2025.10.27ジパング俱楽部シーボルトが世界に紹介した雲仙|外国人の愛した日本

長崎県雲仙市
現在放送中の連続テレビ小説『ばけばけ』で注目を集める、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲〈やくも〉)。ハーンのように、他の文化圏からやってきた外国人がよさを見出した、ゆかりの地を紹介します。
島原半島の中央部、標高約700メートルに位置する雲仙温泉。雲仙岳の火山活動がもたらした雲仙地獄もあり、地球の鼓動を肌で感じられる場所です。江戸時代後期には、長崎・出島のオランダ商館医だったシーボルトが著書『日本』で雲仙をヨーロッパに広く紹介。雲仙が海外に知られるきっかけになりました。明治時代から昭和初期にかけて外国人の避暑地として発展した雲仙で、その足跡を探してみませんか。
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フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト
最寄りは西九州新幹線諫早(いさはや)駅
2022年の西九州新幹線開業に向けて、新駅舎が完成。3階建ての近代的な建物に生まれ変わりました。西九州新幹線、長崎本線、大村線が乗り入れ、島原鉄道の諫早(雲仙・島原口)駅や長崎県営バスの諫早バスターミナルに直結。諫早駅再開発ビル「iisa(イーサ)」が隣接しています。島原半島の玄関口で、島原半島の主要観光地である島原・雲仙・小浜(おばま)へのアクセスに便利です。
雲仙地獄
活火山・雲仙岳のエネルギーを体感!
雲仙温泉街のメインストリートそばにある「清七地獄」
橘(たちばな)湾の海底にある雲仙岳のマグマだまりが、高温の蒸気となって岩石の間から噴き出すエリア。硫化水素の香りが立ちこめ、シューシューと音を立てて白い蒸気が噴き上がる様子はまさに地獄のようです。江戸時代にはキリシタン殉教の地にもなりました。
もっとも激しく蒸気が噴き出す「大叫喚(だいきょうかん)地獄」や、明治時代初期に島原のお糸という女性が夫殺害の罪で処刑された時に誕生したと伝わる「お糸地獄」、長崎の清七(せいしち)というキリシタンが殉教した際に噴出したとされる「清七地獄」など、大小約30の地獄が点在。山間(あい)に整備された遊歩道を散策しながら見学できます。
「お糸地獄」では蒸気で蒸す「温泉たまご」(2個200円)を販売。石板(すのこ)に素足をのせて火山のエネルギーを感じる地熱体感スポット「雲仙地獄足蒸し」もあります。
もっとも激しく噴気が上がる「大叫喚地獄」
いたるところで地域猫がのんびりと過ごしています
仁田(にた)峠第二展望所から見た雲仙岳
雲仙地獄
| 問い合わせ先 | 0957-73-3434(雲仙観光局) |
|---|---|
| 時間 | 見学自由 |
| 交通アクセス | 西九州新幹線諌早駅から雲仙行き島鉄バス約1時間25分の雲仙お山の情報館下車、徒歩約3分 |
| URL | https://unzenonsen.unzen.org/watch/jigoku/ |
雲仙観光ホテル
九州唯一の名門クラシックホテル
スイスの山小屋風の外観。赤い切妻屋根が印象的です
1935(昭和10)年、雲仙温泉街に外国人観光客向けのホテルとして開業。建物は中世ヨーロッパで見られるハーフティンバーのスイスシャレー様式を取り入れた伝統的な建築で、国登録有形文化財。全国に9軒しかない「日本クラシックホテルの会」加盟の1軒です。
船会社が経営していたことから、館内は豪華客船をイメージ。ディナーの時間には、ダイニングルーム前に設置された銅鑼(どら)を鳴らして知らせるのも客船風の演出です。1階にはバーや撞球(どうきゅう)室、図書室などがあり、クラシカルな空間で非日常の時間を過ごせます。
ドーム型の天井やアールデコ調のタイルが印象的な洋風浴室では、自然湧出の自噴泉を利用した温泉を堪能できます。無色透明のやわらかな湯は、美肌効果が期待できると評判です。
重厚感のある中央階段が印象的なロビー
客室のドアノブは、外国人向けに約130センチの高さに設置されています
1500冊以上の蔵書がある図書室。映写室が併設されています
撞球室(ビリヤード場)。剣と盾がモチーフのステンドグラスが鮮やかです
雲仙観光ホテル
| 問い合わせ先 | 0957-73-3263 |
|---|---|
| 交通アクセス | 西九州新幹線諌早駅から雲仙行き島鉄バス約1時間24分の小地獄入口下車、徒歩約1分(宿泊者のみ長崎空港と諫早駅から無料送迎あり、要予約) |
| 値段 | 1泊2食3万4250円~ |
| URL | https://www.unzenkankohotel.com/ |
雲仙ロープウェイ
ミヤマキリシマや紅葉など、四季折々の大パノラマに感動
ゴンドラから有明海や熊本・天草諸島が眼下に
仁田峠展望所から標高1333メートルの妙見岳(みょうけんだけ)山頂まで、高低差約174メートルを片道約3分で結びます。紅葉の名所として知られ、毎年10月下旬〜11月上旬頃にイロハカエデやナナカマド、シロドウダンなどの木々が妙見岳の山肌を赤やオレンジに染める様子は圧巻です。秋以外にも、春はミヤマキリシマ、初夏はヤマボウシ、冬は霧氷(むひょう)と四季折々の自然を満喫できます。
ゴンドラからは島原半島や有明海、橘湾をぐるりと一望。熊本の天草諸島まで見わたせます。妙見岳山頂の展望所もロケーション抜群。雲仙・普賢岳(ふげんだけ)の噴火活動でマグマが冷え固まってできた溶岩ドーム「平成新山」も間近に見ることができます。
天空に浮かんでいるような妙見岳山頂の展望所も眺望抜群
標高1000メートル以上の高地をゴンドラで空中散歩
島原半島の西側や雲仙温泉街近くの人工湖「おしどりの池」も見えます
雲仙ロープウェイ
| 問い合わせ先 | 0957-73-3572 |
|---|---|
| 時間 | 8時51分~上り17時3分受付(11~3月は~上り16時51分受付)※約12分ごとに運行 |
| 定休日 | なし |
| 交通アクセス | 西九州新幹線諌早駅から雲仙行き島鉄バス約1時間26分の終点下車、車で約15分(要呼出・平成観光タクシー0957-73-2010) |
| 値段 | 往復1500円 |
| URL | https://unzen-ropeway.com/ |
紹介スポット一覧マップ
文/佐藤 史 写真/玉村恵理子
- ※記事中の情報は2025年10月時点のものです。
- ※列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
- ※花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
- ※店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
- ※同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。


