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2022.12.21鉄道「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」で土佐流のおもてなしを満喫! 鉄道写真家・村上悠太がご案内する高知の旅

連続テレビ小説も決定! 自然の恵みとおもてなしで高知を堪能

元気な太陽にキラキラと輝く太平洋、黒潮と山の恵みに囲まれた高知県。

そんな高知の自然をこよなく愛した日本の植物分類学の父、「牧野富太郎」氏をモデルにしたNHK2023年前期連続テレビ小説「らんまん」の放映が決定し、今、高知県が盛り上がっています!

高知と言えばカツオ?ゆず? 
もちろんそのどちらも絶品ですが、鉄道も絶品絶景ぞろいです…!

本州から四国へ。特急や、個性豊かな「ものがたり」列車で絶景を


山陽新幹線と接続して岡山〜高知を結ぶ特急「南風」。大歩危峡の景色の中を走る

特急「南風」で高知に! 瀬戸内海の素晴らしい眺望は見逃せない

本州と四国の鉄路を結ぶのは瀬戸大橋線の愛称で有名な本四備讃線。
高知へは特急「南風」に乗って向かいましょう!

本州側最後の駅となる児島駅を出発すると、列車は海上を走るように瀬戸大橋を渡って四国へ。
この区間は日中乗ってもとても綺麗なのですが、僕のおすすめはあえての「夕方」。
名曲にも歌われている通り、瀬戸内海の夕景はやっぱり美しいです。

また、瀬戸大橋を「夕方」渡るのは旅程面でもメリットが。
東京や大阪、福岡などから高知に鉄道で向かう場合、高知観光を到着したその日からスタートするのではなく、「前泊」するつもりで四国に入るのもおすすめ!
ゆっくり家を出発して瀬戸の日暮れを眺めつつ高知へ、といった旅程を組むと、とてもゆとりが生まれます。


夕方に岡山を発てば瀬戸内海の夕暮れを眺めることもできる

非日常を味わえるJR四国の「ものがたり」列車

四国の鉄道旅で欠かせないのがJR四国が運行している3つの「ものがたり」の列車。

瀬戸内海を望む旅情満点の下灘駅を経由する「伊予灘ものがたり」、急流吉野川と大歩危小歩危の景色を楽しむことができる「四国まんなか千年ものがたり」と、今回めぐる高知を走る「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」です。

それぞれ個性豊かな観光列車たちですが、心温まるおもてなしが魅力のJR四国の「ものがたり」列車は地域の笑顔と工夫、そしてなにより熱いお出迎えがとっておきの旅の思い出になる、そんな列車たちです。


高知駅に入線してきた「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」。それぞれ意匠の異なる2両編成の観光列車

「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」で高知県をめぐる

今回は高知駅を起点に、高知〜窪川間を土休日を中心に1往復している、「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」に乗車!

しかもこの日は窪川行ではなく、土佐くろしお鉄道に乗り入れて、高知県東端の鉄道駅「奈半利」を目指す「煌海(きらめき)の抄」に乗車します。
「煌海の抄」は特定日のみ運行され、2022年内の土佐くろしお鉄道乗り入れ運行は終了しましたが、2023年も引き続き運行日が設定される予定です。


アテンダントさんがお出迎えしてくれる。乗降口で手指消毒を行なって車内へ

「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」は2両編成の全席グリーン車指定席の観光列車。
乗車には乗車券のほか、グリーン特急券が必要です。
通常のきっぷ同様に、全国のみどりの窓口で購入が可能。

また、観光列車といえば車内で楽しむ食事が魅力ですが、この「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」でも地域の特色を生かした食事メニューが用意されています。
こちらは乗車日の最短4日前までに予約が必要で、食事の予約はJR四国のみどりの窓口のほか、おでかけナビ「tabiwa by WETER」がおすすめ!
(予約方法・期限は2022年12月現在)

「tabiwa by WETER」は限定の観光情報やお得な周遊パスなどが詰まった必見のコンテンツ。
WEB版の他、アプリとしてもリリースされているので、ぜひチェックしてみてください。



車体に大きく描かれた坂本龍馬

さて、「土佐流のおもてなしで楽しむ列車旅」をコンセプトにした「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」。

幕末の激動の時代をイメージした斬新な2両の外観には坂本龍馬が大きく描かれています。
それぞれ幕末の歴史をテーマにした「KUROFUNE(クロフネ)」と、龍馬たちが水平の向こうに夢見た新しい時代の夜明けをモチーフにした「SORAFUNE(ソラフネ)」と名付けられ、内装もがらりと異なっています。


1号車「クロフネ」

2号車「ソラフネ」。それぞれシートアレンジも異なる(現在新型コロナウイルス対策としてパーティションが設置されています)

ドラの音を出発の合図に、列車は一路奈半利へ!

