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2021.06.17鉄道しまんトロッコ―もとは国鉄時代の「貨車」。自然あふれる四万十川の流域をガタンゴトン(THE列車)

四万十川の爽やかな風を感じるトロッコ列車

最後の清流といわれる四万十川の流れとともに走るのが、予土線のトロッコ列車「しまんトロッコ」です。国鉄時代の1984(昭和59)年7月、無蓋(むがい)貨車のトラ45000形に簡単な屋根と椅子を設置した元祖トロッコ列車で、当時は「清流しまんと号」として運転されていました。
登場から29年目を迎えた2013(平成25)年10月に大幅なリニューアルが実施され、四万十川の風景に映える山吹色の車体が特徴の列車となりました。

それでは、土讃線窪川駅から「しまんトロッコ1号」に乗車し、予土線の旅を楽しんでみることにしましょう。
次の若井駅まで土佐くろしお鉄道線を走り、その先の信号場から分岐して予土線へ。家地川駅を出ると右手車窓に四万十川の流れが近づき、打井川駅を過ぎて四万十川に架かる鉄橋を渡ると土佐大正駅に到着。この駅からトロッコ車両に乗り込みます。四万十川は大きく蛇行して流れていますが、予土線は鉄橋とトンネルを利用して真っすぐに進むため、左右の車窓から流れを眺めることができます。
土佐昭和駅、十川駅、半家駅と自然あふれる風景や左手に分かれる四万十川を眺めながら、江川崎駅に到着。列車は宇和島駅まで運転しますが、トロッコ車両はここまでとなります。

鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報

元祖トロッコ車両


国鉄時代の貨車を改造したトロッコ車両

国鉄時代の無蓋貨車トラ45000形を改造した元祖トロッコ車両です。今では貴重となった2軸貨車特有のガッタンゴットンという独特の走行音と、貨車ならではのゴツゴツとした乗り心地を楽しめます。鮮やかな山吹色の車体にリニューアルされた際、新たに防雨・防寒のための着脱式シートを装備したため、万が一の雨の場合も快適に利用できるようになりました。

トロッコ車両の乗車区間


鉄橋を渡る「しまんトロッコ」

トロッコ車両は窪川駅~宇和島駅間の全区間で連結されていますが、この車両に乗車できるのは列車が四万十川に沿って走るハイライト区間となります。窪川駅発の1号は土佐大正駅→江川崎駅間、宇和島駅発の2号は江川崎駅→土佐大正駅間です。このほかの区間ではトロッコ車両の前に連結されるキハ54形気動車に乗車して移動します。
なお、トロッコ車両の乗車には「座席指定券」が必要となります。

山吹色のキハ54形気動車


トロッコ車両をキハ54形気動車が牽引

トロッコ車両の先頭に連結されるキハ54形気動車も、トロッコ列車としての一体感を演出するため、鮮やかな山吹色の車体となりました。車内はロングシートが配置されており、トロッコ乗車区間以外では同車両に乗車します。トロッコ車両のコトラ52462と同様に、「しまんトロッコ」のエンブレムが車体正面と側面に描かれており、窪川駅や宇和島駅から乗車する時もワクワク感にあふれています。

トロッコ車内のお楽しみ


トロッコ車両の内部

開放感あふれるトロッコ車両の一番の魅力は、四万十川の川風を直に肌で感じることができることです。沿線の自然の風景とともに、ボランティアガイドによる沿線案内や、地元特産品の車内販売を楽しむことができます。また、座席には大型のテーブルが設置されていますので、駅弁や飲み物を持参して風景とともに味わうとおいしさが倍増することでしょう。
なお、列車内にはトイレ設備がありませんので注意が必要です。

予土線三兄弟の列車


海洋堂ホビートレイン「かっぱうようよ号」

鉄道ホビートレイン

予土線のオリジナル列車の長男の「しまんトロッコ」のほか、次男の「海洋堂ホビートレイン『かっぱうようよ号』」と三男の「鉄道ホビートレイン」の予土線三兄弟となる列車が走っています。「海洋堂ホビートレイン『かっぱうようよ号』」は車内にかっぱのフィギュアや人形を展示。「鉄道ホビートレイン」は新幹線0系をイメージした外観で、車内は鉄道模型の展示や実際に0系で使用されていたシートが配置されています。

