トレたび JRグループ協力

2024.10.29鉄道西日本各地に“華”を添える観光列車「はなあかり」がデビュー! 鉄道写真家・村上悠太が実乗レポート

お客様と地域の縁を結ぶ列車「はなあかり」の魅力に迫る!

2024年10月5日、JR西日本に新しい観光列車「はなあかり」が登場! 12月31日まで開催中の「北陸デスティネーションキャンペーン」の中でも、特に大きなトピックスのひとつです。

今回は「はなあかり」デビュー前の試乗会に参加してきたので、その魅力を実乗レポートとしてお届けします!


「はなあかりのデビューがこの地域でうれしいです!」と笑顔の敦賀駅の駅員さんたち

全部がラグジュアリーなグリーン車 さらに「その上のクラス」も!

さて、そもそも「はなあかり」はどんな列車なのでしょうか。「地域の華を列車に集めて、お客様と地域の縁を結ぶ列車」をテーマにした、「はなあかり」のエクステリアは、奈良時代起源の紋付き染めで最上級とされる「檳榔子染(びんろうじぞめ)」色をまとい、列車名のとおり、ゴールドの草花がアクセントに飾られています。車両をデザインしたのは、新型「やくも」273系などをデザインしてきた川西康之さんです。


車両をデザインした川西康之さん。「車両の完成がゴールではなく、ここから沿線地域の方々と共に育てていきたい」と語る


花模様はベースこそ共通だが、花の咲く位置がそれぞれで異なる

車体に描かれた花模様は、「特定の植物をイメージしたわけではなく、西日本の沿線に何気なくたたずむ草花をイメージした」という川西さん。実は「はなあかり」はそのシーズンごとに走る区間が変わる観光列車で、どこの区間を走行してもその沿線にそっと寄り添うようなデザインになっています。
2024年10〜12月の秋シーズンは敦賀〜城崎温泉駅間をJR小浜線、JR舞鶴線、京都丹後鉄道、JR山陰本線を経由して結び、土曜日が城崎温泉行、日曜日が敦賀行として運行されます。

3両編成の車内は全ての号車がグリーン車という特別仕様。2、3号車はグリーン車といっても、一般的な特急列車のグリーン車とは全く異なる、快適な広間のような空間が広がり、360度回転する1+1列の独立した座席や、それぞれ2名、3〜4名で利用できる広いボックスシートが備わっています。


2号車のグリーン車。お互いを向き合う角度や対面、窓方向など自在に角度調整できる座席が並ぶほか、ボックスシートが備わる

そして注目したいのが1号車。2、3号車のグリーン車よりさらにラグジュアリーな「スーペリアグリーン車」が新たに登場。「籠」のような適度なプライベート感のあるコンパートメントが並び、シートは本革製。各コンパートメントには大型テーブルや沿線の工芸品やアート作品が飾られています。


「はなあかり」で新設されたスーペリアグリーン(1号車)

個室感覚で利用できる。2名定員

東舞鶴まで乗ってみた!

笑顔に見送られ、いよいよ出発

今回、僕が乗車したのは敦賀から東舞鶴まで。北陸新幹線との接続駅となる敦賀駅ですが、「はなあかり」敦賀行の出発時間は10時40分と東京からも十分に間に合うダイヤ設定。復路となる日曜日は15時07分に到着するので、ゆとりを持って帰京可能です。関西圏からは特急「サンダーバード」、中京圏からは特急「しらさぎ」でのアクセスがおすすめです。


敦賀駅で出発を待つ「はなあかり」

「はなあかり」がホームに入線すると、ホームがにわかに活気づきました。敦賀駅の駅員さんたちも列車のお見送りに集合し、「はなあかり」は一路、小浜線を西に走ります。

ところで、この「はなあかり」。出発時にちょっとした仕掛けがあるんです。ヒントはこの列車の名前。出発時間が近づいたら先頭車付近にご注目!それは車内からでも楽しめるので、乗り遅れに気をつけて探してみてくださいね。


駅員さんも総出でお見送り!