出発するとすぐに事前予約した食事が自席に届けられます。
この日の食事は「ひがしこうちの彩り御膳」。
高知の老舗旅館「城西館」の和食料理長が吟味した東高知の旬の味覚が詰まった食事です。
一緒に提供されるご飯は、きちんと温かい状態で提供されるのもとても嬉しいポイント。

通常運行時の窪川行きとなる「立志の抄」では「土佐の食材を使用した創作料理 〜皿鉢風〜」が提供され、こちらは和食と洋食をフュージョンした食事を楽しむことができます。


「煌海の抄」で楽しめる「ひがしこうちの彩り御膳」

ご飯はほっこり温かい状態で提供される

列車はユニークな駅名でも有名な後免駅からいよいよ土佐くろしお鉄道へ。

窪川行きでも太平洋の眺めを楽しむことができますが、奈半利行きではさらに長い区間で海沿いを走行します。
走行中には沿線の至る所で列車に向かって手を振る地元の方の姿が!
こちらからもぜひ手を振って応えましょう!!


乗車中は至るところで地元の方が列車に向かって手を振ってくれる

土佐くろしお鉄道には鉄道駅と道の駅や地域の直売所が近接している駅が数ヶ所あり、「煌海の抄」ではそうした駅でしばしの停車時間が設定されています。
特に最初に下車観光することができる夜須駅では約30分の停車時間が取られています。
目の前の「道の駅やす」に併設されている県立公園ヤ・シィパークからは太平洋が一望できます。


県立公園ヤ・シィパークに途中下車観光!

ちなみに、窪川行きとなる「立志の抄」ではこちらも目の前まで太平洋が迫る絶景駅安和駅でしばしの下車観光が楽しめます。


高知〜窪川を走る「立志の抄」・「開花の抄」ではこの安和駅前後が車窓の見どころの一つ

四国の「ものがたり」列車は、事前予約の食事メニューのほか、車内のカウンターでは予約なしでも購入できる軽食やドリンクがとても充実しているのも特徴のひとつ。
まさに走る「カフェ」とも言える品揃えなのでぜひこちらも楽しんでみてください。


「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」公式サイトはこちらから


2号車「ソラフネ」には販売カウンターがある

JR四国の「ものがたり」列車は小さな子ども連れでも安心して楽しめる 子ども向けのサービス品も車内で貸し出しがある


海岸線沿いを走る土佐くろしお鉄道の車窓は、まさに太平洋一色!


「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」についてもっとくわしく

志国土佐 時代(とき)の夜明けのものがたり―1号車が歴史で、2号車はSF!?(THE列車)

連続テレビ小説「らんまん」の舞台として大注目の高知を探訪

主人公のモデル・牧野富太郎博士のゆかりの地・佐川町へ

「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」を満喫したあとは、高知駅から土讃線を西へ向かいます。
2023年前期の連続テレビ小説の舞台として今、徐々に盛り上がりを見せているのが佐川町です。

その作品で主人公のモデルとなるのが、高知出身で「日本植物分類学の父」と呼ばれている牧野富太郎博士。
県西部の現在の佐川町で誕生し、県内には博士ゆかりの地も多く点在しています。


「牧野富太郎ふるさと館」

こちらは「牧野公園」。どちらも佐川駅から徒歩20分程度で散策に最適

佐川町の生家跡には「牧野富太郎ふるさと館」があり、博士ゆかりの品が展示されています。
そこから15分ほど歩いたところにある「牧野公園」は、園内のありとあらゆる植物に「名札」が付けられており、博士が残したとされる「雑草という名の草はない」という言葉をまさに目の当たりにすることができます。


「牧野公園」の園内には植物がたくさん

その一つ一つにていねいに名札がついている

お酒に、貴重な列車! 佐川町にはまだまだ魅力が!

