2025.08.25ジパング俱楽部北海道唯一の国指定文化財庭園・香雪園と湯の川さんぽ|モデルコース
北海道函館市
気候もよくなる秋の旅行シーズン。何世代も前から多くの人がその美しさに魅了されてきた歴史ある紅葉名所を歩く旅はいかがでしょう。列車やバスでアクセスしやすい秋の日本を歩くコースを紹介します。
函館駅から市電で30分程度と交通の便もいい湯の川温泉。湯量豊富な温泉が湧き、朝食に名物のイカそうめんを出す宿が多い温泉街です。市電湯の川電停から徒歩30分ほどの場所にある旧岩船氏庭園「香雪園(こうせつえん)」は、じつは函館を代表する紅葉名所のひとつ。とくにカエデ類の紅葉がみごとで、茶室のある庭園を歩きながら風流な紅葉散歩を楽しめます。今回のモデルコースでは町の銭湯や銘菓も堪能できるお散歩コースを紹介します。
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モデルコース概要
紅葉の見頃 | 10月中旬~11月上旬 |
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歩行距離 | 約6キロ |
所要時間 | 約3時間40分 |
- ※記事の所要時間は、駅から駅までのバスの移動や観光や食事、休憩を含む時間の合計です。
函館本線函館駅からスタート!
北海道新幹線が発着する新函館北斗駅から函館駅までは、函館本線「はこだてライナー」を使えば最速15分。船をモチーフにした駅舎は外装の多くにチタンが使用され、近代的な印象を与えています。
有名な函館朝市へは駅からわずか徒歩約1分。旅の最後に海産物を購入するのにも便利な立地です。駅前のモニュメントは林昌平『OYAKO』。
函館市電湯の川電停
車両ごとにデザインや外装が異なるかわいらしい函館市電にカタコトと揺られ、終点の湯の川電停で下車。
温泉街の中心部から少し離れた住宅街に位置し、駅前には湯の川温泉を見守ってきた湯倉神社が鎮座しています。
紅葉ハイキングはここからスタート。さっそく紅葉名所へと向かいましょう。
旧岩船氏庭園(香雪園)
カエデ並木と庭園の景観が美しい
例年10月中旬〜11月上旬が見頃となる香雪園
みごとに色づくカエデ並木を見上げながら散策
紅葉に覆われた太鼓橋も見どころのひとつ
湯の川電停から北上し、住宅街をのんびりと歩きます。途中、緩やかな上りの傾斜はあるものの、足もとは歩きやすい舗装道路のため普段履いている靴で問題ありません。30分ほどで正門に到着。ここは函館の豪商・岩船家が明治時代に建てた別邸の庭園で、約150種にもおよぶ庭木が植栽されています。2001年には北海道で唯一の国指定文化財となりました。
入って右へ進むとすぐ、約100メートルのカエデ並木が秋の大きな見どころです。頭上に覆い被さるように枝を伸ばすカエデが10月中旬〜11月上旬に真紅〜黄色に紅葉し、まるでカエデのトンネルのよう。どこを撮っても絵になるため、秋の撮影スポットとして函館市民にも人気です。
中央の芝生広場から一の池へ向かう道は、足元の段差に注意しましょう。その先にある太鼓橋や書院造の茶室「園亭」の景観は、純和風のしっとりとした美しさ。しばし足を止め、ゆっくりと眺めたい風景です。
明治時代に建てられた園亭は貸し切りでのお茶会などに利用されていますが、座敷を囲む廊下へは一般見学者も立ち入ることができます。縁側から眺める庭の景色はまた格別です。
例年、紅葉の時期に香雪園をライトアップするイベント「はこだてMOMI-Gフェスタ」が行なわれます。鮮やかな紅葉が光に照らされ、日中とはひと味違う幻想的な光景が浮かび上がります。
2025年の開催は10月17日〜11月3日、点灯は16〜21時。夜間は冷えこむため、訪れる際は上着を用意しましょう。
旧岩船氏庭園(香雪園)
問い合わせ先 | 0138-57-7210(東部公園事務所) |
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時間 | 入園自由(園亭は9〜17時) |
定休日 | なし(園亭の一般公開は12〜3月休) |
交通アクセス | 函館本線函館駅下車、徒歩約3分の函館駅前から湯の川行き函館市電約35分の終点下車、徒歩約30分 |
値段 | 無料(園亭の貸し切りは有料、要問い合わせ) |
URL | https://www.hakodate-jts-kosya.jp/park/miharashi/ |
湯倉神社
紅葉とウサギのモチーフを楽しめる
1941(昭和16)年に建てられた流造の御本殿
おしゃれな「刺繍レース御守」1000円
香雪園の北側から園を出て、湯の川電停方面へと戻ります。訪ねておきたいのは湯の川温泉の鎮守、湯倉神社。その昔、松前藩主が幼少期に病にかかり、湯の川の温泉で快癒したという伝承とその際に奉納された鰐口(わにくち)が残る由緒ある神社です。創建は1600年代とされ、湯の川の人々に親しまれてきました。
