2026.04.27ジパング俱楽部船と列車が多くの人を運んだ港町・門司港|昭和100年!あの頃の空気が残るあの町へ

福岡県北九州市
昭和元年から満100年にあたる2026年。日本の各地には昭和という時代を今でも感じられる場所があります。この記事では、今も往時の建造物が残る門司港の懐かしさ溢れるスポットをモデルコース形式で紹介します。
九州の最北端、関門海峡に面した“九州の玄関口”門司港。国際貿易や国内航路の要所として、明治時代から昭和初期まで栄華を誇りました。港の周辺には、往時の繁栄を物語る歴史的建造物が点在。門司港レトロ地区として整備されており、散策が楽しめる観光スポットとして人気を集めています。
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昭和の頃の門司港は……
機雷投下による長期間封鎖から再興へ
港近くにある栄町の1951(昭和26)年頃の様子。3年後には「栄町銀天街」が誕生します
明治時代に国の特別輸出港に指定され、国際貿易港として昭和初期まで発展した門司港。しかし、海上交通の要衝(ようしょう)であったため第2次世界大戦で度重なる空襲と大量の機雷投下を受け、一面焼け野原に。港が長期間封鎖され、港湾機能が停止しました。
そんな中、戦後に海外からの引き揚げ船が次々と門司港に入港。船と鉄道の結節点であることから1日約1万人が関門連絡船と門司港駅を利用して行き交い、少しずつ活気を取り戻していきました。
- ※写真/『写真で見る門司100年の歩み 門司百年』より
門司港駅からスタート!
大正時代の姿に蘇(よみがえ)ったクラシックな木造駅舎
九州の鉄道の起点駅として1891(明治24)年に開業。当初の名称は門司駅でしたが、関門海底トンネルの完成で1942(昭和17)年に旧大里駅が門司駅に改称されたことに伴い、門司駅は門司港駅に改称されました。
2019年には、約6年間におよぶ復原工事を経て1914(大正3)年の完成当時の駅舎の姿が復活。木造2階建ての駅舎は、ネオルネサンス様式を基調とした左右対称の意匠が特徴です。
門司港レトロ地区を象徴する貴重な建造物であり、現役の駅舎では東京駅とともに全国で2棟のみ国の重要文化財に指定されています。また、日本遺産「関門“ノスタルジック”海峡 ~時の停車場、近代化の記憶~」の構成文化財でもあります。
門司港レトロ
明治期から昭和初期の歴史的建造物が残る
関門海峡を船上から見学できるクルーズ船が運航
旧門司三井倶楽部や旧大阪商船、旧門司税関など、明治時代から昭和初期にかけて建設された歴史的建造物が現存。ノスタルジックな町並みが歴史を感じさせてくれます。
地上約103メートル、31階の高さにある「門司港レトロ展望室」からは、眼下に門司港レトロ地区の町並みと関門海峡を一望。対岸の下関までぐるりと270度見わたせます。
また、門司港レトロ地区の夜景も必見! 門司港がある北九州市は、横浜市・長崎市とともに「日本新三大夜景都市」のひとつ。門司港レトロ展望室からの夜景は、北九州市内に全11カ所ある「日本夜景遺産」に認定されています。日没後、門司港駅や第一船だまりなどがライトアップされ、門司港レトロ地区が幻想的な雰囲気に包まれます。
また、門司港は「バナナの叩き売り」発祥の地としても有名。戦前、台湾から船で輸送中に熟れすぎたり傷んだりしたバナナを露天商が軽妙な口上で売りさばいたのが始まりです。現在は「門司港バナナの叩き売り連合会」により伝統文化が継承されており、「バナナの叩き売り」は日本遺産に登録されています。
毎週土・日曜(第5週を除く)には門司港レトロ地区でバナナの叩き売りの実演を実施。威勢のいいユニークな口上が一帯に響きわたります。
「門司港レトロ展望室」から第一船だまりや旧門司税関などを眼下に一望
「日本夜景遺産」に認定されている「門司港レトロ展望室」からの夜景
「バナナの叩き売り」の実演では、「サァサァ 買うた買うた」など威勢のいい口上が響き渡ります
門司港レトロ
| 問い合わせ先 | 093-321-4151(門司港レトロインフォメーション) |
|---|---|
| 時間 | 施設により異なる |
| 交通アクセス | 鹿児島本線門司港駅下車すぐ |
| URL | https://mojiko-retoro9.jp/ |
展望レストラン 陽のあたる場所
門司港を眺めながら名物・焼きカレーを堪能
門司港レトロ地区にあるイタリア料理店。ビル最上階の7階にあり、三面ガラス張りの大きな窓から大小の船が行き交う関門海峡や門司港を一望できます。
人気は、門司港発祥の焼きカレー。カレーをかけたごはんにチーズや卵などをのせてオーブンで焼いた一品で、昭和30年代に門司港にあった喫茶店で誕生したといわれます。
「陽のあたる場所」では「鉄板焼きカレードリア」1300円のメニュー名で提供。牛肉入りのバターライスの上にデミグラスソースで作る欧風カレーをかけ、チーズとパン粉をのせて焼き上げます。味の決め手は、20年以上継ぎ足し続けるフォン・ド・ボーの旨みが凝縮した本格デミグラスソース。口に運ぶとデミグラスソースのコク深い味わいが広がります。とろーりまろやかなチーズ、シャリッとした歯触りのパン粉とも相性抜群。自慢のカレーを存分に味わってほしいとの思いから、あえて卵をのせないのもこだわりです。単品のほか、サラダ、スープ、ドリンク付きの「セット」1750円もあります。
スタンドピアノが設置されている店内では月2回、夜にジャズライブを開催。関門海峡の夜景と生演奏のコラボレーションに酔いしれませんか。