佐川町には他にも見どころがいっぱい!

高知県といえばお酒をこよなく愛する県の一つですが、佐川町には高知の銘酒、司牡丹を醸す「司牡丹酒造」があります。
蔵のすぐそばには「酒ギャラリー ほてい」があり、司牡丹はもちろん、さまざまなグッズが購入可能。


高知を代表する「司牡丹酒造」もここ佐川にある

また、「うえまち駅」には、大変貴重な現存する日本唯一の木造2等客車「ロ481号客車」が展示・保存されており、実際に車内に入ることも可能。

「ロ481号」の「ロ」は、現代ではグリーン車を表す文字として使用されていますが、当時は「ロ」よりもさらに上等の「イ」(一等車)があり、「イ=一等」「ロ=二等(現在のグリーン車)」「ハ=三等(現在の普通車)」と区分されていました。

ちなみに一等を表す「イ」ですが、長らく使用されていませんでしたが、現在JR九州「ななつ星in九州」・JR西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の車両に使用されています。


「うえまち駅」に保存されている木造2等客車「ロ481号客車」

佐川町の観光スポットへの最寄駅は土讃線の佐川駅。

特急「あしずり」・「しまんと」も停車するので、高知市内からのアクセスも便利。
さらに牧野博士について深く知りたいのであれば、高知駅からバスで30分程度のところに位置する高知県立牧野植物園も必見です!


こちらが高知県立牧野植物園。散策しながら博士の植物への思いを感じることができる

園内には博士の生涯にまつわる貴重な資料が展示してある

海の幸に、山の恵みが集まる・土佐久礼で舌鼓

佐川駅から再び列車に乗り、今度は土佐久礼駅へ。
佐川駅同様にこちらも特急が停まる土佐久礼駅から15分ほど歩いたところにある久礼大正町市場は、「漁師町・久礼」の賑わいを体感できる市場。

カツオを筆頭に地域の野菜、果物、干物など、たくさんの地物が集まります。
また、カツオのタタキを食べられるお店もたくさん!
お昼ごはん時間帯にぜひ立ち寄りたいスポットです。


久礼大正町市場の賑わい

「かつおの塩タタキ丼」は必食!

鉄道旅で高知を満喫!

佐川の街もこの久礼大正町市場も、駅から徒歩圏内で十分に楽しめるのが鉄道旅派としてはとても嬉しいポイント。
鉄道移動ならお酒だってみんなで楽しめます。
さらにここから西に向かうと予土線との接続駅でもある窪川駅がもうすぐそこ。

オンシーズンには四万十川の風を体感できるトロッコ列車「しまんトロッコ」も運転されます。
朝に高知を発ち、佐川、土佐久礼と観光し、久礼大正町市場で昼食をとって窪川に向かうとちょうどよい乗り継ぎでこの「しまんトロッコ」を楽しむことも可能です。


オンシーズンの土休日を中心に運行される予土線「しまんトロッコ」


「しまんトロッコ」についてもっとくわしく

しまんトロッコ―もとは国鉄時代の「貨車」。自然あふれる四万十川の流域をガタンゴトン(THE列車)

続けて、宇和島を経由して松山に向かうこともできるほか、松山駅から特急「いしづち30号」に乗れば坂出(高松)で東京行きの寝台特急「サンライズ瀬戸」に乗り継ぐこと(※)もでき、まるで四国をくるりと周遊するようなルートも構成できちゃいます。
松山に一泊して、翌日は「伊予灘ものがたり」に乗車… なんていうのもいいですね(笑)

乗って、食べて、見て、感じて楽しむ高知旅、ぜひみなさんもお出かけください!

  • 2022年12月時点ダイヤ

JR四国の観光列車予約はこちらから


著者紹介

村上 悠太

1987年鉄道発祥の地新橋生まれ、JRと同い年の鉄道写真家。
「鉄道ダイヤ情報」(交通新聞社発行)では「ユータアニキ」としてあらゆる現場で鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。元々旅好きから写真を始めたので、乗り物に乗って旅をしながら写真を撮るのが大好き。

Twitter:https://twitter.com/yuta_murakami
Instagram:https://www.instagram.com/yuta_murakami/

  • 取材・撮影・文=村上悠太
  • 掲載されているデータは2022年12月現在のものです。
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