美しい海岸線を縫うように走る振り子式特急電車
新大阪駅から南紀方面への乗り心地向上とスピードアップを図るため、海岸線の急カーブに対応した制御付き振り子式車両として登場したのが、紀勢本線(愛称:きのくに線〈和歌山駅~新宮(しんぐう)駅〉)を走る283系特急「くろしお(オーシャンアロー車両)」です。一時期は特急「オーシャンアロー」の列車名で運転されていましたが、2012年3月17日ダイヤ改正から列車名が「くろしお」に統一され、『JR時刻表』には「オーシャンアロー車両で運転」と記されるようになりました。
始発駅の新大阪駅を発車後、大阪環状線・阪和(はんわ)線を経由して和歌山駅に到着した列車は、きのくに線に入ります。紀伊田辺駅より少し手前の切目(きりめ)駅付近で右手車窓に太平洋の青い海が顔を出し、さらに周参見(すさみ)駅を過ぎると紀伊勝浦駅の手前まで、入り組んだ海岸線の岩場や砂浜が織りなす景観が映し出されます。美しい海岸線を縫うように走る線路はカーブの連続ですが、制御付き振り子式車両ならではの心地よい揺れが快適な旅を演出。南紀の海の風景を楽しんでいると、列車は終着の新宮駅に到着します。
鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報
スマートな鼻先と輝く目! イルカをイメージした283系
「海と太陽が大好きな列車」のキャッチフレーズで登場した、新大阪駅発の南紀へのリゾート観光列車。太平洋沿岸を走る列車にふさわしく、イルカをイメージした車体デザインを採用。スピード感があり、洗練されたおしゃれな車体は、南国へのリゾートムードを盛り上げる鮮やかなブルーと砂浜を連想させるビーチホワイトのツートンカラーとなっています。
新宮行きの先頭に連結! パノラマ型グリーン車
新宮駅寄りの1号車には、2+1席配置の枕付き回転式リクライニングシートを備えたパノラマ型グリーン車が連結されており、ワイドな展望を楽しむことができます。座席および車内空間はブラウン系でまとめられており、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。車両の前後で座席配置が異なりますが、これは振り子車両の重量バランスをとるためです。
座席2列に大型窓 車窓も楽しめる普通車
6両編成のうち2~6号車の普通車は、2+2席配置の回転式リクライニングシートを採用した指定席です。シートピッチは970ミリメートルで、座席2列ごとに1枚の大型窓を採用しており、太平洋と海岸線が織りなす美しい車窓を堪能できます。なお、座席はパープル系とブルー系があり、異なる車内空間を演出しています。
女性グループにおススメ! 女性専用の指定席を設置
きのくに線の沿線には、白浜・紀伊勝浦・新宮など、女性のグループ旅やひとり旅に人気の温泉や観光スポットが並んでいます。そのため、くつろげる女性専用席を、5号車の普通車指定席に設置。283系だけでなく、287系・289系を使用する「くろしお」全列車の5号車にあるので、南紀方面への旅では往復ともに女性専用席を指定することができます。
美しい海岸線を楽しめる展望ラウンジを設置!
6両編成の3号車(普通車自由席)には、青く輝く太平洋と入り組んだ海外線をワイドな車窓で楽しめるフリースペースの展望ラウンジが設置されています。海側には足元にも窓がある一人掛けの座席が4席、山側には二人掛けのソファーが2組あり、長旅の気分転換に最適な空間になっています。
特急「くろしお」は287系・289系電車でも運用!
特急「くろしお」は283系の「オーシャンアロー車両」のほか、2012年3月から運転開始した287系や、2015年10月から運転開始した元683系2000番台の289系を含む、計3タイプの車両が使用されています。なお、287系の1編成は、2017年8月から白浜「アドベンチャーワールド」のパンダにちなんだラッピングの「パンダ車両」として活躍しています(2022年8月現在、3編成)。
列車情報
運転日 | 毎日 |
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運転区間 | 東海道本線・大阪環状線・阪和線・紀勢本線 新大阪駅・大阪駅~和歌山駅・白浜駅・新宮駅間 |
運転時刻 |
3号 新大阪駅8:58発 → 白浜駅11:37着 13号 新大阪駅13:13発 → 白浜駅15:47着 17号 新大阪駅15:13発 → 新宮駅19:28着 33号新大阪駅21:44発 → 和歌山駅22:55着 6号 海南駅6:39発 → 新大阪駅8:07着 16号 新宮駅8:32発 → 新大阪駅12:51着 20号 白浜駅12:20発 → 新大阪駅14:51着 32号 新宮駅17:20発 → 新大阪駅19:51着 |
著者紹介
- ※文/ミスターK(結解喜幸)
- ※写真/JR西日本、SONIC RAIL GARDEN
- ※掲載されているデータは2017年10月現在のものです(2022年8月一部改訂)。
- ※運転日・運転区間等は変更となる場合があります。