トロッコ列車乗車後の天然温泉


松丸駅の2階にある「ぽっぽ温泉」

岩風呂調の「滑床の湯」

予土線松丸駅の駅舎2階には、天然温泉施設「森の国 ぽっぽ温泉」が併設されています。全国的にも珍しい、駅舎内にある温泉です。
露天風呂やサウナ風呂、水風呂を備えた2タイプの大浴場があり、水質は単純温泉「低張性弱アルカリ性冷鉱泉」。
「冷鉱泉」という名のとおり温度が25℃以下と低いため、薪ボイラーを使用して温泉を沸かしています。
「しまんトロッコ1号」を利用して松丸駅で途中下車した場合、次の宇和島行きが来るまで約1時間25分。この待ち時間を使って、のんびりと温泉入浴を楽しむことができます。

  • 「森の国 ぽっぽ温泉」では新型コロナウイルス感染症の対策として「当面の間サウナ休止」「利用者名簿の作成」を実施しています。お出かけの際には、ホームページ等で最新の情報をご確認ください。

「森の国 ぽっぽ温泉」ホームページ


列車情報

運転日 春から秋までの観光シーズンの土曜・日曜および夏休み期間中の毎日
運転区間 土佐くろしお鉄道線・予土線・予讃線 窪川駅~宇和島駅間
運転時刻 【1号】窪川駅13:21発→宇和島駅15:57着
【2号】宇和島駅9:33発→窪川駅12:06着

「しまんトロッコ」公式サイト

こちらもおすすめ! 続々運転開始するラッピングトレイン

迫力バツグン! 「鬼列車」


「鬼列車」外観 ※画像はイメージです。

全国で唯一「鬼」の文字が入る自治体、愛媛県鬼北町とのコラボ。
2021年7月4日より予讃線松山~宇和島駅間・予土線宇和島~窪川駅間を運転する、「鬼」をテーマとしたラッピング列車の愛称が「鬼列車」です。
乗車中、車窓に指定のARアプリをかざすと、鬼北町のキャラクター「鬼王丸」に観光ガイドをしてもらえるサービスも。


「鬼列車」の詳細はこちら

あのヒーローが登場! 「海洋堂ホビートレイン『ウルトラトレイン号』」※2022年5月にて運行終了


「海洋堂ホビートレイン『ウルトラトレイン号』」外観 ※画像はイメージです。

2021年7月22日から始まる「海洋堂ウルトラマンフィギュア展」とのコラボ。
言わずと知れたヒーロー「ウルトラマン」のフィギュアがラッピングされた「海洋堂ホビートレイン『ウルトラトレイン号』」が、同じく2021年7月22日から運転予定です。
老舗フィギュアメーカー・海洋堂が1980 年代から休むことなく作り続けているシリーズのひとつ「ウルトラマン」。この列車に乗って展示を見に行けば、ワクワクが倍増すること間違いありません。

海洋堂ウルトラマンフィギュア展

会期
2021年7月22日~2022年5月30日

場所
海洋堂ホビー館四万十(高知県高岡郡四万十町打井川 1458-1)

入館料
一般(高校生以上) 800 円
小中学生 400円 ※未就学児は無料


「海洋堂ホビートレイン『ウルトラトレイン号』」の詳細はこちら(JR四国ニュースリリース)


著者紹介

ミスターK(結解喜幸)

1953年、東京都出身。出版社勤務を経て旅行写真作家に。鉄道や時刻表のたのしさを知り尽くした鉄道の達人。現在は地酒とつまみを追い求める「飲み鉄」にはまっている。

  • 文/ミスターK(結解喜幸)
  • 写真/四国旅客鉄道株式会社、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2021年6月現在のものです。
  • 運転日・運転区間等は変更となる場合があります。

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