三面ガラス張りの大きな窓から関門海峡や門司港を一望
門司港レトロ地区に立つビルの最上階にあります
展望レストラン 陽のあたる場所
| 問い合わせ先 | 093-321-6363 |
|---|---|
| 時間 | 11~14時(土・日曜・祝日は~15時)・17~21時 |
| 定休日 | 火曜 |
| 交通アクセス | 鹿児島本線門司港駅から徒歩約2分 |
| URL | https://www.hinoatarubasho.com/ |
九州鉄道記念館
九州の鉄道発祥の地で鉄道を楽しく学ぶ
名列車のヘッドマークなど、貴重な鉄道関連の資料を展示
九州の鉄道発祥の地・門司港にある記念館。1891(明治24)年建築の旧九州鉄道本社を活用した赤レンガ造りの本館は、近代化産業遺産のひとつ。国の有形文化財に登録されています。
館内では九州の鉄道大パノラマ模型(運転1回100円)や復元された明治時代の客車展示などがあり、年代問わず鉄道について楽しく学べます。
一番人気は運転シミュレーター体験(1回100円)。本物の811番近郊型電車の運転台に座り、門司港駅~折尾駅間の実際の路線映像を見ながら列車の運転士になった気分で運転を擬似体験できます。混雑時は予約制で、週末には数時間待ちになることも。館内見学の前に予約しておくのがいいでしょう。
鉄道グッズを販売するショップでは、駅名のキーホルダー(660円)や鉄道ヘッドマークメタルマグネット(1045円)などがおみやげに人気だそう。なかでも、JR九州の全駅が揃う駅名キーホルダーは圧巻です。
屋外の「車両展示場」には、九州で活躍した往年の9車両がずらり。また「ミニ鉄道公園」では、885系かもめや883系ソニックなど九州の現役列車をモデルにしたミニ列車に乗車できます(1台3名まで300円)。
車両展示場の「日本国有鉄道 クハ481 603号」。車内見学も可能です
前頭部車両の展示(左)と、車両展示場の「日本国有鉄道 59634号」(右)
九州鉄道記念館
| 問い合わせ先 | 093-322-1006 |
|---|---|
| 時間 | 9時~16時30分 |
| 定休日 | 不定休 |
| 交通アクセス | 鹿児島本線門司港駅から徒歩約7分 |
| 値段 | 500円 |
| URL | https://www.k-rhm.jp/ |
旧大連航路上屋(きゅうだいれんこうろうわや)
国際貿易港として栄えた面影をとどめる
2階の旧デッキ・「コリドー」は人気の撮影スポット
1929(昭和4)年、「門司税関1号上屋」として建設。横浜や神戸と並ぶ国際貿易港の旅客ターミナルとして乗客や送迎者でにぎわいました。上屋とは、陸揚げした貨物や船に積む貨物を一時的に保管し、荷さばきを行なうための施設のこと。当時、中国・大連や台湾、欧州などの航路が就航しており、なかでも大連航路の便数がもっとも多かったことから「大連航路上屋」などと呼ばれるようになったそうです。
鉄筋コンクリート造2階建ての建物は、大蔵省営繕管財局の工務部長であり、国会議事堂や横浜税関本関庁舎などを手がけた官庁建築家・大熊喜邦(よしくに)氏による設計。当時流行の最先端だったアール・デコ様式の意匠を採用し、装飾デザインなど細部に工夫が凝(こ)らされています。
国際貿易港・門司の繁栄を象徴する近代遺産で、日本遺産「関門“ノスタルジック”海峡 ~時の停車場、近代化の記憶~」の構成資産です。
館内1階には、門司港の歴史や寄港していた客船などを紹介するエントランスホール、映画・芸能関連の資料館「松永文庫」などがあります。
「松永文庫」は、北九州市門司区出身の故・松永武氏が映画研究のために昭和20年代から約60年かけて収集し、北九州市に寄贈した貴重な映画・芸能関係の資料約6万6000点を所蔵。大正時代から平成までに上映された映画のポスターやパンフレット、書籍・雑誌、スチル写真、脚本など、少しずつ資料を入れ替えながら展示しています。昭和30年代のカーボン式映写機や、映画『あなたへ』の門司港ロケで主演の高倉健さんが実際に座った長椅子も要チェックです。
半円形に飛び出した監視室など、アール・デコ様式の建築が特徴
「松永文庫」では昭和30年代のカーボン式映写機も展示
旧大連航路上屋
| 問い合わせ先 | 093-322-5020(松永文庫は☎093-331-8013) |
|---|---|
| 時間 | 9~17時 |
| 定休日 | 不定休。松永文庫は月曜(祝日の場合は翌日) |
| 交通アクセス | 鹿児島本線門司港駅から徒歩約9分 |
| 値段 | 無料 |
| URL | https://mojiko-retoro9.jp/spot/former_dalian_route_terminal/ |
門司港駅ゴール!
紹介スポット一覧マップ
文/佐藤 史 写真/玉村恵理子
- ※記事中の情報は2026年4月時点のものです。
- ※列車やバスなどの所要時間は目安となる平均時間を表記しています。バスの運行本数が少ない場合がございますので、事前にご確認ください。
- ※花や紅葉など季節の景観は、その年の天候などにより変動しますので、現地へご確認ください。
- ※店や施設のデータは、原則として一般料金(税込)、定休日、最終受付時間・ラストオーダーを、宿泊施設の料金は平日に2名で宿泊した場合の1名分の料金(1泊2食・税・サービス料込み)を記載しています。
- ※同一商品で軽減税率により料金の変わるものは、軽減税率が適用されない料金を記載。臨時休業などは省略しています。また、振替休日なども祝日として表記しています。