その土地ゆかりのアート作品に注目

最初に案内されたのは1号車「スーペリアグリーン車」。2、3号車のグリーン車とは異なり、観光列車での特別な旅をより「特別な時間」にしてくれる、そんな空間が広がっています。大型の本革製ソファーは、座る位置によってレッグレストのような使い方もでき、長時間の乗車でも快適です。コンパートメント内には職人手作りの「越前和紙フラワー」と、飾り棚には「越前和紙フラワーアート」、丹後シルクを使用した「丹後的スタイルアート」がそれぞれ飾り棚に飾られています。これらのアート作品は走行地域によって、その土地ゆかりのものに変更されるそうです。


二人で座っても広々空間のスーペリアグリーン車


スーペリアグリーン車内の工芸品

今回は若狭・丹後にちなんだ工芸品が備わる


途中駅ごとに用意されているスタンプも集めたい

最初の停車駅、美浜では約14分の停車時間。駅前の道の駅「はまびより」で利用できる割引券やノベルティグッズの配布、下り列車停車時にはへしこの試食や地酒の試飲が行われる予定です。

「はなあかり」は10分程度の停車時間が設けられている駅が多く、テーマに掲げた乗客と地域の縁を結ぶように各駅では、工夫を凝らしたお出迎えが実施される予定とのこと。この日は試乗会ということで、その光景を見ることはできませんでしたが、「各沿線もとても盛り上がっています!」とJRの担当者さんが口にしていたので、再訪が楽しみです!


2号車のサロンスペース。いろいろなイベントや販売などが行われる予定

小浜駅からは2号車グリーン車へ。1号車と変わり、ホテルのロビーやカフェのような開放的な空間になっており、足元の絨毯など至るところに花が描かれています。2号車の一角には乗客の誰もが使用できるサロンスペースがあり、こちらでは特産品やグッズの販売、イベントなどが行われる予定です。

沿線の味を集めた車内グルメを堪能

さて、観光列車といえば、楽しみなのが沿線の味を集めたグルメです! 「はなあかり」でも若狭の食材や丹後の名産を集めた「地域と食をつなぐ」逸品が楽しめます。こちらは乗車日の4日前に観光ナビ「tabiwa by WESTER」で事前予約が必要です。また、小浜〜天橋立駅間を通して乗車する必要がありますので、区間乗車を予定されている方は要注意です。


小浜駅を過ぎると専属のアテンダントさんによるお弁当のサービスが始まる

今回は東舞鶴駅での下車ですが、特別に下り列車で提供される、「若狭 町家弁当」をいただきます。約300年、伝統製法を守り続ける米酢専門店による、小鯛の笹漬け、鯖へしこ、若狭ガレイに若狭牛とまさに若狭づくしのお弁当! 加えて、スイーツに「天橋立チーズケーキ」とお茶がセットになっています。


下り列車は「若狭 町家弁当」。お酒が欲しくなるラインナップ

車窓から広がる若狭湾の絶景!

小浜駅を過ぎると車窓には若狭湾が広がり、その光景を眺めていると今回の下車駅である東舞鶴まではあっという間の2時間です。東舞鶴駅で下車する場合、さきほどのお弁当は楽しむことはできないのですが、途中駅でも地元グルメや鯖寿司などその時々でお買い物が楽しめるので、そちらを楽しむのもおすすめです。東舞鶴駅で下車し、特急「まいづる」に乗り換えれば、「はなあかり」を楽しみつつ、京都へ向かうといったコースも可能です。


若狭湾の車窓はお見逃しなく!

デビュー以来、注目が集まる観光列車「はなあかり」。2024年末までは敦賀〜城崎温泉駅間で運行されます。予約はJR西日本のネット予約「e5489」(2・3号車グリーン車一人がけ座席のみ)、もしくは全国のみどりの窓口(全席購入可能)で可能です。

そして北陸に続いて、2025年1月6日〜3月14日の冬季シーズンは大阪〜浜坂駅間を走る、臨時特急「かにカニはまかぜ」に「はなあかり」を増結!(木曜日を除く)
北近畿冬の風物詩、カニを満喫する旅をより魅力的なものにしてくれます。

これから西日本の各地に華を添える、そんな素敵な列車が誕生しました。


時期ごとに走行区間が変わる「はなあかり」。まずは若狭・丹後エリアでデビューを飾った


「はなあかり」公式サイト


著者紹介

村上悠太

1987年鉄道発祥の地新橋生まれ、JRと同い年の鉄道写真家。
交通新聞社刊『鉄道ダイヤ情報』では「ユータアニキ」としてあらゆる現場で鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。元々旅好きから写真を始めたので、乗り物に乗って旅をしながら写真を撮るのが大好き。

X:https://twitter.com/yuta_murakami
Instagram:https://www.instagram.com/yuta_murakami/

  • 取材・撮影・文=村上悠太
  • 掲載されているデータは2024年10月現在のものです。

「はなあかり」についてもっとくわしく

「はなあかり」-地域の華を集めて沿線にあかりを灯す観光列車(THE列車)

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