー

問い合わせ先 0898-36-1545(今治市港湾漁港課)
時間 6~20時
交通アクセス 予讃線今治駅から今治営業所行きせとうちバスほか約7分の今治桟橋下車すぐ。
URL https://www.city.imabari.ehime.jp/kodomo/kirarin/odekake/2301/

「瀬戸の押寿司」と一緒に楽しみたい観光スポット

日本屈指の海城 今治城


今治城の堀には海の魚が泳ぐ 今治城の堀には海の魚が泳ぐ

戦国武将で築城の名手と評された藤堂高虎(とうどうたかとら)が江戸時代初期に築城。天守や櫓(やぐら)、鉄御門などは1980(昭和55)年以降の再建ですが、石垣や内堀はほぼ完全な形で残っています。

築城当時は海に面した城で、船で海から城内へ入れました。現在も堀には海水が出入りし、クロダイやボラの姿も見えます。天守や櫓は博物館や美術館になっていて、今治城や地域の歴史・自然・美術品を展示しています。


今治城

問い合わせ先 0898-31-9233
時間 9時~16時30分
定休日 12月29~31日
交通アクセス 予讃線今治駅から今治営業所行きせとうちバス約9分の今治城前下車、徒歩約2分
値段 520円(65歳以上420円)
URL https://www.city.imabari.ehime.jp/museum/imabarijo/

文・写真/大村嘉正

  • 記事中の情報は2024年9月時点のものです。
  • 列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
  • 花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
  • 店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
  • 同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。
  • 新型コロナウイルス感染症等の影響により、掲載している内容が変更となる可能性があります。お出かけの際は事前にご確認ください。