境内には「湯川温泉発祥之地碑」や湯の川一の古木とされるイチイの御神木、御祭神の大国主神と縁の深いウサギ(因幡の白兎)をかたどった「なでうさぎ 神兎」の像などが点在します。万事が丸く収まるよう、丸い手毬(てまり)とウサギをモチーフに制作された「てまりうさぎ」の前はフォトスポットとしても人気です。
授与品にも「うさぎおみくじ御守」があり、香木でもある楠(くす)の木玉(500円)に描かれた20種類のウサギの紋様によって異なる「御諭し」の言葉をいただけます。しけ絹で作られたお守り袋(500円)は紅白2種類。旅の思い出に授かってみましょう。
秋には「湯川温泉発祥之地碑」の隣の「湯倉の大銀杏」が黄金色に輝き、境内奥の日吉神社や豊受稲荷神社の周囲でもカエデの紅葉が見られます。最奥から神社を辞して小道を駅のほうへと戻りつつ、紅葉狩りを楽しみましょう。
丸い木玉にウサギが描かれた「うさぎおみくじ御守」
表通りからもよく見える湯倉神社の大鳥居
湯倉神社
問い合わせ先 | 0138-57-8282 |
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時間 | 参拝自由(授与所は8時30分〜17時30分) |
定休日 | なし |
交通アクセス | 函館本線函館駅下車、徒歩約3分の函館駅前から湯の川行き函館市電約35分の終点下車、徒歩約2分 |
URL | https://www.yukurajinja.or.jp |
やきだんご 銀月(ぎんげつ)
地元で愛される老舗(しにせ)餅菓子店の串団子
串団子はどの種類も1本150円(2025年9月1日より160円)
餅菓子を得意とする和菓子店
1966(昭和41)年に創業した餅菓子の名店。上新粉(米粉)を使った名物の串団子はモチっと弾力がありながらやわらかく、ほどよく焦げ目がつくよう焼き上げた表面の香ばしさがくせになる味。ごま、しょうゆ、あんの3種類があり、あんや醤油だれがたっぷりとかけられています。売り切れてしまうこともあるため早めに来店したほうがいいでしょう。
北海道、とくに道南で親しまれている郷土菓子「べこ餅」や大福も看板商品。ほかにもどら焼きやくりまんじゅうなどの和菓子を販売しています。
やきだんご 銀月(ぎんげつ)
問い合わせ先 | 0138-57-6504 |
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時間 | 8時30分〜17時30分 |
定休日 | 不定休 |
交通アクセス | 函館本線函館駅下車、徒歩約3分の函館駅前から湯の川行き函館市電約35分の終点下車、徒歩約5分 |
大盛湯(たいせいゆ)
湯の川温泉をかけ流しで堪能できる温泉銭湯
今では少なくなった昔ながらの銭湯が懐かしい
階段状の浴槽で上から順に熱い湯が注がれます
おなかを満たした後は、せっかく湯の川温泉に来たのだからひと風呂浴びてみたいもの。湯の川には温泉宿がいくつもありますが、湯の川電停から温泉街の中心部までは少し離れています。温泉銭湯「大盛湯」なら電停から近く、気兼ねなくサッと日帰り入浴が可能です。
昔ながらの懐かしい銭湯の雰囲気で、湯船には湯の川温泉がかけ流しで惜しみなく注がれています。60〜65度と高温の源泉を熱交換式で適温まで下げているため、加水していません。熱湯からぬる湯まで3種類の浴槽があり、好みの湯度でゆったりと疲れを癒やせます。さっぱりとした気持ちで帰りの市電に揺られましょう。
大盛湯(たいせいゆ)
問い合わせ先 | 0138-57-6205 |
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時間 | 9〜12時・15〜21時(20時受付終了) |
定休日 | 水曜 |
交通アクセス | 函館本線函館駅下車、徒歩約3分の函館駅前から湯の川行き函館市電約35分の終点下車、徒歩約2分 |
値段 | 500円 |
URL | http://www.taiseiyu.com |
函館市電湯の川電停
函館駅ゴール!
コースルート付き!紹介スポット一覧マップ
文/春日明子
- ※記事中の情報は2025年8月時点のものです。
- ※記事の所要時間は、駅から駅までのバスの移動や観光や食事、休憩を含む時間の合計です。
- ※列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
- ※花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
- ※店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
- ※同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。